赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

国会議員にのぞむもの それは、国民のため、国益のための議論 !

2015-03-04 00:00:00 | 政治見解

赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(6)

国会議員にのぞむもの それは、国民のため、国益のための議論 !





「この国の明日をどうするのか」の論議が消えてしまった

1月26日に召集された第189国会は、ISILテロ事件の影響で、「国民が安心して安全で暮らせる国防問題や経済対策の話」がどこかにいってしまったように思います。特に、民主党をはじめとする野党は、「ISILによる身代金要求事件」問題をすりかえ、日本政府の失策のような印象操作で政府批判を展開しました。

どこの国でも国家国民に対するテロが起きた時は、立場を乗り越えて団結して対処するものです。フランスでは、連続銃撃テロ事件後の国会(※1)で、犠牲者を追悼する黙とうの最中に、議員らの一部が国歌「ラ・マルセイエーズ」を歌い始め、全員が斉唱する一幕があったそうです。

※1 フランス国会(国民議会):下院は577名が定数で、政党も右から左まで存在し、左翼急進党という過激な政治的信条をもつ政党も16議席獲得している。現オランド政権は社会党である

ところが、日本の野党にとっては、「ISILによる事件」を政府批判のチャンスと捉えたようでした。しかし、このような野党の姿勢とは逆に、世論調査結果では、圧倒的多数の国民が政府の対応を評価し、肯定したのです。


繰り返される政府批判

そこに、「政治と金」の問題が出てきました。予算委員会での西川公也農林水産大臣(辞任)に端を発して、いまは、他の大臣の政治資金問題が次々に取りざたされるようになりました。これらの問題、違法性の有無が微妙なところなのですが、野党は、「(違法性はなくとも)政治倫理としておかしい」と言い始めているようです。

しかし、「政治倫理の問題」は「政治倫理審査会」で論議すべきことです。また、「資金の集め方に問題がある」ということなら、「政治資金規正法」の問題点を論ずればよいことなのです。国家予算の審議の場で時間を費やすことは、日本の国益に何もプラスにはなりません。


戦後70年たった今でも変わらない国会の姿

国会における政治手法は、1955年の自民党と社会党による「55年体制」の時代から一歩も進歩していません。これは今日までも継続されている「法案審議」の模様をみれば分ります。以下は現在の国会運営の概略です。

・法案は事前に与党審査を終了しており、草案の段階で野党が関与することはない

・与野党間の協議が始まるのは国会での採決を巡る段階である。その時点で国会対策委員(国対)による根回しがはじまる。
(なお、この国対による根回しは接待などが伴うものであったが、現政権下ではなくなっている)

・野党は与党批判に徹し、政府案に反対の立場を取ることで、建設的な修正案や具体的な対案をつくろうとはせず、その行動の中で安住してきた

・野党の修正案は採決の直前出すもので、実質的なものとは言えない


この55年体制下では、自民党と社会党のイデオロギー的対立が根底にあるため、政策協議がなされることはありませんでした。また、日本は議員内閣制を採用しているため、所属議員の投票行動においては拘束力が強く、法案の議事日程が出た段階で賛否はすでに決まっています。そのため、国会における討論は法案の審議よりも支持者や有権者へのアピールに重点が置かれることになりました。

したがって、国会は政治的な主義主張の場ではなく、「国民の目にとまらないところで国会の筋書きが決まる」という談合が繰り返されてきたわけです。さらに、野党側は「少数派の主張は多数派以上に尊重されるべきだ」という議会制民主主義に反する主張をし、マスコミもそれを支持した結果、日本の政治体制は何も変わらぬまま70年もの歳月を費やしてしまいました。このように振り返ると、今でも国会では、過去の手法から一歩も脱却できていないことに驚かれると思います。


総選挙の得票数にみる国民の政治離れ

このような政治の流れでは国民は政治に深く失望するだけです。近年の国政選挙で投票率が低下傾向にあるのは、「国民の政治に対する不信」が拡大してきているからではないでしょうか。ちなみに、2012年総選挙と2014年総選挙の得票数の比較をみれば、政治離れの現状がよくわかります。



批判ではなく具体的な対案を!

投票率の低落傾向にありながら自民党の得票数が伸びたのは、政策に対する安心感によるものでしょう。国民の最大の関心事は「国家と国民の安全と安心」にあります。そして、「これから日本という国がどこに向かって進もうとしているか」を知りたいのです。緊迫するアジア周辺の動向、国際的なテロ問題への対処、そして国内にあっては、経済対策や雇用対策、さらには、少子高齢化社会での福祉政策などの問題について解決策を示していたのは自民党だけでした。要は、政治離れが進む中でも、「国民の選択肢は自民党しかなかった」ということなのです。

野党第一党であり、かつては政権を担ったこともある民主党はこの事実を認識すべきです。

先日の3月1日、民主党の党大会で来賓として挨拶された方もこのように発言されていました。
「民主党のホームページを拝見したが、どんな日本にしたいのかが、ちょっと伝わりづらいかも…」
この発言に、会場は大きくどよめいたそうです。


新しい国会のあり方をのぞむ

国民は、予算委員会での野党パフォーマンスにうんざりしています。政府批判ばかりしても日本はよくなりません。

与野党ともに、この国の明日を拓くための智恵を出し合って協力していこうという姿勢は示せないのでしょうか。政府の良いところは良いとし、悪いと思ったところは悪いと主張していくのが政党としての本来のあり方ではないでしょうか。また、政府案の政策が国民のためにならないというのであれば、明確な対案を提示すべきでしょう。それこそが国民が期待している民主的な国会の姿であろうと思います。例えば、次世代の党の平沼赳夫党首の「是は是、非は非」とする態度は、これからの国会の議論にとって大切なことだと思います。


国会は国権の最高機関です。であるならば、国会議員は、日本の国益のため、国民の安心、安全のためにあるということをしっかりと意識して、選挙で選ばれた「選良」として活躍していただきたい。そして、互いに切磋琢磨しながら、明日の日本をよりよくしていくとの姿勢をもっと積極的に示していただきたいのです。そこをしっかりとしていただければ、国際社会に堂々と発言できる日本になれると思います。


次の更新は3月8日を予定しています。

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