フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

岩手・宮城行き(4)

2011-07-30 09:35:45 | today's focus

翌日、予定を変えて南三陸町に向かった。最初の予定では気仙沼から北に陸前高田と大船渡をまわることにしていたが、昨日のボランティア・センターで南三陸町ではまだ瓦礫撤去の仕事をしていると話してくれたのが頭に残っていたことと、来る前に見直していたYoutubeの映像で最も怖いものの1つが南三陸町の志津川高校からの映像だったことで、考えを変えたのだ。

レンタカーのナビに従っていくと、東北自動車道で南下、若柳金成の出口から出て、水田地帯を通る細い本吉街道を東に走っていく。346号線を横切ってまもなく北上川が現れる。川は畑や民家のある地面よりずっと下にあって、長い間に川が削っていったことがわかるような地形だ。そこからすぐに川を渡って本吉街道をすすめばよかったのだが、何本も道が交差している要所で、川沿いに車を走らせてしまった。このナビの悪いところは、運転手がナビ通りに進まないと、つい黙ってしまうことにある。標識に「石巻市」が見えだして、これはおかしいと思った次第。

しかし、このあたりの風景も、じつに穏やかでうつくしい。ゆったりと流れる北上川で魚釣りや川遊び、横では捕虫網でトンボを捕ったりする、そんな絵が目に浮かぶ。いわば里帰りの夏休みが思い浮かぶようなところだ。結局、車は川が二分するところまで南下して、45号線(東浜街道)に入ることができた。北上川はじつは登米市のところで、新北上川と旧北上川に分かれる。明治の洪水対策事業とのこと。

津波がなかったら、原発の放射能がなかったら、快適なドライブだっただろう。空も晴れ、緑はさらに輝いている。

山間の道をゆっくりと下り始めると、家並みが途絶え、まだ海の気配もないのに、道の両側に粗大ゴミのようなものが転がりはじめた。いつのまにか気仙沼線の線路もなくなった。そして森の木も道に近いところが黒くなって枯れていた。なんだろうと思っている間に何もない平地と海が見えてきた。陸前戸倉。本当になにもない。わずかにコンクリートのかたまりが傾いているのと、遠くに小学校か中学校が残っているのみだ。あたりの森もすべて津波に浸食されたところが黒く枯れている。海の護岸のコンクリートもみごとに破壊され、瓦礫のような木材が波に揺れていた。

志津川湾はわずかにエメラルド色を帯びて、つらいほどに風光明媚だった。

 

 

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