時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

裁判でなければ解決できない日本という国:薬害肝炎集団訴訟

2008年10月11日 | 医療・社会保障
薬害C型肝炎集団訴訟で、新たに全国の患者ら162人が、東京、名古屋、大阪、福岡など8地裁に一斉に提訴した。このうち約30人はウイルスに汚染された血液製剤の投与を示す記録がない。このため、出産や手術を担当した医師に裁判で証言してもらうなどして立証する予定だという。
慢性肝炎になった大阪府の主婦(56歳)は大阪地裁に提訴後、実名を公表して記者会見した。70年代に2児を出産した際、旧ミドリ十字(現・田辺三菱製薬)の血液製剤フィブリノゲンを止血用で投与され、感染したとみられる。しかし、カルテは残っておらず、当時の治療方法などを病院側に証言してもらう考えという。「カルテがなくても投与を証明できる可能性があると知り、あきらめずに提訴した。国は救済責任を果たしてほしい」と訴えたという。
全国原告弁護団によると、これまでに国と和解に至った原告506人のうち、医療記録がなくても投与が証明されたケースは1人あるという。
しかし、この国は、なぜこういう患者を直ちに救済できないのであろうか?
もちろん、医薬品による感染と偽って補償を受けようというような不届きな人間を排除するためには、こういう過程は必要なのかもしれないが、少なくとも、記録のある患者については、直ちに国の命令で、製薬企業や関連団体に補償を命じれば済む問題ではなかろうか。
とにかく、裁判で、しかも3審制という制度を「悪用」して、地裁、高裁の判決があっても、わざわざ上告し、最高裁の判断まで仰ぐということが多く、被害者が救済されるまで、何年もかかることが多い。
先日も、橋下大阪府知事が、光市の母子殺害事件に関する自らの発言で、被告弁護人に損害賠償の支払いを命ずる判決があり、自らの非を全面的に認めながらも、「高等裁判所の判断も聞いてみたい」という記者会見を見て、釈然としないものを感じたが、こういう行為こそ無駄というものではないか。
国は、国民の健康と安全を守る義務がある。現行の法律によって、救えないのなら、遡って補償できるという新たに法律を制定すれば良いだけのことである。
こういう被害者を放置しながら、一方で、インド洋では、無償の燃料(多額の税金)を投入するという愚策に固執している。
読者諸兄の家計を見れば一目瞭然だが、家族が病気で苦しんでいるのを無視して、旅行に出かけたり、趣味に大金をつぎ込んだりすることはしないだろう。
普通の庶民の感覚で、財政運営をしてもらいたいと思っている。


最新の画像もっと見る