徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

館蔵 茶道具取合せ展 五島美術館

2006-12-10 | 茶道具
館蔵 茶道具取合せ展
2006年12月9日-2007年2月12日(12月25日から1月5日 休館)
五島美術館

昨年(記録はこちら)に引き続き表記にいってきました。
茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型にしつらえという点、昨年は初めてで何のことかよく判らず鑑賞していましたが、床の間の枠がしつらえてあるということでした。また、昨年に引き続き、名物裂手鑑、茶室起絵図が展示されています。お茶を嗜まないので茶室についてはまだ興味はない。

展示替は少なく
  • 松籟切 伝藤原行成筆(1/14まで)
  • 虎関師練墨跡 「松関」二大字(1/16-2/12)
  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆(1/14まで)
  • 雪松図 尾形乾山筆(1/16-2/12)
    だけです。

    概要: 展示室に当館の茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具のなかから名品を選び取合せ展示する。今回は、新年を迎えるに相応しい目出度い趣向の茶道具を中心とした初釜の取合せ(濃茶・薄茶の二席分)を選び展観する。この他に茶室の床の間を飾る唐物(中国製)や和物(日本製)の「花生」、武野紹鴎や千利休など茶匠の消息(手紙)、懐石道具など約70点の展示。


    さて、
    花生
  • 胡銅大曾呂利花生 柳営御物 南宋時代・13世紀;「曽呂利」とは、首が細長く文様の無い胡銅(銅、錫、鉛の合金)製の花生をいう。古くから最も尊重され、特に桃山時代に人気があった種類の花生で、均整のとれた姿が美しい名品。とのこと。鶴のように長い細首の優品。

    青磁の花生が何点か展示されています。
  • 砧青磁筍花生 南宋時代
  • 砧青磁鰐細口花生 南宋から元時代;仏具の浄瓶の流れを汲む。
  • 重文 砧青磁鳳凰耳花生 南宋時代;益田家旧蔵(こちらは濃茶の床の間のしつらえに飾ってあります。青磁の美―秘色の探求でも拝見しています。)
  • 青磁菊蕪花生 鴻池家伝来 清時代;菊蕪の造形は、洒落ています。

  • 赤絵金襴手角瓢花生 明時代 16世紀(こちらは薄茶の床の間のしつらえに飾ってあります。)
  • 茶葉末下蕪形花生 大清乾隆年製銘;茶葉のいろは、それほど鮮やかではありません。

  • 黄瀬戸立鼓花生 銘 ひろい子 桃山時代;形姿は鼓(能楽や歌舞伎で用いる楽器)の形から得たもの。千利休旧蔵、北三井家所持。同種の花生としては、銘「旅枕」(重要文化財 大阪・和泉市久保惣記念美術館所蔵、千利休旧蔵)として著名だが、本品はそれより時代が降る。とのこと。
  • 古備前耳付花生 益田鈍翁旧蔵 桃山時代;
  • 古伊賀耳付花生 桃山時代(ただ年代上の考察は研究課題とのこと)

    消息
     秀吉のおちゃちゃ宛て書状、武野紹鴎 句入文、千利休 横雲の文、小掘遠州など茶匠の消息が展示されていました。

    懐石道具
  • 古備前平鉢 桃山時代・16世紀、戸田家、藤田家旧蔵
  • 鼠志野鉢 桃山時代・16-17世紀
  • 織部舟形手鉢 桃山時代・17世紀
  • 砧青磁鉢 大谷光瑞旧蔵 南宋から元時代
  • 祥瑞捻徳利 明時代・17世紀
  • 絵粉引徳利 朝鮮(李朝)時代・17世紀
  • 色絵和蘭陀盃 17世紀
  • 絵唐津四方筒向付 桃山時代・16世紀;出光美術館で唐津の優品を鑑賞して以来、絵唐津にすこしは目にいくようになりました。
  • 乾山色絵菊文向付 江戸時代・18世紀
    など。昨年と重なる品も多かった。



    以下、濃茶と薄茶の茶席風に展示されていた茶道具を。(花生は上述)


  • 松籟切 伝藤原行成筆 12世紀前半
    讃岐守顕季家歌合(日文研の和歌DB))断簡。承暦元年(1077)藤原顕季(あきすえ)(1055-1123)家で開催された「十番歌合」の巻子本の断簡。白胡粉地に鉄線唐草文様雲母刷した和製唐紙。1951年に断簡時の所有者三井高弘の号松籟に因む。断簡は、一番から三番で一幅。四・五番で一幅(サンリツ服部美術館)。六・七番で一幅。八番(MOA美術館)。九番(五島美術館)。十番が一幅。

    九番 祝

    ときはやまいはねにおふるまつはらはか
    すにきみかちよをこそしれ

    きみかよはかみかきやまのさかきはのよろ
    つよふともいろはかはらし

  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆

    香合
  • 呉須赤絵四方入角香合 明時代、17世紀
  • 祥瑞宝珠香合 明時代、17世紀


  • 芦屋真形霰地紋釜 室町時代 15世紀;千利休愛用の釜、雲州松平家、姫路酒井家、高梨家伝来。筑前国芦屋の製品。永年の使用から底が痛み下半分を失ったため、尾垂れ(おだれ、側面が不規則に垂れた様子)になっている。
  • 芦屋高砂地紋釜 江戸時代 17世紀;鴻池善五郎-錺屋六兵衛-戸田露吟-井上家。鴻池家から益田鈍翁に伝わったもうひとつの高砂地紋釜があり江戸時代中期には二つ揃えであったという。高砂の場面と鶴、松竹と「我見ても久しくなりぬ住吉のきしの姫松幾代へぬらん」(古今和歌集巻十七雑歌上905番)の和歌を鋳出す。もうひとつはどなたが所蔵されているのでしょうか?

    炉縁
  • 高台寺蒔絵炉縁 桃山時代、16世紀
  • 寸松庵炉縁 沢栗 久以作 江戸時代17世紀; 寸松庵伝来の3点の炉縁の一つだそうだ。

    水指
  • 祥瑞蜜柑形水指 明時代 16世紀
  • のんこう桐紋水指; 外側は土膚に横に細かい縞の模様、箆で桐の模様を描く。やさしい風合い。 

    茶入
  • 瀬戸瓢形茶入 銘 春慶瓢箪 中興名物 桃山時代・17世紀;春慶とは瀬戸の名工加藤四郎左衛門景正のこと。轆轤水挽き成形は、極めて丁寧。腰部まで鉄釉が掛かり、一部に黄褐色のなだれが残る。小堀遠州(1579―1647)所持の後、堀田正盛、土屋政直、若狭(福井県)小浜の酒井家に伝わる。中興名物。  昨年も展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 亀甲蒔絵棗 室町-桃山時代・16世紀; 蓋の甲が平たく、肩の張った形は武野紹鴎(1502―55)の好みとされる。今に伝わる蒔絵棗としては最も古い作例。梨子地の中に花菱亀甲文を配する。表千家九世了々斎宗左(1775―1825)が紹鴎所持と極める。

    茶碗
  • 重要美術品 伯庵茶碗 銘 朽木 江戸時代・17世紀; 徳川将軍家に仕えた医者曾谷伯庵(1569-1630)が、「本歌伯庵」茶碗を所持していたことからの名称。製産地を瀬戸(愛知県)と伝えるが、胎土が異なり、瀬戸窯にはない高台削りの手法がある。銘は、朽木稙昌(1643-1714)の所有にちなむ。 昨年も展示されていたようですが、これも新鮮に拝見しました。
  • のんこう黒楽茶碗 銘 三番叟 江戸時代・17世紀 ;春の優品展にも出展されていました。のんこうらしく釉薬がかかり美しく光る。
  • 御本雲鶴筒茶碗 朝鮮(李朝)時代・17世紀;飛雲と舞鶴の象嵌のある青磁茶碗。江戸初期の日本からの注文品。対馬藩運営による釜山窯で焼かれた。赭黒い素地に青磁釉がかかり素朴な象眼模様が施されている。 秋の優品展に展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 志野亀甲絵茶碗 銘 ときわ 桃山時代

    茶杓
  • 本阿弥空中歌銘作茶杓
  • 本阿弥光悦作茶杓 共筒 銘 暁雪 江戸時代・17世紀

    建水
  • 砂張輪花口建水 鴻池家伝来 16世紀;輪花口造りは竹節繋ぎという文様ということ。モダンなデザインの優品。数学的な美しい曲線にみとれました。
  • 春慶胴〆建水 桃山時代 16世紀



    五島美術館の茶道具は、この一年でかなりのところは拝見したようですが、まだまだ新鮮に拝見している。次回も楽しめそうです。

  • 館蔵 茶道具取合せ展
    (2005年12月3日から2006年2月12日)
     織部・遠州それぞれの好みの茶道具、茶杓、千利休などと懐石道具
  • 館蔵 春の優品展 水墨画・古筆と陶芸(2006年4月1日から5月7日)
     茶碗(黄瀬戸、志野茶碗、楽茶碗)、水指
  • 館蔵 秋の優品展(茶道具 李朝の陶芸)(2006年9月2日から10月22日)
     李朝の陶芸
  • 光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友 樂美術館(2006年9月12日から11月26日)
     光悦 黒樂茶碗 七里

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