岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

今日の写真はキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草「コカラマツ(小唐松)」

2010-10-05 04:19:17 | Weblog
 (今日の写真はキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草「コカラマツ(小唐松)」だ。岩木山の標高700m、松代地区の上部の草原で出会ったものだ。
 8月のある日、バス終点の枯木平で下車して、鰺ヶ沢に続く県道を歩き、当時は岩木町と鰺ヶ沢の行政区界であった峠を登り切って、ほぼ平坦で直線的な道に入った。
 その県道を真っ直ぐ進むと、大きくジグザグを繰り返しながら「松代」に入って、「松代分校」の傍から「石倉集落」に進むことになるのだが、時間短縮のため平坦で直線的な道に入ってから間もなくのところで、右に曲がって「石倉集落」へと進んだ。
 その日の目的は、別に「コカラマツ」探しではなかった。開墾入植地である「松代地区」がかつては「ブナ林」帯であったことを確認すること、その残滓を探し出すことであったのだ。
 入植して切り開かれた土地の上部はすっかりと「カラマツ」の植林地に変わっている。その「カラマツの植林地」を抜けると「ブナ林」が出て来る。そして、また「カラマツの植林地」が出て来る。「松代地区」の上部の尾根は、その「様相」の繰り返しの果てに「ブナ」の純林となるのだ。
 「松代地区」自体は「ブナ林帯」の下端部に当たる。標高による林層からは確実のそうなのである。開墾されて畑になっている場所をワイドスコープ的に眺めると、ぽつりぽつりと「孤樹」が立っている。その1本1本に近づいて樹種を確認すると、それらはすべて、紛れもない「ブナ」なのである。
 開墾時には、伐採後に「抜根」をして、整地して耕地としたであろう。だが、根の残りから、「ひこばえ」が芽を出して成長したものであろう。明らかに「ここ」はかつて、「ブナ林」だったのである。
 「畑地」の周囲は見事な藪である。「草地」といってもいい。その中も、「ブナ」を探して「潜り」歩いた。やはり、抜きんでた樹木があり、それは「ブナ」だった。

 …陽光を浴びて、その藪、「草地」には多くの花が咲いていた。その色とりどりの花に混じって、小振りで質素でありながらも端正な花をつけているものがある。まるで、恥じらいを知る乙女のように控えめな花だ。最近目につく「山ガール」などには見られない趣には惹かれるものが十分ある。
 「うん、アキカラマツか。ちょっと待てよ。どうも違うらしい。」と呟きながら、カメラを構えるが、風に揺れてなかなか「停止」してくれない。この時点で私はこの花を何と呼べばいいのか分からなかったのである。
 これは、「コカラマツ」である。「コカラマツ」は「アキカラマツ」の変種であるとされている。同科同属の「カラマツソウ」や「ミヤマカラマツ」は、岩木山でも普通に見られるが、「コカラマツ」は同じ「カラマツソウ属」でもずいぶんと趣の異なる花である。
 この写真では、花は全体的に白だが、花1つ1つをよく見ると「黄色く目立つ」ものがあるのだが、これは「雄しべの葯」である。この特徴を持つのは「アキカラマツ」と「コカラマツ」だけのようである。
 「カラマツソウ」や「ミヤマカラマツ」の花糸は、線香花火のように丸くなっているが、「アキカラマツ」と「コカラマツ」は葯の重みの所為だろうか、花糸の垂れ下がることが特徴でもある。
 その他の特徴としては、「コカラマツ」は「アキカラマツ」よりも全体的に小形であること、「アキカラマツ」は上部でさかんに分枝し、小花を多数つけるが「コカラマツ」は疎らにつける点、花柄と果柄が「アキカラマツ」よりも長く1cmから1.5cmあるなどである。
しかし、「個体差」もあるので、実際の区別はかなり難しいのである。
 「コカラマツ」は北海道から本州、四国に分布し、亜高山帯の草地に生え、高さは30cmから100cmになる。葉は3出複葉だ。小葉は1cm~3cmの楕円形で、先が数個に浅く裂けている。
 花期は、7月から9月であり、円錐花序に淡い白に近い黄白色の花を疎らに咲かせる。花は直径1㎝ほどで花弁はなく、黄色の葯をぶら下げた花糸が目立つ。
 名前の由来であるが「アキカラマツ」に比べると小さいことによる。だが、別名を全く対照的な「オオカラマツ」と言ったりするから、ややっこしくなる。そのいわれは低地に生えるカラマツソウより小さく、高山植物のカラマツソウ類としては大きいからと言う。
 他に、「ウスバカラマツ」という別名も持っている。これは、「アキカラマツ」に比べると葉が薄いことによる。)

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