阿部ブログ

日々思うこと

南アフリカ と ブラックダイヤモンド

2011年06月03日 | 日記
南アフリカ経済が好調だ。
2009年第3四半期以降、6四半期連続でプラス成長となっている。2009年に-1.7%であった経済成長率は2010年に+2.8%と回復基調が鮮明。2011年も着実に成長軌道に乗ると見込まれているが、主要貿易相手国であるEUにおける財政不安や金融市場の混乱が、南アフリカからの輸入減少を招くのではないかと懸念されている。
回復傾向にある経済を背景として、南アフリカ政府は、2010年11月に新成長戦略を公表している。

この新成長戦略では、500万人の雇用創出を2020年までに達成させ、失業率を25%から10%削減して15%にするなどの目標を定めている。
雇用創出については、社会インフラ分野への投資で2015年までに毎年25万人分の雇用を創出し、鉱業関連分野においては2020年までに総計14 万人分の雇用を、同様に環境分野では30万人、製造業では35万人としている。但し、IMFの南アフリカの失業率見通しでは、2016年で22.2%と予測しており、現在の25%台の失業率と比較して減少すると予測されているとは言え、依然高い失業率であり、政府が主導しての財政支出で社会インフラ投資を増加させる事は有効であろうが、それ以外の分野、特に環境での30万人の雇用創出は達成が困難だろう。またそもそも新成長戦略を達成するには7%台の経済成長を維持する必要があるとされ、EUの状況などを勘案すると目標の達成は困難だろう。

南アフリカの経済成長を大きく改善する方法は、やはり黒人層の所得向上だろう。時間は掛かるが着実に成果を得る事が出来る。南アフリカ政府は、黒人の従業率を向上させ生活水準を向上させる施策として2004年にBroad Based Black Economic Empowerment Bill、所謂BEE法と呼ばれる法律を制定し、企業活動、経営、雇用、財・サービス調達などで黒人を一定の割合で参画させる事を企業に求めている。

例えば政府調達においてはBEE法の達成度合いが考慮され、また銀行や鉱山などの免許交付に当たっては、黒人の資本参加比率の引き上げが条件になっている。BEEにより今後黒人層の所得が改善され生活水準が向上すると黒人層の個人消費が伸張する事が容易に推察されるが、ケープタウン大学のユニリーバ研究所は、黒人の中高所得者層を「ブラック・ダイヤモンド」と呼んで、今後の南アフリカにおける重要な経済主体として注目している。

同研究所によると黒人中高所得者層は黒人消費者全体の12%の300万人とし、その平均年収は約8600ランドとしている。
昨日出された大和住銀投資投信投資顧問のレポート(http://www.daiwasbi.co.jp/column/etc/pdf/closeup_20110602_southafrica_02.pdf)によるとブラック・ダイヤモンドの月収は1万から1万5000ランドとしているが、何れにせよ南アフリカの人口8割を占める黒人層が、南アフリカの経済活動と構造を大きく変え、国全体の経済成長を担う経済主体たるポテンシャルがある事は自明だ。

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