阿部ブログ

日々思うこと

アラン・チューリング ~生誕100年~ 生命は計算できるか?

2012年07月12日 | 日記
エニグマ暗号解読やチューリング機械などで著名なアラン・チューリングが生まれてから100年らしい。1912年6月23日が誕生日である。

だからと言う訳ではないが丸の内の「丸善」で『チューリングを読む~コンピュータサイエンスの金字塔を楽しもう~』を購入して今将に読んでいる所。チューリング本はこれで2冊目。

最初の本は『甦るチューリング~コンピュータ科学に残された夢~』で、内容は非常に広いテーマを網羅しており、とても読み応えがある本だ。即ち述語論理、ゲーデルの不完全性定理、チューリング機械、オートマトン、暗号戦争、チューリングテスト、ホモセクシャル、形態形成などなど。

特に興味深いのは「論理哲学論考」、「数学の基礎」などを著した哲学者ウィトゲンシュタインとチューリングは、キングスカレッジで討論をしたと言う。1939年の事で、これは初めて知った。

この本の著者は、21世紀にチューリングは甦るとしている。そしてチューリングが出した課題に我々は答えていないと言う。生命は計算できるか?と言う問いに対して~

『チューリングを読む』に戻ると、この本でも初めて知った事がある。

チューリングの画期的な論文「計算可能数とその決定問題への応用」(On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem)に先立つ事こと15年前に数学者ヒルベルトの助手をしていたハインリッヒ・べーマンがゲッティンゲン数学界で講演した「決定問題と論理学の代数」の、その内容に驚愕した。
著者のチャールズ・ベゾルドも「顎が外れるぐらい驚くべきものである」と述べている。
即ち、

「この問題の性格からいって、根本的に重要なのは次の事である。
厳密な意味での思考を一切使わずに、与えられた命令に従って機械的な計算だけが証明の道具として許されることである。
浴するならば、機械的な思考について論じることもできる(おそらく、のちにその手続きを機械で実行できるだろう)。」


いやはや、これは参った。これはコンピューターとアルゴリズムについて語っている!
ベーマンは1921年に既に上記について言及しており、その先進性、先駆性を正しく評価されるべきだ。

しかしながら1936年のチューリングの論文における数学の証明法のユニークさも、当時の数学界からすれば相当なものだ。架空の計算機械を想定しての証明だから~
よくもまあ、指導教官だったM・H・A・ニューマンはこの論文を受理したものだと思う。

さて、この本はチューリングの論文に逐一注釈している形式で中身が濃いので、読了までまだまだ時間がかりそうだが、この連休に集中して読み込みをしたい。

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