腕時計。
ひとつだけ持ってる。
普段は
はめてない。
もう
何年もはめてない。
ケータイで
用が足りるから。
だが、
ちょいと
気分を変えようと、
はめてみた。
約20年前に買った
タグホイヤー
クロノメーター。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
平成初期、
それを買うまでは
Gショックはめてた。
ときどき
DCブランドの
小洒落た時計とかに
はめ替えたり。
当時勤めてた
会社の先輩らは
ロレックスや
オメガなど
ごっつごつな
高級腕時計を
いくつも持ってた。
バブリーでした。
社員旅行でハワイへ。
自由時間、
つるんでた先輩から、
(先)「オメェも少しは“イイ時計”しろよ」
なんて
そそのかされた。
(俺)「別に欲しくない」
断ったが、
とあるショッピングモールの
時計屋に連れて行かれ
ショーケースを眺めた。
(先)「ゆっくり選びな」
と言って
先輩はどっかへ消えた。
(俺)「は?アドバイスとかないのか?」
正直なところ、
ロレックスだの
オメガだの、
そんなのには
興味なかったので
買う気なかった。
っが、
↑写真の時計が
目に入ったとき、
(俺)「っわ!」
と、
思わず声を上げた。
何かを感じた。
(俺)「コレ買う」
先輩らの高級時計ほど
高価ではないにしろ、
約US$1,500。
当時のレートで
約¥135。
20万円はくだらない。
当然、
そんなキャッシュは
持っていないので
カードで決済。
買ったその場で
すぐにはめた。
「お、おぉ…」
かっちょいい。
先輩を見っけて
時計を見せた。
(俺)「買ったお!」
(先)「なんだ、安いのじゃん、ま、オメェにはちょうどイイかもな」
(俺)「っぶ!」
俺には
満足だった。
大人の男の
仲間入りなカンジ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
なつかしい。
あれから20年。
先日、
ある用事で
近所で骨董を扱う
お店に寄った。
ついでにと、
はめてたタグホイヤーを
手首からはずし、
店長に
鑑定してもらった。
(店)「ほほぉ~ぅ」
(俺)「いくらくらいっすかね?」
(店)「ちょっと待っててください」
待ってる間、
店内を物色。
30分くらい
しただろうか、
店長が寄ってきた。
(店)「数が少ないのは確かですね」
(俺)「ほぉほぉ」
(店)「ただ、メンテナンスとかしてないですよね」
(俺)「メンテ?」
(店)「えぇ、文字盤のトコとか色がハゲちゃってたり、他にも…」
(俺)「あ、あぁ…」
(店)「実際、ウチの買取りで3000円ってカンジです」
(俺)「っは?…三千…、っへぇ~」
正直、
10万くらいなら
売っちまおうかと
思ってたのだが。
確かに、
当時から比べれば
現在は円が高い。
それにしても、
3000円ったぁ
おどろいた。
ハワイのショッピングモールで
俺に声を上げさせた
タグホイヤー。
今では
ベルトもガタガタ。
時間も
月平均5分は狂う。
しかし、
なんだか逆に
手放したくなくなった。
モノの価値って
なんだろう。