関東は夕方になって雲が厚くなり、ぽつぽつと雨が落ち始めた。
バスのフロントウィンドウにつく雨粒を見て、ぼくはいやな気がした。
バスはゆっくりと停留所に止まり、ドアが開いたので、ぼくは
降りるしかなかった。一緒に降りた住民二人は雨を避けるように
走っていった。ぼくは傘もなくどうしたものかと一瞬怯んだが、
歩くことにした。雨が頭に落ちるのを感じながら、心なしか
臆病に首を下げて。
家にたどり着いてから11日から続いているニュースを見たり、
ネット記事を読んだりしていた。
12時をすぎて、さて、寝ようと思い、キッチンに立った。
寝る前に水を一杯飲むのが習慣だから。
なにか他のドリンクを探したけれど、適当なものがなかった。
それで水道からコップに水を汲み、口に運んだ。水はいつもの
ようにのどをゆっくりと通って落ちていった。
水を飲んだのはぼくのはっきりとした意思だったと思う。
ぼくは水を飲みながら、なにか新しい世界に踏み込んだ気がしたのだ。
その世界が酸性雨の降りしきる「ブレードランナー」の世界なのか
まったくべつな世界なのかはわからない。どのような世界かは
あとになってしかわからないだろう。しかし、それは明らかに
11日以前の世界とは異なるにちがいない。
バスのフロントウィンドウにつく雨粒を見て、ぼくはいやな気がした。
バスはゆっくりと停留所に止まり、ドアが開いたので、ぼくは
降りるしかなかった。一緒に降りた住民二人は雨を避けるように
走っていった。ぼくは傘もなくどうしたものかと一瞬怯んだが、
歩くことにした。雨が頭に落ちるのを感じながら、心なしか
臆病に首を下げて。
家にたどり着いてから11日から続いているニュースを見たり、
ネット記事を読んだりしていた。
12時をすぎて、さて、寝ようと思い、キッチンに立った。
寝る前に水を一杯飲むのが習慣だから。
なにか他のドリンクを探したけれど、適当なものがなかった。
それで水道からコップに水を汲み、口に運んだ。水はいつもの
ようにのどをゆっくりと通って落ちていった。
水を飲んだのはぼくのはっきりとした意思だったと思う。
ぼくは水を飲みながら、なにか新しい世界に踏み込んだ気がしたのだ。
その世界が酸性雨の降りしきる「ブレードランナー」の世界なのか
まったくべつな世界なのかはわからない。どのような世界かは
あとになってしかわからないだろう。しかし、それは明らかに
11日以前の世界とは異なるにちがいない。