ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

晴れた日は農業とウォーキングとライカ、雨なら読書と料理。
そして毎日ラジオがお伴です。

一体改革と生存権

2012年07月31日 | ラジオ番組

一体改革と生存権  
                
7/31 内橋克人さんのお話しの要約です。

今回の一体改革という政府の持ち出し方について、
国民はおおむね、次のように受け取り、思い込んでしまっているのではないだろうか。

まず、増税を受け入れれば、国民の受ける社会保障は充実してもらえる。
次いで、増税を受け入れなければ、年々増加する社会保障費を賄えなくなり
結果において社会保障の水準が低下する。

こういう『消費税の増税は痛いけれども、社会保障の維持充実のためにはやむを得ない』
という空気が、日本中に次第に醸し出されてしまっている、ということである。

しかし、消費税増税を認めれば社会保障は、本当に充実し持続可能になるのか?
それを正しく知るためには、法案の中身を熟読する必要がある。

例えば、第1 章(総則)第2条の1に自助・公助という言葉が出て来る。
また、家族扶助、国民相互の助け合い等の仕組みを通じてその実現を支援する、
それが国家の責任である 、という定義が出てくる。

しかし、元々、社会保障の概念というのは、憲法第25条1項にあるように、
『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』
という規定に求められなければならないものである。

個人だけで生きることはなかなか容易ならぬ社会にあって、
個人が自立するための支援を国家に求める権利があり、
それが『生存権』の本質であるはずである。

社会保障を相互扶助に求めるのは、戦前に相互扶助がよく言われたが、
その時代に逆戻りする事に他ならない。

勿論、お互いに助け合うことは大切であるが、憲法では『生存権』を
「自助・公助さえも困難な困窮者に等しく最低限の生活を営む権利を保障する」と定めている。
社会保障の根幹はこの精神にある。
自助・公助を強調するのは、社会保障給付の抑制・削減に狙いがあるとしか思えない。

次に残念ながら、社会保障を本当に充実させようとする文言が見当たらない。
高齢者医療制度にしても、国民的関心事は
将来社会保障制度改革国民会議を設置して、そこに下駄を預ける、という手法になっている。
一般会計からの社会保障給付の支出を削るという狙いが、
長い長い文言の行間に、用心深く散りばめられているということがわかってくる。

法案の審議と時を同じくして、公共事業計画がクローズアップされている。
昨日(7月30日)の東京新聞がその核心をよく伝えてくれている。

自民党は今後10年間に200兆円、公明党は同じく100兆円、の公共事業を唱え、
民主党にも公共事業拡大論を唱える人達がいる。
それは、6月の民主・自民・公明の3党合意で、
公共事業推進の一文が盛り込まれたからである。

消費税率を10%に引き上げると、新たに13.5兆円の財源が生まれる。
その総てが、社会保障の充実に使われると、多くの国民は思い込んでいるわけであるが、
これは、とんでもない錯覚である。

実際には、社会保障に充てて来た借金(赤字国債)を減らすのに充当されて行くのである。
そればかりでなく、経済への影響を踏まえて、余力を公共事業に廻すことが企てられている。
つまり、消費増税で得た財源が、間接的に公共事業に廻るのであるから、
これでは、財政再建は遅れ、追加増税を迫られる恐れがある。

厳しいデフレ下での増税に批判の声が高まってくると、
その増税による歳入増を当て込んで、デフレ克服をうたい文句にして
大型公共事業の巨大計画が並んで行くわけである。

これでは、消費税増税と公共事業の一体改革ではないか。

この東京新聞の警鐘には、全く同感である。
今こそ、真に社会保障を充実させる為の改革を、政治に迫らなければならない時である。

東京新聞の当該記事を読むのは有料のようです。
同趣旨の同社の社説がこちらにあります。
    http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012080202000065.html
こちらの北海道新聞の社説もわかり易いです
    http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/389311.html

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中小企業のグローバル人材の育成を青年海外協力隊で

2012年07月30日 | ラジオ番組

中小企業のグローバル人材の育成を青年海外協力隊で
        
7/30 山口義行さんのお話しの要約です

今年度から外務省が中小企業の海外進出を支援することを始めている。

中小企業支援というと、通常は経済産業省や中小企業庁であり、
海外展開の支援ということになると
経済産業省の外郭団体であるJETRO(日本貿易振興機構)が担っている。

そこへ外務省も、外郭団体である JICA(国際協力機構)と協力して
中小企業の海外進出を支援するということを始めたのである。

中小企業が海外展開しようとする時に一番大きな障害になるのは
それを担う人材がいないということである。
そこで、青年海外協力隊を使って、そのグローバル人材の育成に
役立てようというのが今回のJICAによる支援策である。

実際に青年海外協力隊の経験者がいる企業の経営者は
それによる効果を高く評価している。

JICAの具体的な支援策としては、
中小企業が従業員を青年海外協力隊に参加させる場合には
その中小企業に対して、その人の人件費を補てんすることをしている。

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これからの中小零細企業に求められるもの

2012年07月27日 | ラジオ番組

これからの中小零細企業に求められるもの
             
7/27 藤原直哉さんのお話の要約です

これからは、世界の不景気の影響が日本の中小零細企業にも広がってくる。

今まで中小零細企業というと、世界経済の動きに無関心なことが多く、
自分としては、目前の仕事だけをしていれば良いという認識が強かった。

その為もあって、この20年間、多くの中小企業は淘汰の波に洗われてきた。

しかしながら、こういう時だからこそ、
規模は小さくても、非常に高い技術力とか、良質な顧客基盤を持つ中小企業は
活躍のチャンスは増えて来ている。

こういう企業は、地域ごとに連携していたり、異業種と連携していたり、
自力で海外進出している事もある。
つまり、大企業や政府をあてにせず、自力で活躍する力と横に連携する力を持っている。

こういう成功している企業を見ると、
こういう企業こそ、次の時代の経済再生の柱になろうとしている事がわかる。 

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穀物価格の上昇をどう見るか

2012年07月24日 | ラジオ番組

穀物価格の上昇をどう見るか
            7/24 山下一仁さんのお話の要約です。

米国の国土の6割が干ばつに見舞われて作物被害が深刻化した。
このため、国際的に小麦やトウモロコシなどの穀物価格が急上昇している。

2008年にも穀物価格が上昇した。、
この時は、原油価格が高騰したため、
トウモロコシがガソリンの代替燃料として使われるようになり、
まず、トウモロコシの価格が高騰した。

多くの農家は、これを見て、大豆の生産をやめて、トウモロコシの生産を拡大したので、
その結果、大豆の価格が上昇した。
また、トウモロコシの代わりに小麦を家畜の飼料にまわしたので、小麦の価格も高騰した。
小麦の代替品である米(コメ)の価格も上昇した。

また、投機マネーが商品市場に流入したのも大きな要因であると、指摘された。
インドやアジアの新興国では、大変な食糧危機に見舞われた。

一方今回の場合は、原油価格が上がっていなので、
トウモロコシは、代替燃料としての需要が落ちてきている状況であり、
食料・飼料用としては、そう不足する事はない。

他の大豆・小麦にしても、世界全体の供給量は十分にあり、
食料危機を起こすほどのことはない。
穀物の平均価格も2008年に比べ4割以上低く推移している。

日本への影響であるが、
日本の畜産業では、米国産の穀物を飼料として使っているので、
牛肉や豚肉などの価格は上昇するだろう。
また、豆腐・味噌・醤油の原料に米国産の大豆を使っているから
これらの製品の価格も高騰してくるだろう。
ただ小麦は、農水省が価格管理をしているので、
輸入価格が高騰してきても、パンやスパゲッティーの価格がそれほど上昇する事はない。

そうは言っても、そもそも、日本の飲食料の最終消費額は73.6兆円であるが、
その内、
輸入農産物の占める金額は、1.2兆円に過ぎないので、
輸入する穀物価格が高騰しても、日本の消費者に大きな影響はない、と言える。 


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人材のグローバル化の課題

2012年07月23日 | ラジオ番組

 

人材のグローバル化の課題
     7/23 山田 久さんのお話の要約です。

この先、日本企業の生産活動の半分以上は海外で行われるようになる。
それも新興国での生産がを主体となる。
そこでは、現地法人の経営の自主性とか主体性が重要になって来る。
その為には、海外勤務の経験のある社員を増やしていく事や、
現地出身者に経営をまかしていく事が必要になって来る。

そういう意味で『人材のグローバル化』が必須の事となって来ているが、
日本の場合は、あまり上手く行っていない。
特に、現地法人の”経営の現地化”が遅れている。
現地法人をトップに据える事も少ないし、
日本の本社との連携もスムーズとは言えない。

逆に、欧米の企業では、
現地出身者を本社部門で働かせたり、
出身地とは別の国でも働かせる事も出てきており、
人材のグローバル化は普通の雇用形態になっている。

日本でグローバルな人材を養成するにはどうしたら良いか?
まず、外国人と一緒に仕事をする事になれることが重要である。
それには、海外勤務させたり、外国人を日本の職場で採用する事が有効である。


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ライボー・スキャンダル

2012年07月20日 | ラジオ番組

ライボー・スキャンダル
                                 7/20 田中直毅さんのお話しの要約です。

ロンドンのシティーで、
金融界の専門人が結託して”いかさま”をやっていた、ということで

世界に大きな衝撃が走った。

ライボースキャンダルは今後どう展開するか?

まず第一に、今後の規制をどうするか、ということがある。
つまり、金融当局は金融業者に対してどのような原則で立ち向かうか、という事である。
これまでロンドンはニューヨークに比べて、
専門人の『倫理』を前提とした規制の仕組みをとっていたので、

あまり細かい強制力のある規制をしてこなかった。
これが、今後もこのままで良いかどうかということである。

第二には、銀行の業務範囲が問われるのではないか、ということである。
つまり、商業銀行業務と投資銀行業務の垣根を、
今よりももっと高くしたり、分離をすることになるかもしれない。

預金を前提とした、すなわち公益を前提として、
いざという時には、納税者のお金を注入するという仕組み(商業銀行業務)を持ってる所で、
銀行の自分の勘定を使って、リスクに対して立ち向かい、
高い報酬を狙う(投資銀行業務)という仕組みがゴチャ混ぜで良いのかどうか、
が問われるようになるだろう、と
いう事である。

第三に、金融人がどういう報酬をもらうのか問われると、いうことがある。
同じ銀行といっても、商業銀行業務で働く人と、投資銀行業務で働く人と、
報酬にあまりにも大きな差がある。

今回のように、グルで不正行為をして、「はい、これだけ儲けました」と言って
高い報酬を得るというのは、おかしい。


今後は、メディアだけでなく、国会等でも、

金融人の報酬体系の問題に議論がなされると思われる。

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脱原子力社会の構築へ向けて

2012年07月19日 | ラジオ番組

脱原子力社会の構築へ向けて
                        7/19 中北徹さんのお話しの要約のです

政府がこれまで掲げてきた原発拡大の主張には、十分な論拠がない。

その原発が他のどの電源よりも勝っている、という主張とは、
原発には経済的合理性がある、と
か、
地球環境に優しい、とか、
安定的な供給が可能である、というようなことであった。

しかしながら、
政府が言うように、原発が他の電源よりも優れているのであれば

政府の役目というのは、
安全や保安のルールを明確に定めて、
厳格に執行するだけで十分であって、
後は市場原理に任せば良いのである。

つまり、原発が他より優れているいるなら、
政府の保護や優遇なしでも、電力会社は経営責任の問題として
進んで自発的に原発を選ぶはずである。
それなのに、40年以上にわたって”国策民営”で今まで優遇してきたのはおかしい。

一般的に、将来性のある産業に対して保護優遇して育成することは多々あるが
それでも、通常は、その保護優遇策は一定の期間に限っている。

政府の原発優遇は、40年、50年、そして未来永劫にわたって続くことになりそうである。
これは国の主張する論理が、破たんしているということであり、
原発は最初から保護・優遇にに値しなかった、と言うべきである。

次に、政府は火力発電では、温暖化など環境問題に対応できないと主張している。
これに対しては、炭素税を創設すれば、
電力会社は排出量の少ない方式を工夫をしてくるだろうから、

必ずクリアできることである。

さらに、真の安定供給とは、万が一正常な状態から外れても、
即座に正常な状態に戻せる、ことである
原発がいったん運転不能になると、真の安定供給は不可能である。

総じて
政府に優先して求められるのは、原発を推進するのであれば
その論理を明確に示すべきである。
それが出来ないのであれば、
脱原発に向けて進むべきである。

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新しいエネルギー基本計画と原子力の位置づけ

2012年07月18日 | ラジオ番組

新しいエネルギー基本計画と原子力の位置づけ
          7/18 十市 勉 さんのお話の要約です。

エネルギー・環境政策についての政府の聴取会が各地で開かれている。

2年前に作られた政府のエネルギー計画では、
原発への依存度を、2010年の26%から2030年には45%にするとされていた。

福島原発事故を受けて、これの実現は難しいとして、
原発への依存度をどう減らしていくかというのが今回の最大の課題である。

政府案では、原発依存度を0%から25%までの間で3つの選択肢を示し、
国民的議論を行った上で、8月中に決めていく予定になっている。

国の長期エネルギー需給計画は、過去において15回も作られている。
つまり、平均3年ごとに作り直されているというのが実態で、
その事は、いかにエネルギーの長期見通しが難しいかを示している。

とすれば、今回もあまり細かなA%、B%などと決めるのではなく、
基本的な方向づけを決める事と、
毎年割り振られる1兆円のエネルギー関連予算の使途の方向性を決める事の方が、
重要であると思われる。

日本は、なんと言ってもエネルギーの自給率は先進国では最低の5%であり、
今後も、中東情勢、新興国のエネ事情、等々
エネルギーを巡る環境はどうなるかわからない。

その変化に、いかに柔軟に対応できるか、と言う事が大事であって、
日本のエネルギー計画に、選択の多様性を持たせる事が重要である。
だから、今の時点で、
特定のエネルギーを全部排除(原発0%)することは、適切でない。

それでは、中・長期的なエネルギー計画の国民的議論をどう進めたら良いか?
エネルギーの問題は、
エネルギーそのものの安全性、温暖化などの環境問題、資源国との関係など外交問題、
その他再エネなどの産業・通商政策、科学技術の問題、立地地域の経済問題、などが
総合的にからんでくる。

そういうことを頭に置いた上で、
原発を今後どうするかについて、原発のメリット、デメリットを明確に提示してから
議論していくのが良い。

そういう点では、ドイツの脱原発政策が、とても良い教訓になる。

ドイツの脱原発についてはこちらの後半部分
http://blog.goo.ne.jp/22jpgoo/d/20120619

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エネルギー政策の転換とファイナンス

2012年07月17日 | ラジオ番組

エネルギー政策の転換とファイナンス
          7/17 諸富 徹さんのお話の要約です。

各電力会社の株価が下落し、低迷している。

電力会社としては
原発が順調に再稼働できない状況では、
燃料費の圧迫による巨額な赤字が発生する。
当面は、社内の積立金を取り崩してしのいでいけるが
それも数年後には枯渇してしまう状況である。

そうすると、電力料金の値上げが課題となってしまうが
それもまた茨の道であることは、今の東電の状態を見れば明らかで
これらの事情が電力会社の株価低迷に反映しているといえる。

電力会社としては、
既存の原発を再稼働させて、
可能ならば新規原発も進めて、
火力発電所を動かす燃料費を節約することで

立て直しをしたいと考えている。
先日の株主総会では、この路線がとりあえずは承認されている。

しかしこれでは福島原発事故以前に時計の針を戻すということで
多くの人々の考えと乖離しているといえる。

今回の株主総会では、大株主である各自治体が電力改革の方向性に対して
はじめて、はっきり意見表明した。
しかし、他の大株主の賛同を得られず、自治体からの提案はいずれも否決された。

最近、グリーンピースから公表された興味深いレポートがある。
それは、
日本生命は日本の9電力会社とJ-POWER社の10社の株式をすべて保有しており、

その価値額も2位以下の企業の倍以上と群を抜いている。
それで、株価下落が響いて、配当の削減にまで追い込まれている。

そこで、グリンピースの意見は
原発の電力会社株を保有し続けるリスクは、今後も大きいわけだから
日本生命などの大株主は、資産価値の保全のためにも
株主として大阪市と同様の影響力を行使すべきである。
もしそれがだめであれば、電力株は売却して、
将来性の高いエネルギー事業に投資先を振り替えていくべきだ。
と提言している。

将来性の高いエネルギー事業といえば、
再生可能エネルギー、省エネルギー、天然ガス事業、
そして発送電分離をにらんだ送電網投資、スマートグリッド等々、である。

今後これらの産業の領域では、旺盛な資金需要が必ず出てくる。
今まで原発に向かっていた資金の流れを、これらの有望事業に転換していく
新しいファイナンスの仕組みを構築していく事がこれから重要なことになる。

新しいファイナンスの仕組みとして2つ紹介する。
一つは、”市民共同出資”という仕組みで、
再エネの発電事業に対して無数の市民からの出資を募るものである。
そして売電収入で出資者に元本と利子を戻していくという仕組みである。

すでに、長野県飯田市では、『おひさま進歩エネルギー 株式会社』が、
この仕組みで太陽光発電事業と省エネ事業の資金調達を行っていて、
現実に2~3%の利回りを達成しているようである。

     おひさま進歩エネルギー⇒
       
http://www.ohisama-energy.co.jp/

もう一つの例としては、東京都が設立した『官民連携インフラファンド』がある。
脱原発を踏まえて、
首都圏での天然ガス発電所の創設や再生可能エネルギーなどの
案件に
これから投資をしていく、というものである。
 

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今日は「海の日」、いいえ「海外脱出」の日です。

2012年07月16日 | 良心に恥じない意見

本日、7月16日は『海の日』であるが、
2007年の7月16日は、新潟県中越沖地震によって
東電の柏崎刈羽原発の7基の原子炉が、
運転不能になった日でもある。

幸いな事に、放射能事故には至らなかったものの、
日本中を震撼させたのは、福島事故に劣らぬものがあったと思う。

そして、この時に、地元の人たちや世論で沸き起こった声は、
『安全確保の最高機関である原子力安全・保安院を
原発を推進する経産省から、分離独立させて欲しい』
ということであった。

その頃すでに、各地の電源立地自治体側では、
相次ぐ『事故隠し』で電力会社を信用できなくなっており、
なんとかして国の規制機関である保安院を、
『頼れる』あるいは『信用できる』規制機関にして欲しい、
という願いからだった。

この時に、保安院が経産省より独立し、
強い規制機関の役目を果たしていてくれたら、
今日のような、悲惨な事態は、間違いなく、かなり避けられたと思われる。

保安院の分離・独立が本格的に議論されたのは、
それより5年前の2002年で、東電のトラブル隠しが発覚した時だった。

この時に、保安院の分離・独立を退けたのが、
当時の経産相、平沼赳夫氏であった。
『原子力を推進するのには、安全への留意も必要だから、
両方とも経産省の管轄の方が適切である』
という巧妙で、ふざけた理屈であった。

その平沼さんは、今は、”たちあがれ日本”の党首であるが、
石原都知事と組んで新党を作るという噂がある。
小沢新党にも支持が無いが、こちらにはもっと無いだろう。

ところで、昨日は仙台で、今日は名古屋で、
今後のエネルギー・環境政策についての政府の聴取会が開かれた。
この聴取会では、国民の代表?9人が
将来の原発比率を3択から選んで意見を述べる事のようである。

しかし、そんな意見聴取はほんの”ガス抜き”とばかりに、
経産省では、2008年から開始した『次世代原子炉の開発』を続行中である。

『次世代原子炉の開発』とは、
2030年頃に、運転60年に達する原発のリプレース需要が本格化する。
それに備えて、180万kW級の原発を開発しよう、
というものである。
(福島1号基は40万kW、大飯3号基は、70万kWである)

福島事故で、この開発計画は頓挫したと思っていたら、
おっと、どっこい、昨年10月にも、新たに研究開発の公募があり、
多額の予算に基づく補助金が明示されている。
原発依存度30%の計画は鋭意続行中である。

間もなく、新しく、原子力規制庁が始動するようである。
しかしながら、正直、どんな組織になっても、
腐りきった日本の役所には、ほとんど期待できる事はない。
役人の端くれの私でさえ、残念ながら、そう思う。

原発について言うなら、
いつでも海外脱出できる準備をしておくしかない、と思う。
それには、海外で暮らせる生活資金と英会話能力が必要である。
『海の日』に図らずも『海外脱出』の話題となってしまった。

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世界が揺れるロンドンの金融街シティの基準金利不正操作

2012年07月16日 | ラジオ番組

世界が揺れるロンドンの金融街シティの基準金利不正操作
         7/16 鈴田敦之さんのお話の要約です。

国際的に使われるライボー(LIBOR)という短期金利の指標が
2005年頃から不正操作されていた事が発覚して、
世界中の金融界で話題になっている。

英国の大手銀行のバークレーズが
2.9万ポンド(約360億円)の罰金を科せられ、
最高経営責任者が辞任させられている。

なにしろ、世界中の年間の金融取引は360兆ドルにも上っていて、
そんな膨大な取引の基準金利が歪められていたのであるから、
バークレーズを罰しただけでは、事は収まりそうにない。

バークレーズは
2005年頃から日常的に、ライボーに報告する金利を高めにして

ライボーの水準を吊り上げるような不正をしていた。
そして、ライボーに連動するデリバティブなどで儲けていたようである。

また、2008年にリーマンショックが起きた時は、
逆に低い金利を報告して、自行の信用力を高くなるようにしていたようである。

つまり、ライボーの為の報告を、
自分の利益になるように不正にやっていたという事である。

ライボーという金利は、
英国の銀行協会が、通貨ごとに、

15~17の銀行から、貸し借りする際の短期金利を毎日報告させ、
それを平均して、決定している。

「ライボーって何?」毎日新聞記事⇒    
http://mainichi.jp/opinion/news/20120715ddm003070132000c.html

とすると、ライボーを不正に操作するには、
バークレーズ1行だけでは無理で、複数の銀行が関与しないとできない。
つまり、世界中の主要な銀行がグルでやっていた疑いが極めて強い。

世界の主要な銀行や中央銀行が”談合していた”らしいという事で、
この余波はまだまだ続くであろう。

日本の東京金融市場にも、タイボー(TIBOR)という短期金利がある。
昨年、外資系証券会社が、複数の銀行に対して、
タイボー向け報告金利を引き上げるように依頼したことがあった。

この証券会社は金融庁から罰せられている。

このように見ていくと、世界的に不正行為が広がっていたように思われる。
金利が高いか低いかは、単に借入れや預金に影響するだけでなく、
恒常化すると、貿易を通じて輸入品が高くなるなど、消費者にも影響が及んでくる。

こういう不正をなくすにはどうしたら良いか?

まず、ライボーへ報告する金利の決め方の改善が必要である。
実際に行われた取引の金利を報告させるなどに変更して、不正が入り込む余地を無くす事である。

次に、金融の大元は信用であるという”モラル”を取り戻させること。
今はデリバティブとかスワップとか金融技術が進むにつれて、本来の『信用第一』の精神が失われている。

さらに、今後の防止策を作るにあたっては、
規制を強化するだけでは、次々と抜け道を作られてしまって、
効果が期待できない、という事を頭におく必要がある。

そして、事件の全容の解明が、なによりも大事である。


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東京電力値上げ幅の圧縮

2012年07月13日 | ラジオ番組

東京電力値上げ幅の圧縮
                                          7/13 森永卓郎さんのお話の要約です

東電の家庭用電気料金の値上げ申請にたいして、
経産省はその値上げ幅を圧縮」させる方向で動いている。

それは、東電のリストラ策は甘くて、
特に人件費はまだまだ削減する余地があると見ているからである。
2003年に公的資金を注入して救済した、”りそな銀行”の時のように、
年収を3割はカットすべきと指導しているようである。

という話を聞くと、厳しい事を経産省は求めているようだが、
どうも、そうではないようである。

つい2年前の2010年の日航の救済の場合はどうだったかというと、

りそな銀行よりも、ずっと厳しいリストラをやっている。
年収こそ、りそな銀行と同じ30%カットだが、
さらに、社員の3割(16,000人)削減、企業年金の3~5割をカットしている。

日航は債務超過に陥り、いったん倒産し、会社更生法で再起を目指した。
東電の場合も、実質的には債務超過の状態にあり、
今後の賠償費用や廃炉費用を考えると、日航以上の債務超過である事は明白である。

とすると、東電のリストラ策は、りそな銀行のそれでなく、
日航のそれに倣うほうが妥当だと思われるに、何故そうでないのか?

それは、日航の場合、
株式の100%減資をして38万人の株主に責任を取らせたし、
銀行など債権者も債権の大幅カットをさせられている。
それに対し、東電のほうは、
破綻処理をしていないので、株主も、銀行などの債権者も
みんな権利を守られている、という点に違いがある。

そこで、関係者の間に、
東電の株主も債権者もみんなその権利を守られているのに、
『社員や元社員にだけ、厳しくあたるのは、不公平だし可哀そう』
という気持ちが出てきてしまって、
『社員のリストラを日航並みに厳しくやれ』とは、
とてもじゃないが、言えなくなったのではなかろうか。

東電の株主には、東京都を始め、大手金融機関などが名を連ねている。
社債なども大手の金融機関が多数所持している。
それで、政府は恐れをなして、東電の破たん処理を避けているとしか思えない。

日航の場合のような『公明正大の処理』をする事を考えるのに、
今でも遅い事はない。


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言葉の力で会社を盛り上げよう

2012年07月12日 | ラジオ番組

言葉の力で会社を盛り上げよう
                 7/12 遠藤 功さんのお話の要約です。

言葉だけでで会社を変える、という事は難しいかもしれないが、
会社を良くする第一歩として、言葉は非常に有効である。

以前にも私(遠藤さん)が採りあげた『鉄道整備株式会社』という会社は、
東京駅などで新幹線の車両清掃や駅構内の案内業務を業としている。
  その時のお話は⇒こちら    
  遠藤さんの『鉄整』紹介の
ホームページ⇒http://gemba-sembonknock.com/2011/08/22/0900.html
                 
この会社では、会社や職場の雰囲気を、より良いものにしようと、
『普段の何気ない言葉使いに気をつけよう』という取り組みをしている。

その取り組みの具体例を紹介すると、
この会社では、現場のリーダーである主任以上に2冊の冊子を渡している。

  遠藤さんの冊子紹介のホームページ⇒ http://www.isaoendo.com/column/

その一冊は『ノリ語集』で、部下が乗りが良くなるような言葉、
例えば、あ・・・ありがとう、い・・・いいねえ、う・・・うまく行くよ、
などが45ほど書かれている。

こうした言葉を日常的にできるだけ使うようにしようというわけである。
現場の主任さんはたまにこの冊子をめくって、
現場で意識的にこうした言葉を使うように心掛けている。

もう1冊は『ノリません語集』で、
か・・・がっかりだね、き・・・気が付かないね、こ・・・こんなもんかよ、など、
部下のやる気を失くさせる言葉が書かれている。
こういう言葉は、勿論使わないようにしなければならない。

”部下の人たちの乗りが良くなる言葉”を使うことは勿論大切であるが、
その一方で、乗りが悪くなる言葉を意識して使わないようにする事も大切である。

たった一つの言葉で、人間は感情が変わってしまうものである。
これらの冊子の最初の頁には、その、言葉の重要性が書かれている。

あなたの話すその一言、
その一言で励まされ、その一言で夢をもち、
その一言で腹が立ち、その一言でガッカリし、その一言で泣かされる。
ほんのわずかな一言が、不思議な大きな力持つ。
ほんのちょっとの一言で。
一言よく人を生かし、一言よく人を殺す。

会社や組織において、
人と人が結びついて一つの輪になり、大きな力を発揮させるためには、
言葉によってつながって行かないといかない。

些細なことのように思えるが、
一人一人が普段の何気ない言葉使いに気をつけて、工夫するだけで、
職場や会社の雰囲気は間違いなく良いものになる。

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なぜ電力会社は老朽原発を再稼働したくなるのか

2012年07月11日 | ラジオ番組

なぜ電力会社は老朽原発を再稼働したくなるのか
          7/11 金子 勝さんのお話の要約です。

脱原発をなぜ電力会社は嫌がるのか?
それは、原発を廃炉にすると多額の費用がかかってしまい、
それが電力会社の存続を危ういものにするからである。

最近、資源エネルギー庁が提出した資料によれば、
今、直ちにすべての原発を廃止すると、
1.廃炉に要する費用の積み立て不足金が、約1.23兆円
2.減価償却不足による残存簿価が、2.8兆円
合計で4兆円余の 損失を電力会社が抱え込むことになる、という。

そして同庁は、『即時の脱原発は無理だ』と説明したようである。

廃炉費用の積立金不足や、償却不足の残存簿価は
なぜそんなに大きいのか?

電力会社は、原発を『稼働率76%、40年運転』する事を前提にして、
積み立てや、減価償却をしてきた。
しかし、事故やトラブルによって原発が止まっている時は
積み立てができない事になっている。

そこで、事故やトラブルが多くて稼動率が低い原発ほど、引き当て不足が大きい。
つまり、原発を稼動させていないと、
減価償却も進まず(残存簿価も減らず)、廃炉引き当金の不足も大きくなる。

電力会社側から言うと、
事故やトラブルを起こした”危ない原発”ほど、長く動かさないと赤字が解消出来ない
ということである。
こういう原発を電子力規制法の原則どおり40年で廃炉にしてしまうと、
電力会社には、多額の損失が出てしまう。

だから、危ない老朽原発を、電力会社は稼動させたいわけである。

関西電力の場合、
11基ある原発の内、7基は1970年代に運転開始した老朽原発である。

そこで今後8年以内に7基の原発が40年を超えてしまう。
原則どおり40年で廃炉にすると、関西電力は原発の1/3を失ってしまうと同時に、
多額の廃炉損失を抱え込むことになる。

即ち、関西電力は老朽原発を動かし続けない限り、
経営が成り立たなくなる、という事である。
そこで、
関西電力は、
なし崩しの原発再稼動を行い、
保安院は既に40年を過ぎた美浜1号機を10年延長させようとしている。

関西電力は、大飯原発を再稼動したが、
それと同時に12基ある火力発電所の内8基を停止してしまった。
つまり、関西電力は『電力不足が深刻だ』と言っていたのに、
実は、『コストの高い火力発電所を止めるため』に再稼動を急いだのである。

総じて、
原発はエネルギー不足の問題ではなくて、電力会社の経営問題である。

老朽原発依存の電力会社の経営体質を
転換させる事について議論する事の方が重要である。


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消費税と逆進性

2012年07月10日 | ラジオ番組

消費税と逆進性
            7/10 山下一仁さんのお話しの要約です

税金は、本来、所得が多い人が多く納めることになっている。
しかし、消費税においては、、
特に食料品のような必需品にかかる消費税については、
富める者の方が負担が少なく、貧しい者の負担が多くなっている。
これを消費税の逆進性と言っている。

消費税のこの逆進性の問題を解決して、
所得の多い者が多く納め、所得が少ない者が少ない負担で済むように、
税金の本来の形に戻すには、どうしたら良いか?

それには、次の二つの方法があるが、
いずれの方法も実は悩ましい問題が出てきてしまう。

一つは、
貧しい者にも、いったん消費税を納めてもらうが、
後で財政から補てんをする方法である。

しかし、各個人の金融資産などを完全につかんでいないと、
裕福な人にも補てんしてしまう、というような問題がある。

もう一つは、
食料品など必需品の税率を低くするやり方である。
これが軽減税率と言われるものである。

ここで英国の例を見てみると、
 1.一般的な税率は 17.5%
 2.食料品・医薬品は 0%(ゼロ税率)
 3.光熱費は 5%
 4.医療・教育は非課税
となっている。

ここで、ゼロ税率とは税率が0%の消費税であり
非課税とは、その取引きが消費税の対象外になるものである。

例として、消費者が購入する米がゼロ税率の場合、
米を生産した農家は、
この米を農協に売る場合、その米に消費税を上乗せしない。

しかし、種もみ、肥料、農薬、農機などの仕入れで消費税を払っている。
この仕入れにかかる消費税分は、還付を受けることができる。
(ちょうど、車など輸出品についてと同じ扱いである。)

次に、消費者が購入する米が非課税の場合、
農家は米を農協に売る場合、
米に消費税を上乗せしない点ではゼロ税率の場合と同じである。

ただ、種もみ、肥料、農薬、農機などの仕入れで払っている消費税については
還付がされず、農家が最終負担することになる。
それでは農家は困るので、その分、米の値段を高くして売らなければならない。

消費者の立場からすると、
ゼロ税率でも非課税でも、消費税負担はないが、
非課税の場合は、米の代金のほかに
農家が転嫁できない仕入れ時に払った消費税が上乗せされるので、
ゼロ税率のばあいより、
間違いなく高い値段の米を買わされることになる。

さらに、『必需品には軽減税率を適用する』と言っても、問題が多い。
第一に、”何を必需品、何を贅沢品”と線引きする事が難しい。
第二に、幾つもの税率が存在すると、
事業者の帳簿処理が複雑になってしまう事である。

例えば、仕入れで、5%、8%、10%のものがあり、
販売する商品にも、5%、10%のものがあったりしたら、
事業者は大変な事務作業をしなければならない。

英国を始めEU諸国で、
軽減税率を適用した付加価値税の制度が上手くいっているのは、
『インボイス(伝票)制』を採用しているからだと、言われている。

ただ、この場合でも、非課税とされた免税事業者はインボイスを発行できない。
すると、免税事業者から購入した業者は、
『仕入れ税額控除』ができないので、
納める消費税が多くなってしまう、
という事が起きてしまう。

従って、免税業者が取引から排除されてしまう、という問題が指摘されている。

このように、いずれにしても軽減税率には、悩ましい問題がある。
むしろ、『必需品に軽減税率を適用する』ことばかり考えるのでなく、
『必需品の価格をもっと下げること』を考えるべきである。

高い関税に守られているので、日本の食料品の価格は高い。
TPPなどに早く加盟して、
国内の農産物などの価格を下げることが最善の策である。

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