時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

製薬会社からの厚生労働省研究班員への寄付

2007年03月17日 | 医療・社会保障
インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べている厚生労働省研究班長の横田俊平・横浜市立大教授(小児科)の講座に、輸入販売元の中外製薬から研究資金が渡っていた問題がマスコミに取り上げられているが、同じく班員の森島恒雄・岡山大教授(同)の講座にも同社から年間200万円程度の研究資金が渡っていたことが、13日に明らかになったという。
同社によると、森島教授の講座には使途を制限しない「奨学寄付金」として2003年、2004年、2006年に各200万円ずつ、計600万円、横田教授の講座に別途に計1000万円を支出したという。また、岡山大には2004年、2006年に計450万円が支払われたという。
これらの寄付金について、同社は「奨学寄付金は社として年間十数億円出しており、両教授への講座への寄付もその一部。優れた研究が生まれることを願って出しており、研究結果に影響するものではない」と言う。
国立大学も、国の予算に頼らず、研究成果を企業に売り込み、研究のための資金を独自に調達する必要に迫られている。また、国策として産学協同などが大いに推進されている時期であることから、有望な医薬品の研究やその製品化にあたって、医薬品会社と医師の連携が必要なことは言うまでもない。
しかし、厚生労働省研究班という半ば公的な立場にある医師の発言は、政府の政策にも大きな影響を与えることになり、実際に、政府はタミフルを備蓄することを決め、そのために莫大な予算をつぎ込み、中外製薬はこの備蓄によって多大な利益を得たはずである。
とすれば、この製薬会社の利益の一部が研究班員である両教授に渡るということは、事実上の賄賂にあたると考えられるのではなかろうか。
大学と製薬会社が、両者の契約に基づいて、共同研究を行い、そのための研究費が支払われることには何の疑義もないが、今回のように厚生労働省研究班の班長あるいは班員という立場の者が特定の会社から寄付を受ける行為は厳に慎むべきである。また、そのような寄付を受けた場合は、その会社の製品の評価や議論に参加できないといったルール作りも必要であろう。
特に、タミフルの服用により、中高生の患者での異常行動が話題になっている時期でもあり、国民の目から見ても不審は拭い去れない。

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