岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

日赤奉仕団岩木山パトロール隊が実施した『冬山訓練』に参加

2009-03-01 05:52:39 | Weblog
 (今日の写真はスカイラインターミナルの直ぐ下辺りから写した岩木山である。中央部分にターミナルの「風車」が見えるだろう。
 山頂直下の、高さが20m以上もある大きな岩は「山の神岩」と呼ばれている。夏場、この岩のてっぺんまで、右から攻めてよじ登ったことがあったが、フリーだったので、降りる時に「死ぬ」思いがした。下部の岩は結構硬く、手がかり足がかりがあったのだが、高くなっていくに従い、岩が脆くなり「手がかり」の岩がぼろぼろと剥がれるのだ。登ったのは後にも先にも、それ1回だけである。「怖い」というだけでなく、この「岩」を壊すことを深く反省したからである。
 だが、どうしてももう1回だけ登りたいという「気持ち」に駆られたことがあった。
それは、ある年の6月の初め、この岩の頂部に「小さな花」を発見した時のことである。 私はその時、この岩の下部にある登山道にいた。その頃、私は八甲田山でよく見られる「ミネズオウ」が「岩木山」にもあるという情報を得ていた。雪消えが始まった山頂部の殆どの岩陵を訪ねては、「ミネズオウ」を探した。だが、一向に「ミネズオウ」には出会えなかった。そのことは約3年続いた。そして、「山の神岩」の頂部に、「小さな花」を見つけたのは、その3年目の6月の初めであった。
 私はカメラのベルトを首から肩に回して、背負うようにして岩に手をかけた。しっかりとホールドとスタンスを確保して、登攀を始めようとした時に、「止めよう」という声が私を捉えた。「止めろ」という「命令や禁止」を含んだ響きではない。「止めよう」である。私の心に働きかけて、私のもう一つの心を動かそうとする不思議な声だった。恐らく、その声は「山の神」が発したものであったのだろう。今でも、私はそう思っている。
 私は岩から手を放して、登山道に戻った。このようなことは度々あることだった。だから、私のザックには450mmの望遠レンズも入っているのだ。そこで、レンズをそれに取り替えてから、登山道からだと、その花の位置は余りにも直下過ぎてよく写らないので、脇のダケカンバの林の中に降りて、角度を変えて撮ったのである。
 だがその花は「ミネズオウ」ではなく「コメバツガザクラ」であった。そして、その後しばらくして、「ミネズオウ」が岩木山にもあるという情報は、「岩木山」と「八甲田山」の勘違いという単純ミスからのものであるということが分かったのだ。岩木山にはミネズオウは生育していない。)

    ○○ 日赤奉仕団岩木山パトロール隊『冬山訓練』に参加 ○○

 昨日、2月28日(土)に表記の催事に、昨年に続いて参加した。高気圧が日本海北部にあってそこから吹き出す風で、風向きはやや北寄りであったが、春のようないい天気に恵まれて「諸行事」は和気藹々の中で実施された。詳しくは「東奥日報」「陸奥新報」を見て戴きたい。
 本会からは要請を受けて、講師として私と幹事のKさん、会員のTさんが参加した。行われたのは「今日の写真」に見える「スカイラインターミナル」付近である。
私とTさんは「緊急時の雪洞の作り方(「フォースト・ビバーク」の仕方を含む)」についての講話と「実際に雪洞を造る」部門を担当した。
 幹事のKさんは「雪崩の発生」と「雪崩の回避」に関わる講話と「弱層テスト」の実際を担当した。「懐かしい」雪崩紐の話しとその実物の提示もあった。今季の降雪異常は「弱層テスト」でも明らかになった。1.5mほどの雪層を円柱に切り出して見たところ、その層に「弱層がない」のである。つまり、地表面に弱層のない積雪が数mあるということである。4、5月の残雪期には大規模な「全層(底)雪崩」の発生が予想される。入山者は十分な注意が必要だろう。

 次に私とTさんが担当した内容を箇条書き的に提示してみよう。

 ★「雪洞」の種類(使い方)

(1)「山行計画」の段階から「幕営」や「小屋泊まり」を排除して「雪洞」を造ってそこに一泊するというもの。
(2)「フォースト・ビバーク」するためのもの。「強制露営」または「一時泊」という意味。
 Q1:どのような場所が「ビバーク・プラッツ」に向いているのか。

 Q2:雪洞を造るための道具は何か。

 個人装備、共同装備の中で「掘る」「埋める」「叩く」「均す」「深さを測る」ことが出来るものは何でも使う。
「スコップ」はとりわけ重要。雪洞造りだけでなく、雪崩に埋まったものを「掘り出す」ことに最大の威力を発揮する。
     スコップの他に、冬山装備で雪洞造りに使えるもの
「シール貼り付けスキー」「ストック」「ピッケル」「ワカン」「コッヘル」など

 ★雪洞を造る手順と仕方
1.「プラッツ」を決める。2.雪庇とその周囲の雪質を調べる。3.雪庇の高さとその沢の雪の深さを調べる。4.深さに従って「垂直に深く掘り下げ」ていく。5.雪庇の高さが3mだと2mは掘る。6.それから雪庇に「横穴」を造る作業になるが、横穴は「出来るならば(』)状に造る。7.入り口は脚の高さ分低くする。8.掘り出された雪は「屋根部分」に積み上げる。9.天井部分はドーム型にする。10.床になる部分は平面的に均す。均して数分待つと硬くなる。11.側面に棚や灯り置き台を造る。12.入り口近くに物置を造る。13.入り口にツエルトなどを垂れかける。14.入り口と雪洞周囲に送りやスキーを立てる。15.簡易トイレを造る。16.周りにブロックを積む。

 ★「雪洞造り」で注意
構造的な面
 「崩れない・潰れない・沈まない」が原則。「屋根や天井」部分を厚くする。「バランスは1mgの重さで崩れる」
作業的な面
 掘りやすい・短時間で出来ること。作業効率のいい分業化。

Q3:構造強度を出すにはどうするか。

Q4:作業がはかどる方法と場所はどのようになるか。

 ★「フォースト・ビバーク」用の雪洞
 浅い沢で側面に出来ていること。小さく崩落の心配がない「雪庇」のほぼ底面。浅い縦穴を掘って直ぐに「横穴」を掘り始める。1人が横になれるスペースが確保されると、それで「完成」となる。「コッヘル」をスコップ代わりに使用して、前向きになって、股下から後ろに犬のように雪を掻き出す。
 Q1、3、4については「ここまで」読むと答えが出るので挑戦してほしいものである。

 ああ、今日から3月、今朝もいい天気である。今朝5時頃の気温はマイナス5℃程度だったが、日射しはすっかり春である。