ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

晴れた日は農業とウォーキングとライカ、雨なら読書と料理。
そして毎日ラジオがお伴です。

出口戦略のむずかしさ~6/26 NHKラジオ 金子 勝さんのお話

2013年06月26日 | ラジオ番組

『出口戦略のむずかしさ』  
      6/26 NHKラジオ 金子 勝さんのお話の要約です。

ベン・バーナンキFRB議長の発言で、市場関係者の間には、
『米国の金融緩和策の出口戦略が、早期化するのではないか』というムードが広がった。
日本の株式市場も大きく下げて、不安定になり、
欧州でも、株式が売られて下落し、国債も売られて長期金利が急上昇した。 

米国の株式市場は、最高値を更新している状況にあるので、
FRBが量的金融緩和を縮小するのは、ある意味では当然と言える。 

しかし、米国の経済状況を見ると、
失業率は7.6%と高止まりしているし(FRBの目標値は6.5%)、
もう1つの目標値であるインフレ率(目標値は2%±1)も達成できていない。 

このような状況で、量的金融緩和を縮小して、ダブついたマネーを減らして行くと、
株式や住宅などの資産市場に影響が出て、
まだ全面回復に到っていない経済は、たちまち腰折れをしてしまうだろう。 

このように考えると、米国の出口戦略は、来年以降になるだろう。
何といっても、米国の量的金融緩和政策が、世界の経済も支えていたのである。
今の段階では、そう簡単に、見通せることではない。 

ただ、この先しばらくは、出口戦略を巡って、
株式市場などは、乱高下し、不安定になるに違いない。
当然ながら、日本の株式市場も為替市場も、これに翻弄される事になる。 

日本の異次元の量的金融緩和政策はどうなるか?
アベノミクスで、経済成長力を回復するまでは、出口の話はしないだろう。

しかし、経済力を回復できず、財政赤字と貿易赤字が悪化したままだと、
巨大なリスクを抱え込む事になる。 

日銀の異次元の量的金融緩和政策を続けて行くと、
日銀が国債の最大の買い手、保有者になり、
これで、国債発行の歯止めを失い、財政赤字が膨らんでしまう。 

また、異次元の量的金融緩和政策で、円安が進んで来たが、
輸出企業の当面の利益を押し上げているだけで、
貿易収支がなかなか改善していない。経常収支も悪化している。
経常収支が赤字と言うことは、
外国から借金をしたり、外国資本に国債を買ってもらったりしないといけなくなる。 

財政赤字と貿易赤字を放って置くと、
国債は、外国資本の手で暴落させられ、長期金利が上昇する。
そして、資金の流出によって円が暴落する、という恐いシナリオも想定される。 

 
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『多国籍企業の租税回避問題~6/25 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話

2013年06月25日 | ラジオ番組

『多国籍企業の租税回避問題』   
      6/25 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話の要約です。

コーヒーチェーンで有名な『スターバックス』は米国のシアトルに本部を置いているが、
世界各国で、事業を展開している。
英国にも1998年に進出した。
ところが、その後14年間に30億ポンド(約4500億円)の売り上げを計上しているが、
納めた法人税は僅か800万ポンド(約12億円)にすぎなかった、そうである。
それは、本部の指示で、税率の低い国に利益を移転させ、
税率の高い国では、利益をゼロ若しくは極小化させる事によって、
課税逃れを行ってきたからである。 

同様な租税回避は、グーグルやアップルのような多国籍企業も行っているとして、
先般、英国のロック・アーンで開催されたG8サミットでも、この租税回避問題が討議された。
2008年のリーマンショック後に、各国の財政悪化が進んでいて、
どの国も、課税を強化して、多国籍企業に対しても何とか課税をしたい、と考えていたが、
なかなか有効な課税手法が打たれて来なかった。 

この租税回避の問題を考えるために、少し振り返って見よう。
1980年代ごろから、経済のグローバル化が急速に進行してきた。
企業は、今や国境を越えて活発に活動するようになっており、
資本(金融)も、より高い収益を求めて、国境を越えて大規模に動き回るようになつた。

このため、各国政府は、企業や資本を自国に誘導しようとして
法人税率を引き下げる『租税競争』を、過去30年間にわたり展開して来た。
また、個人所得税も、税率の引き下げあるいは累進税率のフラット化を進めて来た。
こうして、国家の税収調達力と再分配の機能は、一貫して低下して来た。

そればかりでなく、自国に投資した企業に対して税金を大幅に割り引いたり、
あるいは、一定期間は非課税にするという、恩典も用意されている。
例えば、有名なケイマン諸島のように、
課税を著しく軽減したり、完全に免除するところもあり
タックスヘイブン(日本語では租税回避地)と呼ばれる国も多くなった。

企業が国境を越えて、自分が有利になる納税地を選ぶようになった大元は、
この辺にある。
こうして、今や多国籍企業に、納税地の選択権のようなものがあり、
企業を誘致したい国家に対して、企業が優位な立場に立っている。

『国家の課税権力を、国境の枠内でしか行使できない』という、
こうした矛盾が、徐々に明らかになってきているのである。

しかし、このまま手をこまねいていては、
各国政府の税収は減少して来るし、税負担の不公平性も増幅して、大きな問題となる。
これに対して、G8サミットでは
『多国籍企業の所得情報を、全世界ベースでつかむために、
各国の税務当局が協力して、自動的な情報交換制度を構築して行く』
という合意がなされたわけである。 

結局、この問題の解決は、
国境を越えて活動する企業や資本というものに対して、
国家の側が、いかに国境を越えられるか、いう点にかかっている。
つまり、国家(課税権力)もグローバル化を推進せざるを得ない、という事である。
 
これまで、課税というのは一国単位でなされて来たが、
これからは、複数国が一単位となって課税する事を推進させようと、いう事である。

既に、その動きが欧州では起きているので、紹介したい。
金融取引きは、国境を越えて盛んに行われており、租税回避も行われている。
こういうものに対して課税するために、課税する側も国境を超えた、という例である。

来年から、EUの中で、11ヶ国が共同して、
『金融取引き税』という新しい税金を導入する事になっている。
しかも、これによる税収は、各国間で分け合うのではなくて、
EUという超国家機関の税源にしていく、という事も決まっている。

この新しい『金融取引き税』の制度は、徴収と配分の両面において
言わば、世界で初めての『国境を越えた税金』として、画期的なものである。

   
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橋下氏の風俗発言~有能な政治家が、また一人抹消されるのか

2013年06月21日 | 社会について独り言

橋下徹さんが苦戦のようである。
ご自身の『慰安婦発言』の問題で、世界中から笑い者、野蛮人呼ばわりをされ、
日本のメディアからも、救いの手が全くない、言わば総スカンの状態になっている。

日本維新としても、幹事長の松井一郎さんだけは懸命に擁護・支持しているが、
共同代表の石原慎太郎さんは、苦虫を噛み潰しているようである。

昨日は、苦戦を強いられている都議選の立候補者に、
橋下さんが責任を感じて、謝罪のメールを送ったとのことである。

私は、橋下さんを支持している者ではないが、
しかし、何か違うような気がする。

そもそも、問題の発端は、橋下さんが、沖縄の司令官に向かって
『米兵の日本人婦女子への乱暴をやめさせろ』、と言った事である。

沖縄では、何十回と事件が起きて、その都度大騒ぎするが、中々収まらない。
沖縄以外に、横須賀などでも、米兵の強姦事件が相変わらず続いている。
日本だけではない、米兵は世界各地で、同じような事件を起こしていると聞いている。

だから、橋下さんは、
米兵の性的欲求の捌け口を、一般民間人に向けさせるのではなく、
日本の『性文化』に触れさせたらどうか、と言ったまでの話である。

そして、そのとき既に、
その話の延長線として、オスプレイの八尾空港への配置の提案を考えていた。
八尾空港から7~8マイルの所に、あの、飛〇〇地があるからである。
『八尾空港にオスプレイを!』と言ったのは、決して唐突なものではなかったのである。

沖縄の人達にとっては、
今まで中央政府の要人が誰も、米国に文句を言ってくれなかったのに、
『橋下さんは司令官に面と向かって言ってくれた』と、
内心では、拍手を送っているのではないだろうか。

そう、あの時と、同じに違いない、と思う。
鳩山元総理が、『沖縄の米軍基地を国外に移転させる』と言った時である。
沖縄県民にとって、(日本人全体にとっても同じことであるが)、
絶対それが当たり前であるのに、それまで、誰もが言ってくれなかた。

結局、鳩山案は頓挫してしまったが、
沖縄の人達の声を代弁しての動きは、大きく評価されたのである。

情けないのは、日本のメディア、評論家、学者である。
鳩山案を前向きに捕らえ、応援し、一緒に考え、運動しよう、とすることがなかった。
そんな事ができるわけがないと、政・官や米国のキャンペーンの意のままであった。

今回の、橋下発言に対しても、日本のメディア、評論家は、
米国に遠慮し、政府の顔色を伺って、上品ぶって、
『なんと下劣で下品な事を言うか、国際社会の笑い者である』と見下している。
なぜ、沖縄県民の苦悩を減らそうとする発言の方に注目をしないのか、
私は、怒りを感じる。
このままだと、良かれ悪しかれ、日本の異色の政治家が、また一人抹殺される。

この、米軍司令官と橋下さんを会わせたのは、
元国民新党の下地幹郎さんのようである。
下地さんは、衆議院議員当時、田勢さんの番組で、
『鳩山さんの米軍の国外移転政策が実現できなかったら、共同責任で議員を辞職する』
と言っていた。
だが、ずるずる居座って、結局、衆院選で、沖縄県民の支持を得られなくて、落選した。
天罰だと思って、反省して、それからの行動が、この橋下担ぎ出しだったのかもしれない。

それにしても、世界は広くて、国の数も民族の数も多い。
それぞれの国や民族に、それぞれの文化がある。
当然、性文化も、千差万別である。
自文化の押し付けもいけないが、他文化の表面的な理解もほどほどにして欲しい、ものである。

繰り返して言うが、私は橋下さんの支持者ではない。
高校生以下の読者を想定して、一部に伏字を使わせてもらった。


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異次元の金融緩和と国債市場~6/20 NHKラジオ 中北 徹さんのお話

2013年06月20日 | ラジオ番組

異次元の金融緩和と国債市場』
        6/20 NHKラジオ 中北 徹さんのお話の要約です。

日本経済の実態が徐々に持ち直している中で、
それとは対照的に、株価は大幅な下落をたどり
外国為替や国債など主な金融市場は、乱高下を繰り返して
荒っぽい相場展開が続いている。

特に長期金利(国債の利回り)は、4月の前半に、0.3%だったのが
このところ 0.8~0.9、瞬間には1%を超えるなど、この2カ月間で上昇した。

このアベノミクスのシナリオは、
金融市場での金利の形成に大きな影響を及ぼして、
これを起点に、次の第二段階の物価上昇を引き起こして、
企業の企景気予想を好転させて、所得の上昇へつなげて行くかと、
注目されていた。
しかし、相場が大きく崩れて、
日経平均株価は、4月当初の水準まで戻ってしまったということである。

なぜ、こうも金融市場で警戒感が高まり、
投資家心理の混乱に拍車が掛かっているのだろうか?

そのポイントは二つあり、
第1は、長期金利が決まる仕組みをどう考えるか、という事と、
第2は、米国、FRBの、超金融緩和政策の後の出口政策がどうなるか、である。

長期金利は、本来 、長期国債(10年物)が、債券市場で自由に活発に取引きされて、
競争的に決まる金利のことである。
だから、特定のプレーヤーがいて、
国債の価格つまり長期金利を、支配し、コントロールするという事はできない。
つまり、人為的に決めることはできない、という考え方に立っている。

取引きの額が膨大で、外国の投資家も含めて様々の関係者が、取引きに参加している。
今回、日銀は黒田新総裁の下、
長期国債の保有額を2年間で2倍以上に拡大し、
長期国債の買い入れ残存額を 2倍以上に延長すると
まさに、こう、質・量ともに次元の違う政策を実施する、と宣言したのである。

これは、自由な市場ではなくて、官が制限している市場に変わる可能性を示唆している。
つまり、国債市場が本来持っている市場メカニズムの柔軟性を奪って、
その働きを硬化させる可能性が強い。

また、そもそも、そうした操作がどこまで可能なのか、というデリケートな問題を含んでいる。
というのは、例えば、アベノミクスでは消費者物価上昇率は2%を目指すと言うが、
そうすると、
日銀の金利誘導は2年間で止まるのだろうか?、
その先に関して政策シナリオは不確実に見える、
といった、いろんな疑念や疑心暗鬼を生んで、混乱をもたらしかねない。

このところ、米国の超緩和政策が早期に縮小されるのではないか、という観測から
混乱が起きているようである。
この米国の事例に、日本は大きな余波受けたわけであるが、他山の石とすべきである。
これと同時に日銀の黒田総裁が行った、『出口の話しは、まだ早い』といった発言が、
市場の混乱に、さらに拍車をかけた可能性がある、ということである。

国債市場が硬直化することにより起こる問題について述べる。

国債の流通市場は、
社債・地方債、その他債券と比べると、圧倒的に大量の資金が取引きされている。
その結果として、資金の利用・配分を含めて、
小さな価格変動で、瞬時に大量の資金調整を行うことができる、
という役割を果たしている。

そうした意味で、流動性が非常に高く、様々なリスクヘッジが容易にできるという、
極めて優れた機能を持った重要性の高い市場である。
逆に、もしも国債市場の流動性が乏しくなると、
国債の発行や売買の都度、
国債の価格つまり長期金利が乱高下し、市場が発信するシグナルが乱れて、
それが資本市場全体に悪影響を及ぼすという可能性がある。

今回の金融政策では、長期国債そのものをオペの対象として
長期金利を直接コントロールすることで、設備投資を促そうとする野心的な政策である

しかし、これは資本市場の市場メカニズムに介入することであって
同時に上述したように、市場との対話という重要な機能を乱す可能性も高い
ということを認識しておく必要がある。

総じて
今回の異次元の緩和策は、本質的には強引な政策であって
金融市場の変動を増幅させる可能性が大きい、ということである。

と言うのは、
日銀が『新発国債を目いっぱい買って、金利をコントロールする』と言い、
しかも、『物価上昇率を2%の範囲内に抑えながら、それを果たす』という事だから
まさに神技である。

しかし、それなのに、詳細なシナリオが提示されていないし、見えてこない。
とするならば、一時的には上手く来ている様に見えるが、その先をどうするのであろうか?
今回の超緩和政策は、
プロとして、市場との対話を今後どう尽くしていくのか?
予想される問題点にどう対処するのか?
どう考えても、事前に、詳細かつ慎重な検討が必要である。

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『限定正社員とは何か』~6/18 NHKラジオ 内橋克人さんのお話

2013年06月18日 | ラジオ番組

『限定正社員とは何か  6/18 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。  

正社員、非正規社員の他に、
もう一つ、限定正社員という雇用の在り方が、制度化されようとしている。

先週の6月14日、政府は閣議で、骨太の方針と日本再興戦略を正式に決定した。
同じ閣議で決められた規制改革の実施計画の中に
『職務や勤務地を限定した正社員』の雇用ルールをm2014年度までにまとめる
という工程表が盛り込まれている。
職務・勤務地・労働時間などを限定した新しい正社員を制度化する、というものである。

これは、先に規制改革会議が
限定正社員という雇用形態を示して、
そのルール作りを求めた答申に沿ったもので、
その答申では、これを来年度中に整備するようにと求めていた。 

また、規制改革会議だけでなく、政府の産業競争力会議も
先にまとめた成長戦略の中で、
多様な正社員モデルと呼んで、企業に導入を促すという方針を打ち出している。 

閣議決定された工程表通り進むと、
現在の正規社員と非正規社員の間に、
もうひとつ、限定正社員という新しい雇用形態が制度化されることになる。
つまり、働く人々が正規・非正規そしてこの限定正社員という、3種類に分けられる事になり、
労働の細分化・階層化が一層進むことは、避けられなくなることは間違いない。 

さて、その限定正社員であるが、
職務とか勤務地あるいは労働時間を限定した正社員、という事である。
働く者の者の都合に合わせて、仕事の内容も、
働く場所も、労働時間も選ぶことが出来るという、一応、正社員ではある。

しかし、その分賃金その他待遇が、本物の正社員より低く設定されるだろうし、
さらに、解雇(雇用調整)を、やりやすくなるのではないか、という懸念もある。

これを答申した規制改革会議の雇用ワーキンググループは、
そのプラス効果、つまり働く者のメリットとして次の3点を強調している。 
1.これまで半年とか1年とか短期間で、
  契約を更新しながら働かざるを得なかった非正規労働者にとって、雇用の安定が得られる。
2.働く本人それぞれの都合で、労働時間や勤務地などを選択できるので
  個人のワークライフ・バランスの向上につながる。
  過剰な残業とか、転勤などの人事異動に、無限に従わなくても済むようになる。
3.出産・育児の子育てを終えた女性が、働きやすい労働条件で仕事の場に復帰しやすくなる。
  つまり女性の活躍につながる。 

しかしこれらに対しては、日本労働弁護団を始め、強い反対の声がすでに上がっている。

この限定正社員制度というのは、働く者の利益を考えてのものではなく、
この制度を梃子して、
これまでの解雇ルールを緩和する、また、解雇トラブルを金銭で解決できるように、
一言で言えば、従業員の首を斬りやすくするのが真の狙いである、からである。

だから、働く労働者にとって、
「多様な働き方の中から、自分に合った働き方を選べるようになる」と
手放しで喜んでいるわけには、いかない。 

具体的には、例えば、ある限定正社員を解雇するには
その人が選んでいた仕事・プロジェクトを終了させてしまえば、
つまり、『あなたの仕事は終りましたよ』と言ってしまえば、それで終わりになる。 

また限定された地域での仕事をなくせば、
雇用側は、何のためらいもなく、限定正社員を簡単に解雇させる事ができるわけである。

元来、従業員の解雇には、判例により、厳しい3つの条件が求められていた。

経営上の理由で従業員を解雇するには、
1.本当に人員削減の必要に迫られているのか?
2.解雇を避ける努力がきちんとなされたのか?
3.解雇の対象者の選定は合理的か?
という事について、雇用側が根拠を示さなければならないとされている。 

つまり、労働者には、
合理的な理由なしに解雇されることはない、という権利があるわけである。
これは労働契約法にも規定されているところである。 

しかし、企業側(雇用する側)からは、
このような解雇ルールは厳しすぎる、もっと緩く進すべきだ
と、かねてから規制緩和への要求が、強く唱えられてきたところである。 

総じて、
規制改革会議にしても産業競争力会議にしても
そのメンバー構成はは、雇用主、企業経営者の側に偏り過ぎている。

今では働く人の4割近くが既に、
不安定で低賃金とされる、非正規雇用で占められている。

今回出てきた『限定正社員』制度も、
呼び名だけを変えた、非正規雇用の一つであり、
働く者の格差を、一層進めることに間違いない。

成長戦略と言うが、いったいそれは何なのか?
格差や貧困問題を解決する『所得再分配の政策』を抜きにして
国民生活にとっての、真の成長戦略などあり得ないのである。

  

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さくらんぼ狩り&ニンニクの収穫

2013年06月15日 | 健康と滋養

すっかり暑い季節になりました。蒸し暑いです。
熱中症とか、風疹とか、皆様充分ご注意下さい。

先週末に、山梨県は白根の『さくらんぼ狩り』に行って来ました。
当地からは、国道52号線を北上して向かうですが、
新東名高速道路ができて、新清水icから行けるようになったので、
ずいぶん走行距離が短縮して、楽なドライブが出来ました。

時期的には少し早いかと心配したのですが、
どうして、どうして、飛び切り美味しい『佐藤錦』を、
お腹いっぱい食べることが出来ました。
さくらんぼは、60個食べても、たんぱく質量は3gですので、安心です。
(ちなみに、いちごは20個で、ぶどうは5ふさで、桃は2つでそれぞれ3g)。
ただ、糖分の塊ですので、程ほどにしないと、いけません(自戒)。

写真を撮ったら、父の日のご褒美のように、写っていました。



明日は『父の日』ですね。
皆さんは、どうやってお過ごしになられますか?
嬉しいプレゼントや行事が、あるのでしょうか?

多くの方は、そういう特別な事は無いと思います。
せいぜい、家族で食事をゆっくりするとか、日頃の感謝を述べ合うぐらいでしょう。
私のところもそうです。それで、充分父親としては、嬉しいことです。

ただ、あと数年したら、娘や孫達に一つだけ、お願いをするつもりです。
先日要約しました、内橋さんが京都での講演の中で読まれた詩を、
娘や孫達の前で読ませてもらおう、と思っています。

『親愛なる子供たちへ』

年老いた私が、ある日、今までの私と違っていたとしても、
どうか、そのままの私のことを理解してほしい。 
    
私は、服の上に食べ物をこぼしても、靴の紐を結び忘れても、
あなたに、いろんなことを教えたように、静かに見守って欲しい。

たとえ、あなたと話す時に、同じような話を何度も何度も繰り返しても、
その結末を、どうか遮らずにいて欲しい。

これは、悲しいことではない。旅立ち、その前の準備をしている私。
どうかそのまま、祈りを捧げて欲しい。


翌日は、畑の『ニンニク』の収穫をしました。



この後、1ヶ月くらい、こうして、干しておきます。




とても、我が家だけでは食べきれません。
昨年までは、ご近所や知人に無料で配っていましたが、
今年は、『伊藤和也菜の花基金』に募金をするため、
少しカンパをしてもらおうと思っています。

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『変化する企業の株主への向き合い方』~ 6/14 NHKラジオ 森永卓郎さんのお話

2013年06月14日 | ラジオ番組

『変化する企業の株主への向き合い方』
          6/14 NHKラジオ 森永卓郎さんのお話の要約です

標題の件、日本航空(JAL)と全日空(ANA)を例にとってお話する。

現在の株価       JAL5000円(500円)  ANA200円(200円)
株主の数        JAL:10万人  ANA:54万人
株主優待券の枚数  JAL:1枚  ANA:2枚
優待券の使い易さ  JAL:使い難い  ANA:使い易い

以上から推測されるのは、
JALは、経営戦略として、
株主優待券で株主に還元するというよりは、
利益をたくさん出して、配当金で還元する方を重視している、
のではないか。という事である。

ANAの株主には、優待券を目当てにし、長期保有している個人投資家が多い。
JALの場合、主要株主を見ると、
投資ファンドを中心とした大口金融機関やプロの投資家が顔を並べていて、
こうした人々は、優待券目当てではなく、配当や値上がりによる儲けを求めていて、
株式の保有機関も短期のケースが多い。

ANAは、多くの細かい個人投資家が、経営を支え、
JALは、大口投資家が、経営を支えていると言える。

今、株式市場が大きく乱高下しているのは、
外資や大口ファンドが、猛烈な勢いで売買している事の結果である。
つまり、今の株式市場は、外資や大口ファンドによって支配されている。
だから、例えば、JALのように
大口投資家に対して向き合った経営をしている方が、株価が高い。

個人株主が、長い目で経営を支え続ける、ANA。
大口投資家に向けて、短期の利益追求に邁進せざるを得ない、JAL。
今後は、JALのような企業が増えて行かざるを得ないのが、
グローバル化の現実である。

 
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『陸前高田の未来商店街』~6/13 NHKラジオ 遠藤 功さんのお話

2013年06月13日 | ラジオ番組


『陸前高田の未来商店街』~6/13 NHKラジオ 遠藤 功さんのお話の要約です。

写真については、『遠藤功の現場千本ノック』、(ウェブサイトは⇒こちら)からお借りした。

東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市を一年振りに訪問した。
「陸前高田未来商店街」と正式に命名された仮設商業施設が
3月23日にグランドオープンし、そのお祝いも兼ねての訪問だった。

市街地を車で見て回ったが、被災から2年以上経った今でも、
新しい建物ひとつ建っておらず、一面、野っ原のままである。
瓦礫の山や無残な姿を曝け出すアパートや学校の校舎も残っている。

  58 陸前高田1 (3).JPG
        陸前高田市街地の瓦礫の山

  58 陸前高田1 (5).JPG
       無残な姿のままのアパート

しかし、少しずつだが復興に向けての動きも見える。
今でも市街地を走るのはトラックばかりだが、
以前は瓦礫の運搬がその役目だったが、今では土を運ぶトラックも多い。
復興の土台を築こうとする動きは確実に進んでいる。
大きな傷跡を引きずったままだが、
人々は前に進もうとする日常の営みを取り戻そうとしている。

そんな中、「未来商店街」はオープンした。
2011年9月に「なつかしい未来創造株式会社」を立ち上げてから、
1年半以上の時間を要しての船出だった。
電気工事や水道工事などインフラ整備の遅れなど難問が続出。
難産の末、今年3月、ようやくオープンにこぎつけた。

民間の援助で提供された、コンテナを利用したお店が5軒、
中小企業基盤整備機構の支援を受けて建てられた、
2階建てプレハブを活用した店舗が6軒、
合計11のお店がオープンした。

58 陸前高田1 (7).JPG

        手作りの看板

58 陸前高田1 (1).JPG58 陸前高田1 (12).JPG

   多目的ホール(左)と
コンテナ店舗(右                       プレナブ店舗


店舗の数はけっして多くないが、そのひとつ一つは個性的で、魅力に溢れている。
特に、「食」と「ファッション」の魅力度は高い。
陸前高田で現在唯一の鮨屋である「鶴亀鮨」、お洒落なカフェレストラン「Bricks.808」、
老舗の洋菓子店「パティスリーkankyu」、大衆食堂「てるてる」と「食」はバラエティに富んでいる。
「ファッション」も雑貨屋「Laugh」、化粧品・服飾雑貨・婦人服を扱う「ファッションROPE・東京屋」、
手芸店「スタイル」など充実している。この他に、整骨院やドコモショップなどが店舗を構えている。

被災地では、これまでに数多くの仮設商店街がオープンし、メディアでも取り上げられた。
しかし、その多くは現在は閑古鳥が鳴く状況だと言う。
オープンしたての時は、話題先行で、みんな注目するが、
ひとたびその熱が冷めてしまうと、人はなかなか寄り付かない。
大手ショッピングセンターやコンビニなどができると、
多様性、利便性、価格などの面で太刀打ちできない。

その点、この「未来商店街」は
小粒ながらも商業集積としての魅力度が高く、他にはない差別性がある。
さらに、「未来商店街」の隣接地には、地元スーパー「MAIYA」の仮設店舗や
銀行、書店などの仮設店舗も充実している。
さらに、「未来商店街」の中には、木造平屋建ての多目的ホールが建てられていて、
人々が集まる空間になっている。

しかしながら、この商店街には、大きな難題が待ち構えている。
「未来商店街」はあくまでも「仮設」商店街であるので、
市街地の復興が進めば、新たな場所へと移転しなければならない、からである。
そのためのプランも徐々に固まりつつある。

ただ、近郊に大手ショッピングセンターができる計画も進んでおり、
人々の購買行動そのものも大きく変わるかもしれない。

復興する市街地への復帰は本望ではあるが、
移転費用など経済的な難問に加えて、市街地は本当に復興するのか、
市街地へ戻って、本当に商店街は成り立つのか?という本質的な不安も抱えている。

街そのものが再生しなければ、商店街の繁栄は難しい。
その一方で、魅力在る商店街ができれば、人が集まるというのも事実である。
その名の通り、未来に向かって持続的に繁栄する商店街になって欲しいと、願っている


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最近読んだ、浜矩子さんの著作

2013年06月10日 | 社会について独り言

つい先ほど、評論家(田原さん)のブログ・サイトを見ようとしたところ、
『危険ウェブサイト』として、警告が出て、つなげませんでした。
RSSリーダーで読んでみると、普段通りの文章でしたが、何かあったのでしょうか?

さて、今朝の、浜矩子さんのお話の要約は、省きました。
MCさんの、話題の誘導の仕方が稚拙で、
折角の、月に1度の浜さんのお話が、つまらない常識話に終わってしまって、
とても、残念な気がします。

MCさんも、上の方が気になって、上に遠慮して、
浜さんの、するどい言葉や、卓越したお考えを、
わざと避けて、聞かないようにしているのでしょうか?


その代わりに、最近読みました、浜さんの著作物を、紹介します。



国富論と言えば、アダム・スミスの著作ですが、
そのアダムスミスと同時代の経済学者リカードを、旅の道連れとして、
グローバル時代の国富論を描こう、探そう、とします。

推理小説を読むようです。
ハラハラ、ドキドキ、それで、それから、どうなるのだろう?
結論を言えば、いつかこのブログでも書きましたが『君富論』です。
結論がほぼ解っていても、そこに到る筆のタッチの快適さ!

ほんとに、浜さんの著作は、「あとを引く」というか、癖になります。





最後の本は、『超入門・グローバル経済』となっていますが、
いえいえ、堂々たる、高校生や大学生の教科書に匹敵します。
とにかく、解りやすい上に、筋立てがスリリング。

杉田玄白の 『解体新書』に倣って、今の地球経済を解体してしまいます。
その解りやすさは、サムエルソン著、 都留重人訳の『経済学』を思い起こします。

浜さんの解体新書は、市場・通貨・金融・通商を順に詳しく説明し、
そして『なぜグローバル経済下では、国が苦しくなるのか』と、あるべき政策を論じています。
誰もが、一度はアイデアとして浮かべた、単一通貨制や、
逆に、誰にも思いも付かぬ、一国多通貨制なるもの、などにも触れています。

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『不安社会を生きる(最終回)』~内橋克人さんの京都講演   

2013年06月07日 | ラジオ番組

 『不安社会を生きる(最終回)』   前回(3)の要約は⇒こちら

昨年80歳を迎えられた内橋さんが、戦争体験など、ご自身の経験を踏まえつつ
天寿を全うすることの大切さや、社会を変える社会転換の図り方について、
考え、生きる意味を、問い直します。
   (この要約は、 21012年10月28日に NHKで放送されたものの要約です。)


私がジャーナリストになった時、先輩から、三戒(3つの戒告)を言われた。
その頃の私たちの先輩は、戦争中にものを書いて、特高ににらまれた人々ばかりである。

一つは、自分の目で確かめろ、という事。
人の話しだけ聞いて、盲信してはいけない。必ず自分の目で確かめて来い、と言われた。
だから、何か書くと、「これは、自分の目で見て書いたのか?、と詰問され、
あやふやな答えをすると、「それではだめだ、もう一度行って見て来い」と、言われた。

2番目は、上を向いて歩くやつに、仕事師はいない、という事。
本当に仕事ができるやつは、上を向いて歩くやつではない。

3番目は、攻める側にカメラを据えるな、という事。
例えばデモがある。人々が抗議している。警官が襲ってくる。
その時に、攻める側にカメラを据えるな、
あくまで、攻められる側に踏みとどまれ、という事である。

イラク戦争の時も、攻められる側に踏みとどまったNGOの方は、沢山いる。
フランスのアタックを始め、
やって来る米軍がまず第一に何をやるか、そこから見極めていった人々が、沢山いる。
攻められる側に踏みとどまって、攻めてくるやつを写せ、というわけである。
今は、どうか? 今はそうなっていない。

この 三戒をできなくて、ものを書いたり、喋ったり、出来る訳がない、と先輩に言われた。
その通りだと、今もそう思う。

社会を転換する。
ある時、私は本当に敬愛している、尊敬できる先生と、対談して、尋ねた事がある
『先生、いったいなぜ人間は同じ過ちを犯すのですか?』

戦争、災害に遭った人々。
神戸阪神大震災の時も、私たちは、被災者のいわゆる人権を守るために、
もう亡くなった小田実さんと一緒に行動した。
被災者支援のための、国会の周りのデモ行進もした。
神戸の方々を始め被災者支援には、公的支援が必要だ!
ボランティアも良い、絆も良い事である。
けれども、『政府が為すべきを為せ。正当な政府機能を発揮しろ』とやったのである。

数年後に、初めて、被災者生活支援法ができた。
その後、震災とか災害に遭った人は、法律の適用を受ける事ができるようになった。
しかし、その当時は自助努力でやれ、つまり、自分でやれ、と言われたのである。

だから、どういう方向へ向けて社会転換をすべきか、私は一つの例を挙げている。
私たち社会が目指すべきものは、F・E・C(フェック)である。
これを地域内で自給できる社会を作らなければならない。
Fとは、フーズ(食糧)である。農産物である。農業である。
Eは、エナジーである。再生可能な自然なエネルギーである。
Cは、ケアであるが、これについては、デンマークを例にして、詳しく説明させて欲しい。

北欧のデンマークは、面積も人口も、北海道よりちょっと小ぶりな国である。
けれども、知恵ある人々が、素晴らしい制度、社会の在り方、を作っている。
ここでは、どういうケアをやっているかというと、
まず地域の中に四つの施設がある。

第1には、デイセンターである。
60歳を超えた人、退職した人、リタイアした人は、デイセンターに通う。
気が向けば、デイセンターで、地域の人々とお互いに交流をする。
そして、『この地域には何が必要なのか?』とかいった、
自ら、自己決定できるテーマについて語り合ったりする。
『こういう点が欠けているな』ということを、お互いに意思疎通を図るのである。

そして、そうこうしている間に、あるいは体を壊すかもしれない。
そういう時は、自宅から、デイホームに通うのである。
これは、いわゆる、通院のできる医師のいるケアの施設である。
そこへ行けば、『あなたは今は血圧が高いよ』とか、
あるいは、『こういう薬を処方しましょう』と、やってもらえるのである。

そして、大事なのは、活動センターである。
60歳過ぎでも元気な人は、
介護が必要なお年寄りの面倒を、『私たちがみましょう』と活動している。
もちろん、専門のヘルパーさんとかケアマネージャーは必要である。
『私が元気な間は、私はお年寄りの面倒をみましょう』
『けれども、私が動けなくなったら、若者たちよ、その時は頼むよ』
つまり、ケアの地域内の循環である。

お年寄りが、お年寄りを自発的にケアするのである。
これは、まさに、ケアの自給自足圏の形成である。

そして最後に、とうとうお別れの時が来たと、もうそろそろだな、となった時は、
自宅をたたみ、介護センターに行って、そして幸せの旅立ちをするのである。

デンマークは、このように4つ施設がある、安心社会である。
子供はどうするのか?
子供は18歳で選挙権を得て、同時に最低生活のお金(一種の年金)が国から支給される。
18歳で親から自立するのである。
そして、大学(授業料は無料)へ行く、あるいはまた、就職をする。

就職して収入があると、ある程度相殺されながらも、国家から支給を受けられる。 
仕事に就けないと、国から支給される最低限(ナショナルミニマム)の生活資金を得て自立をする。

ここまで話すと、親子の愛情はどうなるのか?、と日本人は不思議がる。
心配無用。親子の愛情は、かえって深くなるのである。
お互いに、重荷にならないからである。
自立した者同士の愛である。これこそが人間の愛である。
安心した社会だから、人間愛は一層深まるのである。

社会をどういう風に転換するか、と聞かれれば、
その答えは、『F・E・C(フェック)を、地域内で自給できるようにしよう』である。
ケア、これも自給できるようにする。
そして、
『政府は、正当な政府機能というものを発揮して、そういう社会への転換に向けて動き出せ』
と、声を上げなければならない。

私は各地を講演で歩くが、
北海道の訓子府(くんねっぷ・屯田兵のいた開拓の村である)に行ったことがある。
そこでは、小さな旅館に泊ったのであるが、食堂に大きな額が掛かっていた。
私は、その額に書かれていた言葉を、一所懸命書き写した。

後で聞いてみると、作者は不詳であるが、その言葉は詩になっていた。
訓子府の役所に勤めている、ある課長さんのお母さんが、
とてもきれいな字で書かれていた。

『親愛なる子供たちへ』という詩であった。
読ませていただきたい。

年老いた私が、ある日、今までの私と違っていたとしても、
(例えば認知症など、年をとれば変わってくる)
どうか、そのままの私のことを理解してほしい。 
    
私は、服の上に食べ物をこぼしても、靴の紐を結び忘れても、
あなたに、いろんなことを教えたように、静かに見守って欲しい。

たとえ、あなたと話す時に、同じような話を何度も何度も繰り返しても、
その結末を、どうか遮らずにいて欲しい。

これは、悲しいことではない。旅立ち、その前の準備をしている私。
どうかそのまま、宿泊の祈りを捧げて欲しい。
私の愛する子供達へ。


いずれは、歯も弱り、飲み込む事すら出来なくなるかもしれない。
足が衰えて、立ち上がることすら出来なくなったら、
あなたが、弱い足で立ち上がろうとした時に、私に助けを求めたように、
どうか、よろめく私に、あなたの手を握らせて欲しい。
私の人生の終わりに、少しだけ付き添って欲しい。

このように、子供たちに語りかける事ができる、
天寿全うの仕方も、あるのである。

それが出来る社会へ向けて、転換をして行かないといけない。
その為には、私たちが克服しなければならないことが、たくさんある
『人が人らしく生きていける社会』に向けて、変えて行かなければならない。

不安社会と安心社会について、もっともっとお話ししたいのだが、時間が来た。
ありがとうございました。

 
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再燃する中国における住宅バブル~ 6/6 NHKラジオ 関 志雄さんのお話

2013年06月06日 | ラジオ番組

再燃する中国における住宅バブル
             6/6 NHKラジオ 関 志雄さんのお話の要約です。

再燃する不動産バブル

中国では、リーマン・ショック以降の金融緩和を受けて、
不動産市場は、主要都市の住宅販売価格が急騰するなど、バブルの様相を呈し、
この現象は、特に沿海地域の大都市において顕著である。

その結果、
マイホーム実現の夢が、ますます遠のいてしまう庶民の間で、不満が高まっている。
その上、住宅バブルが一層膨張すれば、それが崩壊する時に、
銀行部門やマクロ経済が、大きな打撃を受けることも懸念されている。

このような事態を避けるべく、
2010年以降、中国政府は一連の対策を発表・実施した。
需要抑制策としては、融資規制、購入制限、不動産関連税制の強化、
供給拡大策としては、低所得層を対象とする保障性住宅の建設の加速、
が主な内容となっている。

金融引締めへの転換も加わり、
70の主要都市の新築住宅販売価格の前年同月比上昇率は、
2012年3月から10ヵ月連続してマイナスで推移していたが、
その後の金融緩和の再開を受けて、2013年1月から再び上昇に転じた。

4月には、同じ70の主要都市の新築住宅販売価格は、前年同月比4.5%上昇しており、
中でも、北京は同13.4%、上海は同10.2%など、大都市では上昇幅が大きくなっている。

不動産バブルを助長した土地政策

不動産バブルの本質は土地バブルである。
中国では、地方政府が土地の供給を独占して、土地市場と土地価格をコントロールしている。
農民は、土地を自由にデベロッパーに売ることが禁じられており、
「収用」という形で政府に低い価格で売るしかない。

その一方で、政府は、
農民から購入した土地を、競売などを通じてデベロッパーに高い値段で売ることができる。
その差額は地方政府の財源となるため、地方政府には高い地価を維持するインセンティブが働く。
しかし、その分だけ、デベロッパーの開発コストが増え、不動産価格も上がってしまう。

もっとも、中国における土地は、都市部では「国有」、農村部では「集団所有」となっており、
市場で売買されるのは、あくまでも土地の「使用権」であり、「所有権」ではない。

また、政府は食糧の自給率を維持するために、
耕地の総面積を1.2億ヘクタール以上に維持するという方針を採っている。、
その結果、農地の他の用途への転換がなかなか進まず、
都市化のために必要である土地の供給が大きく制約されている。
このことは、土地価格・不動産価格の高騰にさらに拍車をかけている。

求められる土地政策の転換

土地価格を抑えるために、次の政策の実施を通じて解決していかなければならない。

1.まず、土地の所有権を明確化しなければならない。
  理想としては、私有化が最も望ましいが、イデオロギーが制約となり、実現がむずかしいため、
  次善の策として、土地の使用権の年限を延長するべきである。

2.さらに、土地の使用権を政府、集団、企業、個人に区別せずに、
  誰でも土地市場で取引できるようにすべきである。
  そうすることによって、土地価格は適正価格まで下がり、不動産バブルも解消されるだろう。

3.また、耕地の総面積を1.2億ヘクタール以上に維持するという方針を解除すべきである。
  それにより生じかねない耕地不足の問題は、農地を集約化や、
  農業の生産性を高めることを通じて解決できるはずである。

4.さらに、地方政府は、土地譲渡金)に代わる財源を確保しなければならない
     (土地譲渡金とは、土地を売却する時に得られる収入のこと)

1990年代の税制改革を通じて、税収が中央に傾斜するようになった結果、
地方政府はインフラ建設などの財源を確保するために、
融資プラットフォーム会社を通じて借金を増やす一方で、土地譲渡金にますます頼るようになった。

土地譲渡金は、すでに地方政府の重要な財源となっている。
中国における地方政府の総収入は、
1.税金を中心とする「公共財政収入」(日本の一般会計の歳入に相当)に加え、
2.「政府性基金収入」(日本の特別会計の歳入に相当)と、
3.中央政府からの財政移転、
からなる。

土地譲渡金は、「政府性基金収入」に分類されるが、その大部分を占めており、
2012年には、2兆8,517億元に達しており、
これは、地方政府の総収入の20.1%にあたる。
不動産関連の税収を合わせると、広い意味での「土地財政」の規模はさらに大きくなる。

中央政府の不動産価格抑制政策により、
土地売却が困難になり、収入が減少する一方で、
低中所得者向け住宅の建設などの公共事業が増えたことにより、支出が増加して、
地方財政が悪化しつつある。

地方財源を確保するために、抜本策として、
中央政府と地方政府間の税収の比率を見直す、と同時に、
土地譲渡金への依存から脱却し、
個人の居住用住宅を対象とする不動産税の本格的実施を急ぐべきである。
 (これは、既に上海と重慶で試行している)

◆◆◆◆◆◆◆◆ いまさきもりの一言 ◆◆◆◆◆◆◆◆ 

中国は、中央政府の力も、もちろん大きいですが、
実際に国民に影響があるのは、
地方政府の政策や方針のようだと、よくわかりました。

昨日は、天安門事件後、24年だったのですね。
もう、胡耀邦氏の名前など出て来ませんが、
中国も早く民主化して、深層崩壊を免れて欲しいと思います。

私も、県知事選挙、参院選挙で、日本が深層崩壊しないように、
投票行動をしたいと思います。

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『不安社会を生きる(3)』~内橋克人さん京都講演会

2013年06月06日 | ラジオ番組

『不安社会を生きる(3)』   前回(2)の要約は⇒こちら

昨年80歳を迎えられた内橋さんが、戦争体験など、ご自身の経験を踏まえつつ
天寿を全うすることの大切さや、社会を変える社会転換の図り方について、
考え、生きる意味を、問い直します。

  (この要約は、 21012年10月28日に NHKで放送されたものの要約です。)

河上肇の貧乏物語の説明を続ける。
第一級の貧乏人については、
ローンツリーという人が、ヨーク市で調査分析した結果も書かれている。

ヨーク市は、当時、イギリスでも最も栄えていた都市である。
その都市で、
1.毎日規則正しく働いているが、賃金が少ないために、第一級の貧乏人である人々が、51.96%。
  つまり、労働者の半分以上がそうである。
2.次に、家族の数が多いために貧乏である人々が、22.16%。である。

その他、、主たる稼ぎ人が死んでしまった為に貧困な人々が、15.62%、
さらに、もっと、6項目ほど分析された数値がある。

つまり、今日でいう、ワーキングプアー(1と2)が、全体の74%を占めている。
労働者の3/4が、ポバティーラインの上で生きているか、それ以下である。

そこで私は、積憤ということを知ることができた。
あの貧乏物語に言われるポバティーライン(貧困線)。
明日の日本はどうなるのか?
これを考えざるを得ない時代が、身近に来てしまったような気がする。

今日、ここで申し上げたいお話しは三つある。

第1は、天寿全うを喜べない社会について。
皆さん、どうだろうか?
森繁久弥さんのご子息が言われたように、
『寿命ををきっちりと使い果たして、旅立って行った』と、子供さんに言ってもらえるだろうか?
その社会の諸相というものを、第一にお話しした。

『不安でない』人がいれば、おかしい、と私は思う。
そこで2番目は、社会を転換させなければならない、というお話。
河上肇のお話しをしたのである。
どういう方向に向けて、社会転換、社会を変えて行ったら良いのだろうか?
これも、皆さんとご一緒に考えて行きたい。

私は、昭和7年生まれで、今80歳である。
しかし、今、何とか生きているのが不思議である。

私は神戸出身で、神戸に育った。
神戸には、太平洋戦争の末期に、空襲があった。
私が13歳(小学6年生)の時であるが、
ちょうど入学試験がある日の朝、おなかが痛くなった。
しかし、我慢して、一応旧制中学の試験を受けた。
その後すぐに、電車に乗って、外科病院に入院した。
急性盲腸炎、今でいう虫垂炎で、その日すぐに手術をした。

病院には、母は前年に亡くなっていたので、父がついて来てくれた。
私と父が病院に来てしまったので、
家に残ったのは姉が一人だった。(弟は既に疎開をしていた)。
姉が一人では不安だろうと、
いつもお世話になるおばちゃんが来てくれて、一緒に泊ってくれていた。

その明け方、夜がまだ明けきっていない頃、空襲警報が鳴った。
忘れもしない、3月17日の神戸大空襲である。
空襲警報で、私は、病室から担架に乗せられて、玄関に並べられた。
そして、これから須磨離宮の方へ逃げるのかと思っていたら
B‐29がやってきて、その離宮に、真っ先に照明弾が落ちた。
逃げるべき所に照明弾を落とされたら、逃げることはできない。

そして、物凄い破裂音がして、焼夷弾が降って来た。
病院も燃え始めたが、私と父は何とか生き延びることができた。
問題は姉たちである。

空襲警報が鳴って、姉とおばちゃんは一緒に、裏庭の防空壕に逃げた。
小さな防空壕であるが、近所の人も皆そこへ避難して来る防空壕である。
その防空壕の一番奥が私の指定席であった。
(小学生で敏捷で、いつでも逃げられるから一番奥に座れというわけであった)

そして、そのおばちゃんは新人であるので、
『今、あの子が急性盲腸炎で入院していて、奥が空いているよ』と言われて、
おばちゃんは、そこにお座りになった。
その頃、おばちゃんは、もう未亡人だった。
そして、たった一人の息子さんは召集されて、沖縄で亡くなっていた。
『私は、身軽だから面倒を見てあげましょう』と言って、来てくれていたのである。
そのおばちゃんの座った所に、直撃の焼夷弾が落ちたのである。

大変だということで、その場から皆逃げた。
勝福寺 というお寺が近くにあり、全員そこに逃げたそうである。
ところが、皆が気がついてみると、おばちゃんがいない。

やがて夜明けとなり、自宅のある東の方が、ものすごい勢いで燃えている。
今でも、その光景は、はっきり覚えている。
それで『家を見てくるよ』と言って、父は出て行ってしまった。

私は一人残って、又病室に戻されたが、いつまでたっても父は戻って来ない。
やっと戻って来た、父の顔は、真っ黒で、カバンもぼろぼろであった。
『居ない、おばちゃんが居ない!』、そう言ってまた飛び出して行ってしまった。

今度も、なかなか戻ってこない。
それで戻ってきた時に、今でもはっきり覚えているが
『おばちゃん、どうだった?』と聞くと
『おばちゃんは、もう居ない。』と父は言った。
父は、遺体安置所を探し回ったが、けれども、どこにも居なかった。

それで、父が、思い浮かんだのが、防空壕である。
「あの中に残ってるのではないか?」と。
勝福寺 というお寺に逃げた人に、おばちゃんの事を聞いて回った。
誰も知らない。『振り向いたら居なかった』というのである。

それで、ふっと父は思いついて、防空壕を掘ったのである。
そして、
畳を敷いて、土をかぶせて、防空壕がお墓になってしまった、のである。(内橋さん、涙声)
私が13歳の時のことである。

もし私が、虫垂炎になっていなければ、間違いなく、今、私は、ここには居ない。
おばちゃんが身代わりになってくれたのである。

私の母は、とても信仰深い人であった。
いつも、近くの地蔵さんの所に行っては、前垂れを掛けて歩くという人であった。
私によく、身代わりという話しをしてくれた。
空襲あるいはその他さまざまな、身代わりとはどういう事なのか、
母はいつも、こう言っていた。
それは、『その人の魂を預かる、ということよ』と、と何度も何度も言っていた。

おかげでというか、馬齢を重ねてしまった。
私は60歳過ぎるまでは、この話しはしまい、と思っていた。
60歳過ぎてから、ぼつぼつ、書いたり話したりするようになった。

今日、その話しをなぜするのか? 
私は、世の中の不条理について話をしたいからである。

人々の本当の意味の幸せ、というものを、
考えない政治の下で、
『国民、国民』とおっしゃるけれども、誰が幸せになるのか?
誰が豊かな生活の中で、生きることができるのか?

私は積憤である。河上肇と同じように。
忘れられない、積み重なった、恨みとか怒りとかがある。

怒りがあるから、見えるものがある。
例えば、私たちを取り巻く同胞の方々を染め上げている習性である。
それは何か。 まず、『頂点同調』である。

哲学者の久野収さんは『コンフォーミズム』というのを、頂点同調と訳している。
つまり、『頂点に向かって同調して行く』ことである。
日本人は、『偉い人、権力をもっている人に同調して行く』のである。

私は、もうジャーナリストとして55年になる。
組織ジャーナリストをやったのは最初の10年だけで、後は一人である。
なぜ一人なのか?
組織ジャナリストは、頂点同調だからである。
天辺の言うことに、自ら合わせて行くからである。
上を向いて歩くからである。

社会転換を、現実のものにするためには、
私たちは、まずは、頂点同調主義から、抜け出さないといけない。
繰り返して言うが、
偉い人の言う事に向けて、自らを合わせて行くのが、頂点同調である。
これから抜け出さないといけない。
私は、今の若い人に、いつも、そう言っている。

もう一つは『ファーディング』である。
熱狂的な同質感。みんな同じ質になろうとする。
異端者になりたくない、自分だけ浮き上がりたくない、同じものになりたい。
同じ質になることを競い合う。これを熱狂的にやる。

頂点同調と同質感。
そういう社会の習性の中で、社会を転換することはできるだろうか?
私は、それを皆さん方に聞いて頂きたい。

(以下続きます。)

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不安社会を生きる(2)~内橋克人さんの京都講演

2013年06月05日 | ラジオ番組

不安社会を生きる(2)』  前回の要約は⇒こちら

昨年80歳を迎えられた内橋さんが、戦争体験など、ご自身の経験を踏まえつつ
天寿を全うすることの大切さや、社会を変える社会転換の図り方について、
考え、生きる意味を、問い直します。

  (この要約は、 21012年10月28日に NHKで放送されたものの要約です。)

これまで述べたように、
死の不平等が罷り通る日本を、『満たされざる長寿国』と、私は呼んでいる。
世界一の長寿を誇るこの日本で、皆さんは、天寿全うを素直に喜ばれるだろうか?

数年前のものであるが、国立長寿医療センターの調査結果を紹介したい。
この調査によれば、
まず、「長生きなどしたいと思わない人」が4人に1人もあった。
そして、「年をとることへの不安がある人」は、全体の83%に上った。

全国から、年代別に振り分けた、2200人にあたった確かな調査である。
だから、これには、若い20代の人も入っているし、高齢者も入っている。
勿論、質問の仕方、答えの仕方などに微妙な点があるかもしれない。

けれども、それにしても、こんな国が他にあろうか?
年をとるのが嬉しい、70歳になって嬉しい、80歳になって嬉しい、
90歳になって嬉しい、天寿を全うして嬉しい。
どうして、そういうことが出来ないのだろうか。

この社会で、老人たちがどう処遇されているか?
若い20代の人々も
老人が社会の邪魔者として扱われているのではないか、と肌身で感じている。
老人が大切にされていない、と直感している。
そして高齢者は、
自らの日々の辛酸の中から、長生きなどしたくない、と言っている。

つまり、自分の人生に対して、老いも若きも肯定的に受け止める人が少ない。
今年よりは来年、来年よりは再来年の方が良くなる。
そう受け取っている人、信じている人が、いかに少ないか。
皆さんは、如何だろうか?

私は、天寿全うを素直に喜べないなどとは、考えなければならないと思う。
今、生活保護世帯が、どのくらい増えているか、参考までに申し上げたい。
僅か7年前に、始めて100万世帯を超えた。
今は、150万世帯、人数で200万人を超えた。

生活保護の制度については、いろいろなことが言われる。
私は『日本の貧困の真相』という NHK教育の講座でも、京都に取材に来て、
123号通知が、現場において、どのように実施されたかという事を取材している。

1%にも満たない不正受給が、ことさらに煽られて、
生活保護を、今、まるで罪悪かのごとく言われている。
生存権としての生き抜く権利、
これを皆が認めるという風にならなければけいけないが、そうはなっていない。
そして 2011年7月時点で、受給世帯数は、
ついに戦後の困窮で過去最高だった昭和26年のピークを、はるかに上回ってしまった。

これで、豊かな国と言えるだろうか?
この日本は、世界最大の債権国家と言えるだろうか?

その一方で、
世界の億万長者 の6人に1人が日本人である。
総資産100万ドル(居住目的の不動産を除く)以上はの日本人は、134万人で、
日本の総人口の1%以上である。

それが富裕層と言えるかどうかは分からないが、
世界の億万長者の 6人に1人が日本人であり、
外資系の金融機関は、その億万長者を囲い込む商法をやっているわけである。
その一方で、今、生活保護世帯は、戦後の最高を更新し、どんどん増えている。

国民生活基礎調査の結果によれば、
これは4万6千世帯を対象にしているのであるが、
61.5%の人が、生活が苦しいと答えている。子供がいる世帯では 69.4%である。
実に7割である。もちろん過去最高である。

『経済大国、日本』と、ついこの間迄言っていたわけである
皆さんは、いかがお感じだろうか?

次に、預貯金・金融資産がゼロの世帯は、実に28.8%である。
単身世帯では 4割以上が預貯金がゼロである。
2007年の調査で 2割を超えたが、
それ以降ずっと増え続けて、ここ5年で 50%増えて、1.5倍になった。

『恒産なくして恒心なし』とよく言われるが、
私たちの生活は、豊かになったと言えるのだろうか?

日本全国で、5111万人の雇用者がいる。
その中で、正社員は3355万人に過ぎない。
非正社員、どんどん増えて、1755万人と、雇用者の3人に1人を占めている。
その非正社員の処遇・待遇は、社会保障を含めて、正社員の 1/3である。
社会保障の当然受けるべき処遇も、社会的な支えも、受けられない。

そういう状況の中で、
長期の失業者(1年以上の失業者)が、完全失業者の中の 1/3を超した。

私は、なぜこういう話しをするか、
再び河上肇さんの貧乏物語に戻りたい。

あの貧乏物語は、河上肇 が37歳の時から、朝日新聞に連載を始めた。
それが第一貧乏物語である。
後に、この貧乏物語に対して批判が出たので、
それを真摯に受け止めて、13年後に、第二貧乏物語をお書きになった。

貧乏物語は、1章から4章まであるが、2章までは問題がない。
ただ3章、4章で、
『なぜ国民は貧しくなるのか』、この原因について、
間違った解釈があったという事である。

その後河上さんは、思想的に新たな道を進まれた。
そういうことから、あっさりと第二貧乏物語を13年後に書いたという。
この河上肇の真面目さ。
我が説を変えていくわけであるが、志は、「貧しきをただす」と同じであった。

それで貧乏物語の最初に、こう書いてある。
『国は著しく富めるも、民ははなはだしく貧し』
当時、世界で最も富裕な国と言われたイギリスに出掛けて、
河上さんは、そこで何を見たか書き始めている。

『国は著しく富めるも、民ははなはだしく貧し』
『げに驚くべきは、これら文明国における多数人の貧乏である』と書いてある。
そして、さまざまなデータを、その中に紹介している。
申し上げたい事は、
その当時、イギリスとかドイツとかフランスとかは、
国は植民地を持って、著しく富んでいる。しかし、民は甚だしく貧しい。
その現実を、詳しく、詳しく、あの貧乏物語で書いたのである。
げに驚くべきは、文明国における多数人の貧乏である。

今は、貧乏人という言葉は使わないで、貧困と言っているが、
貧乏物語では、当時はっきり貧乏人の定義を河上肇は言っている。
貧乏人の定義を、ポバティーライン(貧乏線)ときちんと定義している。

大人の男子で 、1日3500キロカロリー摂取できない勤労者に、
貧困ラインを引いた。
その線上にある人は第二級貧乏人、それ以下のもっと貧困な人を第一級貧乏人とした。
そして、それらの国で行われた調査を、色々紹介している。
また数字の話しで恐縮であるが、
第一級と第二級の貧乏人は、
1899年のイギリスにおいては、総労働者総数の43.4%、総人口の27.8%を占めていた。
つまり、それだけの多数が、
1日3500キロカロリーという食べ物を食べることができなかった、という事である。

そして、ロンドンに於ける、貧民・細民・最下層民という風に総て詳しく書いている。

今なぜこういう話しをするかというと、
今の私たちの社会が、そこに描かれている、からである。
今の私たちの社会が、そこに近づいている、からである。

『企業は富めども、民は貧し』。
巨大な企業の内部留保金は沢山あるけれども、人々の所得は増えない。
こういう中でデフレは続く。

皆さん、如何だろうか?
年金生活の方、これから、どうなるだろう。
今働いている方、是非考えて欲しい。

(続きは、追って書きます)


         
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『揺れる社会的公器の理念』  6/4 NHKラジオ 内橋克人さんのお話

2013年06月04日 | ラジオ番組

『揺れる社会的公器の理念  6/4 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。 

最近話題になったことであるが、
米国の投資ファンドである、サーベラスが
西武HDに対して、TOBによる株式の公開買い付けを目論んだ。
しかしながら、
サーベラス側の目標まで、株式を買い増す事が出来なかった、ということで
西武鉄道の沿線の住民の方々は、ひとまず、ほっとされているようである。

米国のニューヨークに本社を置く、巨大投資会社『サーベラス・キャピタル・マネージメント』は
日本の企業、特に経営危機に陥ったような企業に対して、
大口の資本を出資して、再生を助け、そして上場させるなどする事で、利益を稼ぐという、
マネービジネスを展開してきた会社である。
かつて、2000年代の初めごろの、青空銀行なども、同社が手掛けたものである。

今回話題となった西武も、2005年の秋、サーベラスから約1千億円の出資を受けた。
当時、西武鉄道は「有価証券報告書の虚偽記載」というものが明らかになって、
上場廃止の危機に、追い込まれていたのである。
その時に、筆頭株主になったのがサーベラスで、およそ32%の株式を取得した。
西武は、鉄道やホテル事業を再編して、西武HDに生まれ変わった、という経緯がある。

しかし、その後、両社の関係がこじれて、
サーベラスは、TOB(敵対的公開買い付け)により、
持ち株比率を、それまでの32%台から一挙に44%台へと引き上げを狙って来た。
経営の主導権を獲得しようと考えたわけである。

ここで問題となったのが、サーベラスが、西武HD側に突き付けた要求の中身であった。
サーベラスは、公式には認めていないのであるが、
実際には、文書によって 、47項目にわたる経営改善要求を突き付けた、ようである。

その中身を見てみると
1.採算の悪い路線(不採算路線)の廃止、
   西武秩父線、山口線、多摩川線、国分寺線、多摩湖線の5つ。
2.特急料金の25%値上げ、
3.西武ライオンズ球団の売却  等々であった。

これには、沿線の自治体、地元の財界や住民などが、反対の署名を集めて、
政府も含む関係筋に提出する、という争議に広がった。

しかし結果から言うと、
サーベラスが目論んだ44.67%の目標には及ばず、
結局、現在の32.44%から35.48%へ、わずか3.04%の引き上げにとどまった。

これにより、サーベラスの、経営への影響力が、限定的な範囲にとどまったことで
住民や球団のファンは、ほっとした、というわけである。

サーベラスは、
元々、米国の機関投資家や年金基金から資金を集めて、
投資信託を組成し、
世界中で運用してきたファンドの一つである。

米国政府と経済界の関係というのは、よく『回転ドア』と言われが、
サーベラスのトップも、元副大統領とか、ブッシュ政権下の財務長官といった具合に
大物がずらり名前を連ねている。

日本へのグローバル化の波が一層高まった2000年代に入って、
日本企業、特に、経営不振に陥った金融機関や企業に、大口出資を行うようになってきた。
今回の西武騒動では、
これまでの様な、短期の投資資金回収による利益追求だけではなく、

株式会社の支配を意図しているのではないか、
と思われても不思議ではない言動を取っている。

そういうことで、
『株式会社とは、いったい何なのか』と、深く問われる事にもなった、といういきさつがある。

資本主義社会で『企業』といえば、
株主(資本の出し手)による私的所有の存在である、という考え方が通用している
しかし、規模の大小を問わず、『企業』の活動は、
社会と深い結び付きを持っており、一般の人々の生活、生存の条件に強い影響を与えている。

また『企業』というのは、資本の所有者だけではなくて、、
『ステークホルダー』という言葉がよく使われるように
そこの経営者も、勤労者も、さらに企業が存在する市民社会そのものも
共に、『企業』の利害の当事者である。
そこから、企業の社会的責任、という考え方が生まれてくる。

振り返ってみると、
企業による公害被害が相次いだ時代には、
『企業も、まだ、市民社会の一員である』、という認識が強く企業に求められた時代があった。

今は、そのような考え方が、どうやら希薄になってきて、
『今さら、何を!』といった具合に、時代遅れのような扱われ方で、片付けられてしまう。
そういう風に感じさせられる出来事が、当たり前のように増えている。

総じて
道路、鉄道、水、さらに美しい自然や風景、これらは社会的共通資本である。
宇沢弘文先生が築かれた、宇沢経済学の基軸概念になっているものである。
誰のものでもない、皆のものである。

言葉を変えていえば、
企業の行動や活動というものは、人間の生存基盤に深く関わっている。
それだからこそ、『企業は社会的公器だ』という認識が、
再び強く求められるようになって来ているのである。

特に民営化の名前で進められる、
公共の企業化(民営化)には、慎重の上にも慎重な姿勢が求められる。
今一度、企業とは何か、今こそ、そう問い直す時が来ている、と強く思う。  

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