徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

秋季展 中国宋元画の精華 併設 茶道具取り合せ展

2006-12-14 | 茶道具
秋季展 中国宋元画の精華 併設 茶道具取り合せ展
併設 茶道具取り合せ展
2006年10月3日~12月10日
畠山記念館

さてすでに終了してしまったのですが、併設の茶道具取り合せ展。

  • 御所丸茶碗 銘 堅田 小堀遠州箱書 益田鈍翁旧蔵;楕円形に歪んだ黒刷毛茶碗。近江八景の堅田の落雁に見立てた銘とのこと。
  • 古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊 円乗坊宗円所持 雲州松平家伝来; 京都本能寺の僧で利休の女婿である円乗坊宗円が所持していた。本能寺の変でこの茶入れも罹災、宗円が焼け跡から拾った後、肌身離さず携行したいう逸話がある。本能寺の変を経た茶入れが目の前にあるというととても不思議な気持ちになります。

    このほかに目に付いたのは青磁
  • 青磁浮牡丹文瓢形花入 紀州徳川家伝来 南宋時代から元時代
  • 青磁つば付花入 南宋時代
  • 青磁鳳凰耳花入 越前土井家伝来 南宋時代;これが何と東福門院からの下賜品との箱書。この箱書きが事実とすると、表千家のホームページよれば「千聲」は徳川家から東福門院の入内にともない、天皇家へ、そして近衛家へと伝わった品。「萬聲」も和泉市久保惣記念美術館のホームページ寄れば、家光から東福門院に伝わったという。そうすると、徳川家にいくつの青磁鳳凰耳花入があって、東福門院はいくつ所持していたのでしょうか?何故東福門院はこんなに所持したのでしょうか?
  • 青磁桃香合 銘 三千歳 明時代;青磁桃は、形物香合相撲(1855)で西前頭筆頭。
  • 青磁一葉香合 団家旧蔵 明時代
  • 青磁袋鼠香合 明時代 
  • 青磁香炉 銘 浅間 井上世外旧蔵 明時代
  • 青磁香炉 銘 雨星 秋元子爵家伝来 明時代
  • 青磁一閑人酒呑 小堀遠州箱書 若州酒井家伝来 明時代
  • 青磁桶側入子酒呑 明時代
  • 青磁縞鉢 南宋時代
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    中国宋元画の精華(後期) 畠山記念館

    2006-12-13 | 美術
    秋季展 中国宋元画の精華(後期)
    夏珪 牧谿 梁楷...日本人が愛した伝来の絵画
    2006年10月3日~12月10日
    畠山記念館

    後期に展示されていたのは、中国宋元画と書などは下記のとおり。今頃記録してもあまり記憶が定かでない。

  • 詠草 藤原定家筆
  • 国宝 大慧宗杲墨跡 尺牘 徳川将軍家伝来
  • 猪頭蜆子図 梁楷筆;こちらは予定外にも二幅並べて展示されていた。やはり並んでいるとさまになります。
  • 拾得図 尾形乾山筆

  • 重要美術品 篠虫図 伝 趙昌筆;
  • 重要文化財 竹林山水図 伝 夏珪筆 芸州浅野家伝来; 夏珪らしい作風。
  • 達磨図 無準師範賛 南宋時代
  • 蓮鷺図 伝 牧谿筆 雲州松平家伝来
  • 狗鶏図 伝 牧谿筆 井上世外旧蔵; これを伝 牧谿筆とするとイメージが崩れました。
  • 西湖図 狩野探幽筆
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    館蔵 茶道具取合せ展 五島美術館

    2006-12-10 | 茶道具
    館蔵 茶道具取合せ展
    2006年12月9日-2007年2月12日(12月25日から1月5日 休館)
    五島美術館

    昨年(記録はこちら)に引き続き表記にいってきました。
    茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型にしつらえという点、昨年は初めてで何のことかよく判らず鑑賞していましたが、床の間の枠がしつらえてあるということでした。また、昨年に引き続き、名物裂手鑑、茶室起絵図が展示されています。お茶を嗜まないので茶室についてはまだ興味はない。

    展示替は少なく
  • 松籟切 伝藤原行成筆(1/14まで)
  • 虎関師練墨跡 「松関」二大字(1/16-2/12)
  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆(1/14まで)
  • 雪松図 尾形乾山筆(1/16-2/12)
    だけです。

    概要: 展示室に当館の茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具のなかから名品を選び取合せ展示する。今回は、新年を迎えるに相応しい目出度い趣向の茶道具を中心とした初釜の取合せ(濃茶・薄茶の二席分)を選び展観する。この他に茶室の床の間を飾る唐物(中国製)や和物(日本製)の「花生」、武野紹鴎や千利休など茶匠の消息(手紙)、懐石道具など約70点の展示。


    さて、
    花生
  • 胡銅大曾呂利花生 柳営御物 南宋時代・13世紀;「曽呂利」とは、首が細長く文様の無い胡銅(銅、錫、鉛の合金)製の花生をいう。古くから最も尊重され、特に桃山時代に人気があった種類の花生で、均整のとれた姿が美しい名品。とのこと。鶴のように長い細首の優品。

    青磁の花生が何点か展示されています。
  • 砧青磁筍花生 南宋時代
  • 砧青磁鰐細口花生 南宋から元時代;仏具の浄瓶の流れを汲む。
  • 重文 砧青磁鳳凰耳花生 南宋時代;益田家旧蔵(こちらは濃茶の床の間のしつらえに飾ってあります。青磁の美―秘色の探求でも拝見しています。)
  • 青磁菊蕪花生 鴻池家伝来 清時代;菊蕪の造形は、洒落ています。

  • 赤絵金襴手角瓢花生 明時代 16世紀(こちらは薄茶の床の間のしつらえに飾ってあります。)
  • 茶葉末下蕪形花生 大清乾隆年製銘;茶葉のいろは、それほど鮮やかではありません。

  • 黄瀬戸立鼓花生 銘 ひろい子 桃山時代;形姿は鼓(能楽や歌舞伎で用いる楽器)の形から得たもの。千利休旧蔵、北三井家所持。同種の花生としては、銘「旅枕」(重要文化財 大阪・和泉市久保惣記念美術館所蔵、千利休旧蔵)として著名だが、本品はそれより時代が降る。とのこと。
  • 古備前耳付花生 益田鈍翁旧蔵 桃山時代;
  • 古伊賀耳付花生 桃山時代(ただ年代上の考察は研究課題とのこと)

    消息
     秀吉のおちゃちゃ宛て書状、武野紹鴎 句入文、千利休 横雲の文、小掘遠州など茶匠の消息が展示されていました。

    懐石道具
  • 古備前平鉢 桃山時代・16世紀、戸田家、藤田家旧蔵
  • 鼠志野鉢 桃山時代・16-17世紀
  • 織部舟形手鉢 桃山時代・17世紀
  • 砧青磁鉢 大谷光瑞旧蔵 南宋から元時代
  • 祥瑞捻徳利 明時代・17世紀
  • 絵粉引徳利 朝鮮(李朝)時代・17世紀
  • 色絵和蘭陀盃 17世紀
  • 絵唐津四方筒向付 桃山時代・16世紀;出光美術館で唐津の優品を鑑賞して以来、絵唐津にすこしは目にいくようになりました。
  • 乾山色絵菊文向付 江戸時代・18世紀
    など。昨年と重なる品も多かった。



    以下、濃茶と薄茶の茶席風に展示されていた茶道具を。(花生は上述)


  • 松籟切 伝藤原行成筆 12世紀前半
    讃岐守顕季家歌合(日文研の和歌DB))断簡。承暦元年(1077)藤原顕季(あきすえ)(1055-1123)家で開催された「十番歌合」の巻子本の断簡。白胡粉地に鉄線唐草文様雲母刷した和製唐紙。1951年に断簡時の所有者三井高弘の号松籟に因む。断簡は、一番から三番で一幅。四・五番で一幅(サンリツ服部美術館)。六・七番で一幅。八番(MOA美術館)。九番(五島美術館)。十番が一幅。

    九番 祝

    ときはやまいはねにおふるまつはらはか
    すにきみかちよをこそしれ

    きみかよはかみかきやまのさかきはのよろ
    つよふともいろはかはらし

  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆

    香合
  • 呉須赤絵四方入角香合 明時代、17世紀
  • 祥瑞宝珠香合 明時代、17世紀


  • 芦屋真形霰地紋釜 室町時代 15世紀;千利休愛用の釜、雲州松平家、姫路酒井家、高梨家伝来。筑前国芦屋の製品。永年の使用から底が痛み下半分を失ったため、尾垂れ(おだれ、側面が不規則に垂れた様子)になっている。
  • 芦屋高砂地紋釜 江戸時代 17世紀;鴻池善五郎-錺屋六兵衛-戸田露吟-井上家。鴻池家から益田鈍翁に伝わったもうひとつの高砂地紋釜があり江戸時代中期には二つ揃えであったという。高砂の場面と鶴、松竹と「我見ても久しくなりぬ住吉のきしの姫松幾代へぬらん」(古今和歌集巻十七雑歌上905番)の和歌を鋳出す。もうひとつはどなたが所蔵されているのでしょうか?

    炉縁
  • 高台寺蒔絵炉縁 桃山時代、16世紀
  • 寸松庵炉縁 沢栗 久以作 江戸時代17世紀; 寸松庵伝来の3点の炉縁の一つだそうだ。

    水指
  • 祥瑞蜜柑形水指 明時代 16世紀
  • のんこう桐紋水指; 外側は土膚に横に細かい縞の模様、箆で桐の模様を描く。やさしい風合い。 

    茶入
  • 瀬戸瓢形茶入 銘 春慶瓢箪 中興名物 桃山時代・17世紀;春慶とは瀬戸の名工加藤四郎左衛門景正のこと。轆轤水挽き成形は、極めて丁寧。腰部まで鉄釉が掛かり、一部に黄褐色のなだれが残る。小堀遠州(1579―1647)所持の後、堀田正盛、土屋政直、若狭(福井県)小浜の酒井家に伝わる。中興名物。  昨年も展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 亀甲蒔絵棗 室町-桃山時代・16世紀; 蓋の甲が平たく、肩の張った形は武野紹鴎(1502―55)の好みとされる。今に伝わる蒔絵棗としては最も古い作例。梨子地の中に花菱亀甲文を配する。表千家九世了々斎宗左(1775―1825)が紹鴎所持と極める。

    茶碗
  • 重要美術品 伯庵茶碗 銘 朽木 江戸時代・17世紀; 徳川将軍家に仕えた医者曾谷伯庵(1569-1630)が、「本歌伯庵」茶碗を所持していたことからの名称。製産地を瀬戸(愛知県)と伝えるが、胎土が異なり、瀬戸窯にはない高台削りの手法がある。銘は、朽木稙昌(1643-1714)の所有にちなむ。 昨年も展示されていたようですが、これも新鮮に拝見しました。
  • のんこう黒楽茶碗 銘 三番叟 江戸時代・17世紀 ;春の優品展にも出展されていました。のんこうらしく釉薬がかかり美しく光る。
  • 御本雲鶴筒茶碗 朝鮮(李朝)時代・17世紀;飛雲と舞鶴の象嵌のある青磁茶碗。江戸初期の日本からの注文品。対馬藩運営による釜山窯で焼かれた。赭黒い素地に青磁釉がかかり素朴な象眼模様が施されている。 秋の優品展に展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 志野亀甲絵茶碗 銘 ときわ 桃山時代

    茶杓
  • 本阿弥空中歌銘作茶杓
  • 本阿弥光悦作茶杓 共筒 銘 暁雪 江戸時代・17世紀

    建水
  • 砂張輪花口建水 鴻池家伝来 16世紀;輪花口造りは竹節繋ぎという文様ということ。モダンなデザインの優品。数学的な美しい曲線にみとれました。
  • 春慶胴〆建水 桃山時代 16世紀



    五島美術館の茶道具は、この一年でかなりのところは拝見したようですが、まだまだ新鮮に拝見している。次回も楽しめそうです。

  • 館蔵 茶道具取合せ展
    (2005年12月3日から2006年2月12日)
     織部・遠州それぞれの好みの茶道具、茶杓、千利休などと懐石道具
  • 館蔵 春の優品展 水墨画・古筆と陶芸(2006年4月1日から5月7日)
     茶碗(黄瀬戸、志野茶碗、楽茶碗)、水指
  • 館蔵 秋の優品展(茶道具 李朝の陶芸)(2006年9月2日から10月22日)
     李朝の陶芸
  • 光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友 樂美術館(2006年9月12日から11月26日)
     光悦 黒樂茶碗 七里
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    浦上玉堂展(第4期)

    2006-12-04 | 美術
    浦上玉堂展(第4期)
    2006年11月3日~12月3日
    千葉市美術館

    前期(記録はこちら)に引き続き、浦上玉堂展を拝見。新日曜美術館で玉堂の筆のタッチと琴の奏法との関係が指摘されていたりのを注意して拝見するとまた2回目ですが楽しめます。

    後期に拝見できるのは、
  • 004 重文 山中結廬図(さんちゅうけつろず)東京国立博物館(第4期のみ)
  • 067 国宝 東雲篩雪図(とううんしせつず)川端康成記念会
  • 089 重美 疎松曲水図(そしょうきょくすいず)岡山県立美術館
  • 113 重美 寒林間處図(かんりんかんしょず)個人蔵
  • 127 重文 雙峯挿雲図(そうほうそううんず)出光美術館(第4期のみ)
  • 138 重美 山翁嘯咏図(さんおうしょうえいず)個人蔵
  • 166 重文 煙霞帖(えんかじょう)梅澤記念館(全期)
  • 168 重文 鼓琴余事帖(こきんよじじょう)個人蔵(全期)
  • 224 重文 籠煙惹滋図(ろうえんじゃくじず)出光美術館(第4期のみ)

  • 重文 山中結廬図は、実は2回目。東博の平成17年度新収品(記録はこちら)です。そのときは四十八歳の基準作という意味が判っていませんでしたが、玉堂の作品には作成年不明の作品が多い、という意味でした。また、これは玉堂が画家として駆け出しの頃の作品であり、玉堂らしい作品という意味ではなかったわけです。

  • 057 野橋可立図 四文字の題をみて、橋から山を見上げれば雄大な山が。NHK「美の壺 File25 水墨山水の鑑賞法」で「水墨山水は、下から 「近景」「中景」「遠景」の三つに描き分けられています。そのため下から上に順に絵を見て行くと、近くから遠くへ、まるで絵の中を旅するような感覚を味わうことができます。」とツボをいっていましたが、視点を変えて鑑賞すると不思議な気分になれる作品の典型です。

  • 067 国宝 東雲篩雪図(とううんしせつず)川端康成記念会;
    川端康成愛蔵品。会津時代を思い起こして描いたという。真っ白な吹雪のような画面。どの玉堂とも違ったイメージ世界が広がる。玉堂琴士酔作と署名。酔作とは、自由に描けたという自信のマークなのだろうか?まさか画面にお酒をこぼしたわけではないと思いますが。最後にもう一度と思って、説明をよく読むと、李楚白画帖(167)の一図「凍雲欲雪」にちなんだものという。慌ててもう一度引き返して見に行きましたが。。。全く別の世界が拡がったと感じました。

    武家屋敷寺島蔵人邸跡所蔵の作品が何点か展示されています。立山連峰を見て少しは山に抱くイメージも変わって描いたのではなどと思いをはせましたが、玉堂の場合はやはり想像の世界で影響がないのでしょうか?でも、やはり立山連峰を見れば山に馳せる感情も変ると思うのですが。
  • 116 溪声書声図 けいせいしょせいず
  • 117 艇子載春図 ていしたいしゅんず
  • 118 山中読書図 さんちゅうどくしょ
  • 119 緑染林皐図 りょくせんりんこうず
  • 120 二字「乾泉」にじ「けんせん」
  • 121 四字「黄松栞處」よんじ「おうしょうきんしょ」
     
  • 127 重文 雙峯挿雲図(そうほうそううんず)出光美術館
    大きな画面に右下がりに山山がもこもこと描かれる。縦横自在な筆裁き。

  • 138 重美 山翁嘯咏図(さんおうしょうえいず)個人蔵
    かなり密度高く描きこまれた一品。

    (2日)
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    小堀鞆音と近代日本画の系譜 明治神宮宝物展示室

    2006-12-03 | 美術
    明治神宮外苑創建80年記念特別展
    「小堀鞆音と近代日本画の系譜 -勤皇の画家と『歴史画』の継承者たち-」
    2006年10月21日から12月3日
    明治神宮宝物展示室

    日本画家・小堀鞆音(ともと)との展覧会に最終日に滑り込んだ。

    小堀鞆音については、名前だけがわかる程度だった。この展覧会で、歴史画の正当な継承者であり、門下に安田靫彦がいるという有名な画家だということを初めて知った。東京美術学校助教授に1897年になるが、翌年美術学校騒動が起こり、岡倉天心とともに辞職、日本美術院創立に加わり、1907年に開設の文展には最初から審査員として出品、東京美術学校教授、帝室技芸員などを歴任。ということは、当時としては画壇の主流だった。

    300年の泰平の江戸時代は、歴史画とくに武士を描いた作品は、それほど需要がなかったのだろう。中国崇拝で、山水画や中国故事を画題とする狩野派、王朝文化を懐かしんだ琳派、一般庶民向けの浮世絵、でも秀吉公のことを描いただけで弾圧がおきた時代だ。武士の絵はなかなか主流派にはなれなかった。それが、一気に富国強兵の世となる。一方、明治20年から30年にかけて古美術の調査も行われ、日本でもロマンティシズムのブームを起したのだろう。それが相俟って、小堀鞆音のような有識故実に造詣の深い歴史画が誕生したのだろう。

    現実に作品を見ると、土佐派の伝統を引き継ぎ、細密な鎧の描写など、心血を注いだところであったというだけあり、目を見張るものがある。また堂々とした武士像、活き活きとした人物描写は秀逸。

    残念ながら、前期、中期、後期と展示替えがあり、きちんと前期も見ておけばとは悔やまれた。

    小堀鞆音で展示されていたのは、
    「金崎管弦図」(個人蔵)「常世」(東京芸術大学蔵)「西行詣白峰図」(個人蔵)「聖宝僧正渡一條大路図」(佐野市郷土博物館)「義経遭伊勢三郎図」(福富コレクション)「田原藤太秀郷図」(栃木県立美術館寄託)「八幡太郎義家出陣図」(個人蔵)「義経弓流之図」(個人蔵)「文武両官図 大江匡房朝臣 源義家朝臣」(佐野市)「謙信賞月図」(佐野市郷土博物館)「足利忠綱宇治川先陣図」(個人蔵)「三浦義明忠勇図」(個人蔵)「本間孫四郎和田岬遠矢図」(個人蔵)「天孫降臨図」(個人蔵)「観音図」(個人蔵)「曹子採薪・子路負米」(個人蔵)など。このほかに聖徳記念絵画壁画の下図が展示されていた。

    「聖宝僧正渡一條大路図」の群像のようす。「足利忠綱宇治川先陣図」の装飾的な波の技法の美しさなど、見ごたえがあった。

    小堀鞆音以外で目を引いたのは、冷泉為恭「天保施米図」(重要美術品、岡崎市美術博物館)、鏑木清方「秋草」(福富コレクション)など



    明治神宮宝物殿の券も、頂いたので拝観。宝物館は、奈良の正倉院の校倉造りを模した校倉風大床造りの我が国初期の鉄筋コンクリート建築の代表的な建物だそうだ。「伝統」と「近代」を統合することが求められた結果。
    内部には、明治天皇、歴代天皇の肖像画のほか、明治天皇、昭憲皇太后祭のゆかりの品が並んでいる。有名な明治天皇、昭憲皇太后の御尊影「エドアルド・キヨッソーネ 謹写」というのはここに展示されていた。この御尊影は写実的なのだろうか、宣伝用のすこし格好よく描いたものではなかろうか、という論議が「ミカドの肖像」か何かで議論されていた覚えがある。その横に明治天皇の彫像があったが、こちらのほうが時代が下っており、写実的なのではないかと考えたが。

    神宮外苑にある聖徳記念絵画館の(今月いっぱい有効の)無料券も頂きました。これも機会があれば訪れたいと思います。
    コメント (1)
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    M・ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

    2006-12-02 | 日記
    ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
    2006年12月2日(土) 18:00開演
    ミューザ川崎シンフォニーホール

    【出演】
    指揮:マリス・ヤンソンス

    【曲目】
    ベートーヴェン/エグモント序曲
    ベートーヴェン/交響曲第8番 ヘ長調
    ドヴォルザーク/交響曲第9番 ホ短調「新世界より」

    アンコール
    ブラームス:ハンガリー舞曲 第6番 ニ長調
    ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 ハ長調 op.72-7


    マリス・ヤンソンスの迫力ある指揮。各パーツをすみずみまで掌握し、繊細に奏でる音色は、美しい。

    MUZA川崎は、ベルリンフィルハーモニーホールを原型としたワインヤード形式のコンサートホール。音響が素晴らしい。
    ほとんど音楽会には出かけないが、たまたま先行予約を見つけ、抽選で当たった席は、2階左。マリス・ヤンソンスのタクトを振る迫力と繊細さそのまま伝わってくる。二時間あまり、一寸緊張しながら傾聴。

    エグモント序曲は逸品。ベートーヴェンが技巧を凝らし自信作だったという交響曲第8番 ヘ長調は、繊細な指揮が光る。「新世界より」。音楽に無知で童謡「第2楽章」か軽音楽「第四楽章」に耳が慣らされてしまっていたが、これがロマン派の「新世界より」かと目覚めた。

    私にとっては、4月のベルリンAlte Nationalgalerie Berlin、10月のウィーン美術アカデミー名品展にてドイツ・ロマン派の絵画にちょっと目覚めたこの一年を締めくくる12月に相応しいイベントだった。


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    現代日本画名作展 @八王子市夢美術館

    2006-12-01 | 美術
    市制90周年記念 現代日本画名作展
    -文化勲章受賞作家を中心に-
    2006年9月29日から12月10日
    八王子市夢美術館

    はじめてでかつ、ちょっと遠いですが、八王子市まで行ってきました。八王子の街中を歩くのすら二度目ですが、やはり絹で栄えただけあり、小奇麗な街並みです。ともあれ、北澤美術館所蔵の名作日本画が並んでいるとのことで、訪れました。

    山口華楊:「白狐」(1983)「青柿」(1978)「秋晴」(1976)。後者2点は猫がちょこんと座っています。
    上村松篁:「鶏」「鶏」「縞白鷴鳥(しまびゃくかんちょう)」と鳥が三羽。
    小倉遊亀:「花菖蒲」が2点。
    山口蓬春:「染付皿」「瓶花」。瓶花は、窯の花瓶に赤や黄の花が飾る。なるほど磁州窯の白黒が主張せずに花が映えます。磁州窯のよさを認識
    杉山寧:「暘(よう)」「涔(しん)」「娑(さ)」の3点。暘は寄り添って飛ぶ鶴、涔は、一羽の鶴が水面に自分の姿を映す、娑は向かい合って羽ばたく鶴。三作が並ぶと壮観。心象風景だと杉山寧氏は語るが、羽音が聞こえてそうだ。でも暘、涔、娑とは何でしょうか?

    東山魁夷:「緑のハイデルベルグ」(1971)ほか六点が並ぶ。

    横山操:「赤富士」(1962)金色の木々、ざらざらした富士の地肌。日曜美術館30周年展から気になりだした作家。
    加山又造:「新雪の桜島」(1982)新雪のきらきらと光り、空は透き通るように青い。
    高山辰夫:「花と鳥」(1981), 「静日」(1983) オリーブ色の画面にすべてが一体となる。

    中島千波:「椿」(1987) 装飾性のつよい椿、「かとれあの季節」(1993)玩具の上にカトレアが咲く。
    野村義照:「暮色」(1983), 「聖堂」(1994) 重厚な画面に宗教的な主題。

    前田青邨:「桔梗」(1962)
    橋本明治:「舞妓」(1962)

    など。
    見ごたえがありました。 
    コメント (2)
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