時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

重症患者の救急搬送時間:ワースト50のうち12人が死亡

2008年11月16日 | 医療・社会保障
2007年に東京都で救急搬送された重症患者のうち、119番通報から医療機関に収容されるまでにかかった所要時間ワースト50のケースで、少なくとも12人が死亡していたことが、総務省消防庁などの調査でわかったと報じられている。
中には、医療機関への照会回数が33回、搬送先に到着するまでに2時間56分かかった後に死亡していたケースもあり、救急医療体制の深刻な実態が改めて浮かび上がった。
照会回数が33回に上ったのは、90歳代の女性患者で、「誤えん性肺炎」で亡くなり、搬送から死亡までの日数は2日だった。「呼吸不全」で亡くなった80歳代の男性患者は、照会回数が21回で、搬送時間は2時間32分で、死亡までの日数は1日だった。
また、死亡した12人のうち、搬送時間が長かった3人は火災や水の事故のケースという。照会回数が3回以下と少なく、発生時に通報があり、救急隊が現場で待機したため、収容までの時間が長くなったと見られる。
搬送後に回復して退院した事例でも、照会回数が50回、搬送に要した時間が4時間49分のケースや、照会回数が26回、搬送時間が4時間27分だったケースがあった。総務省消防庁によると、東京都では2007年に、転院搬送も含め約5万人の重症患者を救急搬送している。
医療機関が多い東京都でさえこのようなお粗末な実態であることが今回改めて明らかにされた。人口が多いことは理由にはならないだろう。
地方の救急体制はもっとひどいことは容易に想像がつく。
医師不足もあろうが、地域医療機関と救急医療機関との連携などを進めれば、もっと改善できることはあるはずだ。
救える命があるにもかかわらず、救えない実情はいかがなものであろう。
医療や福祉、教育、食の安全の確保など、本来は儲けを度外視して取り組まなければならないところに、思い切って税金を投入すべきであろう。民間任せでは、儲からないところは、どんどんと切り捨てられるのは明らかである。
東京都は、今回の結果をどのように受け止めているのだろうか。
オリンピック誘致などでバカ騒ぎをしている場合ではない。誘致に熱心な人間も、近親者や友人が救急医療の不備で亡くなることを想像して見ると良い。
いかにバカ騒ぎをしているか、いかに無駄な税金を費消しているか、容易に想像がつくはずである。
知事や議員の海外視察は言わずもがなである。
金融危機の影響で、税収が落ち込み、これからはますます苦しい財政運営を強いられるだろう。このような時にこそ、税金の使い道を真剣に考えるべきであろう。


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