岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

岩木山大沢上部に大きな亀裂、全層雪崩の発生か。公園のサクラ (その四)

2007-04-27 05:40:57 | Weblog
 昨日、東奥日報弘前支社の編集部長から、「岩木山大沢上部に大きな亀裂」ということで問い合わせがあった。
 
「岩木山大沢上部」という場所は左岸だろうが右岸だろうが雪崩発生の常習地帯である。
 
 古くは1976年四月初旬に、鳥海尾根で全層雪崩が発生して焼止り小屋が全壊し、デブリは下方600メートルに達していた。
 それから10年目の1986年1月には種蒔苗代で雪崩のため四名が死亡、その4月には土石流に近い形態と大規模な雪崩が、鳥海の尾根で発生した。
 1999年4月20日から21日にかけて大沢上部左岸で発生した全層雪崩は、高位置を起点としたため距離では、前二者を凌ぐものであった。
 この雪崩発生の起点となった雪層の「亀裂」を、私は3月7日に確認していたが、「安全を確保するべき側」が危険と考え「その場所に近づかないこと」を勧告したのは4月18日であり、その2日後に雪崩は起きてしまった。勧告が遅いのである。今回の勧告も早くはない。
 また、焼け止り小屋より上部の大沢右岸(鳥海斜面)では2003年4月22日に全層雪崩が発生している。
 全層雪崩は表層雪崩と違い、地表部の積雪が全層で流れるものだ。エネルギーは破壊的で爆発的であり、重い。雪層が土石流のように大規模にローリングしながら、根曲がり竹を根こそぎ剥離しながら流れる。

 今季の積雪状態から考えると、雪庇崩落等による雪崩は少ないだろう。また、今季は季節風の吹き出しが弱かった所為(せい)もあり、西から東に向かって下る沢斜面での雪崩の発生回数も少ないと思われる。
 その代わり、南面ないし南東面に開けた尾根では底雪崩(全層雪崩)の発生は十分予想されるし、これまで発生したことのない斜面でも発生する可能性も十分あるだろう。
 スキーヤーに人気が高い大黒沢コースの上部には雪層の剥離跡とデブリ、それに亀裂はそれほどないが、しかし、コースとして下る大黒沢両岸の雪庇崩落は確実にあるだろう。十分気をつけてほしいものである。

次は昨日に引き続いて…

公園のサクラ (その四)について書くことにする。

弘前市やその近郊では、自生する「種」としての「山桜」は見ることが出来ない。何しろ、咲くエリアが関西を中心とする西日本だからである。
 しかし、「オオヤマザクラ・大山桜」(ピンクで色が濃い。)は結構、自生しているので、春霞に煙る遠望の山影にピンクの色合いを探すことは可能である。しかし、山に咲いている桜という意味で山に自生しているすべての桜を「ヤマザクラ」と称する人は多い。

 ところで、岩木山に自生している桜としては次のものを確認している。

・ミネザクラ「峰桜」(タカネザクラ「高嶺桜」):標高1400㍍よりも上の場所に生息しているので残雪の消え方次第で早くも遅くもなる。六月の上旬ごろから七月上旬近くまで会える。遅い記録は八月上旬である。
・オオヤマザクラ「大山桜」(エゾヤマザクラ「蝦夷山桜」):ピンクで色が濃い。
※参考※
 ・岩木山環状道路(ネックレスロード)沿いに植樹されたオオヤマザクラはなぜ問題なのか…自然のこれは密植ではないこと、多量の果実の落下による土の過栄養、鳥や昆虫の集中などによって、これまでの生態系のバランスが壊れてしまい、最後は互いに枯渇してしまうからである。
 ・ネックレスロードという名称について…首が短い上に太いものを猪首または猪の首という。この名称は「猪首の女性がピンクのネックレスを着けていることをイメージ」させないだろうか。そうイメージすると決して美しいとは言えない。美意識に欠けた命名としか言いようがない。
・カスミザクラ「霞桜」:白色~淡紅色で一重咲きである。北海道・本州・四国に分布する野生種。
・オクチョウジザクラ「奥丁字桜」:小高木。花は白色または淡紅色で花柱はほぼ無毛。、果実は黒く熟する。日本海側の積雪適応種で背丈は低く幹や枝がよくねばる。
・チシマザクラ「千島桜」:タカネザクラの葉や花柄、萼に毛が生えたものを千島桜と呼ぶ。
・ウワミズザクラ「上溝桜」:長さ 6 ~ 8 cmの総状花序を出し白い 5 弁のちいさな花をたくさんつける。総状花序の下に葉がついている。
・タウチザク「田打ち桜」:モクレン科の辛夷(コブシ)の仲間で桜ではない。津軽地方では田打ち桜と呼ぶ。日本海側にのみ生育しているものを「北辛夷」という。
 タムシバに似ているが、花の下に小葉があるので見間違うことはない。

                        (次回に続く)