赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅰ.G7広島サミットは成功だったか?

2023-05-27 00:00:00 | 政治見解




Ⅰ.G7広島サミットは成功だったか? :230526情報


昨日の『岸田首相のための「広島サミット」』に引き続き、当ブログ『プーチン神話の崩壊』を解説していただいたロシア問題の専門家の目時から見た「G7広島サミット」をお届けします。

今回は、G7広島サミットについて考えてみましょう。

▼「核なき世界」について

サミット、表のテーマは「核なき世界」でした。G7の首脳が、原爆資料館を訪れ、慰霊碑に献花し、核軍縮に関する「広島ビジョン」が発表された。世界の現状を考えると、一見「無意味なこと」にも思えます。

プーチンが、核使用の可能性に言及し、ウクライナと欧米を脅迫している。こんな状況で、G7の核保有国アメリカ、イギリス、フランスが核軍縮できるとは思えません。とはいえ、長期的に見れば、「とても意味あること」かもしれません。

1800年にアメリカで、「黒人奴隷はいなくなりますよ」といえば、「愚かな夢」と思われたでしょう。しかし、奴隷はいなくなりました。1900年に「植民地をなくしましょう!」といえば、「ありえない!」とバカにされたでしょう。しかし、植民地はなくなりました。

1919年、日本はパリ講和会議で、「人種差別撤廃」を訴えました。国際会議でこういう主張をしたのは、日本が初めてです。当時、誰が「人種差別のない世界」を想像できたでしょうか? しかし100年経った今、人種差別は、かなり減りました。

黒人と白人のハーフがアメリカ大統領になる。黒人と白人のハーフが、イギリスの王子と結婚する。だから、「核兵器のない世界」を夢見るのもいいことです。今は難しくても、50年後、100年後には実現できるかもしれません。その時、広島サミットでG7の首脳がそろって原爆慰霊碑に献花した写真が、歴史の教科書に載っているかもしれません。

私たちは、リアリストですが、ただのリアリストではありません。「『理想を目指す』リアリスト」です。だから、「核なき世界」をG7のテーマに掲げてもいいでしょう。


▼裏メインテーマはウクライナ

しかし、実質的メインテーマはウクライナでした。世界には現在、3つの大問題があります。一つは、ウクライナーロシア問題。二つ目は、台湾ー中国問題。三つ目は、北朝鮮問題。

この中でウクライナーロシア問題は、別格です。リアルな戦争が一年以上も続いているのですから。そして、ウクライナ問題は、「台湾問題に巨大な影響を与える」という意味で重要です。

ロシアがウクライナに勝利したら、どうなるでしょうか? 習近平は、「プーチンは、日本、欧米から支援を受けるウクライナに勝った。それなら、中国が台湾に侵攻しても勝てるだろう。日本、欧米恐れるに足らず!」と考え、台湾侵攻の可能性が高まります。

逆に、ウクライナがロシアに勝ち、プーチンが失脚したらどうでしょうか? 習近平は、「日本と欧米の支援によって、ウクライナはロシアに勝った。中国が台湾に侵攻すれば、勝てないかもしれない。俺も、プーチンのように失脚するかもしれない」と考え、台湾侵攻の可能性が減ります。

要するに、
・ロシアが勝てば、台湾侵攻の可能性が高まる。
・ウクライナが勝てば、台湾侵攻が減る。
ということで、日本は、ウクライナを助けることで、「台湾侵攻を阻止する戦い」をしているのです。

日本は、なぜウクライナを支援しつづけるのか? 日本が、中国との戦争を回避するためなのです。


(午後につづく)



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