ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

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『40歳定年化と雇用流動化』~山田 久さんの「ビジネス展望」の要約

2012年09月17日 | ラジオ番組

『40歳定年化と雇用流動化』
       9/17 NHKラジオ 山田 久さんの「ビジネス展望」の要約です。

政府の国家戦略会議のフロンティア分科会がまとめた報告書で、
40歳定年制が提案された。
定年制については、65歳まで延長しようという動きのある中で、
大きな議論を呼んでいる。

この提案は、昨今の経済の低成長の要因として、
衰退産業から成長産業への労働力の移動が、スムーズに行われていない、
という見方に立っている。
ゆえに、日本を活性化するには、雇用の流動化が必要であると主張し、
将来的には、有期雇用が望ましく、
人生で2~3回転職する事が普通になるような社会を目指すべき、としている。

その為には、定年制を見直す必要があり、
入社20年以降から、定年年齢を設定できるようにし、
最速では、40歳定年を認めるべきである。としている。

さて、これは有効な提案と言えるのだろうか?
現実には、非正規社員が増える過程で、雇用の流動化は既に活発になっている。
雇用が流動化しているのに、むしろ経済は低迷していている。

ただ、それに守られる形で、正社員の流動化は低下して来ているので、
今回の提案は、正社員についてメスを入れようとしてしている事がわかる。

それでは、正社員を流動化すれば、経済や若者雇用情勢は良くなって行くのか?
日本経済をマクロで見ればその通りであるが、
ミクロに見れば、個別のケースでは、そう単純には行くわけがない。

正社員の流動化が低い理由を探ってみると、
男子正社員の流動化率よりも、女子正社員の流動化率が大幅に低下している。
つまり、女子社員の勤続期間が長くなってきた事が、大きな理由である。
女子正社員の雇用の長期化が、
非正規雇用社員の採用に、企業を向かわせた大きな理由でもある。

また、産業全体の活性化と、雇用の流動化の関係も単純ではない。
例えば、自動車の製造工場では、長期勤続の熟練の労働者が必要だし、
IT産業では、新しい高度な技術を持つ技術者を中途採用した方が良い。
こいうやり方の方が、ミクロの企業の競争力強化には、はるかに有効である。

つまり、『雇用の流動化で活性化する』ことは、マクロ的にはその通りだが、
個別企業では、必ずしもそれでは上手く行かない事もある。

要は、企業にとっては、
人材のタイプのバリエーションを増やした労働市場こそが望みで、
企業は、その中から、
最適に組み合わせて雇用できるようにすることである。

逆に、労働者にとっても、
働き方の選択肢が増えて、キャリア形成にもつながって行く、
という形にしてあげるべきである。

それでは、具体的にはどうしたら良いか。
山田さんは、何かぶつぶつ言われていました。

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山田さんの、いつもの通りの、内容の無い、記憶に残りにくいお話でした。
要約を書く以上は、フロンティア分科会の報告書を実際に読んでおかねばと、
ネット検索したのですが、ちょっと長い。
それでは、概要をと、そちらも開いたのですが、これも長い。

この報告は、7月6日に出されたものですが、
山田さんは、2ヵ月以上もたって、なぜ今朝の話題にされたのでしょうか?
このテーマを、今朝聞いた瞬間は、『何か深い説明があるか』と、期待したのですが。

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下記はフロンティア分科会事務局の責任で作成されたもので、
こちらのサイトに掲載されている。
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive06.html

フロンティア分科会報告書について(概要
~あらゆる力を発露し創造的結合で新たな価値を生み出す「共創の国」づくり~
                                       平成2 4 年7 月6 日
                                       フロンティア分科会事務局
分科会報告にあたって:
「「共創の国」実現のために転換期の最前線で挑戦するものを熱く
支える社会をつくろう」 大西座長

1.フロンティア分科会の使命とは
日本を「希望と誇りある国」にするために、2050 年の日本のあるべき姿を描くととも
に、その前に立ちはだかる様々な課題を解決するための政策の方向性を示す(「課題先
進国」日本が切り拓くべき先駆的な国家モデルを示す)。

2.2050 年の日本の姿
<「坂を転げ落ちる」延長線上の日本(=「こうあってはならない」姿)>
グローバル化に乗り遅れた日本は、新興国との競争に敗れて基幹産業を空洞化させ、
環境産業などの国際的な成長分野においても競争力を失う。人口減少ともあいまって
マイナス成長が続き、経済規模は縮小。国民がアイデンティティを喪失し、中核的国
益の維持も危ない。

<あるべき日本の姿=「共創の国」>

1)日本各地に高付加価値分野の産業が立地し、アジアをはじめ世界各地の産業集積と
つながり、活発な知識創造を背景に次々とイノベーションが生まれ、新たな価値が創
出されている。人々は自分の適性や環境に応じて、柔軟性をもたせながら働いている。

2)日本は、ヒト、経済、文化、伝統、技術などを含め利用可能な資源を効果的に運用
しながら、安全保障はもとより、経済や環境などに関する国際的なルール・制度づく
りに進んで関与するとともに、国際公共財の供給者となって、国際的に敬意を払われ
る国となっている。

3)すなわち、多様な主体がともに潜在力を最大限に引き出し、それらを創造的な結合
によって新たな価値を創出する「共創の国」。

3.「共創の国」づくりのためになすべきこと

1)「共創の国」づくりのためにどのような「叡智」が求められるのか。
2)「共創の国」がいかに「繁栄」「幸福」「平和」という目標を実現していくのか。

<叡智>
1)「共創の国」づくりのためには、異質な存在や新たな知識とふれあい、多様なものを
組み合わせながら、新しい着想を生み出す能力(=「開かれた心」)が必要。
2)社会基盤として、
① 「交流」(=それぞれの主体が細分化された特定の分野や既成の社会集団を越えて
出会い、情報の発信者かつ受信者となること)、
② 「混合」(=多様な能力や資源を組み合わせて、新たな価値を創出すること)、
③ 「変容」(=異質なものや多様性、それらから生み出される新たな価値を受け入れ、
さらに共存してみずからをも更新していくこと)
の力を定着させることが必要。
3)「交流」「混合」「変容」を社会インフラにしていくには、情報や知識を社会や市場に
つなげる環境設定が必要。(膨大な情報を効率的に利用できる仕組みの整備、教養教
育・海外留学の充実)

<繁栄>
1)現在の経済規模をある程度拡大させていくことを目指し、一人あたりのGDPを継
続的に成長させていくことが、国民の生活水準を持続させるために最低限必要な条件。

2)そのために、環境・新エネルギー産業、海洋鉱物資源開発、医療・創薬などのイノ
ベーションが期待できる分野に対する民間投資の促進を検討すべき。

3)内需型産業に多い「眠れる」企業を、もてる潜在力をフルに発揮する企業に変容さ
せるために、貿易・投資の自由化や国際的事業環境のイコールフッティングを確保す
るとともに、全国的かつ大胆な規制改革と地方自治体への大幅な権限移譲を進め、民
間や地方の創意工夫が十二分に生かされるようにすることが必要。

4)人口減少社会で一定の経済規模を維持していくために、女性の就業促進に加え、定
年制の廃止や社員への再教育機会の保障等、企業内人材の新陳代謝を促すような柔軟
な雇用ルールの整備や「学び直し」の機会の充実、グローバル人材の育成など「人財
戦略」を打ち立てる必要がある。

5)将来に向けたチャンスや希望を与えるため、給付の削減や負担増を継続的に進め、
できるだけ早い段階で、世代間の所得移転から世代内移転を強めるよう社会保障制度
を改革するのが望ましい。

<幸福>
1)幸福を、自他ともに認められ、自己実現の機会に恵まれ、将来への希望が持てる状
態(=「尊厳ある生」)と定義。その保障のために、「基礎ニーズの保障」、「関係性の
保障」、「持続可能性の向上」の3つの軸で考えていく必要。

2)「持続可能性の向上」:「尊厳ある生」のための改革には、その財政的な裏付けの確保・
拡大が不可欠。2020 年までのプライマリーバランスの回復、その後の財政再建の確実
な達成のため、歳出削減、経済成長、増税という3つのアプローチを通じて行うべき。

3)「基礎ニーズの保障」:基礎ニーズの充足と学び直しや新たな就労機会の創出も含め
た制度の見直しが必要。特に、子どもの貧困の解消、情報通信技術の活用や番号制度
の導入による医療の効率化、行政手続から各種相談までの包括的生活支援サービスや
育児支援、近隣住民が食事や憩いの時間を共有できる場づくりが必要。そのために社
会的起業を促進する規制改革やインセンティブの導入(⇒コンパクトな「福祉都市」
づくり)。

4)「関係性の保障」:柔軟な就労形態がすべての人に選択可能な労働市場の構築(正規・
非正規に二分された就労形態の解消、ICT活用による在宅勤務促進、長時間労働抑
制など)、家族を築きたい人たちにとっての障害の除去(雇用環境の改善など)、複数
の家族や個人がスペースを共有して生活する場や地域の人々が日常生活を通じて自然
に交流する場づくりの促進、ハード・ソフト両面の技術力を活かした「絆・両立テク
ノロジー」の開発導入などが必要。

<平和>
1)日本が平和や豊かさを保つと同時に、国際的に存在感を持ち、よき存在として評価
され、敬意を抱かれる国となるためには、互恵的・協調的な経済的発展の追及、人間
の安全保障の推進など、多様な側面においていっそう能動的な平和主義をとるべき。
軍事力、経済力のみならず、外交、科学技術、開発援助、文化、環境、エネルギー資
源・食料供給源の確保など他の手段を組み合わせた対外政策の展開と、そのための戦
略的構想を担う人材の養成と国家体制の整備が必要。

2)自衛手段として一定の安全保障能力を保持することが重要。アメリカや価値観を共
有する諸国と安全保障協力を深化し、ネットワーク化を目指すべき。安全保障協力を
深化させるためにも、協力相手としての日本の価値を高めることも不可欠であり、集
団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行の見直し等を通じて、安全保障協力手段
の拡充を図るべき。

3)日本が新興国を含む安定した秩序形成をはかり、国際的な影響力を維持していくた
めには、安全保障、環境、経済、宇宙、海洋など多様な分野において、「先進国と新興
国を含めた国際的ルールメーキング」に主導的な役割を果たすことを考えるべき(と
りわけアジア太平洋諸国との経済統合の深化が不可欠)。

4.2025 年までに重点的に進めるべき政策の方向性

<叡智>
・知識と情報を社会や市場につなぐ仕組みを戦略的に強化:公的機関の保有する統計情
報の公開、情報の効果的活用のための研究プロジェクト、実証実験、情報を組み合わ
せて解決策を構想できる人材の育成
・叡智を「現場」で育成する教育の推進:自然・芸術・知性等との直接的触れ合いの充
実、ICTを活用した擬似環境の整備
・大学学士課程における共通教育(教養教育)の充実
・自然共生型社会の実現:人文・社会科学を含めた科学的知見を充実させ、エネルギー
利用の効率化、再生エネルギーの普及拡大、情報技術、環境重視の土木に活用。

<繁栄>
・「人財戦略」の国家戦略への位置づけ:労働力の流動化と働き手の増加。そのために、
柔軟な働き方と雇用・解雇ルール、すべての世代の学び直し、教育投資の充実、民間
仲介サービスの促進、女性活躍のための制度見直し、外国人学生受け入れの拡大。
・世界的に魅力のある「地方」づくり:地方と世界とのダイレクトなつながり。大胆な
規制改革と地方への権限移譲。フロンティア特区。
・規制改革を通じた成長:世界的競争を可能とするビジネス環境の整備、徹底的な規制
改革、農業や内需型産業の成長・輸出産業化
・課題克服に向けた科学技術・イノベーションへの投資促進:民間投資の促進、科学技
術政策の合理的な推進。
・旧弊を改め、未来への投資の拡大:スクラップ・アンド・ビルド、世代間所得移転に
歯止め、社会保障給付の重点化・効率化⇒将来世代への教育、人材育成

<幸福>
・自己実現の機会に格差が生じないよう貧困の解消:対象範囲を十分精査の上、義務教
育の完全無償化、子どもの養育費用の軽減、児童福祉の充実、生活保障とセットの再
チャレンジ支援
・生活支援サービスの充実:包括的生活支援の拠点づくり、社会的起業の促進
・あらゆる人の就労という社会参加の実現:正規―非正規に二分された就労形態の解消、
柔軟な就労形態、年齢や障害などによる差別の撤廃
・「場」の共有と家族づくりにやさしい環境整備による「無縁社会」の解消
・プライマリーバランスの黒字化による持続可能性の確保

<平和>
・適切な安全保障能力の保持
・地域的な協力の増進と信頼構築
・人間の安全保障の積極的な推進
・国際的なルールメーキングへの積極的な参画
・対外政策能力を高める国家体制づくり

5.フロンティアを切り拓き「共創の国」を実現するために

1)政治が信頼を回復しなければ、将来に対する不安は払拭できない。いかなる政党も
国家ビジョンを示し、その実現のための専門知識に立脚した政策作りを行い、それを
さらにマニフェストで示し、政権獲得の暁には国民に見えるかたちでPDCAサイク
ルに乗せ、確実に説明責任を果たしていくことが必要。

2)未来を切り拓くためには国民みずからが意識変革をする必要がある。一方、政治は
国民に日本が進むべき道を指し示し、国民に意識変革と協力を要請するリーダーシッ
プが必要。

3)国家ビジョンは、日本という一つの共同体に生きる我われが、これから将来に向け
てともに歩んでいく道を照らすもの。本報告の内容が、国家戦略会議における議論の
材料にとどまらず、広く社会全体で国家ビジョンを議論するためのたたき台となるこ
とを期待。

※本概要は、フロンティア分科会事務局の責任で作成したものであり、正確には報告書本体の記述
を参照されたい。


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