ごじゃ満開

いすみ市内外の隠れた情報と
ちょっとしたエッセイ。

新技

2011-05-19 16:40:38 | Weblog
先日、
ある人から
たずねられた。

(あ)「木目の塗装ってできる?」

杉の正目とかは
エアブラシとかで
やったことあるから、
一応、

(俺)「はい」

と答えた。

(あ)「こーゆーのなんだけど…」



(俺)「あ・・・」

車のドアの
内側の取っ手らしい。

何の木の木目だか
わからんが、
車のウッドパネルとかに
よく使われる
うにゃうにゃした
木目だ。

この木目はプリント。

“ウォータープリント”
という技法なのだが、
ちゃんと
プリントしたように
思えても、
下地の定着の度合いや、
車内の寒暖差で
母材と塗膜との
膨張率・収縮率が
違うため、
こーいったことが
起こりうる。

ましてや
力の加わる部位。

パカパカ剥がれる。

(あ)「できる?」

やったことない。

(俺)「ん~、やってみましょう」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

持ち帰り、
木目模様をチェック。

よく見ると
下地に
極荒目のメタリック。

(俺)「割れるわな」

パカパカ剥がす。

密着材を塗布し
パテ付け。

研ぎだして
プラサフを塗布。

細目のゴールドを
吹き付けて
ウレタンクリアでおさえる。

ここまでの
下地・中塗りはヨシ。

さて、
木目。

エアブラシなんかでは
難儀な模様。

(俺)「ん~…」

あれこれ
ひらめいたことを
ひとつひとつ
試してみた。

(俺)「ん~…違う」



2日目。

(俺)「ん~…惜しい」



3日目。

(俺)「ん~…ん!?」

もっかい。

(俺)「おっ、いいだんに!こっでいけっぺ!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

出来た。



スペアリブではない。

いい感じの
木目と色合いに
仕上がった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

塗膜を硬化させ、
早速クライアントのもとへ
お持ちした。

さすがに
3日間も
取っ手なしでは
申し訳ない。

(あ)「すげっ!前のよりイイ!どーやってやった?」
(俺)「一応“企業秘密”ってことで」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

いろんなヒントを
組み合わせてできた
この木目模様。

同じ模様が
二度と出来ないのが
難点だが、
さらに伸ばせる技法。

ちょっと応用すれば
大理石模様も可能だ。

クラフトマンとして
オリジナリティーは必須。

しかし、
こんな需要の少ないモノ、
商売として成り立つか?