時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

トヨタの営業利益74%減、1兆円下方修正

2008年11月10日 | 経済問題
トヨタ自動車が、2009年3月期連結決算(米国会計基準)で、本業のもうけを示す営業利益が前期比73.6%減の6000億円になるとの見通しを発表した。
世界的な景気悪化の影響で新車販売の不振が続くとみているためで、5月時点の予想より1兆円下方修正した。国内製造業で売上高トップのトヨタが業績の大幅下方修正を迫られたことは、企業業績の悪化が深刻化しつつある現状を浮き彫りにしたと報じられている。
2009年3月期の営業利益は8年ぶりに1兆円を下回る見通しとなった。売上高も、前期比12.5%減の23兆円と当初予想を2兆円下回り、9年ぶりの減収になるそうだ。
営業利益1兆円割れショック、トヨタ「再生」の処方箋は?などと、大げさに報道されている。
しかし、それでも6,000億円という途方もない利益を計上できることに驚くほかはない。
しかも、これまで1兆円以上の利益を8年間も続けていたというのだからなおさらである。さぞかし、内部留保もがっちりと溜め込んでいることだろう。どんな事業も、順風満帆で拡大路線を突っ走れるものではない。時には、減益(赤字なわけではない!)になることもあるだろう。
さて、危機感を募らせて(あるいは、そのポーズを取って)、経営陣が真っ先にやったことは、今回の減収・減益を大々的にマスコミに発表したことだ。そして、マスコミを総動員して、減収・減益なら「リストラもやむを得ない」という雰囲気作りを行い、2009年3月末までに約3,000人の期間従業員の削減を検討していることである。
NHKなども、トヨタの減収・減益を大々的に報じて、リストラやむなしの後押しをする始末である。
確かに企業経営は楽ではあるまい。しかし、こういう不況時のことも考慮して、常に対策を講じておくことが経営者としての責任であり、経営が思わしくなければ、直ちにリストラで対応するというのもまったく芸のない話である。こんなことなら、誰にでもトヨタの経営は可能だろう。
今後、経済的に余裕がなくなれば、若い世代を含めて、車離れはますます加速するに違いない。しかし、トヨタの社員さえ自社の車を買えなくなるような「リストラ」や賃金抑制を行って、本当にトヨタに未来はあるのだろうか。人間の生命の維持すら危ぶまれるような、限界に近い搾取がもたらす弊害を考えるべきではあるまいか。
トヨタだけでなく、日産も国内工場に勤める派遣社員1,000人を含め国内外で3,500人を減らし、マツダなども派遣社員の削減を検討中だ。
大企業に、その社会的責任を果たさせ、日本経済の健全な発展や労働者、国民の生活を擁護する立場で規制を強化することが重要だろう。
今回の世界的な金融危機の最大の原因は、すべてを市場任せ、企業任せにしたことの結果なのだから。