フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

『世界の日本語教育』休刊

2009-04-08 22:50:56 | today's focus
毎年この時期のブログを読みかえすと、いつも桜の花弁の散りかたについて書いている。今日も、じつは大学の桜並木から風もないのにおびただしい花弁がカーテンか滝のように散り続けているのを見た。中原中也との最後の思い出を小林秀雄が書いた短いエッセーに、鎌倉の寺の境内にある海棠は、あれはわざと花弁を散らしているのだ、何という静寂、何という完璧さ、と書いていたそんな感じもあった。しかし、無粋なことを言うと、それはなんだかむせかえる杉花粉のようにも見えて、鼻がムズムズしてしまった。

さて、表題のこと。昨年から編集委員を仰せつかっていた国際交流基金の雑誌『世界の日本語教育』が今回の19号をもって休刊となってしまった。国立国語研究所の日本語教育部門が解体されることになり、国際交流基金も必死に生き残り策を考えているらしいが、その一貫で、雑誌は当面休刊ということらしい。

ぼくのように海外で日本語教育を始めた人間にとっては、基金とその雑誌は、国研(あ、すみません、私もOBです)や日本語教育学会などの国内の日本語教育と違った風通しの良さを感じてきたこともあり、とても残念ではある。『世界の日本語教育』は教育研究、学術研究の両方をうまくバランスを取りながら、海外の教師や研究者の論文投稿を積極的に促進してくれたものであり、文字通り世界のさまざまな国や地域で行われている日本語教育のハブとなっていたはずである。

雑誌編集について、さらにpeer reviewの原則を強めたいと思ったりしていたのだが、今はそれもかなわない。

留学生30万人計画がすすめられつつあるこの時期、何ともチグハグな文化政策である。あ、そうか、ニッポンには文化政策などなかったんだった。
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