阿部ブログ

日々思うこと

アジア(中国・日本)のスパコンがTop5に相次いでランキング

2010年12月02日 | 日記
東京工業大学のスーパーコンピューター(スパコン)TSUBAME2.0が今年11月1日から本格運用を開始した。
このTSUBAME2.0は日本初のペタフロップス・スーパーコンピューター(ペタコン)であり、一般的に多用されるインテルなどのCPU中心ではなく、グラフィック処理専用チップであるGPUを中心としたベクトル型計算機である。現在、TSUBAME2.0はスパコンの世界ランキング第4位、省エネスパコン世界ランキングでも第2位を占め、Top10のスパコンの中で最も小さく、最もエネルギー消費が少ないペタコンである。

世界最高速のスパコンは、中国の「天河1号A」(天津)で、これは計算処理装置の物理的規模を単純に大きくすると言う中国得意の人海戦術的アプローチである。この点、TSUBAME2.0は第4位とは言え、1/10の規模での快挙であり新たな新機軸を打ち立てたと高く評価できる。

スパコンTop5のうち中国(1位、3位)、米国(2位、5位)、日本(4位)とアジア勢が大勢を占めており、今後の欧米諸国の反撃に注目したい。特に米国は2002年~2003年に世界ランキング1位を独占した地球シュミレーターに対し、過剰に反応し、スプートニク以来の脅威と受け止めた米国は、2004年12月に『イノベーティブ・アメリカ』(通称:パルミサーノ・レポート)、2005年10月に『強まる嵐の上に昇る』などのレポートを相次いで出版し、官民上げてノベーションに邁進し2004年にはスパコン第1位を奪還した事は記憶に新しいが、中国のスパコン「天河1号A」に対しても同様の反応を示している。既に米国はペタコンの更に上の「エクサコン」の開発に着手したとの情報もある。

スパコンはその国の技術の結晶であり、今後の先端産業(軍事、宇宙航空、自動車など)にも大きく影響する事から日本、中国、米国の三つ巴のスパコン開発競争には今後も注視する必要がある。

リチウムイオンキャパシタ

2010年12月02日 | 日記
リチウムイオンキャパシタと言う、現状日本でしか生産されていないデバイスがある。

リチウムイオンキャパシタの原理は電気二重層キャパシタと同じで、炭素素材を主成分とする一対の電極と電解液から構成され、電極の表面に形成されるイオンの吸着層(電気二重層)に電気エネルギーが蓄積される仕組み。

リチウムイオンキャパシタは、正極材に活性炭、負極材にリチウムイオンを吸蔵する炭素材料を使う事で、高電圧・高エネルギー密度特性を達成しているが、これは負極のプレドーピングによって負極の静電容量が増大される為。

リチウムイオン電池と異なり、自己充放電が少なく長期電力貯蔵に適する。また充放電も電荷の移動によるもので、繰り返し寿命が長い特性がある。
リチウムイオン電池の充放電は6000回程度だろうが、リチウムイオンキャパシタは10万回から100万回の充放電に耐えうるデバイスである。

【リチウムイオンキャパシタ開発の経緯】

・2004年12月、カネボウが、ポリアセンを材料に用いた蓄電池の研究開発を推進していたが、電池事業の売却に伴い、ポリアセン・キャパシタ技術を昭栄エレクトロニクスへ譲渡。 ・2005年8月18日、富士重工業(株)はリチウムイオンキャパシタに関する技術を有償で提供するとともに、当該キャパシタ技術に関する一連の特許の実施権を許諾し、技術指導も行うと表明。

・2005年11月、富士重工業が負極材料にポリアセン系材料を用いて負極へリチウムイオンを大量にプレドーピングするキャパシタの技術を公表。これを期にリチウムイオンキャパシタ開発が加速。 ・2006年2月、日本ミクロコーティングが富士重工とリチウムイオンキャパシタを研究、開発、開発委託、試作、製造委託、使用、販売委託する非独占的通常実施権を取得。(契約期間5年)

・2006年6月28日、昭栄エレクトロニクスが富士重工とリチウムイオンキャパシタ技術の非独占的通常実施権を締結。(契約期間は10年)

・2007年3月1日、太陽誘電が昭栄エレクトロニクスの全株式を取得し、完全子会社化。

・2007年8月、日本ミクロコーティングとJSRが折半出資でリチウムイオンキャパシタ専門会社JMエナジー㈱を設立。

・2008年5月20日、日本ミクロコーティングは、JMエナジーの保有株式の全てをJSRに譲渡。

・2008 年11 月、JMエナジーが世界初の商業規模のリチウムイオンキャパシタ製造工場を竣工させ、商業生産を開始。

・2010年2月12日、三菱電機がリチウムイオンキャパシタとリチウムイオン電池の複合型蓄電デバイスを開発と発表。

・2010年4月5日、JSR、東京エレクトロン、イビデンの3社が 「次世代LIC技術研究組合」を設立。