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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

元憲兵大尉・小坂慶助と『のたうつ憲兵』

2016-07-16 04:54:35 | コラムと名言

◎元憲兵大尉・小坂慶助と『のたうつ憲兵』

 先日、小坂慶助著『のたうつ憲兵』(東京ライフ社、一九五七)を入手した。数年前、どうしても、この本が読みたくて、わざわざ国会図書館まで赴き、数時間かけて読んできたことがある。その本を、偶然、見つけ出すことができて喜んだ。しかも、カバーが付いていた。国会図書館で読んだ本は、カバーがなかったと記憶する。
 本日は、同書のカバーの背表紙にあった著者紹介、および著者略歴を引用してみたい。著者紹介は無署名だが、たぶん、東京ライフ社の沼田千之という人であろう。

 妖怪、変化を物語る人といったら、勿論、ハッタリです。だが、本書の著者の小坂さんの語るところは、底抜けの驚きであるか、天井知らずの爆笑であるかします。そして、常に、迷路を辿る思いで聞かされます。
 それでは、小坂さんの話しの背景は何かということになると、一言でいえばなんでもないことで、日本の軍部の大膨張期を、東京にあって、中央の憲兵を二十年間つとめ上げた、その体験談であるというだけです。しかし当時の憲兵さんは、わたし達の知らない社会の裏の裏まで掻いくぐって、これだけのことをしたのです。
 小坂さんは文筆には素人であるといっていますが、銭形平次のガラッ八もどき人物まで拉し来たった構成力と筆力には、結構、楽しませて貰えます。
 次に、これだけの体験を持つ人は、現存の日本人では小坂さんただ一人であるということも、その物語るところの強みです。過去の追憶とのみ看過し得ない点です。

小坂慶助【こさかけいすけ】 明治33年、東京生れ。大正12年、特高勤務。甘粕事件、難波大助事件。昭和3年、三・一五、四・一六事件、三月事件、十月事件。昭和6年、五・一五事件。昭和7年、血盟団事件、神兵隊事件。昭和9年、十一月事件。昭和10年、相沢事件。昭和11年、二・二六事件。昭和14年、皇居放火未遂事件。昭和17年、中支当陽憲兵分隊長。元憲兵大尉。三年間巣鴨にて服。現在、会社役員。
(現住所=東京都世田ケ谷区東玉川○○○番地)

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「日本国家科学大系」第11回配本は1944年7月

2016-07-15 02:01:06 | コラムと名言

◎「日本国家科学大系」第11回配本は1944年7月

 一三日のコラムで、実業之日本社の日本国家学大系(一九四一年一二月~)は、全十四巻が予定されていたが、実際に、十四巻全部が刊行されたのかどうか、まだ調べていないと書いた。もちろん、まだ、調べは終わっていないが、少なくとも、第一一回配本がおこなわれていた事実が判明した。
 というのは、その後、同大系の第二巻『哲学及社会学』(一九四四年七月、第一一回配本)を入手したからである。
 この本には、さいわい、月報「国家科学(11)」が挟まっており、日本国家学大系の「総目次」が載っている。これによって、この時点での未刊が、第一一、第一二、第一三の三巻であることが確認できる。

 以下、月報「国家科学(11)」によって、再度、日本国家学大系の「総目次」を紹介してみる。月報「国家科学(7)」と相違している部分があるが、これは、下線で示しておいた。【 】内は、引用者による注記である。

「日本国家科学大系」総目次(○印は既刊)

○第一巻 肇国及日本精神
日本肇国史       神宮皇学館大学長文博 山田孝雄
日本精神論           東北帝大教授 村岡典嗣
日本文化史            京大助教授 高山岩男
古文学に現れたる日本精神   東大教授/文博 久松潜一
近代史に現れたる日本精神   東大教授/文博 中村孝也

○第二巻 哲学及社会学
日本哲学             九大助教授 田中 晃
日本史の哲学         京大教授/文博 高坂正顕
日本社会哲学論        東京商大教授 金子鷹之助
歴史的世界観の哲学   東京文理大教授 文博 務台理作
家族社会学          東大教授/文博 戸田貞三
【神戸商大教授・五百旗頭真治郎「フアシズム社会哲学」、および、東京商大教授・高島善哉「経済社会学」は、収録されていない】           

○第三巻 国家学及政治学(一)
日本国体論         広島文理大助教授 正木慶秀
日本国家学        教学錬成所錬成官 大串兎代夫
ナチス国家学         神戸商大助教授 俵 静夫
ファシズム国家論        東北帝大教授 新明正道

○第四巻 国家学及政治学(二)
日本政治学           東洋大学教授 藤澤親雄
国家総力秩序の原理    高岡高商講師 経博 大熊信行
新政治体制の原理          早大教授 内田繁隆
全体主義政治学           東大教授 矢部貞治

○第五巻 法律学(一)
日本固有法論         京大教授/法博 牧 健二
東洋法制史論        東大教授/法博 仁井田 陞
現代法哲学の基本問題      東北帝大教授 廣濱嘉雄
日本法学の原理           日大教授 会田範治
ナチス法律哲学        中央大学教授 柴田甲四郎
【東京商大教授・米谷隆三「ファシスタ法学の基礎理論」は、収録されていない】    

○第六巻 法律学(二)
大日本帝国憲法の神髄    慶大教授/法博 山崎又次郎
ナチス憲法の特質       明大教授/法博 大谷美隆
ファシズム憲法の特質     神戸商大助教授 俵 静夫
現代行政法の基礎理論       東大教授 杉村章三郎
日本刑法学序説       東大教授/法博 小野清一郎
現代刑事法の基礎理論     東京控訴院判事 安平政吉
現代訴訟法の基礎理論 神戸商大名誉教授法博 齋藤常三郎
全体主義民事訴訟法理論       慶大教授 宮崎澄夫

○第七巻 法律学(三)
現代物権法の基礎理論    京大教授/法博 石田文太郎
現代債権法の基礎理論        東大教授 我妻 栄
現代身分法の基礎理論      東北大教授 中川善之助
現代商法の基礎理論         東大教授 鈴木竹雄
会社法の新動向          前京大教授 大橋光雄    
現代労働法の基礎理論        九大教授 菊池 勇
勤労新体制の基本原理     日大教授/法博 孫田秀春
現代経済法の基礎理論      東京商大教授 常盤敏太
 
○第八巻 経済学(一)
現代の経済哲学      公易営団理事 経博 杉村廣蔵
国家科学としての日本経済学  京大教授/経博 谷口吉彦
日本戦争経済の理論       東大助教授 難波田春夫
統制経済原理          東京商大教授 杉本栄一
法と統制経済            慶大教授 峯村光郎
物的資源論        東京工大教授 経博 川西正鑑
人的資源論             東大講師 北岡寿逸

○第九巻 経済学(二)
産業統制の原理         東京商大教授 赤松 要
戦時産業統制論    大阪商大学長 法博  河田嗣郎
戦時農業統制論        東大教授/農博 東畑精一           
商業統制論       東京商大教授 商博 増地庸治郎
企業統制論       神戸商大教授 経博 宮田喜代蔵
労務統制論          東京商大教授 山中篤太郎
【東京商大教授・赤松要「工業統制論」が消え、同「産業統制の原理」が筆頭に置かれた】

○第十巻 経済学(三)
全体主義財政論      東京商大教授 経博 井藤半彌
租税統制論          京大教授/経博 汐見三郎
物価統制論        東京商大教授 経博 山口 茂
金融統制論         慶大教授/経博 金原賢之助
貿易統制論          日商理事/経博 猪谷善一
海上及航空交通統制論     早大教授/商博 島田孝一
陸上交通統制論      戦時生活相談所参事 横川四郎

 第十一巻 文化・教育及厚生政策論(一)
文化原理                 長谷川如是閑
国民文学論       前東京商大教授 文博 吹田順助
美術文化政策論          東大教授 児島喜久雄
音楽文化政策論        国学院大学教授 田辺尚雄
演劇映画文化政策論     学習院教授/文博 新関良三
ドイツ文化政策論         慶大教授 今泉孝太郎
【経済学博士・飯島幡司「出版文化政策論」が、消えている】

 第十二巻 文化・教育及厚生政策論(二)
新教育理論          慶大教授/文博 小林澄兄
新教育政策論        教学錬成所錬成官 伏見猛彌
青少年教育論           東大助教授 海後宗臣
労務者教育論      労働科学研究所長医博 暉峻義等
科学教育論       通信院工務局長 工博 松前重義
日本厚生政策原理        東大助教授 大河内一男
経済と厚生       東京商大教授 経博 中山伊知郎
我国厚生政策の展望         九大教授 菊池勇夫

 第十三巻 国防論及世界新秩序論(一)
国防国家の基本原理         京大教授 黒田 覚
国防と国民組織       早大教授/法博 中野登美雄
国土計画論           東京商大教授 佐藤 弘
日本地政学史            京大講士 室賀信夫
日本地政学          京大教授/文博 小牧実繁
国防地政学         東京商大予科教授 江澤譲爾

○第十四巻 国防論及世界新秩序論(二)
世界新秩序論         東大教授/法博 神川彦松
東亜民族史論         民族研究所所員 江上波夫
東亜外交史論             法博 鹿島守之助
東亜新秩序論        法大教授/経博 高木友三郎
東亜経済圏論        小島経済研究所長 小島精一
東亜法秩序考       教学錬成所錬成官 増田福太郎

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原子爆弾を米国が使えば日本も使うことになる

2016-07-14 07:17:44 | コラムと名言

◎原子爆弾を米国が使えば日本も使うことになる

 この間、中村正吾秘書官、および黒木勇治伍長の「日誌」によって、七一年前(一九四五年)の「今ごろ」の出来事を紹介している。出典は、それぞれ、中村正吾著『永田町一番地』(ニュース社、一九四六)、および黒木雄司著『原爆投下は予告されていた』(光人社、一九九二)である。
 本日は、『原爆投下は予告されていた』から、七月一四日~七月一六日の日誌を紹介する(二一二~二一五ページ)。七月一六日の日誌は、アメリカが、七月一五日の「原子核爆発の実験に成功」したことに言及している。

 七月十四日 (土) 晴
 午前零時、勤務に上番する。下番の田中候補生より、これは意味がわからないのですがと前置きし、
「昨夜午後十時のニューディリー放送では、昨日(七月十三日)、米国務省は四月一日の阿波丸沈没事件の責任を認める声明を発表、陳謝の意を表し、賠償問題は戦後まで延期を要望した、と放送しました」という。
「ああ、あれは四月一日撃沈された阿波丸は、連合軍捕虜への救恤品を積んでおり、航行の安全を保障された緑十字を船体に描いている。いわゆる安導券(交戦国が敵部隊の場所に行くことを許可する文書)を無視して米国の潜水艦が台湾海峡で撃沈した件で、たしか四月下旬ごろ、日本政府が米国政府に抗議文を提出した解答だ。そのころの放送で記録に残したと思うが、よく米国は調べて事実を調査、自らの非を確認してくれた。敵ながら天晴れ〈アッパレ〉といいたいと思う」と答えた。
 二日続きの敵襲があったというものの昼間ばかりで、深夜から早朝にかけてのこの一勤は、今日も電話はどこからもかかって来ない。
 午前八時、下番する。下番後はすぐ横になる。午後四時起床し、毎日の行事の通り昼食、洗濯、入浴、夕食と過ごす。

 七月十五日 (日) 曇後雨
 今日は日曜日、勤務交替日で、自分は一勤と三勤の二勤となる。
 午前零時前半の一勤の勤務に上番する。下番者田中候補生の報告によると、
「昨夜午後十時のニューディリー放送では、(一)昨日(七月十四日)、米航空母艦よりの艦載機約百機は東北地方の各都市および青函連絡船航路の船舶並びに北海道南部を空襲し銃爆撃致しました。(二)また、これとは別でありますが、昨日(七月十四日)、米艦隊は釜石市を艦砲射撃致しました。(三)イタリアは昨日、日本政府に対し宣戦を布告しました」
 青函連絡船航路の船舶とは、連絡船そのものを意味するが、大半は一般人で、中には軍用の者もいたかも知れない。が、戦争をここまで拡大してもよいのだろうか。
 日本武士は、相手側の老若男女を問わずだれでも切り捨て御免とやったことはなかったように思う。それだけに一般大衆に向かっての銃爆撃は、本当に腹にすえかねる。釜石といえば製鉄所を思い出すが、軍需産業の中の鉄は重要な基幹産業、艦砲射撃とは恐れ入った。なんだか工場の建家が吹っ飛ばさたり、煙突に穴があけられているような気がする。
 イタリアもイタリアだ。昨日までの日独伊三国防共協定はどこに行った。日本に宣戦布告したといって、何ができるんだ。もちろん、その当時のムッソリーニとは政権の座は変わっているとしても、信用のおけない国だ。
 午前五時ごろ厠に行くと、雨が降り出した。今日の日曜日、敵さん、休日だなと思う。
 午前八時、下番する。【中略】
 午後四時、上番する。下番者田中候補生が勤務中異常なしという。雨が降れば無理もない。自分の勤務になっても静かである。
 午後十時、ニューディリー放送が流れてくる。
 ――こちらはニューディリー、ニューディリーでございます。本日(七月十五日)、米軍P51約百機は、東海地方の各都市を空襲し爆撃しました。繰り返し申しあげます。…………。――
 内地は雨が降らないのだろうか。雨が降っても飛んでくるのか。太平洋上とて雨が降れば視野狭く、そのうえ霧も出やすいだろうに。雨が休みは重慶軍の航空隊だ。重慶からは幾つも山を越えて来るために安全性からして休みにするのだろう。三勤も雨では電話なし。午後十二時、下番する。

 七月十六日 (月) 雨
 昨日からの雨は今日も降る。三勤のためにゆっくり起床する。朝食後、雨にもかかわらず洗濯する。洗濯しないと、今日の午後四時、上番するのに衣袴がない。どうせ濡れついでと、褌一枚の姿で、あれもこれも全部洗濯。室内満艦飾となる。【中略】
 午後四時、上番する。下番者申し送りなし。雨で静かな模様である。耳にレシーバーを当て正面を凝視しているものの、考えることは、一体これからどうなるのだろうかと。
 午後九時半、隊長が今日は浴衣姿で入浴をすませたような顔で入って来られた。もちろんのこと雪駄履【せつたば】きである。
 午後十時、ニュディリー放送が流れてくる。
 ――こちらはニューディリー、ニューディリーでございます。信ずべき情報によりますと、本日(七月十六日)も米軍P51百機は、前日に引きつづき東海地方の各都市を空襲し銃爆撃致しました。また別の情報では昨日(七月十五日)、米国ニューメキシコ州アラモゴードで、世界最初の原子核爆発の実験に成功致しました。繰り返し申しあげます。…………。――
 隊長も、上山中尉も、じっとして黙ったままだった。突然、隊長が口を切られた。
「おい上山、この前、貴様の説明では、原子爆弾とは原子核が破壌することで、一発の爆弾が投下されると広範囲にすべてが表土から焼き尽くされ、人は即時にして形骸を残さずと聞いたようだが、米国内で、実験をやることは、その影響が心配されるがどうか」
「隊長殿、ニューメキシコ州というのは砂漠地帯です。いま何里四方か何十里四方かおぼえていませんが、とにかく大砂漢地帯の中央で、原子核の核分裂によっての核爆発を、ダイナマイトを爆発させるのと同じ要領でタイマーを取りつけ、三十分後なら三十分後に爆発させるようにして、人は車で安全地域まで退避して待てば問題ありません。要は安全地域まで車で走破の時間プラスα【アルフア】を必要時間として、タイマーをセットすればよいわげであります。砂漠とか、太洋の無人島などは実験するのに適地であります。
 毒瓦斯【ガス】以上のものは当然、毒瓦斯禁止協定の中に包含されるということで、あるいは日本陸軍は躊躇して前回報告した以上の開発を止めているかも知れませんが、研究の下地ができており、いつでも研究され、日ならずして使用できる状態となるでしょう。したがって、原子爆弾を米国が使えば、日本も使うと思います。ただこの前にも申しましたが、大都市に落とされると人類の滅亡を意味することになりかねません。つまり米国が落とせば、日本も報復する。さらに相手が落とすと報復する。エスカレイトすると、大変なことになります」
 隊長芦田大尉はみじろぎもしないで、じっと上山中尉の説明を聞いていた。自分も今晩は電話がないまま話に聞き込んでいた。
 午後十一時すぎ、隊長は腕を組み、何かを考えるようにして下を向きながら、雪駄の音をさせて出ていかれた。上山中尉もその後しぼらくして出られた。
 自分たちは負けていない。しかし、日本はつぎつぎと敵の新しい技術と数多の物量で攻めつけられているように思われる。上山中尉のいわれる通り、敵が原子爆弾を使ったら、基礎データーがあるからすぐ造れるようにいわれたが、その間の一、二ヵ月の間につぎつぎとこの爆弾を投下されたら、間に合わぬではないか。
 ニューディリー放送は、日本内地では聞かれただろうか。聞けないのだろうか。大本営の情報参謀の耳に入っているだろうか。一下士官の心配することでないといわれれぼそれまでだが。隊長から連隊長へ、さらに上司にと、ぜひぜひ報告して欲しい問題である。午後十二時、下番。

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「日本国家科学大系」全14巻の総目次

2016-07-13 03:16:42 | コラムと名言

◎「日本国家科学大系」全14巻の総目次

 アマゾン経由で、日本国家学大系の第四巻『国家学及政治学(二)』(一九四三年二月、第七回配本)を入手した。函入り、月報付きである。
 月報「国家科学(7)」によれば、日本国家学大系の「総目次」は、次のようになっている。同大系は、全十四巻が予定されていたが、結果として、未刊に終わった巻もあったのではないか。しかし、そのことについては、まだ調べていない。なお、同大系の責任編集者は、日本大学教授、法学博士の孫田秀春〈ソンダ・ヒデハル〉である。

「日本国家科学大系」総目次(○印は既刊)

 第一巻 肇国及日本精神
日本肇国史       神宮皇学館大学長文博 山田孝雄
日本精神論           東北帝大教授 村岡典嗣
日本文化史            京大助教授 高山岩男
古文学に現れたる日本精神   東大教授/文博 久松潜一
近代史に現れたる日本精神   東大教授/文博 中村孝也

 第二巻 哲学及社会学
日本哲学             九大助教授 田中 晃
日本歴史哲学         京大教授/文博 高坂正顕
日本社会哲学         東京商大教授 金子鷹之助
全体主義社会哲学    東京文理大教授 文博 務台理作
フアシズム社会哲学    神戸商大教授 五百旗頭真治郎
家族社会学          東大教授/文博 戸田貞三
経済社会学           東京商大教授 高島善哉

第三巻 国家学及政治学(一)
日本国体論         広島文理大助教授 正木慶秀
日本国家学      国民精神文化研究所員 大串兎代夫
ナチス国家学         神戸商大助教授 俵 静夫
ファシズム国家学        東京商大教授 新明正道

第四巻 国家学及政治学(二)
日本政治学       国民精神文化研究所員 藤澤親雄
国家総力秩序の原理        経済学博士 大熊信行
新政治体制の原理          早大教授 内田繁隆
全体主義政治学           東大教授 矢部貞治

 第五巻 法律学(一)
日本固有法論         京大教授/法博 牧 健二
東洋法制史論     東洋文化研究所員法博 仁井田 陞
現代法哲学の基本問題      東北帝大教授 廣濱嘉雄
日本法学の原理           日大教授 会田範治
ナチス法律哲学        中央大学教授 柴田甲四郎
ファシスタ法学の基礎理論    東京商大教授 米谷隆三

第六巻 法律学(二)
大日本帝国憲法の神髄    慶大教授/法博 山崎又次郎
ナチス憲法の特質       明大教授/法博 大谷美隆
ファシズム憲法の特質     神戸商大助教授 俵 静夫
現代行政法の基礎理論       東大教授 杉村章三郎
日本刑法学序説       東大教授/法博 小野清一郎
現代刑事法の基礎理論     東京控訴院判事 安平政吉
現代訴訟法の基礎理論 神戸商大名誉教授法博 齋藤常三郎
全体主義民事訴訟法理論       慶大教授 宮崎澄夫

第七巻 法律学(三)
現代物権法の基礎理論    京大教授/法博 石田文太郎
現代債権法の基礎理論        東大教授 我妻 栄
現代身分法の基礎理論      東北大教授 中川善之助
現代商法の基礎理論         東大教授 鈴木竹雄
会社法の新動向           京大教授 大橋光雄    
現代労働法の基礎理論        九大教授 菊池 勇
勤労新体制の基本原理     日大教授/法博 孫田秀春
現代経済法の基礎理論      東京商大教授 常盤敏太
 
 第八巻 経済学(一)
現代の経済哲学     貿易統制会理事 経博 杉村廣蔵
国家科学としての日本経済学  京大教授/経博 谷口吉彦
日本戦争経済の理論       東大助教授 難波田春夫
統制経済原理          東京商大教授 杉本栄一
法と統制経済            慶大教授 峯村光郎
物的資源論             拓大教授 川西正鑑
人的資源論             東大講師 北岡寿逸

 第九巻 経済学(二)
産業統制総論        大阪商大学長法博 河田嗣郎
戦時農業統制論        東大教授/農博 東畑精一
工業統制論           東京商大教授 赤松 要
商業統制論       東京商大教授 商博 増地庸治郎
企業統制論       神戸商大教授 経博 宮田喜代蔵
労務統制論          東京商大教授 山中篤太郎

第十巻 経済学(三)
全体主義財政論      東京商大教授 経博 井藤半彌
租税統制論          京大教授/経博 汐見三郎
物価統制論        東京商大教授 経博 山口 茂
金融統制論         慶大教授/経博 金原賢之助
貿易統制論          日商理事/経博 猪谷善一
海上及航空交通統制論     早大教授/商博 島田孝一
陸上交通統制論      戦時生活相談所参事 横川四郎

 第十一巻 文化・教育及厚生政策論(一)
日本文化原理               長谷川如是閑
国民文学論        東京商大教授 文博 吹田順助
美術文化政策論          東大教授 児島喜久雄
音楽文化政策論        国学院大学教授 田辺尚雄
演劇映画文化政策論     学習院教授/文博 新関良三
出版文化政策論          経済学博士 飯島幡司
ナチス文化政策論         慶大教授 今泉孝太郎

 第十二巻 文化・教育及厚生政策論(二)
新教育理論          慶大教授/文博 小林澄兄
新教育政策論      国民精神文化研究所員 伏見猛彌
青少年教育論           東大助教授 海後宗臣
労務者教育論      労働科学研究所長医博 暉峻義等
科学教育論       逓信省工務局長 工博 松前重義
日本厚生政策原理        東大助教授 大河内一男
経済と厚生       東京商大教授 経博 中山伊知郎
我国厚生政策の展望         九大教授 菊池勇夫

 第十三巻 国防論及世界新秩序論(一)
国防国家の基本原理         京大教授 黒田 覚
国防と国民組織       早大教授/法博 中野登美雄
国土計画論           東京商大教授 佐藤 弘
日本地政学史            京大講士 室賀信六
日本地政学          京大教授/文博 小牧実繁
国防地政学         東京商大予科教授 江澤譲爾

第十四巻 国防論及世界新秩序論(二)
世界新秩序論         東大教授/法博 神川彦松
東亜民族史論       東方文化学院研究員 江上波夫
東亜外交史論             法博 鹿島守之助
東亜新秩序論        法大教授/経博 高木友三郎
東亜経済圏論        小島経済研究所長 小島精一
東亜法秩序考     国民精神文化研究所員 増田福太郎

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『日本会議の研究』と『日本会議の正体』

2016-07-12 02:58:06 | コラムと名言

◎『日本会議の研究』と『日本会議の正体』

 青木理〈オサム〉さんの『日本会議の正体』(平凡社新書、二〇一六年七月八日)が発売になったので、購入してみた。参議院議員選挙の数日前に、発刊されたようだが、地元の書店の店頭にはなく、昨一一日になって、都内の書店で入手した。
 ザッと読んでみた感想だが、菅野完〈スガノ・タモツ〉さんの『日本会議の研究』(扶桑社新書、二〇一六年五月一日)とは、きわめて対照的な本だと思った。
 菅野さんの本では、各種の資料を博捜しながら、日本会議の実像に迫って行くという手法が用いられている。一方、青木さんの本は、関係者へのインタビューを重ねながら、日本会議という組織の本質に迫ろうとしている。もちろん、菅野さんも関係者へのインタビューをおこなっており、青木さんも、資料の紹介をおこなっている。しかし、あくまでも、菅野さんの本では、各種資料の発掘と分析が「主」であり、青木さんの本では、関係者へのインタビューが「主」である。
 菅野さんが採った手法は、在野研究者が、しばしば用いる手法であり、青木さんが採った手法は、ジャーナリストが得意とする手法である。
 どちらも、興味深く魅力的な本だが、私にとっては、『日本会議の研究』のほうがインパクトがあって、おもしろかった。『日本会議の研究』のほうが先行したからという理由もあるが、それだけではない。「日本会議」の問題性を指摘する切れ味において、『日本会議の研究』のほうに鋭いものを感じたからである。
 周知のように、『日本会議の研究』に対しては、四月二八日の日付で、扶桑社宛に、「直ちに出版の差し止めを求める」旨の「申し入れ書」が届いたという。申し入れ書の名義は、「日本会議/事務総長 椛島有三」である。
 菅野さんは、この「申し入れ」に対して、次のようにツイートされた(四月二八日)。

 かかる上は、もはや、拙著『日本会議の研究』は、本丸をつきまくっていたと断ぜざるをえず、「出版差し止め」まで版元に要求された以上、今後は当方としても全方位に対して、戦闘状態に入らざるをえず、日本会議をしばき倒す勢いで臨むしかない

 なかなか戦闘的である。
 もともと、この『日本会議の研究』という本には、随所に、こうした「戦闘性」が見られ、それが、ひとつの魅力になっている。一方、『日本会議の正体』という本は、それに比べれば、きわめて穏健な感じに仕上がっている。読者諸氏には、是非、両者を読み比べてみることをおすすめしたい。

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