阿部ブログ

日々思うこと

ロスネフチ と エクソンモービルが 北極海で ボーリング開始

2014年08月12日 | 雑感
ロシアの「ロスネフチ」と「エクソンモービル」(以下、エクソン)は、ロシア最北の北極海・カラ海にある石油プラットフォーム「ウェストアルファ/ウニベルシチェツカヤ-1」における掘削開始を記念するセレモニーをモスクワで開催した。これはプーチン大統領の石油採掘のための北極ボーリング開始命令に基づくもの。この大統領命令を受け、エクソンモービル・ノルウェーがリースした深海掘削リグ「Seadrill」が試掘作業を開始した。
このセレモニーには、ロスネフチのイーゴリ・セチン社長とエクソンモービル・ロシアのグレン・ワーラー社長が出席。ウクライナ問題でギクシャクする米露関係だが、図らずもプーチン大統領が、首相当時から明言していた、ロシア政府としてエクソンとロスネフチの提携をあらゆる面から支援するとの意思表明を確認する形となっている。

このセレモニーの背景にあるのは、21011年8月30日に締結されたロスネフチとエクソン両社による北極海大陸棚などでの油田探査・開発に関する業務提携だ。ロスネフチは、当初BPと契約締結に向け交渉していたが、BPのロシア合弁会社TNK-BPのロシア側株主がこれを阻止するため訴訟を起こし、提携は白紙となった。諦めないロスネフチは、新たな提携先を探し現れたのがエクソンと言う訳だ。
ロスネフチは、エクソンから海底石油掘削技術の提供を受け、北極海や黒海での深海油田開発にを本格的に着手する。ロスネフチは、サンクトペテルブルクに海底石油掘削を研究する技術センターを設立し、深海油田の開発技術のみならず、海洋環境の保護など様々なノウハウをエクソンから提供受ける。今回の業務提携の一部には、エクソンが開発を進めるメキシコ湾海底油田プロジェクトや、テキサス州のシェールガス田開発などの一部権益をロフネフチが取得する権利付与されている。これはエクソンが北極海アクセスする権利と引き換えで得たもの。

ロスネフチとエクソンによる共同開発の対象地域は、北極海と黒海。北極海の対象地区は東プリノボゼメルスクの3鉱区で12万6000平方km、推定原油埋蔵量は5,0000万トン、水深は50~150m。黒海の対象地区はトゥアプセ鉱区、1万1200平方kmで、埋蔵量は何と90億バレルと推定されており、2015年からボーリングが開始される予定。コストの大半はエクソンが負担するという。これは北極海と異なり、水深が1000~2000mと深海であり、リスクが伴うからだ。
この共同開発に投じられる資金総額は32億ドル。出資比率(持分)は、ロスネフチ66.7%、エクソンモービル33.3%。当然ながら米国政府は音なしの構えだが、ウクライナ問題で表面上関係悪化とはいえ、資源&エネルギーなどビジネスは別問題で、着々と金儲けに邁進する。これは当然だ。

今回のロスネフチとエクソンの共同開発がスタートした報を受けて思い出したのは、太平洋戦争中もスタンダードオイルが、ベーリング海沖で三菱商事チャーターのタンカーに石油を供給していた事。既に米軍の反攻がニューギニア方面で本格化している時期だが、ビジネスには関係ないと言う訳だ。燃料不足で連合艦隊が動かなくなっては、戦争にならないからだ。それでは投資が回収できない。