時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

いびつな発想

2009年08月04日 | 政治問題
国や地方自治体が、新たな住民サービスを開始する時に、所得に関係なく、一律にサービスを提供しようとすると、「お金のある人にも一律にサービスを提供するのか!」といった批判が出る。
なるほど、そういうご意見はごもっともである。
しかし、金持ちや大もうけをしている企業からもっと税金を取ろうとすると、「そんなことをすると、金持ちや企業が海外に出て行く」などと言って反対し、消費税の増税が平等でよい、という意見が出る。
こういう議論を聞いていて、読者諸兄はどのように感じられるだろうか?
どうも、一貫性がなく、発想がいびつであると感じないだろうか?
国や自治体の行うサービスに、所得や財産によって差を付けることは不可能だろう。たとえば、道路や公園や公共物等の使用に、所得に応じて制限を設けることなど不可能だからだ。
だから、国や自治体の行うサービスに、所得によって差を設ける必要はないのである。
使いたい人が使いたいように使えば良いのである。
そうしないと、公共物を使わないから税金を安くしてくれとか、たくさん使っているのだからもっと税金を払えとか、わけのわからない議論になってしまう。
公共サービスは、所得に関係なく、誰でも一律に受けられるようにすることが基本である。
しかし、税金はそうではあるまい。
所得の多い人が、多くの税金を負担するのが基本であろう。
しかし、サービスについては、一律に受けられるようにすべきであろう。
そうすれば、金持ちも税金をたくさん払っても、サービスが一律に受けられれば、それで納得ができるに違いない。
税金も多く取られて、いざ、サービスを受けようとすると、所得が多いからという理由で、追加の料金を払うようなことをすると、いくらお金を持っていても、ウンザリしてしまうだろう。
だから、サービスに必要な税金は、所得の多い人からは多く、少ない人からは少なく取り、サービスは平等で、しかも低料金、できれば無料で、という原則で行う必要がある。
先日、テレビの政治討論会で、高校の授業料の無料化が議論されていた。今では、ほとんどの子供が高校まで進学する。ならば、いっそのこと、高校までを義務教育とし、最低限度の負担で高校までの教育が受けられるようにするのが普通であろう。
さて、そこで、与党から出た意見が冒頭に紹介した「お金のある人にも一律にサービスを提供するのか!」という非難である。
政府与党は、低所得者ほど負担が重い消費税の増税を画策する一方で、医療費などは、一律、何割の負担という受益者負担を強いている。
まったく、いびつな発想と言わざるを得ない。

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