フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

慶州(キョンジュ)行 その1:桜の話

2008-07-17 23:33:01 | Busan finally
学生に予約してもらったマイクロバス、ガイド兼運転手の金さんに乗せてもらい、世界遺産の土地、慶州に出かけることにした。車で1時間半ほどのところ。車は北へ、そして東へと高速を走っていく。途中のウルサンあたりは半導体メーカーなどのIT産業の土地。山がうねうねと続いて途切れることがない。韓国は、日本と同じように国土の多くが山で占められているとのこと。

やがて、その山間から慶州盆地の平らかな土地が次第にひらきはじめる。同時に青々とした水田が暑気の中に涼しげに見えてくる。

ガイドの金さんは道の並木を指さしながらこれはみんな桜ですよ。このへんは桜で有名で、春は素晴らしいのですとのどかに口を開いた。戦争が終わったとき、韓国人は桜は日本の象徴だと嫌って、片っ端から切っていったんですよ。ところがあるとき、ある学者が侵略した日本の象徴と言っても、桜がきれいなことにはかわりがないじゃないか。そもそもこの国にも桜があったのだからと語り、それから桜をもう一度植えはじめたのです、と言った。そして、他には何も言わず、春はみんなお花見をしますよ、それは素晴らしいんですよ、と繰り返した。

韓国で桜の話をするのは難しい。しかも私はどちらかと言うと桜が苦手だ。金さんの桜の話は、日本人をガイドして回る彼が、100の嫌悪を語るかわりに1の好感を述べたに過ぎないかも知れない。しかしその1の好感を述べるだけでも、100の嫌悪は伝わるのだし、しかもそれを感じさせながらも、1の好感に感動させてしまう。

ガイドの金さんはなかなか食えない。これをぼくは誉め言葉として言っているのです。
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