さて6年生。
この年も
写生会は大原港。
今度は
違った構図で
チャレンジ。
ぱっ、
と立ち止まって
見たままを描く。
当然、
船を主体に描く。
っが、
船体全ては描かない。
画用紙左側に
キャビン途中から
甲板、船首までを
大きく細かく描く。
右側には水面。
向こう側に
他の船と岸壁。
その向こうに
荷捌所。
またその向こうに
鳥山。
“遠近法”だ。
特に力を入れたのが
“水面”。
けっして
『真っ青』でなし、
『真っ平』でなし。
風でキラキラ光り
深さの感じも伝わる
そんな絵にしたかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
図工の時間。
豚毛の筆1本で
色を入れる。
他のクラスメイトとは
明らかに違うタッチ。
油絵調だ。
いつも茶色いジャージの
K先生、
一目置いてくれたのか、
指導というより
アドバイスをくれる。
それなりに
素直に聞き入れ
描きすすめる。
数週間後の
図工の時間、
K先生から
(K)「合格ぅ!」
と言われ、
完成。
今度は自信を持って
校内展覧会に
臨めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
掲示された俺の絵。
一番上にある。
教室の廊下側の窓から
俺の絵の裏側が見える。
審査会当日。
教室では
他の科目の授業。
廊下で数名の先生方が
隣りのクラスのを
審査してる様子が
感じ取れた。
やがて足音。
(俺)「きた!」
ウチのクラスの
審査が始まった。
俺の絵に
差し棒の影が映り
あ~だこ~だと
なにやら論じてる。
教室内が
うっすらとざわめく。
なにげに
気が気じゃない。
結果。
無冠。
(俺)「え・・・」
クラスのみんなも
意外な表情だった。
賞を獲った中には
黒く大きなタンカーが
描かれてる絵があった。
(俺)「大原ん港にタンカーなんかねっぺ!」
休み時間、
担任のY先生から
こう言われた。
(Y)「K先生が右側にもうひとつ船を描けって」
(俺)「え?なんでですか?」
(Y)「描き方とかはいいんだけど、何と言うか、“間”が開きすぎみたいなことらしい」
(俺)「水面を潰しちゃうんですか?」
(Y)「うん、でも、ちゃんと描けたら県に出すって」
K先生的に、
構図がそのものが
気に入らなかった、
ということらしい。
『合格ぅ!』
って言ったのに。
“いまさら”
である。
力作と自負していた
さざなみの部分。
そこを消せと。
再び、
“写生とは何ぞや?”
ぶりかえしてきた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌週の図工の時間。
他のクラスメイトは
次の課題に進む中、
俺だけ
“追加注文”
にとりかかる。
特別扱いにも
ほどがある。
あまり
気が進まなかったが、
とりあえず
水面部分に
白い絵の具を入れた。
その瞬間、
「もういい…」
絵、
捨てた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
見たままを
素直に受け入れ
感じたままを
正直に伝える。
そーゆーのは
人として
大事なことだ。
オトナになると
そ~もいかないことが
多々あるが。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
30年も昔の実話です。
無念にも
捨てた絵。
しかし、
俺のアタマの中には
まだハッキリと
描かれている。
茶色いジャージも
クリーム色の2本線まで
ハッキリと覚えてる。
今では
自分だけでなく
他人の発想・妄想をも
三次元化するような
仕事をして、
食わせてもらってる。
あの時が
いい転機になり、
基礎となったのか。
友人H、
K先生、
ありがとう。
この年も
写生会は大原港。
今度は
違った構図で
チャレンジ。
ぱっ、
と立ち止まって
見たままを描く。
当然、
船を主体に描く。
っが、
船体全ては描かない。
画用紙左側に
キャビン途中から
甲板、船首までを
大きく細かく描く。
右側には水面。
向こう側に
他の船と岸壁。
その向こうに
荷捌所。
またその向こうに
鳥山。
“遠近法”だ。
特に力を入れたのが
“水面”。
けっして
『真っ青』でなし、
『真っ平』でなし。
風でキラキラ光り
深さの感じも伝わる
そんな絵にしたかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
図工の時間。
豚毛の筆1本で
色を入れる。
他のクラスメイトとは
明らかに違うタッチ。
油絵調だ。
いつも茶色いジャージの
K先生、
一目置いてくれたのか、
指導というより
アドバイスをくれる。
それなりに
素直に聞き入れ
描きすすめる。
数週間後の
図工の時間、
K先生から
(K)「合格ぅ!」
と言われ、
完成。
今度は自信を持って
校内展覧会に
臨めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
掲示された俺の絵。
一番上にある。
教室の廊下側の窓から
俺の絵の裏側が見える。
審査会当日。
教室では
他の科目の授業。
廊下で数名の先生方が
隣りのクラスのを
審査してる様子が
感じ取れた。
やがて足音。
(俺)「きた!」
ウチのクラスの
審査が始まった。
俺の絵に
差し棒の影が映り
あ~だこ~だと
なにやら論じてる。
教室内が
うっすらとざわめく。
なにげに
気が気じゃない。
結果。
無冠。
(俺)「え・・・」
クラスのみんなも
意外な表情だった。
賞を獲った中には
黒く大きなタンカーが
描かれてる絵があった。
(俺)「大原ん港にタンカーなんかねっぺ!」
休み時間、
担任のY先生から
こう言われた。
(Y)「K先生が右側にもうひとつ船を描けって」
(俺)「え?なんでですか?」
(Y)「描き方とかはいいんだけど、何と言うか、“間”が開きすぎみたいなことらしい」
(俺)「水面を潰しちゃうんですか?」
(Y)「うん、でも、ちゃんと描けたら県に出すって」
K先生的に、
構図がそのものが
気に入らなかった、
ということらしい。
『合格ぅ!』
って言ったのに。
“いまさら”
である。
力作と自負していた
さざなみの部分。
そこを消せと。
再び、
“写生とは何ぞや?”
ぶりかえしてきた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌週の図工の時間。
他のクラスメイトは
次の課題に進む中、
俺だけ
“追加注文”
にとりかかる。
特別扱いにも
ほどがある。
あまり
気が進まなかったが、
とりあえず
水面部分に
白い絵の具を入れた。
その瞬間、
「もういい…」
絵、
捨てた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
見たままを
素直に受け入れ
感じたままを
正直に伝える。
そーゆーのは
人として
大事なことだ。
オトナになると
そ~もいかないことが
多々あるが。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
30年も昔の実話です。
無念にも
捨てた絵。
しかし、
俺のアタマの中には
まだハッキリと
描かれている。
茶色いジャージも
クリーム色の2本線まで
ハッキリと覚えてる。
今では
自分だけでなく
他人の発想・妄想をも
三次元化するような
仕事をして、
食わせてもらってる。
あの時が
いい転機になり、
基礎となったのか。
友人H、
K先生、
ありがとう。