『ドイツ憲法裁判所の欧州金融安定化メカニズムに関する判断について』
9/14 NHKラジオ 田中直毅さんの「ビジネス展望」の要約です。
ユーロ危機の対策として重要な役割を果たす基金制度として
ユーロ諸国が出資する『ESM(ヨーロッパ安定化機構)』がやっと動き出しそうである。
先日来、ドイツの出資関与の憲法上の是非を巡り、その結末が注目されていたが、
ドイツ憲法裁判所の判断が、合憲(実際は裁判の対象外として門前払い)となったからである。
これで、世界中が、"当面は一安心"という事で、為替はユーロ高に動いた。
ユーロとは深い貿易関係にある日本企業も、まずは一呼吸できる所となった。
しかし、これでユーロ危機が解決したわけではない。
それは、
もし、ギリシャ・スペイン等、南欧州諸国の国債が償還できなくなった時、
その負担を誰からどのような順番で負うのか、
という問題が潜んでいるからである。
つまり、『ESM』による南欧州諸国の国債の購入が始まると、
民間投資家が保有する分と、『ESM』を通じて購入して各国が保有する分、とになるわけだが、
万が一に、その国債がデフォルトになった時に、それぞれが、どのように負担するのか、
という事を決めなければいけないからである。
民間投資家がすべて負担してくれれば、一番良いのであるが、そうも行かないだろう。
かといって、『ESM』を通じて買った国が負担するとなれば、
"出資した意図と違う"と、納税者である国民が怒るであろう。
今回の『ESM』は
当面の南欧州諸国の資金繰り改善には、大きな効果があるけれども、
欧州危機の根元からの解決が、まだまだ見通せるものではない。
元々、ユーロの誕生は、
強大なドイツの登場を懸念して、ドイツを封じ込める為の策であった。
その中で、ドイツ・マルクを消して、統一通貨ユーロを発足させた。
ところが、『通貨をユーロに統一する』という形式を先行させたものの、
今度のように、国の財政が行き詰まる、国債の償還ができない、などという、
財政や金融の問題が起きた際の対処方法については、決めてなかった。
言ってみれば、ユーロ統合の順序立てが間違っていた、ということである。
今、こうして『ESM』を設立して
財政危機にある南欧州諸国の国債を買い上げる、ということは、
順番を間違ったユーロ統一について、
もう一度本来あるべき順序で立て直しているというのが現状と言えよう。
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