赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

近未来予想図②―IT革命がもたらす新しい世界 コラム(320)

2019-12-21 08:18:58 | 政治見解



コラム(320):近未来予想図②―IT革命がもたらす新しい世界


価値観の大革命が起きている」からの続き

IT革命は新たな人と人のつながりを創造した

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるIT企業は、アメリカ企業という枠組みを越えた巨大な存在になっています。現在はまさにIT革命と呼ぶにふさわしい時代に突入していると思います。

IT革命の最大の特徴は、人々の利便性を向上させただけではなく、国家や地域、言語の壁などのあらゆる制約を取り払って、それぞれの国の政治経済の状況に関わりなくグローバルなコミュニティを確立したことにあります。

かつて、村人が隣人をよく知っていたように、いまや、世界中の人たちがお互いを知るようになり、世界中が隣人として理解し合える環境ができつつあることを物語っています。


IT革命は既存の経済システムの体系的廃棄

IT革命のもう一つの特徴は、従来の経済的な価値観に変革を促している点にあります。

たとえば、Amazonは顧客の購入データを得ることで購入傾向を把握し、嗜好や価値観に沿った自由な選択をする機会を提供しています。

また、Facebookは仮想通貨リブラで金融革命を起こそうとしています。「リブラ」は国家や国際的な金融システムに関係なく、自由でスピーディーで確実な決済機会を提供しようとしています。

仮想通貨と言っても人間の欲望を肥大化させる投機的なものではなく、世界中で安定して流通できる国際共通通貨を目指しています。この実現は自ずと金融で経済支配を目論んできた強欲な投資機関の存在を意味のないものにします。つまり、「リブラ」は欲望の経済至上主義や貨幣経済の終焉を促す存在になる可能性があります。

巨大IT企業は国家の枠組みを越えるため、中央に権限を集中して国民を管理している現在の国家概念とは相容れないことは確かです。そのため当面、GAFAは既存の国家システムと対立することになります。しかし、最終的に人びとは国家やイデオロギーに左右されない、ITが繰り広げる世界に重きを置いていくものと思われます。人々の心をバラバラにする既存の国家システムにはこの流れに抗う力はありません。


IT革命で働くことの意味が変わる

IT革命の中核をなすのはAI(人工知能)による技術革です。コンビニやスーパーのレジは必要でなくなり、交通機関や多くの物流が円滑にコントロールされ、人の手を必要とする作業もさらに自動化が進むことになります。またオフィスワークはRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)に取って代わられることになります。

この状況は、人びと仕事や労働の概念を大きく変えることになり、その結果人間は自分自身の精神性の向上のために時間を使っていくようになるのではないかと考えます。

AIは苛酷な肉体労働や人をデスクに縛り付けるオフィスワークから人びとを解放させる役割を担うことになります。

仕事のあり方は従来の組織型ではなく、人々に貢献する形で同じ目的を持つ人どうしが直接かつ平坦に結びつく新しい組織形態の下で仕事をすることになっていくと思われます。

また、IT革命で注目すべきは、通勤不要の在宅ワークの実施率が極めて高くなることです。これにより、必ずしも大都市やその近郊に住まう意味がなくなり、過度な人口集中が緩和されると思われます。

一方で、いままで敬遠されがちだった農業はIT技術の導入や機械化がさらに増えてはきますが、同時に、生産する喜びと、人に貢献したいとの思いで従事する人たちが大勢出てきそうです。

仕事が単に利益を上げるための手段ではなく、「より多くの人々への貢献」という理念のもとに行われるわけです。

これらが物語るのは、IT革命によって人類ははじめて労働という生存のために働くことから解放され、時間を自由に使い、自らの喜びや人びととの共感の共有のために働くことができる時代が来たということなのです。

IT革命が人類のライフスタイルさえも変えようとしている状況を私たちは直視しなければならないのです。

(つづく)



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