時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

日本経済はどこに向かうのか?

2006年11月17日 | 経済問題
先日、内閣府が2006年の第3四半期の国内総生産(GDP)の速報値を発表した。これによると、第2四半期と比べて名目、実質とも0.5%、年率にして2.0%増になったとのことである。7期連続のプラス成長となったことになる。
しかし、景気回復などという言葉を実感できる国民はそれほど多いとは思われない。
このGDP「成長」の主要因は、大企業の空前の利益である。企業の形状利益の推移は、2001年第3四半期の7兆円だったものが、2006年の第2四半期には14兆円と2倍以上に伸びている。
一方で、GDPの約60%を占める個人消費をみると、前期比で0.7%減と失速しており、成長率の足を引っ張る形になっている。
この原因は、賃金の低迷である。好業績を上げている一部の大企業では、年末のボーナスが史上最高になると予想されているが、これも、企業のボロ儲けのほんのおこぼれが支給されるに過ぎないのである。さらに、企業の多数を占める中小企業では、相変わらず経営は苦しく、そこで働く労働者の賃金は低く据え置かれたままだ。また、大企業に勤務しているとは言っても、派遣や請負という労働形態により、ワーキングプアと呼ばれる貧困層を生み出していることは周知の事実である。
賃金の低下に加えて、定率減税の廃止に伴う増税や社会保険料負担の増加などが国民消費に暗い影を落としている。
GDP速報値を見て、政府は確実の景気が回復していると評価しているが、ここには、国民の懐具合に思いを寄せる姿勢は微塵も感じられない。
GDPの60%を占める国民消費動向に焦点を当ててこそ、日本経済の実態が見えてくるのではないだろうか。