阿部ブログ

日々思うこと

GEのスマートグリッド&スマートシティの取組み

2010年12月23日 | 日記
GEは、ファイナンス、放送(NBC)、家電製品など多様なビジネスを展開する企業であるが、その中でもエネルギー部門は主要部門の一つであり、従来から、タービン、各種重電機器、プラント等を電力業界に供給してきている。
そのような中で、同社は、スマートグリッドに係る製品、サービスを提供しており、具体的には、Asset Management、Grid Management、Sensor and Control、Network Equipment などに加え、プロジェクト全体も引き受けている。
また、同社は、同社のキャッチフレーズであるImagination を踏まえて、スマートグリッド専用のEcomagination というサイトを作成しており、最近では、2009年2月の全米の多くが視聴するスーパーボールにおいて、スマートグリッドに係る3D 技術を活用したコマーシャルを、300万㌦を投じて流したことが話題になっている。

GEのスマートグリッド・サービスは、スマートメーター、制御・管理用ソフトウェア、監視・システムの3つで構成され、その中核はスマートメーターである。GEのスマートメーターは、様々な通信方式に対応したAMI(Advanced Metering Infrastructure)で電力利用量、利用時間、電力消費サイクル・パターンなど、電力の利用状況の見える化と電力品質を監視も可能とする機能を実装している。このスマートメーターは、米国、カナダ、オーストラリア、メキシコ、スウェーデン、イギリス、韓国などで販売されている。

GEはスマートグリッドの実用性を検証する各種プロジェクトに参画し、カリフォルニア州、オハイオ州、デラウエア州などでの実証実験に対してスマートグリッド関連製品/ソフトウェア等を提供している。GEはキャップジェミニ、シスコ、hp、インテル、オラクルなどと共に「スマート・エナジー・アライアンス」を結成し次世代の電力供給システムの検討も始めている。

DOEの調査によると、スマートメーターの導入により、電力使用量が10%程度削減されるというデータがあるが、GEはスマートメーターと連携して使用電力などの見える化を可能とする白物家電の開発を表明している。電力の消費が具体的な数字でわかれば、料金の安い夜間に洗濯をするといった消費者の行動変化も期待でき、加えてエアコンの設定温度を電力網側から操作して適正に保つなど、ユーザーが意識しなくても省エネが行えるといった「自動化」(DMS:Demand Side Management)もGEの視野に入っている。

最近の動きでは、2009年6月2日、シカゴに拠点を置くComEdはスマートメーターの供給元としてGEを選定したと発表している。ComEdのスマートグリッド・プログラムが承認されれば、シカゴ近郊に14万1000台の双方向メーターを設置して、電気使用量と料金に関するリアルタイム情報を消費者に提供することが可能になる。

またGEのスマートグリッド対応家電製品が、ルイビルの家庭からマスダール・シティのビルまで、実験の場を広げようとしている。
GEは、同社のスマートグリッド対応洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジの最初の実験の場として、ケンタッキー州ルイビルを選んだ。これらの「スマート家電」が実用化されれば、家庭には省エネによる電気代の節約が可能になるとともに、電力会社側でも電力消費のピーク時における負荷軽減に役立つというメリットがある。
さらに同社は、これらの家電製品のプロトタイプと家庭用のエネルギー管理システムをアラブ首長国連邦に持ち込み、アブダビに220億ドルをかけて建設されるマスダール・シティ(Masdar City)で実験を行うことを明らかにした。マスダール・シティは、再生可能エネルギーを大規模に活用する砂漠の中の「ゼロ・エミッション都市」で、将来は約4万人の人間がこのグリーンテクノロジー関連技術の開発・製造の集積地で働くことになっている。この開発は首長国のひとつであるアブダビ所有の企業マスダールが進めるプロジェクトだ。

もちろん、いまはまだ4万人の住民は居ない。そこでGEでは来年前半に、最初の家電製品群をマスダール科学技術大学(Masdar Institute of Science and Technology)の建物内に設置することを計画している。この建物で暮らす約10人の住民が2年間にわたってこれらの家電をテストすることになると説明している。

マスダールといえば、大規模な再生可能エネルギー関連のプロジェクトがもっとも有名だ。そうしたプロジェクトのなかには、複数の太陽光発電所やソーラー・パネル製造施設への投資、そして10億ドルをかけて建設される風力発電施設などがある。アブダビはまた、スマートグリッド関連のインフラ整備も進めようとしている。デンマークのスマートグリッド・ネットワーク企業のアンプレックス(Amplex)によると、マスダールのこの計画には120万個のスマートメーターや変電所、制御施設などの展開が含まれるという。

ところで、GEはマスダール・シティに関して、スマート家電の実験以外にも取り組みを進めるつもりらしい。
「マスダール・シティのパイロットプロジェクトは、マスダールの完全子会社であるムブダラ開発(Mubudala Development Company)とGEとの間で結ばれたより広範な関係の一環として行われる。両者のこの関係は、航空、商業ファイナンス、産業ならびに企業の学習まで幅広い分野の取り組みを含んでいる」とプレスリリースのなかで述べている。

オープン・ガバメント 所謂、開かれた政府

2010年12月23日 | 日記
オープンガバメントとは、透明でオープンな政府を実現するための政策とその背景となる概念のことで、オバマ大統領が就任直後の2009年1月21日に公表した大統領メモ『Memorandum on Transparency and Open Govermment』の中で、より一層開かれた政府を目指すために、
 ①「政府・政策・情報の透明性(transparency)」
 ②「市民参加(participation)」
 ③「政府内および官民の連携(collaboration)」の3原則を示した。
現在、この原則に基づき、米国連邦政府機関では、様々な取り組みが行われている。

『Memorandum on Tranparency and Open Government』は、当時まだ指名されていなかった最高技術責任者(Chief of Technology Officer:CTO)は、OMB(Office of Management and Budget)とGSA(General Services Administration)の協力を得つつ各省庁と連携し120日内に「オープンガバメント指令」(Open Government Directive)の起案に関する提言を行なうよう要求している。

『Memorandum on Tranparency and Open Government』の概要は以下。

※本指令では連邦政府機関に次の行動を求める。

■1.政府の情報をオンラインで公開する。
・オープンなフォーマットでオンライン上で国民がアクセス可能な情報を拡大すること。オープンなフォーマットにより、情報の二次利用(reuse)を妨げる制約をなくすこと。
・各政府機関は受身ではなく、積極的に(proactively)最新のテクノロジーを活用すること。
・各政府機関は45日以内に、尐なくとも3つの有用なデータセットをオープンフォーマットにてData.gov上で公開すること。
・各政府機関は60日以内に、オープンガバメントウェブサイトを構築すること。このサイトは各機関のオープンガバメントの玄関となるようにすること。
・オープンガバメントウェブサイトは、フィードバックや評価(assessment)の機能を備えること。公開された情報の優先順位付けに資するインプットを提供すること。また、各機関のオープンガバメントプランについてのインプットを提供すること。

■2.政府の情報の質を高める。
・各政府機関はOMBの助言のもと、45日以内に、情報の質と客観性(objectivity)に責任をもつ高官(high level senior official)を指名すること。
・OMBは60日以内に、連邦政府の支出に関する情報の質に関するフレームワークをガイドライン等のかたちで公表する。
・OMBは120日以内に、連邦政府の支出の透明性に関する長期の包括的な戦略を公表する。

■3.オープンガバメントのカルチャーを構築し制度化する。
・各政府機関は120日以内に、オープンガバメントプランを各機関のオープンガバメントウェブサイト上で公開すること。
・連邦政府CIOとCTOは60日以内に、オープンガバメントダッシュボードを構築する。このダッシュボードでは各機関のデータを集計するとともに、オープンガバメントの進捗についてビジュアル化する。
・OMBならびに連邦政府CIO、CTOは45日以内に、ワーキンググループを設置する。このワーキングでは、透明性向上に関するイノベーティブなアイディアに基づいたベストプラクティス、各取り組みの調整、国民参加や協業に関するイノベーティブなアイディアに基づいたベストプラクティス(新しい技術の活用方法やそうした技術の政府内外への示唆の抽出を含む)などを取り扱う。

■4.オープンガバメントのために実現可能な政策フレームワークを構築する。
・OIRA(Office of Information and Regulatory)は120日以内に、OMBの政策についてレビューすること。


上記の「オープンガバメント指令」を受けて「オープンガバメント的に」広く国民の意見を積極的に聴取し取入れることを目標として「オープンガバメント・イニシアティブ(Open Government Initiative)」の取組を発表し、3つのフェーズに分けて専用Webサイトよりオープンガバメント政策についての意見や提言の募集が行なわれた。

 ①ブレインストーミング・・・2009年5月21日~5月29日
 ②討議期間・・・・・・・・・2009年6月3日スタート
 ③草稿期間・・・・・・・・・2009年6月24日~7月6日

国民からの様々な提言等を受けて連邦政府は情報公開・透明性の確保を目的とした下記のような各種サイトが立上がっている。

(1)Data.gov
(2)Recovery.gov
(3)IT Dashboard
(4)DoDTechipedia
(5)Regulations.gov
(6)Open for Questions
(7)HelthReform.gov
(8)Peer to Patent
(9)Idea Factory
(10)Science Integrity Brog
(11)Aristotle
(12)Development2.0 Challenge

各サイトを見てみるとオープンガバメントの最新の状況を感得する事ができるだろう。