5月19日 NHK『ラジオ朝一番』から
今週金曜午後から、NHKホームページで放送が聴けます。
右上のブックマークから入って下さい。
☆☆☆ビジネス展望☆☆☆
『リーダーシップについて考える』 遠藤 功 さん
4月にヨーロッパの西ドイツ、フランスを訪ねた。
日本の被災については極めて同情的に見ている半面、
福島原発の事故処理については、
首相や東電首脳のリーダーシップについて手厳しい批判が多かった。
あるフランスの識者は、
「原発はもともと未成熟な技術で”何かが起こり得るものである
そのようにリスクの高い原発をやるというのであれば”、
いざという時にきちんとした対応ができるリーダーがいる国しかやっては駄目だ。」
と主張していた。
原発についての高い技術や豊富な実績があるかどうかということではなくて
彼らの論点は、リーダーシップのあり方を問うているように聞えた。
確かに今回の大震災に限って言えば、
『政府や東電本社という中央のリーダーシップというのはどこか頼りなくて信頼できない』
という不安を多くの人が感じているのは事実だと思う。
しかしその一方で、地域とか現場に近いところに行くと
非常に信頼に足るリーダーが数多くいることも明らかになっている。
例えば、被災された市町村の首長の方は、ご自身が被災者であるにもかかわらず、
地域を守ることに必死の努力をされて、常に住民の先頭に立っておられる。
東電にも立派なリーダーがいる。福島原発の現場では吉田所長さんが中心となって、
まさに日本の国を守るために必死の戦いを続けている。
間違いなく、日本にもリーダーはいると思う。
そういう人たちは、いわゆる欧米型の大統領的なカリスマ・リーダーではなく、
常に現場や地域とともにあってその目線で問題と格闘している、
これが日本のリーダーシップの姿であると思う。
これからの被災地の復興において何より大切なものは、
どこにリーダーシップがあるのかということを示して、司令塔を明確にすることである。
だれが主体となって復興を進めるのか明らかにして、一元的に進めていく必要がある。
今回の復興のリーダーは間違いなく、
それぞれの地域の実情を一番よく知っている各自治体の首長でなければならないと思う。
復興予算も計画作りも大幅に各自治体に権限移譲して
『地域のことは地域で決める』という地方分権の理念の下に進めていく必要があると思う。
ただ被災した市町村も大変痛んでいる。
それでも従来のように中央政府に依存した復興をやるべきではないと思う。
いま大切なことは、被災した地域以外の自治体・市町村が
この先の復興の局面でも、人的物的な支援を進めてくれることだ。
自治体同士の連携を強化して、力強く支えていくということが不可欠であると思う。
全国のすべての自治体がこれまでの垣根を越えてネットワークを組んでいく。
そして被災した市町村の支援を積極的に行っていくことが
『地方の自立化』ということへの大きなステップに繋がっていくというふうに思う。