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赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

韓国のWTO提訴は成功するか コラム(300)

2019-07-18 14:10:10 | 政治見解



コラム(300):韓国のWTO提訴は成功するか

当ブログに寄せられた情報筋の話によると、「韓国政府は日本に対する強気の発言とは裏腹に、八方塞がりであることを自覚しており、どうしたらいいのかわからない」というのが真相のようです。


WTOにすがりつく韓国

韓国は、頼みとするアメリカの仲裁も期待できず、国際社会からは北朝鮮やイランを支援するテロ支援国家の烙印を押されそうになっている状況では、WTO(世界貿易機関)に救いを求めるほかはありません。日本産水産物に対する韓国の輸入規制に対して、本年4月にWTO上級委員会が日本の主張を退けた幸運を再び当て込もうとするしか方法はありません。

すでに韓国はこの時の担当者らを集め、「日本の措置は元徴用工訴訟判決に対する政治報復であり、自由貿易の原則に反する」との観点から提訴の準備をしていると言われています。

これに対して日本は、「安全保障上の理由から韓国へのこれまでの特別扱いを止め、一般の国並みに書類審査、検査を厳格化するだけなのでWTOに違反してせず、提訴の対象にならない」とし、仮に韓国の提訴が受理されたとしても、日本が敗訴することはないと主張をしています。


WTOの現状と問題点


WTOは、物品貿易、金融、情報通信、知的財産権やサービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場で、閣僚会議、一般理事会(このなかに紛争解決機関としてパネルと呼ばれる小委員会、最終判断となる上級委員会がある)などで構成されています。161の国と地域が加盟し、本部はスイスのジュネーヴにあり、職員数はおよそ640人。アメリカだけが唯一の拒否権を持ち、資金分担率は米国が22%、日本は8.564%となっています。

本年6月末に大阪で行われたG20では、WTOの上級委員会が紛争解決機関の役割を果たしていないことが問題視されました。これは上級委員会が、「WTO加盟国の与えた権限を超えて不当に加盟国の政策裁量を制限している」との理由のようです。

実際、WTOの現状をよく知る友人は次のコメントを寄せています。

WTOは古いルールにこだわり、変化に対応することができない機能不全に陥っています。必ずしもWTOに権威があるわけではありません。

WTOのトップは無能な役人仕事をする人物です。しかも、スタッフたちの多くはモノや金で動く体質が染み付いています。福島県の農産物を韓国が輸入拒否した時もWTOは韓国に軍配を上げたくらいですから。

韓国政府が真っ先にWTOに訴えようとした背景にはそうした事情があるわけです。



アメリカの逆鱗にふれたWTO

以前からアメリカはWTOに不満を抱き、上級委員の再任を拒否してきました。そのため定員7名の上級委員は現在3名しかいない状況になっていますが、このうち2人は本年12月に退任しますので、1名しか残らない上級委員会は機能停止になります。

この状況下、7月16日、上級委員会はアメリカが中国からの太陽光パネルなどに課した相殺関税は不当との判断を示しました。この問題はトランプ政権発足前で、現在の米中貿易戦争とは無関係ですが、アメリカの現在の措置に冷や水を浴びせる格好となりました。

当然、アメリカは激怒しており、拒否権を行使するのは確実と見られ、場合によっては分担金の支払い停止やWTOからの脱退なども視野に入れていると思われます。

話を韓国問題に戻せば、上級委員会が機能停止状態となるのは確実で、したがって韓国が、日本の輸出管理運用見直し問題を提訴しても何の意味をもたないことになります。

ただし、目的のためには手段を選ばない韓国に対しては、念には念を入れる必要があります。前述のコメントを寄せた友人は次のような提言をしています。

アメリカはWTOを基準に貿易交渉などしていません。 トランプ大統領はWTOの規制を受けるくらいなら脱退しようと考えています。

実際、WTOは先進国と途上国が対立し交渉は停滞しており、現在では二国間での交渉やTPPのような地域でまとまって交渉する動きが主流になっています。

世界の貿易事情が大きく変化する今、日本は一足先にWTOからの脱退に踏み切ることも選択肢の一つではないでしょうか。




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