岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

ウグイスの初鳴きか?「ウグイス初鳴き前線」早くも北上…(2)

2009-03-18 05:18:43 | Weblog
 (今日の写真は昨年の3月23日に撮ったものである。場所は岩木山大鳴沢の源頭付近である。中央に見える山稜が、「赤倉キレット」部の標高1396mピークである。昨年の雪が少なかった。今年も同じである。いや、もっと少ないかも知れない。今月に入ってからまだ、山頂や山頂付近まで登っていないので、はっきりしたことは言えないが、2月以来の降雪状態から考えると、この写真と同じかもっと少ない「状況」だろう。
 実は今月下旬に、長平から烏帽子岳の稜線を辿って、「赤倉キレット」に出て山頂を目指すという計画を立てている。
 一泊山行である。だが、テントは持たないで「雪洞」を掘って泊まるつもりでいる。雪洞は「今日の写真」に見える画面中央の「雪の壁」に横穴を掘って造る予定にしてある。
 だが、雪質が問題だ。硬ければ「掘ること」が難しい。時間をかけないで造るとなれば、この場所では無理かも知れない。どうしたらいいものか…。)

       ◇◇ 驚きだ。ウグイスの初鳴きを聞いた(2)◇◇

(承前)
 「ウグイス」の1年間の「生活」は、大体、次のようになるそうだ。
 1月は、低地で越冬している。精巣の発達が始まり、血中の性感ホルモンの「テストステロン」が上昇し出すと、越冬地から出発し徐々に移動する。
 4月には、繁殖地に到着する。その頃になると、精巣が完全に発達し、「縄張り設定」のために、盛んにさえずる。巣づくり・交尾 ・子育てを続けながら、さえずって縄張りを維持する。
 7月になると、羽が抜け換わり、血中の「テストステロン」が低下して精巣が小さくなる。その頃には「さえずり」を止めることもある。
 10月に入ると「縄張り」を解消して、越冬地に向けて移動を始める。そして、越冬地に到着する。
 「ウグイス」は「春告げ鳥」と呼ばれることがあるように、早春、繁殖地へ移動する途中、人家の庭先や公園でさえずり始める。だが、「ウグイス」は、実際には春にだけさえずるわけではない。繁殖地では渡来してから渡去するまでの長い間、場所によっては8月中旬までさえずっていることもある。
 だから、「ウグイスは何故に春にさえずるのか」という観点よりも、「ウグイスは何故春に、さえずりを始めるのか」という観点で考える方が正しいはずだ。
 「ウグイス」がさえずるのは、繁殖のためだ。生物の繁殖は、自分の子孫を次の世代に残すためで、花が咲くのも、虫が鳴くのも、哺乳類の発情期も基本的にはみんな同じであろう。「ウグイス」が子孫を残すためにも、「つがいを作り、卵を産んで、温めて孵化させ、孵化した雛に餌を与えて育てる」という、一連の作業が必要なのである。
 「卵を産んで温め、孵(かえ)った雛にエサを与える」ということは、「ウグイス」のみならず野鳥にとっては、まさに全身全霊を傾注しなければならない大仕事であるだろう。
 植物も同じだ。蕾から花を咲かせて、受粉して種をつくるということは大事業だ。必死である。「開花」はそのような時期の「ピーク」だ。だから、美しいのだろう。
 「ウグイス」は出来るだけ「餌」が多く、採餌条件のいい時に、この大仕事をしようとする。だが、この「一連の大仕事」には時間がかかる。
 子育ての時期を餌の豊富な時に合わせるためには、作業開始の時期を早めに決める必要があるのである。

 「ウグイス」は体内時計を持っていると言われている。この「体内時計」で、脳の中にある「日の長さを感じる装置」をコントロールしている。
 「ウグイス」にとって「日の長さ」というものは、「日の出から日の入りまでの時間に、日の出前の薄明の時間と日の入り後の薄暮の時間を加えたもの」だそうだ。
 冬至からだんだん春になり、日の長さが、大体12時間を越えるようになると、「日の長さを感じる装置」が作動しオンになり、これがからだの生理状態をコントロールしている装置に伝えられ、前述した「テストステロン」などのホルモン分泌が始まる。
 そして、これら何種類かのホルモンが精巣の精子の生産と卵巣の卵の発達を促すのである。
 このように見てくると「ウグイスの初鳴き」は単なる情緒的な「短歌や俳句」という文学的詩的なものではなく、凄く「科学的」なものであることが分かるだろう。
 だからこそ、「気象台や測候所が行っている生物季節観測」の中に、「ウグイスの初鳴き」という項目が掲げられているのであろう。

 ところで、気象台や測候所が行っている「生物季節観測」には次のようなものがある。
「植物観測」(12種)
 ・ウメ・ツバキ・タンポポ・ヤマツツジ・ノダフジ(普通のフジ)・ヤマハギ・アジサイ・サルスベリ・ススキ(以上9種は開花)。
・サクラ(開花時期と満開時期)。・イチョウ(発芽と黄葉・落葉時期)。・カエデ(紅葉と落葉時期)。

「動物観測」(11種)
 ・ヒバリ・ウグイス・アブラゼミ・ヒグラシ・モズ(以上は初鳴き)。
・ツバメ・モンシロチョウ・キアゲハ・トノサマガエル・シオカラトンボ・ホタル(以上は初見)。
 ただし、「ウグイスの初鳴き」は、「ホーホケキョ」と「正確にはっきり」と鳴いていた日でなければいけないのだそうだ。
 暖かい日に「ケキョ」とか「ホヶキョ」とか、何だか訳の分からない鳴き方の場合は「初鳴き」として扱わないのだそうだ。
 そうなると、私が聞いた「ウグイスの鳴き声」は「ウグイスの初鳴き」に該当するのだろうか。(明日に続く)