徒然なるまままに

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漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界

2006-12-28 | 美術
漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界
Matsuda Gonroku:Master of Lacquer Art and Living National Treasure
2006年12月19日から2007年2月25日
東京国立近代美術館 工芸館

松田権六(1896-1986)の回顧展。日本芸術院会員(1947)、重要無形文化財「蒔絵」保持者認定(1955)、文化勲章受賞(1976)という輝かしい経歴の松田権六の世界に一挙に触れるのは今回が初めて。

金沢に生まれた松田は、加賀蒔絵の伝統を踏まえつつ、正木直彦東京美術学校長や大茶人益田孝(鈍翁)との知遇、室町や桃山時代などの古典研究、朝鮮・楽浪漢墓出土の漆器や中尊寺金色堂をはじめとする数々の保存修復をとおして、漆芸の意匠や様式、広範な技法を鋭い洞察と鑑識とで解明し、自らの創作に応用、発展させました。その創作は、まさに近代漆芸の金字塔といっても過言ではないでしょう。とのこと。

鶴を描いた《蓬萊之棚》(1944)(石川県立美術館蔵)、《赤とんぼ蒔絵箱》(1969、京都国立近代美術館蔵)、《蒔絵竹林文箱》(1965、東京国立近代美術館蔵) 《鷺蒔絵棚》(1938、広島県立美術館蔵)、《蒔絵螺鈿有職文飾箱》(1960 東京国立近代美術館蔵)など完成された作品は素晴らしい。

でも思わず立ち止まってしまうのは、動物や鳥を可愛らしく描いた作品。出世作の《草花鳥獣文小手箱》(1919、東京藝術大学)《動物蒔絵膳(熊)》(1927)、《双雀文撥鏤蒔絵棗》(1962)と《蒔絵撥鏤双雀文雪吹》(1962)。

また、《漆絵梅文椀》(1966 東京国立近代美術館)。所蔵した桃山時代の碗をもとに製作されたというが明るい朱色が鮮やか。木曽檜に下地も布張りも施さず、国産漆を三回吸わせた後に8回塗り重ねてあるそうだ。 いくつか碗が展示されていたが、こんな碗を一組手に入れたくなります。

さらに、美の継承者たちとして、寺井直次、大場松魚、田口善国、前史雄、増村紀一郎、小森邦衛、中野孝一、室瀬和美の各氏の作品が展示されていた。

なお、期間限定展示は、
松田権六《鶴亀蒔絵棗》(出光美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月21日
松田権六《牡丹文蒔絵盤》(金沢市立中村記念美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月8日
《蒔絵秋草に垣図硯箱》(石川県立美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月8日・2月6日~2月25日
《重要文化財 住吉蒔絵唐櫃》(東京国立博物館蔵) 2007年1月10日~1月21日
《重要文化財 扇面散蒔絵手箱》(前田育徳会蔵) 2007年1月23日~2月4日

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