阿部ブログ

日々思うこと

中国の分散エネルギー、これからは天然ガスか

2013年09月09日 | 雑感
休暇ではあるが、品川で新幹線を下車して、三菱重工、ソニー、電通国際情報サービスを訪問して情報交換を行った。有益だったのは、三菱重工での話。

 ・中国における分散エネルギーは太陽光&風力発電を中心に展開してきた。現状は沿海州から内陸部に向けて様々なプロジェクトが立ち上がり展開中。
 ・但し、既設の風力は殆ど回っていないし、太陽光パネル企業は倒産しており完全に失敗。
 ・今、将に力を入れているのは天然ガス発電による送配電網を必要としない分散エネルギー。
 ・シェールガス&オイルは、水が希少な中国では無理がある。軽水炉にしても水が必要で沿海地域では大丈夫だろうが、内陸部向けの原子力は別の方式を考える必要あり。
 ・注目するのは高温ガス炉か。トリウム溶融塩炉もレアアースが関係するので開発は続けるだろうと推測している。
 ・中国では、スマートグリッドとかシティとか分散エネとか、様々なプロジェクトが立ち上がっているが、地方政府のプロジェクトは要注意。特に内陸部のプロジェクトには、日本から観て判然としないリスクがある。私見だが、地方政府のプロジェクトは、避けた方が良い。やるならば中央政府の関与と体制が明確なプロジェクトに限るべきだ。

                        

話を聞いていて、感じた事は、中国は相変わらず石炭が中心であるが、やはり鉄道などでの石炭輸送が問題。この石炭輸送を効率化でなく最適化できれば、中国国内の物流網に与えるインパクトは天文学的で、十分にビジネスになるだろうと言う事か。

シリア情勢 徒然なるままに ~トルコとイスラエルの動き~

2013年09月09日 | 雑感
9月8日午前、シリアから国籍未確認機がトルコ国境地帯に接近した為、トルコ空軍のF16機×6機がスクランブル。
スクランブルしたF16は、トルコ空軍・第2戦術航空団所属で、同航空団は、第181航空隊と182航空隊の2個飛行隊で構成されている。この戦闘機部隊は、米軍のパトリオットが配備されているディヤルバクル県に所在しており、シリア空軍機が国境地帯に進出した場合、躊躇なく断固として攻撃排除する態勢を崩していない。つまりトルコ空軍機は、完全武装でスクランブルし必要に応じて攻撃対処する。

トルコに配備されているパトリオットは2サイトで、1サイト当たり発射機は6基で、総配備数は12基。実戦運用は米軍400名が行う。今回のスクランブルは、トルコ空軍の早期警戒システムが探知しているが、それより早くマラトゥヤ県のキュレジッキ地区チャルシャク高地(標高2100m)にあるミサイル防衛レーダー基地のXバンド・レーダー(AN/TPY-2)が、シリア空軍機離陸と同時に警戒情報をトルコに駐屯するNATO軍とトルコ軍に提供している。トルコ軍も、米軍によるシリア攻撃間近と言う事で、遅ればせながらシリア国境のハタイ県シュルフ山頂に地対空ミサイルを展開。

(※参考:今回シリア攻撃に加わると想定されている米イージス艦は、大気圏外を通る長距離弾道ミサイルに対処する為、常時2隻程度が地中海に展開している。トルコに配備されているパトリオットは、短距離ミサイルとロケットからトルコを防衛し、THAAD(Terminal High Altitude Air Defence)が中距離ミサイルの脅威を排除しつつ、イージス艦が長距離弾道ミサイルを迎撃する。)

因みに同じ8日、シリア空軍のスホイ24×2機が地中海を移動し、キプロスの英軍基地に接近し偵察行動を行った。英空軍はトロードス空軍基地からタイフーン戦闘機をスクランブルさせている。キプロスには、最近何かと話題になるGCHQの傍受サイトがあり、イギリス戦闘部隊がキプロスから撤退してもGCHQは現状を維持する。
トルコは、シリア国内戦において化学兵器が使用された事を受けて、化学兵器防護資材の調達を増加させている。トルコは既に2008年にCBRN防護機材を16万2000セット(約6000万ドル)で調達しているが完納は2017年である。この為、トルコ軍はこのCBRN防護資材調達をの前倒しする。現在トルコ陸軍は、CBRNラボ施設一式の受領確認試験を進めている状況で、シリア国境に展開している機甲部隊を含む地上部隊を支援する為に、速やかに前線配備したい意向。トルコ陸軍は、トルコ南東部には、陸軍兵1万5000人、戦車・歩兵支援戦闘車や装甲輸送車など430台、155ミリ榴弾砲を含む148の戦闘火力を配備している。

イスラエルであるが、知り合いに聞くと、今の時期はホリデーシーズンで1年で一番良い季節らしい。既にイスラエル市民に対してはガスマスクが配られており、イスラエルは万全を整えているので心配ないとネタニヤフ首相、ヤアロン国防相、ガンツ参謀総長が言明している。イスラエルでは男も女も徴兵され当然ながらNBC訓練は受けるので、ガスマスクと付随装備を単純に配るだけで良い。日本ではこうは行かない。
シリア攻撃が現実味を帯びる中、イスラエルでは例年キリスト教徒(クリスチャン)のカンファレンスがエルサレムで開催される。「祈りの家」のトム・ヘス師のカンファレンスや、来週は、国際クリスチャンエンバシーの「仮庵の祭カンファレンス」が開催される。このカンファレンスには毎年5000人以上の海外参加者があると言うことで、シリア情勢が緊迫するが、関係者は、参加者は昨年並みと考えているとの事。予定通り恒例のパレードも実施する。

国家首脳が安全を保証している事もあるが、警戒するにこした事は無く、イスラエル国防軍は、6個中隊しかない近接防空システムのアイアン・ドームをエルサレムに1個中隊を配備した。アイアン・ドーム(פַּת בַּרְזֶל)は、Counter-RAMに分類される防空システムで、Rafael Advanced Defense Systems Ltd.社製。このアイアン・ドームは、2011年年3月末に、イスラエル空軍の第947大隊の2個高射中隊を、それぞれベエルシェバとアシュケロンに展開させたのが初めての実戦配備で、初戦果は、4月7日ガザ地区から発射されたBM-21ロケット弾の撃破。迎撃したのはアシュケロンに展開していた中隊。
優れもののアイアン・ドームは、着弾した場合の人的・物的被害の有無など脅威分析を行って迎撃する。ただの野原に着弾すると分析されると、アイアン・ドームはそのまま着弾させるのだ。アイアン・ドームのインターセプター(迎撃体)は“タミル(Tarmis)”と命名されており、アイアン・ドーム1個中隊は、それぞれ20発のTarmisを備えた発射機3基と、対砲・対迫レーダーELM-2084(フェーズドアレイ、Sバンド)、射撃管制ユニットで構成される。このアイアン・ドームが配備されれば、エルサレムの防空体制も準戦時体制並みに向上するので、安心してパレードが出来ると言うわけだ。

イスラエル軍は、シリア国境に精鋭ゴラニ旅団を戦闘体制において警戒偵察を強化しているが、このゴラニ旅団では、旅団長自身が関与した武器窃盗事件が発覚しており、イスラエル軍の腐敗が問題になって「喝」が入ったので、襟を正して職務遂行するだろう。因みにゴラニ旅団の指揮官の20%がグリーンライン(占領地)近傍に居住し、11%がキブツ&モシャブに住む。日本人がこの数字を見ても何とも思わないだろうが、これはイスラエル軍の変質を示すもので、見逃せない小さな変化です。

気仙沼の 「第18共徳丸」 が解体される~陸前高田の体育館とオリンピック招致~

2013年09月09日 | 雑感
東日本大震災の津波で、気仙沼港に寄港中だった儀助漁業(福島県いわき市)の「第18共徳丸」が内陸部に流され打ち上げられた。第18共徳丸は、全長60メートル、排水量330トンの大型巻き網漁船。
                  
これでは、大きすぎて撤去しようにもできない。
気仙沼は、陸前高田や大槌町とは違い、市役所など行政機関が津波の被害から免れている為、震災の記憶を伝えるモニュメントとして市役所としてはこの「第18共徳丸」を保存したい意向。市長や行政マンの気持ちはわかる。しかし、船主は複雑だろうなと思う。現地に行けばわかるが、周辺地域は広大な更地で、その中にポツンとこの船だけが鎮座している状況。結局、市民へのアンケートで解体が決まった。
自分が気仙沼市民だったらどのような判断をするのか? やっぱり解体だな。市民の判断は間違ってないと思う。
        
しかし、震災の記憶をモニュメントで後世に託すると言う事に反対しているわけではない。少なくとも陸前高田の体育館はモニュメントとして後生に残し託する価値はあったと思う。市役所やMAIYAまで残せとは言わないが。
          
今年8月、「陸前高田 くぎこ屋」の釘子さんにお世話になったが、陸前高田周辺では、土地の嵩上げの工事が進み、市有地と思われる山の木々が大規模に伐採されていた。そこからの土を嵩上げに使うのだ。旧市街地に重機がひしめく様はある種壮観だが、2020年のオリンピックが東京に決まり、都内の老朽化したインフラや国土強靱化関連投資が本格化すると、陸前高田をはじめとする被災地復興は遠のくこと必至だ。