桔梗おぢのブラブラJournal

突然やる気を起こしたり、なくしたり。桔梗の花をこよなく愛する「おぢ」の見たまま、聞いたまま、感じたままの徒然草です。

木下を歩く

2016年12月26日 22時48分11秒 | のんびり散策

 年の瀬だからといって、独り身の私にはどうということはありません。年が明けても、やはり同じ。
 寒空なのに、なんとなく利根川を見たいと思い、出かけることにしました。
 かつて利根川を見に行ったところといえば、取手か布佐ですが、帰りの土産など、付属物をあれこれ考えた末、木下(きおろし)へ行くことにしました。ほかにもあるのかもしれませんが、私が思いつく取手土産といえば、新六漬け。布佐土産は何がいいのか思いつかず、木下なら煎餅です。

 木下を訪ねるのは今年正月の薬師詣で以来、二度目です。
 この寒空の下を出かけるのはどうかと思いながら、十二時五十九分発の我孫子行に乗るつもりで庵を出ました。予定どおりなら我孫子着は十三時十一分。五分待ちで上野からくる成田行に乗れるはずでした。
 しかし、一抹の不安がありました。
 今年七月の薬師詣でで牛久へ行ったとき、電車は三分遅れでした。我孫子で土浦行の電車に乗り換える手筈でしたが、我孫子まで行っていたのでは乗れないと判断して、急遽柏で乗り換えることに変更。ギリギリ乗り換えに成功。乗った電車は我孫子直前で前に乗っていた電車と並走。変更していなければ、我孫子で三十分は待たなければならないところでした。
 ただ、柏駅ではそれこそ決死の様相でした。緩行線と快速線はプラットホームが別々です。脱兎のごとく階段を駆け上がり、隣ホームの階段をまた脱兎のごとく駆け下りなければならない。いまさら昔のことをほじくり返しても詮無いことですが、高校生から大学生にかけての若き日なら100メートルを10秒9という速さで駆け抜けた我が身も、幾星霜と歳を経てみると、当人は走っているつもりでも、ハタから見れば、ようよう早足で歩いているのか、というぐらいにしか見えないかもしれません。揺れるドテッ腹もものかは、なりふり構わず走って辛うじて乗り換えることはできましたが、口から心臓が飛び出すのではないかと感じるほどの事後。
 息がようやく平静に戻ったころ、ふと遥か昔、電車が遅れたために、手形を不渡りにしてしまった会社経営者がいたのを思い出しました。ギリギリの電車に乗るあんたが悪い、といった人もいましたが、好き好んで綱渡りのような電車に乗ったわけではない。もろもろやるべきことがあって、ようやく駆け込むように乗ったのでしょう。

 電車を利用するのは月に二度か三度ですが、北小金駅が見通せる道はほぼ毎日通るので、プラットホームで電車待ちをしている人の数や駅構内のアナウンスで、正常に運転されているのかどうかがわかります。
 二日か三日に一度はなんらかの理由で遅れています。人身事故だ、というのでは仕方がない。自殺にせよ、うっかりにせよ、利用客に非がある場合は私は一種の犯罪だと思うのですが、鉄道会社のせいではない。しかし、車両点検をしたからとか、危険防止何とかが作動したから、という理由だけ聞かされると、肚が立つこともあります。なぜ車両点検をしなければならなかったのか、どうして危険防止装置が作動したのかを説明せよ!
 時刻表の変更にしても、変えるときは改正などといっているが、ちゃんちゃらおかしい。広辞苑や大辞泉がなんと定義しようと、改正とは大多数の人にとって、使い勝手がよくなることではないか。利用客が尠ないからといって、駅を廃止したり、電車を間引きすることは鉄道会社にとってメリットがあるだけなのだから、改正ではない。まあ、何か形容詞をつけなくちゃいけないというのなら、改定というべきでしょう。




 まあ、それはそれとして、予定より十五分遅れで木下駅に降り立ちました。
 今年正月にきたときは、ここからバスを利用しなければなりませんでした。一日に五便しかないバスです。そのときは時間どおり着いて、無事バスを乗り継ぐことができましたが、この日のように十五分も遅れたというのでは絶望的です。




 駅から歩いて四分。印西商工会館を訪ねて……。



 こんなパンフレットをもらいました。 

 木下駅近くに三軒の煎餅屋さんがあることは下調べで知っていました(実際は四軒あったのですが……)。パンフレットをもらったあと、しげしげと見ることもなく、バッグに入れてしまったので、帰りの電車で開いてみるまで、四軒あったとは気がつきませんでした。

 我が庵近くに友が二人います。二人とも三人家族です。三軒の煎餅屋さんで、(友の家族各三人分+私の分=七人分)×三軒の煎餅を土産に買って帰ろうと考えて出てきています。



 手賀沼排水機場。昭和三十一年の竣工。
 降雨時には手賀沼の流域七市(柏・印西・我孫子・鎌ケ谷・白井・流山・松戸)160キロ平方から流れてくる水を毎秒40立方メートルという速さで利根川へ排水できるという施設です。毎秒40立方メートルという水量は25メートルプール(325立方メートル)をおよそ十秒でいっぱいにしてしまう量と速さです。




 川めぐり乗船場。



 緩い坂を下って行くと、川めぐりに使われるとおぼしき舟二艘がもやってありました。



 川を挟んで利根川の土手が見えます。



 しばらく六軒川に沿って歩きます。



 銚子と我孫子を結ぶ国道356号線です。
 結構交通量が多く、ビュンビュン飛ばす車が多いのに、歩道部分は身をすくめて歩かなければならないほどの幅しかありません。しかも大部分はU字溝なので、歩きづらいことこの上ない。

 私が棲む松戸市(隣の流山市も)と木下がある印西市とは同じ千葉県というだけで、なんら関係がないのでしょうが、歩道への配慮がないことはそっくりです。すなわち、歩道をつくる設計段階はいざ知らず、できたあと、この画像のように、狭かったり、狭いだけではなく、斜めになっていたりして、「一度でも自分で歩いてみたことがあるのか」と担当者に訊いてみたい。



 煎餅屋さんではありません。煎餅とならぶ印西名物・久七(きゅうしち)団子。
 友人の話によると、休みの日がよくわからず、ダメ元できてみればやはり休み。予約ができると聞いて電話をしてみると、なかなか繋がらない。やっと開店しているのを目にしたときには感極まってしまった、ということが名物をさらに名物たらしめているらしい。
 私自身は甘いものは不得手なので、店の写真を撮っただけです。



 前の前の画像では左手奥に見える六軒橋を渡ります。



 最初に煎餅を仕込んでおくか、と考えていた関口米菓に着きました。
 ドアを開けると、目の前にショーケースがありましたが、陳列されていたのは煎餅ではありませんでした。伸び上がって、ケースの後ろを覗いてみましたが、煎餅らしきものはありません。
 店の中に人の姿はあるのですが、私にチラリと一瞥をくれただけで、バケツリレー式で黙々と荷物を運んでいます。「えへん」と咳払いをしてみましたが、「いらっしゃい」の一声はありません。私には引っ越し(?)の準備で忙しいときに、何をしにきたのか、といっているように見えました。

 閉まっている店の扉を無理矢理こじ開けて入ったわけではありません。画像を見てもらえばわかるように、本日休業の表示はありません。もしかして表示を出し忘れ、鍵もかけ忘れていたというのなら、だれか一人でも飛んできて、「申し訳ありません。かくかくしかじか……」というべきです。
 客より荷物運びのほうが大切みたいで、荷物運びをやめる様子もありません。

 シカとされたので、一言も口を効かず、もちろん何も買わず、店を出てしまいました。

 先のパンフレットによると、どの店も定休日は日曜日です。商工会がパンフレットをつくったのは少しでも気運を盛り上げようとしているのだろうと思われるのに、日曜に店を開けないということは、店のほうは観光客は「お呼びでない」ということなのでしょうか。地元の人だけでなりわいが成り立つのであれば、よそから観光客を呼ぶ必要もない。それはそれでよいことでしょう。
 当初の目論見(駅周辺の三つの店で煎餅を買い揃えること)はここで崩れました。



 古そうな建物がありましたが、前身はなんであったのかわかりません。



 利根川を見に行くことにしましたが、もうどうでもいいような気分になっていました。
 北千葉揚排場です。利根川の下流部(布佐)と坂川(松戸)を連絡し,利根川に注ぐ手賀川と江戸川に注ぐ坂川周辺の内水氾濫を防ぐのと手賀沼と坂川の水質を浄化する役目を果たしています。


 
 


 川岸は段差になっている上、枯れ草が生い茂っていたので、川岸までは行けません。



 手前から二軒目、少し引っ込んだ家が岩崎米菓のようです。商工会を訪ねたとき、この店だけ表通りに面しておらず、幟や案内板のたぐいもない、と聞いていました。
 通りから覗くと、二人の男性が煎餅を焼いているのが見えました。店構えがあって、女将さんかだれかが接客をしている、という感じではなかったので、当初の目的 ― 三店の煎餅を揃える ― が早々に崩れ去っていたこともあり、声もかけず、むろん何も買わずに引き返して駅に向かいました。




 結局、以前も買った川村商店へ行くことにしました。



 十二枚入りの袋詰めを二袋買うことにして、二人の友に九枚ずつ、残りの六枚を私に配分することにしました。



 五人のご婦人が煎餅を焼いている店内の様子をカメラに収めさせてもらって、もろもろ物思いに耽りながら、帰りの電車の人となりました。

この日、歩いたところ

コメント
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