[承前]
(昨日の写真は2001年11月24日に撮影したものだ。岩石の破砕工事が施されていないままの「累々とした岩石」に注目してほしい。
今日の写真は昨日と同じ場所を2004年5月23日に撮影したものである。岩石がすっかり破砕されて滑らかなゲレンデの様相を見せる。写真下部の大きな岩は上部が吹き飛ばされて、ほぼ平らになってしまった。
これを「自然破壊」と言わないで何を「自然破壊」というのだ。
昨日の写真には累々とした岩石がいたるところに見られたが、今日のものには見られないだろう。平らで凹凸のないゲレンデとなっている。油圧系ドリルで穴をあけて爆薬か膨張剤を詰めたかして、岩を破砕したのである。
2000年に鰺ヶ沢スキー場は本会及び林野庁、県と「伐採木の根と切り株、その他伐採前の状態をすべてそのままにして残し、人工的な手を加えない。」と約束したのである。昨日の写真が「そのまま」の状態のものである。岩石の破砕はどこにも見られない。
今日の写真は一定の積雪高で雪面に突起する岩のすべてを爆破・粉砕している写真である。スキー場は「借地」しているのであって所有者ではない。このような「土地の改変」は出来ないはずだ。それに何よりもこのゲレンデを「そのままの状態」で保持すると本会と交わした約束違反であり、既存のゲレンデにも同様のものが見られる自然破壊である。)
本会ではこの事実をふまえて、「青森県自然保護課、津軽森林管理署」に次の文書を送付し、合同調査を要請した。
『本会では「津軽森林計画区における鰺ヶ沢スキー場拡張計画に対しての異議意見書」の趣旨にのっとり、2000年冬から開業した「拡張部分」についての現地調査を定期的に実施してきた。これまでの調査で確認したことは以下のとおりである。
① 事業者の環境アセスメントでは「ザリガニのいるような沢は無い」と記載されていた。私たちは2000年8月に報道関係者とともにその生息を確認したが、事業者および行政担当者側では確認作業はしたものの生息していないとしていた。しかし、2004年6月にゲレンデを横切っている沢でニホンザリガニの生息を確認した。ただし、2008年8月にザリガニがいた沢の下流部は伐採され、堰堤が建設された場所から上流約200m間ではまったく確認出来なかった。
②東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答に見られる緑化工の確認「工期中、節目節目で、その都度確認してきた。緑化工についてもきちんと確認した。」とあるが、その後の確認では緑化は遅々として進んでいなのが実情である。また、この部分にはアセスでも懸念されていた外来種植物や里植物が進出している。
③東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答に見られる伐採木の搬出期限が「工事終了後3年以内(2003年7月まで)」としながらも2004年になってもそのまま残置されている状態である。
④東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答には「地形、地質の改変、抜根等は極力最小限にとどめた。コースについてはほとんど行われていない。」とあるが、「鰺ヶ沢スキー場拡張ゲレンデ・約束違反の自然破壊(2004年4月23日撮影)」に示すとおり、ゲレンデ内の大きな岩石(直径2~5m)がことごとく破砕され、ゲレンデ滑走面となる地表部分は「見た目」には凹凸のないものとなっている。まさに「地形の改変、自然破壊」である。
特に④は自然公園法・森林法に抵触する違反・違法の自然破壊行為と考えられ、大きな問題であろうと思われる。
これまで、鯵ヶ沢スキー場の既存のコースについては「抜根はしない」と説明しておきながら、いつの間にかコース上のほとんどで抜根がされ、その上滑走の障害となる雪面に突出している岩石の破砕と除去が行われてきた事実がある。これらは工事中に「極力最小限にとどめること」と指導されていることである以上、それ以後もこの最小限の範囲を逸脱はしてはならないことであると解釈される。しかし、既存のゲレンデ同様に岩石の破砕工事は実施されていた。
新聞報道では、貴課によると、コース上の岩石については2002年秋に鯵ケ沢スキー場から「山菜採りなどが入山して岩石の転落などの恐れがあり、安全の確保する」として破砕申請が行われており、「危険防止の観点から許可」したそうであるが、破砕申請の真の狙いは本当にこのことにあったのであろうか。
山菜採りの安全確保まで親身になって考えるのであれば、最初から拡張ゲレンデ工事、つまりスキー場を拡張しなければよかったのだ。また、山菜を採る山が危険だからとしてその危険対象物を除去するということは常識的にはありえないことであろう。
本会としては「ゲレンデに突き出している岩を除去すれば、積雪を圧雪すると直ぐに滑らかな雪面で恰好のゲレンデとなる。これで積雪の少ない初冬から残雪の少なくなる時期まで滑走が可能となり営業期間が長くなる。スケールメリットを考える事業者にとっては好都合である。」と考えた上での工事だと把握している。
しかも、冬季アジア大会開催の年の秋である。許可を与えた貴課としての判断は具体的にどのようなものだったのか。
また、この岩石の除去(破砕)の規模や方法についての確認はとったのであろうか。(明日に続く)
(昨日の写真は2001年11月24日に撮影したものだ。岩石の破砕工事が施されていないままの「累々とした岩石」に注目してほしい。
今日の写真は昨日と同じ場所を2004年5月23日に撮影したものである。岩石がすっかり破砕されて滑らかなゲレンデの様相を見せる。写真下部の大きな岩は上部が吹き飛ばされて、ほぼ平らになってしまった。
これを「自然破壊」と言わないで何を「自然破壊」というのだ。
昨日の写真には累々とした岩石がいたるところに見られたが、今日のものには見られないだろう。平らで凹凸のないゲレンデとなっている。油圧系ドリルで穴をあけて爆薬か膨張剤を詰めたかして、岩を破砕したのである。
2000年に鰺ヶ沢スキー場は本会及び林野庁、県と「伐採木の根と切り株、その他伐採前の状態をすべてそのままにして残し、人工的な手を加えない。」と約束したのである。昨日の写真が「そのまま」の状態のものである。岩石の破砕はどこにも見られない。
今日の写真は一定の積雪高で雪面に突起する岩のすべてを爆破・粉砕している写真である。スキー場は「借地」しているのであって所有者ではない。このような「土地の改変」は出来ないはずだ。それに何よりもこのゲレンデを「そのままの状態」で保持すると本会と交わした約束違反であり、既存のゲレンデにも同様のものが見られる自然破壊である。)
本会ではこの事実をふまえて、「青森県自然保護課、津軽森林管理署」に次の文書を送付し、合同調査を要請した。
『本会では「津軽森林計画区における鰺ヶ沢スキー場拡張計画に対しての異議意見書」の趣旨にのっとり、2000年冬から開業した「拡張部分」についての現地調査を定期的に実施してきた。これまでの調査で確認したことは以下のとおりである。
① 事業者の環境アセスメントでは「ザリガニのいるような沢は無い」と記載されていた。私たちは2000年8月に報道関係者とともにその生息を確認したが、事業者および行政担当者側では確認作業はしたものの生息していないとしていた。しかし、2004年6月にゲレンデを横切っている沢でニホンザリガニの生息を確認した。ただし、2008年8月にザリガニがいた沢の下流部は伐採され、堰堤が建設された場所から上流約200m間ではまったく確認出来なかった。
②東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答に見られる緑化工の確認「工期中、節目節目で、その都度確認してきた。緑化工についてもきちんと確認した。」とあるが、その後の確認では緑化は遅々として進んでいなのが実情である。また、この部分にはアセスでも懸念されていた外来種植物や里植物が進出している。
③東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答に見られる伐採木の搬出期限が「工事終了後3年以内(2003年7月まで)」としながらも2004年になってもそのまま残置されている状態である。
④東北森林管理局青森分局の公開質問状に対する回答には「地形、地質の改変、抜根等は極力最小限にとどめた。コースについてはほとんど行われていない。」とあるが、「鰺ヶ沢スキー場拡張ゲレンデ・約束違反の自然破壊(2004年4月23日撮影)」に示すとおり、ゲレンデ内の大きな岩石(直径2~5m)がことごとく破砕され、ゲレンデ滑走面となる地表部分は「見た目」には凹凸のないものとなっている。まさに「地形の改変、自然破壊」である。
特に④は自然公園法・森林法に抵触する違反・違法の自然破壊行為と考えられ、大きな問題であろうと思われる。
これまで、鯵ヶ沢スキー場の既存のコースについては「抜根はしない」と説明しておきながら、いつの間にかコース上のほとんどで抜根がされ、その上滑走の障害となる雪面に突出している岩石の破砕と除去が行われてきた事実がある。これらは工事中に「極力最小限にとどめること」と指導されていることである以上、それ以後もこの最小限の範囲を逸脱はしてはならないことであると解釈される。しかし、既存のゲレンデ同様に岩石の破砕工事は実施されていた。
新聞報道では、貴課によると、コース上の岩石については2002年秋に鯵ケ沢スキー場から「山菜採りなどが入山して岩石の転落などの恐れがあり、安全の確保する」として破砕申請が行われており、「危険防止の観点から許可」したそうであるが、破砕申請の真の狙いは本当にこのことにあったのであろうか。
山菜採りの安全確保まで親身になって考えるのであれば、最初から拡張ゲレンデ工事、つまりスキー場を拡張しなければよかったのだ。また、山菜を採る山が危険だからとしてその危険対象物を除去するということは常識的にはありえないことであろう。
本会としては「ゲレンデに突き出している岩を除去すれば、積雪を圧雪すると直ぐに滑らかな雪面で恰好のゲレンデとなる。これで積雪の少ない初冬から残雪の少なくなる時期まで滑走が可能となり営業期間が長くなる。スケールメリットを考える事業者にとっては好都合である。」と考えた上での工事だと把握している。
しかも、冬季アジア大会開催の年の秋である。許可を与えた貴課としての判断は具体的にどのようなものだったのか。
また、この岩石の除去(破砕)の規模や方法についての確認はとったのであろうか。(明日に続く)