岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

赤倉尾根の「伯母石(おばいし)」について(3)

2008-01-19 06:37:56 | Weblog
今日も昨日に続けて「伯母石」に関係したことを書こう。
(承前)
 ところが、数年前に赤倉講の一信者が「神のお告げ」だと言って、この「岩稜地帯」に「人がよじ登ることが出来て歩ける」程度の「道」を開鑿したのである。
 そして、「風衝地」特有の「高山性の植物」が細々と命をつないでいる小さな岩棚を、「信者」が登り降りをするために使う「階段」としたのであった。
 さらに、「赤倉講信者」のある者が、その道を表示する「道標」まで造ったものだから、そこを「登り降り」する者は「赤倉講」の信者だけではなくなったのである。当然、「登山者」や「山菜採り」まで利用するようになった。
 「岩稜帯」の左岸を巻く旧来の道は「コメツガ」などの樹林に覆われて「空」や「山麓部」などの眺望が利かない。
 ところが、この違法に造られて付け替えられた道からは、津軽平野、日本海、陸奥湾、権現崎などが、さらに天気のいい日には北海道の渡島大島、渡島小島までが見渡せるのだ。 そのために、登山者を中心にして、この「岩稜帯」の違法ルートを登り降りする者が多くなっていったのである。
 他にもいるだろうが一例をあげると、「自然保護憲章」などを作成して「自然保護」に力を入れていると考えられる日本勤労者山岳連盟傘下の「山岳会員」までが「あそこは最高にすばらしい登山道だ」などと言って利用する始末である。これだとたまったものではない。
 ここは国定公園地内なので、もちろん、青森県自然保護課や森林管理署の許可を受けなければ「道路」敷設は出来ない。しかし、その「信者」は許可を得ていなかった。許可申請しても、恐らく「許可」はされなかっただろう。事後の確認では前二者は「許可をしない」と言明していた。
 最終的には保護課と森林管理署、岩木山を考える会などで調査し、「道路整備」と「開鑿等の工事」の「中止命令」を出したのである。つまり、この道は「違法」に敷設された道なのだ。
 だが、「違法・不法」の道はここだけではなかった。この信者の「信心」と「執着心」は異常であった。この「信者」が数年かけて「違法整備」したり、「違法伐採」したり、「違法開鑿」した地域は広範である。
 山麓部分から標高に従い、その区域を説明しよう。その「整備や工事」の方法や内容は別の機会に述べることにする。
 先ず距離的な面では、赤倉登山道のほぼ全部である。手が着けられなかったところは僅かに、「中央火口丘」部分だけである。つまり、赤倉神社の前を通り、赤倉沢を渡ったところから、山頂「中央火口丘」に取りつく手前までだ。
 また、派生的に「湧水」地周囲にある社屋群からさらに、赤倉沢沿いの旧「参道」から「結界」を示す大注連縄までと、その大注連縄をくぐって「赤倉沢右岸斜面」を通り「鬼の土俵」までの道である。特に、「湧水地周辺の社屋群」から続く「参道」は念入りになされている。
 「赤倉登山道」しか利用しない「登山者」には「不法・違法」の「整備」実態は、よく「見え」ない。しかも、年を追うごとに山麓から中腹部の「整備・工事」跡は草木に覆われて見えなくなってきている。

 ただこれだけは言っておこう。この信者が「工事」に燃えていた数年間、私は、何回も何回も、口が酸っぱくなるほどに次のようなことを、懇願するような気持ちで「自然保護的」な指導をしたものだ。
 …「あなたの整備の仕方は自然を壊していることですよ。土を掘り起こして石を掘り出したり、それを並べたり、穴を掘ったり、木の枝や幹を切ったりしないで下さい。せいぜい、刈り払い程度に止めて下さい。」と…。
 だが、まったく聞いては貰えなかった。併せて、県自然保護課にも何回も報告・連絡したし、当該自治体の岩木町にも「対応」を求めたものだ。だが、こちらからも「具体的な回答」は前半の数年間は全くなかったのである。

 また、全国からやって来る登山者からは次のようなことを「共通」して言われたものである。
 …「登山道沿いに見られる大きな穴は何ですか。」「多くの山に登っているが、道の両側に「穴」が縦に連なっているこんな奇妙な登山道は見たことがない。」と…。 )
 今日の写真は「伯母石」そのものである。右脇から写しているので「平面的な直方体」には見えないが正面下部から写すと「直方体」になる。これはTさんが撮ったものだ。