阿部ブログ

日々思うこと

レアアースの禁輸措置の次の想定資源は?

2010年11月01日 | 日記
9月7日、沖縄県の尖閣諸島・久場島の沖合15キロの海上で、中国のトロール漁船が海上保安庁の巡視船を振り切ろうとして衝突し、船長が公務執行妨害で逮捕された。中国政府はこれに強く抗議し対抗措置として、レアアース(以下、REE)の通関業務を21日から停止していると報じられている。このような事態は、REEのほぼ全量を中国に依存している日本にとっては十分に予想された事態である。

そもそも今回の衝突事件が無くとも中国政府はREEの輸出割当量の制限を強化しており、価格高騰と調達難を引き起こしていた。既に今年度の調達を終えている企業もあるだろうが、中国政府のREE資源の禁輸措置が長引けば、日本経済に与える影響は大きい。

これに対しEUや米国政府は、中国が2012年頃にはREEの輸出余力が無くなると予測し、特に米国においては3月17日、“Rare Earth Supply-chain Technology and Resources Transformation Act of 2010 H.R.4866”が議会に提出され、速やかに独自のサプライチェーンの構築とREE調達に関する政策実行機関を設けるとするこの法案を早々に議決した。

またREE以外でも中国に依存する資源は多い。
特に重要なのは農業生産に必須なリンである。中国はモロッコと並ぶ世界最大級のリン鉱石の埋蔵量と生産量を誇る。
勿論、日本は肥料原料の全量を海外からの輸入に頼っており、中国からも大量に輸入している。このリンを米国はカリウムと共に戦略物質に指定し輸出禁止にしている。この意味するところは大きい。
中国も今回の事態を契機に日本向けの肥料原料の禁輸制限措置、若しくは輸出禁止に動く可能性は十分にあり、今後の対日圧力のツールとして非常に有効な武器となるからである。

言い古されているが、我が国には、今将に国土安全保障は勿論のこと、資源、エネルギー、食糧を含めた抜本的かつ包括的な国家戦略の立案と実行が切に求められている。

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