RURUのひとりごっち

「博多にわか」な「独り言」と「ごちそうさま」を鍋に放り込んでなんだか煮てみたら・・・ひとりごっちが生まれました。

草を枕に寝れないホーホケッキョウな現場行

2007-07-25 18:09:21 | さるきましょう

(ハゼの木には自由奔放さと包容力が同居している)

昨日は自転車男と共に現場調査に熊本まで行った
梅雨が明けた北部九州はてりてりの真夏日よ
高速代ケチって一般道を行ったら往復6時間半かかったよ
朝出て家に戻ったのは深夜だった
現場は玉名の菊池川沿いにあって
日陰のない堤防を汗だくで歩いていると
堤防の土手の急斜面のあちこちに、ハゼの木があった
ハゼの木はウルシ科ウルシ属だから、かぶれる人は注意がいる
別名ロウの木と言う、果皮からロウをとるからだ
ウルシの木からロウがとれるのを見た人が同じような木だからと
ハゼの木からも取れるだろうとやってみたらしい

何故かそのハゼの木に沢山のうぐいすがいて
ほ~ほ~。けきょ、けきょ、ほほほ~。けきょんけけ け
と啼いていて
珍しかったので思わず携帯のボイスレコーダー「ON」である

後で聞いたら結構うまく録音されていた。
しかしこの炎天下に聞くウグイスの声って
春告鳥のイメージが壊れるなあ
まあ生態的には8~10月頃まで啼くらしいが
実際にこんなにまじかで沢山啼いているのに
出くわしたのははじめてだ
梅にウグイスじゃなく
ハゼにウグイス 額に汗ながれ 土手にはトンボ
ウン・・・トンボも飛んでたよ、今は何月?
ええそうです、梅雨の明けた7月の真夏日よ
秋津国の原風景見たり・・・だね

この現場から程近いところに、夏目漱石の「草枕」の舞台となった
前田案山子の家の跡や、物語に登場する「那古井の宿」の名を
とった料理屋や、例の山道がある。

「草枕」冒頭部分
山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、
寛容げて、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。

名文中の名文だけど、それよりも
るるが発見したのは、草枕の前半のほうにあるこんな一節

婆さんは袖無しの上から、襷をかけて、
竈の前へうずくまる。余は懐から写生帖を取り出して、
婆さんの横顔を写しながら、話しをしかける。
「閑静でいいね」
「へえ、御覧の通りの山里で」
「鶯(うぐいす)は鳴くかね」
「ええ毎日のように鳴きます。此辺は夏も鳴きます」
「聞きたいな。ちっとも聞えないとなお聞きたい」
「あいにく今日は――先刻の雨でどこぞへ逃げました」

って、くだりがあるのよ、発見よ!
この地に来てウグイスの声を聴いて
このくだりを読んではじめて、そうだったのね、
このへんは昔からウグイスが沢山いたのね
って納得した次第であります。


(前田家別邸の一部再生・・見所は当時のままの浴室・行って見よう)


この草枕に出てくる「志保田の隠居」と「那美さん」と「兄さん」
のモデルとなったのが、前田案山子(かがし)氏と
その次女の卓(つな)さんと長男の下学(かがく)氏で
前田案山子氏は細川藩の指南役を勤めた武芸の達人でもあり
明治維新後は自由民権運動の闘士であった人

今ちょっと福岡県じゃブームの石炭王伊藤伝衛門の邸宅が一般公開
されていて、その妻だった歌人白蓮(大正天皇いとこでもある)が
宮崎隆介と駆け落ちした「白蓮事件」西日本新聞に連載で話題になったけど
そのお相手の宮崎隆介という人が、この前田案山子の孫なのです
前田家の3女槌(つち)と宮崎寅蔵(滔天)の長男として生まれた
父親の滔天は清朝政府から追われる孫文や革命派リーダー黄興らを支援に
私財を投じた人、そのせいかどうか?
長男隆介は子供時代前田家に預けられていたらしい。

玉名市天水に行くことがあったら、草枕交流館と前田家別邸と
斜面に広がるみかん畑の山道を登って、草枕天水温泉に行って見てください
温泉には500円ぽっきりで入れます、絶景の露天風呂もあるので
有明海に夕日が沈む頃にぜひ浸かって

「とかくこの世は生きにくい・・・」

と、つぶやいてみてください

以上の本日のるる地方観光案内でした。





(現場付近・・・何故か約1名不満分子のいるひまわりとがまの穂)