岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

私のスキー事情 / 岩木山パトロール隊が実施した『冬山訓練』に参加(4)

2009-03-04 05:14:59 | Weblog
 (今日の写真は「カービングスキー」と呼ばれているものだ。私はゲレンデで滑ることがないので、ここ数年間の「スキーの変遷」には疎いのだが、岩木山パトロール隊の「冬山訓練」に参加して、彼らのスキーがすべて「カービングスキー」であることを実際に見て、これまで使用していたものが、既に「化石」の域に達していることを改めて知ったのである。)

 このスキーは、先月の20日過ぎに「通販」で購入したものである。メーカーは「BlackDiamond社」で型名は「Guru(グルー)」である。サイズは162cmで、重量(ペア)は2.7kgである。
 タイプは114 - 75 - 101mm(R=15.5m)で、デュアルトーションボウ(3D CNCウッドコア)という構造である。
 私がこれまで15年ほど使ってきたスキーは、フランスの「Dynastar(ダイナスター)社」の「Altiplume2」というものである。結構高いものだった。スキー板とビンディングを合わせて、確か100.000円を越えたはずだった。
 非常に軽く、しなやかで「衰えていく脚力の持ち主」には相応しいと思い、購入したものである。それに、ビンディングは「Silvretta300」という、これまた「オールド」なものだ。もちろん、ビンディングの取り付けは自分でした。
 だが、最近、といってもここ数年なのだが、「スキー」登山で「登り」よりも「下降」により「負担」を感じるようになっていた。スキー操作が重いのだ。

 そのような時、先々月だったかも知れない。「相棒」さんが「カービングスキー」を購入し、初滑りをしたところ、非常に「操作性に優れており、負担が少なく、軽快だった」と言い、加えて最後に「体力の衰えている人にはうってつけかも知れない」と言ったのである。「少し曲がってついた」と苦笑していたが、もちろん、「相棒」もビンディングは自分で取り付けたのである。
 それを聞いて「体力、脚力」の衰えが著しい私の心は、バブル時の経済指標のように大きく、しかも激しく動いたのである。
 時代の寵児、「カービングスキー」か。いや、現実は「違って」いた。スキー場のゲレンデでは子供までが、これで滑っている。私も「相棒」殿も極端に時代の趨勢から遅れていただけなのである。
 「ネット」で調べる。…オーソドックスなディメンションにまとめられたオールマウンテンスキー。
 アルパイン・ツーリングでもテレマークでも、スタイルを問わずバックカントリーのあらゆるコンディション下で優れた操作性を発揮する「BlackDiamond」の「Guru(グルー)」…という殺し文句に、ついつい乗せられて買う羽目になってしまったのが、この写真のスキーなのである。
 これには、「Dynastar」の「Altiplume2」から外した「Silvretta300」を自分で取り付けたのだ。だから、これにかけたお金は「スキー板」の代金だけである。

 今朝、このスキーを写真入りで紹介したことには訳がある。そのわけは「明後日のブログ」で明らかになる。

      ○○岩木山パトロール隊が実施した『冬山訓練』に参加(4)○○

(承前)

 今日は昨日の失敗談、つまり、ある「懸念」がそのとおりになってしまったことの続きを披露しよう。

 「東向きで、高さが3m程度の安定した雪庇であり、その底部がなだらかで、雪庇の雪質が氷化していない」という「ビバークプラッツ」として「最適な場所」は「訓練場所」として選定した界隈にはなかったのである。
 実は前日、パトロール隊の有志がここまで登って来て「雪洞」造りに最適な場所を探したそうだが無かったというのだ。そのとおりだと思った。
 そして、「ここはどうだろう」と提示された「場所」がターミナルの、夏場、休憩所と食堂のある建物の前だった。
 そこは3mほどの高さの積雪があり、かなり垂直に建物側に切れ込んでいた。そして、一昨日から降った雪が表面を覆い、一見すると「軟らかそうな」雪庇の風下の壁だった。
 私とTさんはスコップを持って、積雪の頂部を壊さないように、10mほど迂回をして、その雪の壁の前に立った。参加者もそれに続いて降りてきた。早速、その壁に横穴を掘るための「直方」の溝を造るために垂直に掘り出しにかかった。

 …ところが、そこは「雪切り用の軟弱なスコップ」では、歯が立たないほどに硬かったのである。数人で交替して「掘ろう」としたが、無理であった。
 そこで、「直方の溝掘り」を断念して、直接「雪の壁」に横穴掘りにかかった。
 ところが、これもまた、「軟雪が覆っている」のは、ほんの表面で10cmもない。その下はまるで、「氷塊」のように硬い雪の壁だったのだ。
 つまりこうだ。その場所は「雪庇」のように見えるが、それは自然地形の上に出来た雪庇ではないのだ。人工的な建造物が「暴風」「暴風雪」という物理的な自然のエネルギーに対して「特異」な影響を与えているのだ。しかも、今季の「少雪」がそれに、異常性を与えている。
 西から吹きつける強風は、広くて平らな駐車場を「雪」を伴って一気に走る。そして、この建物に遮られ、建物に押し戻されて雪の壁にぶつかり、底面を走って建物の両サイドから後方の尾根に舞い上げられる。
 一部は建物の前面で舞い上げられてもう一度地面に叩きつけられながら、雪面に「雪」をぶつけるようにして貯めて張り付く。しかも、より強い風は、張り付いたり、積もったり溜まった雪を剥ぎ取ってしまう。
 これだと、「軟らかい」部分など無い、全く硬い雪塊が積み上げられているのと同じなのだ。硬いはずである。
 沢や谷頭に出来る雪庇は、運ばれた「雪」がそこに置かれて、風だけが後方に吹き抜けていく。だから、雪庇はどんどんと谷側に迫り出して大きくなる。風によって運ばれはするが「圧せ」られないので軟らかいのである。
 私は、冬季にこの場所を通ってもう何十回も山頂に行っている。ここから山頂に向かう時には、まず「夏道」の入り口に入る。「ターミナル」の本棟とリフト棟に挟まれた場所である。そこはこれまで、いつでも、「軟雪の吹き溜まり」で、多い時は、腰を越えて胸まで埋まったことがあった。
 そこで、私は「雪洞」造りの場所を変更することにした。そして、Tさんやその他の参加者たちと「ターミナル」の本棟とリフト棟に挟まれた場所に移動して、あらたに「雪洞」造りを始めたのである。        (明日に続く)