ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

晴れた日は農業とウォーキングとライカ、雨なら読書と料理。
そして毎日ラジオがお伴です。

変化する世界のエネルギー情勢~8/30 NHKラジオ 寺島実郎さんのお話

2013年08月30日 | ラジオ番組

『変化する世界のエネルギー情勢』  
        8/30 NHKラジオ 寺島実郎さんのお話の要約です。 

世界のエネルギー情勢が、
思いもかけない変化と微妙な相関にある、ということを話ておきたい。

第1に、
原油価格の高騰で、
石油から石炭へ、という、
思いがけない力学が生まれてきている事。

原油価格が高い背景には、緩和し続ける世界の金融情勢が大きく影響している

第2に、
米国のシェールガス・オイル革命が、
米国の経済を蘇らせてきている事。
米国の原油の生産は、昨年はついに 900万バレル/日に到達した。
米国は、もはやエネルギー戦略上、中東に依存することなく
5年以内には、自給体制を確立するとみられている。
また、石油精製品(ガソリン等)の輸出は1300億ドルに達していて、
エネルギー産業が、米国の産業を支える柱になりつつある。

第3に、
ロシアのエネルギー戦略が、欧州から極東にシフトして来ている事。

特に、対日本を重視している。
日本の化石燃料の輸入の2割くらいが、ロシアから来る時代が近い。

昨年1年間の、日本の化石燃料の輸入は24兆円であったが、
今年は円安の影響だけでも、30兆円を越すと言われれている。
日本のエネルギー戦略としては、世界のエネルギー情勢を安定させて、
できるだけ廉価にエネルギー源を獲得するのが、賢い選択である。

しかしながら、現下の日本は、
今年なぞは、早くも『節電』の意識も薄まってしまっていて、
国際エネルギー情勢を不安定化させ、高値へ高値へと持って行く様な展開の中にいる。
だから、原発の問題をを含め、
『賢くて長期的に安定したエネルギー戦略』はどうあるべきか、賢く考えないといけない、


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中国、李克強首相の経済政策   8/29 NHKラジオ 関 志雄さんのお話

2013年08月29日 | ラジオ番組

『中国、李克強首相の経済政策』  
             8/29 NHKラジオ 関 志雄さんのお話の要約です。

中国では、昨年以来、成長率が急速に低下してきており、
不動産バブルの膨張や、地方政府債務の急増など、経済危機のリスクが高まっている。

この難局を打開するために、李克強首相は、
「安定成長の維持」、「構造調整」、「改革の推進」という三本の柱からなる経済政策
(いわゆる「リコノミクス」)を進めている。

ここで、李首相が指摘しているように、
成長を安定させることで、構造調整のための有効な余地と条件をもたらすことができ、
構造調整によって経済発展の持続力をもたらすことができ、
両者は互いに補い合っている。
改革を通じ、体制・仕組みの障害を排除することで、
安定成長と構造調整に新たな原動力を注入できる。

1)安定成長の維持について。
李克強首相は、
マクロ・コントロールの主要目的が、経済の大きな上下変動を回避することにより、
経済成長率を一定の水準以上に、またインフレ率を一定の水準以下に
維持することであると指摘している。

具体的数値は示されていないが、今年春に全国人民代表大会で発表された
7.5%という成長率と、3.5%というインフレ率の目標が参考になろう。

また、金融改革と財政改革を通じて、
資金の利用効率を高め、経済危機を未然に防がなければならない。
中でも、シャドーバンキングによる融資と地方政府債務の膨脹や、
住宅価格の上昇を抑えることは急務となっている。

2)構造調整について。
構造調整については、「経済発展パターンの転換」が最優先課題となる。
具体的に、需要の面では「投資から消費」へ、産業の面では「工業からサービス業」へ、
生産様式の面では企業のイノベーション能力の向上や産業の高度化などを通じて
労働力や資本といった生産要素の投入量の拡大から
生産性の上昇へとシフトしていくことが求められている。

構造調整を促すために、
今年の年6月19日に行われた国務院常務会議において、金融支援策が決定されたが、
中でも、次の4項目が重要だと思われる。

①融資資金が実体経済を支えるよう導く。
そのために、先進的製造業、戦略的新興産業、労働集約型産業とサービス業、
伝統的産業の改造・高度化などに対する融資の面における支援を強化する。

②過剰生産能力の調整を支援し、
生産能力過剰企業の統合に対し、合併・買収(M&A)向けの融資を行い、
生産能力過剰業種の規定違反の建設事業に対する新規融資拡大を厳禁する。

③これまで正式な金融機関からの融資をほとんど受けられず、
インフォーマル金融に頼らざるを得なかった農業と零細企業に対する融資を強化する。

④民間資本が金融機関の再編に参加することを奨励し、
民間資本による、銀行、リース会社、消費者金融会社などの設立を模索する。

3)改革の推進について。
改革の推進については、政府と市場の役割分担の見直しが焦点となる。
市場と民間企業の活力を活かすために、
規制緩和や多くの分野における国有企業の独占体制の打破を通じて、
公平・公正な市場環境を構築しなければならない。

その一方で、国民生活と直結する環境保護や、社会保障、医療、教育といった
公共サービスの分野における政府の役割を強化しなければならない。

その一環として、今年5月6日に開催された国務院常務会議において、
今年度の経済体制改革深化の重点的取り組みが決定されたが、
その中で、次の5項目に注目したい。

①投資プロジェクトや生産経営活動に関わる許認可権の見直し、撤廃、委譲を急ピッチで進める。
②予算制度改革の全体計画をまとめ、地方政府の債務リスクをコントロールする措置を整備する。
③金利・為替の市場化改革措置を徐々に実施し、人民元資本取引の自由化の実施計画を提出する。
④鉄道投融資体制改革の計画をまとめ、
  鉄道の所有権と経営権を民間資本に開放し、既存の幹線鉄道への民間資本の投資を誘導する。
⑤人間本位の新型の都市化に向けて、戸籍制度改革を推進し、
  関連する公共サービスおよび社会保障制度を整備する。

李克強首相の下で、これらの政策を体系化した『リコノミクス』の決定版ともいうべき
経済改革案がまとめられている。
その内容は、今年11月に開催される中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議において
明らかになるだろう。
これを中国経済の行方を占うための重要な材料として注目したい。 


 
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「あの時を覚えていますか」 伊藤和也さんがアフガンの地から消えて、5年たちました。

2013年08月28日 | 社会について独り言

 「あの時を覚えていますか」 
      伊藤和也さんがアフガンの地から消えて、5年たちました。

8月26日は、伊藤和也さんの命日でした。
地元の静岡新聞には、次のような記事が掲載されました。





以下の記事と写真は、静岡新聞のウェブサイト、@エスから転載させて戴きます。

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「覚えていますか」 伊藤和也さん殺害から5年


 
伊藤和也さんの関連書籍を並べたブースについて思いを語る古川明大さん
=掛川市の戸田書店リブレ掛川西郷店
 

掛川市出身の農業ボランティア伊藤和也さん=当時(31)=が
アフガニスタンで武装勢力に殺害されてから26日で5年がたつ。
多くの書店から特設コーナーが姿を消す中、
戸田書店リブレ掛川西郷店では店内にささやかなブースを設け、
「あの時を覚えていますか」と、問い掛けている。

文芸書の一角に、
伊藤さんが現地で撮った写真集と遺稿追悼文集を並べ、紹介文を添えたのは4月。
新人店員古川明大さん(32)=静岡市葵区=が発案した。
古川さんは高校卒業後、建築の仕事でネパールに2年滞在し、
女性支援の非政府組織(NGO)を立ち上げた経験がある。
「アフガンを緑豊かに」と現地に渡った伊藤さんを事件で知り、
強い共感を抱いてきたという。

「伊藤さんは農業支援を通じてアフガンに笑顔を作った。
彼の果たした役割を忘れてはいけない」と古川さん。
「掛川で働くからには、本で問題提起したい」と強調する。
その思いを理解し、ブース設置を快諾した高木久直店長(42)は
「硬派本で売れ筋とは言えないが、それでも掛川の本屋としてできることをしたい」と話す。

「私、和也の母親です」―。
6月、同店を訪れた順子さん(60)がブースを見つけ、古川さんにたまたま声を掛けた。
「和也と同じぐらいの青年が、彼の生き方を認めてくれている」。
息子の死から5年たっても真相を知ることのできない母にとって、
人との出会いはせめてもの救いだ。

父正之さん(65)は「(古川さんは)今ある立場の中でできることをしてくれた」と言う。
それは和也さんがアフガンへ旅立った動機そのもの。
これまでも若い人が写真展を見に来てくれたり、手紙をくれたりして、
ずいぶん励まされてきた。

両親が「和也が生きた証し」というアフガン菜の花基金では、
伊藤さんの遺志を受け継ぎ、これまで現地学校の寄宿舎などが建てられた。
今も多額の寄付が寄せられ、学校建設などが検討されるという。

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伊藤和也さんについての、私の前回の記事は⇒こちら

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『全日空、正社員化が教えること』~ 8/27 NHKラジオ 内橋克人さんのお話

2013年08月27日 | ラジオ番組

全日空、正社員化が教えること
      8/27 NHKラジオ ビジネス展望 内橋克人さんのお話の要約です。      

全日空は、客室乗務員(CA)の契約社員(非正社員)での雇用形態を廃止して、
来年春からは、すべての客室乗務員を正社員に切り替える、と発表した。
現在は、客室乗務員6000人のうち 1/4の1600人が契約社員として働いている。

全日空は、1990年代の半ばの頃、コスト削減のため契約社員制度を導入し、
それから20年ほどになる。
競争が激しくなる一方の航空業界で、何故こうした決断がされたのだろうか? 

これで、来年春の新入社員からは、全員正社員として採用するとことになり、
同時に、その時点で働いている契約社員はすべて正社員に切り替えられる。
当然、休暇、福利厚生さらに昇進等、すべての面で労働格差が解消される。 

日本航空も、同じ形態に変える可能性がある、と言われている。
今、このような『改革』がなぜ必要になったのか?

これとは逆に、安倍政権が進めようとしている労働の規制緩和政策は、
本当に
経済を成長させ、経済を強くする道につながるのか、
今回のケースから、多くの意味を読みとることができる。 

今、パートや派遣等、不安定な非正規で働く人々の数は、実に 2043万人にも達した。
安倍政権と経済界の主張に沿って、政策を進めていくならば、
さらに、不安定な非正規雇用の人々が増えて行くのは間違いない。
正社員の人々をも流動化させて、非正規雇用にする、という方向に、
安倍政権が急速に踏み出したからである。

雇用・労働の規制緩和を進めて、労働の流動性を高めれば
産業経済は活性化し、成長につながる、という考えで、
すでに急速な展開を始めている。
今朝は、その内、特に注目すべき3つの
動きについて述べておきたい。

まず、第一に、規制改革会議の雇用ワーキンググループの動きについて。
この会議では、
生産性の高い産業に人が移りやすい社会を作る、と唱えて、
具体策をまとめた。

『限定正社員制度』を広げることの具体案が、骨太の方針にも盛り込まれている。
雇用維持の為の雇用調整助成金を減らして、労働移動支援助成金を増やす事も盛られている。
つまり、『雇用の安定維持から、転職の推進へ』と、
雇用の流動化策へ向けて方向転換を目指すものである。

次に第二に、厚生労働省の有識者研究会の動きである。
この研究会でも、また、労働者派遣制度を緩和すべきだ、という報告書をまとめた。

正社員が担っている仕事を、派遣労働などの非正規雇用に置き換えやすくする為に、
規制緩和を進めようというものである。

そして、第三に、
この5月に内閣府に設置された、国家戦略特区ワーキンググループの動きで、

ここで検討を進めている特区案がある。
安倍政権は、世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる、をキャッチフレーズにしているが、
この目標に沿って、さまざまな労働の保護・規制を緩和する、いわば雇用特区を検討している。

この特区では、
まず第1に、解雇の金銭的解決が可能とする。
(必要な時に必要なだけ労働力を調達して、
不要になれば容易に整理・解雇できることにする) 

第2に、かつて問題になった『ホワイトカラー・エグゼンプション』を導入する、としている。
つまり、労働時間の規制を外して、企業は残業代をゼロにすることができる。 

第3に、労働基準法の適用されない労働を認める事も謳われている。 

こうして、雇用特区を先導役にしながら、
正社員の非正規雇用化(非正社員に降ろす)が、激しい勢いで進む事になるのではないだろうか。
 

こういう『労働の規制緩和化』が、はたして、真の経済活性化につながったり、
あるいは、豊かな社会にふさわしいあり方、と言るのかどうか、そこが問題である。

先日、規制改革会議メンバーの某有識者が、ある討論会で
労働の規制緩和を批判して意見を述べた者に対して
『関係ない仕事までさせられる正社員の方が、奴隷的ではないか』
反論したと、メディアが報道している。 

世に言う『現実知らず』とは、このことではないかと思う。
そういう正社員にさえなれないで、
不本意なまま、非正規雇用を続けざるを得ない
不安定低劣な労働条件、
これが、非正社員が置かれている現実である。
 

これまで、何度も話してきたように、
転職する度に、
正社員から非正社員へ、そして、
報酬もポストも、右肩下がりで悪化していく現実は、
就業構造基本調査を始めとして、多くの調査が明らかにして来たことである。 

上述した某有識者の言い分が通るには、二つの条件が必要である。
まず、成長産業分野なるものが本当に存在していること。
そして、他の職場に移ることがその人の報酬や地位の向上に確実につながること。
である。

この二つの条件を明らかにしないままに、労働の規制緩和だけを進めようというのは
雇う側だけの利益を優先する、つまり首を切りやすい社会作りと言わざるを得ない。
そこには、
解雇基準の緩和を成長戦略に入れていく、という本質が垣間見られる。

今回改革を進めた全日空は、
1.より安定的に、長く働ける環境を整えること、
2.同じ職場で働く者の間に、格差を作らないこと、
それが、意欲ある人材を生み出して、激しい競争を生き残る道につながる、と語っている。

このことは、航空業界だけの話しであろうか。

  

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『崩れゆくグローバリゼーション』 8/22 NHKラジオ 藤原直哉さんのお話

2013年08月23日 | ラジオ番組

『崩れゆくグローバリゼーション』  
        8/22 NHKラジオ『ビジネス展望』 藤原直哉さんのお話の要約です。 

米国を中心としたグローバリゼーションの体制が、終焉の時期を迎えている。  

ここへ着て、米国は、安易な与信の拡大を恐れて、金融緩和の縮小を急いでいる。
それで、米国、日本、そして新興国や資源国まで、世界中の株価が下がっている。
もし、景気が本当に良いのであれば、金融緩和を縮小しても、株価が下げる事はありえない。

本当の事を云えば、米国の景気の拡大というのは見かけ上のことで
安易な与信の拡大で、かつての、
サブプライムショックやリーマンショックの前夜のようなことをやっているだけだ、
というのが、今の状況というべきである。

80年前の世界大恐慌も、ついこの前のリーマンショックも、安易な与信の拡大がバブルを作った。
それが破たんして、金融恐慌となり、それが企業を倒産に追い込んで、産業恐慌となり
そして、大量の失業者を生んで、生活恐慌となった。
それらが税収の基盤を壊して、莫大な政府の追加支出を余儀なくされて
国家体制の崩壊の記事を招いた、という連鎖の仕組みを、まだ忘れる事ができない。 

この事を覚えているから、オバマ大統領も、FRB議長も現状を見抜いているのである。
そして、このことが 記憶にある故に、
今回、米国の議会も、
○大手投資銀行を解体して、銀行と証券を分離する、
○ヘッジファンドの活動を厳しくけん制する、
○今のような投機的な金融経済を根本的に壊して、厳しく規制して行く、
という方針を、米国議会も、すでに明確に持ち始めている。 

この20年間のグローバリゼーションを進めてきた最大のエンジンは
金融の巨大な市場の力であったが、
これを米国は、本気で解体しようとしているのである。 

そうなれば、世界の新興国にも資源国にも、もちろん先進国にも、資金が出回らなくなり、
投資や貿易が急激に減少し、世界の経済を減速、不景気をもたらすだろう。 

米国が、そうした本格的な戦略の切り替えを行った以上、
もう二度と、今までのような投資ブームによる、世界同時好景気が来る事はない。 

先日、米国政府による通信・インターネットの盗聴問題が露見したが、
見方を変えると、
米国の通信・ネット業者というのは、サービスを安くユーザーに提供して、
集めたデータを政府に売ってお金を稼いでいる、とも言えるわけである。 

通信・ネット・クラウドの安全性神話というのは、今や完全に崩壊していて
根本的に今のシステムでは安全を確保することはできない。
そういう前提で、ビジネスを組み直さないといけない。 

そうすると、このグローバリゼーションのなかに広がってきた、今までのような、
極めて効率的な仕事のやり方を続ける事は、安全上不可能になってきた。

さらに、軍事・外交・安保の情勢を見ても、
シリアやエジプトの虐殺を、米国も国連も全く止めることができない。
すでに、中東の親米諸国は、今や米国の言う事を聞かなくなっていて、
自分たちの体制の維持には手段を選ばない、という状況になっている。 

グローバリゼーションというのは、
米国という唯一の超大国が、世界の安全を守って初めて実現するというものであるから、
その安全保障上の前提がここで根底から崩れていることを考えると
このグローバリゼーションの時代というのは、過去のものになりつつある、
という認識を持たざるを得ない。

我々は、今歴史上の大きな岐路に立っていると認識すべきである。
今後は、世界は連携が崩れて、地域や国ごとに、
それぞれが、足元から再建するという段階に入ってくる。

日本国内でも、グローバル化とかコスト優先の経営とかでは、
今後は絶対生き延びていことはできない。
むしろ今後は、
個性的でイノベーションや技術・能力が高い、中小・零細・個人企業に、
より活躍の場がより広がって来ると思われる。


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組合で再生可能エネルギーを増やすドイツ~ 8/20 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話

2013年08月20日 | ラジオ番組

組合で再生可能エネルギーを増やすドイツ』   
           8
/20 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話の要約です。

ドイツの再生可能エネルギーは、
昨年には、
総電力消費量の約23%に達しており、基幹電源の一角になりつつある。
これを成功させた要因は、
もちろん『再生可能エネルギー固定価格買い取り制度』で、これが大きく寄与している。

その買い取り制度のもとで、
誰が、実際に、再生可能エネルギーの普及促進を担って牽引して行ったのだろうか?
今年の1月から2月にかけてドイツを訪問した際、その辺の事情についても調べてきた。

その主体は、
電力会社ではなくて、個人とか農民であった。
2009年の数字であるが、再生エネルギー発電への投資は、
個人が 42%、農民が9%で、両者で51%と過半数を占めている。

その投資の形態であるが、
個人が、単独で自宅の屋根の上に太陽光パネルを載せる、とかのケースもあるが

皆が集って、エネルギー協同組合を設立ししている場合が多い。

ドイツでは 、19世紀の半ば過ぎに、
あらゆるタイプの基礎となる、普遍的な『協同組合法』というのができている。

それ以来、協同組合は、ドイツの経済成長に深く根を下ろしている。
この協同組合は、自己責任、自治、自助を根本原理とする連帯的な自主組織であり、

民主的で、オープンで、平等な組織である。

そして、近年になるが、2006年に協同組合法の改正が行われ、
組合を創設するハードルが、大幅に引き下げられた。
これがおそら寄与したこともあって、2010年には新設数が 2003年の4倍にもなった。

その中でも、とりわけ多く増えているのが、エネルギー協同組合で、
2011年には、すべての新設数のうち63%が、エネルギー協同組合であったほどである。
増えているエネルギー協同組合の2/3は、太陽光発電が占めている。

協同組合という制度のおかげで、
それまで電力事業には全く素人であった農山村部の地域住民を

再生可能エネルギー発電の事業家に変貌させる事ができたのである。

協同組合というのは、決して大儲けできる組織ではなく
しかも、構成員はアクティブに活動に参加しなければいけないので、
儲け(利潤)だけを求める人は、エネルギー協同組合には参加して来ないようである。
ドイツの人たちは、
協同組合法により、一人では実現できないことであっても、
仲間と協力し合えば
達成可能だ、という事を知っているからこそ
組合の結成に向っているのである。

こうしてドイツでは、
電力生産が、組合を通じて、ドイツ全土の農山村部にまで分散化しており

しかも素人である地域住民が、共同して担い手になっていくことで、
エネルギーの民主化が進行している。

この、ドイツにおける協同組合法のようなものは、残念ながら日本にはない。
したがって、ドイツのようなエネルギー協同組合を作ろうとすると、
新しい法律を、その都度作らないといけない、という困難さにぶつかってしまう。

ただ、日本の株式会社の組織でも、非上場にして、持ち株数に制限を加えるなどして、
事実上、ドイツのエネルギー協同組合と同じような組織にする事ができそうである。

そういう形にすれば、
地域で自発的に結び付いた人達が、平等で
民主的な形で組織運営に参加して、
自分たちの社会目的、すなわち
再生可能エネルギー発電の事業というものに
参加をしていける、という事も出来そうである。

    
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『消費増税の環境は整ったか』 ~8/19 NHKラジオ 山田 久さんのお話の要約

2013年08月19日 | ラジオ番組

『消費増税の環境は整ったか』 
     8/19 NHKラジオ 山田 久さんのお話の要約です。       

来年の4月から消費税率を8%に引き上げるかどうか
その判断材料として注目された今年の4月から6月期のGDPの速報値が
年率でプラス2.6%だった、と発表された。

日本経済の拡大傾向が強まってきている、と見るのが正しい見方で、
個人消費、公共投資、輸出のいずれもが増加し、
アベノミクスの金融財政政策の効果が十分発揮している事がわかる。

消費税率の引き上げは、十分可能な状況になってきている。

こういった金融財政政策の効果というのは、
向こう1年間くらい景気を支えるもの、というふうに予想できる。
と言うのは
1.日銀の金融緩和と米国の景気回復傾向を考えると、円安基調が続く事。
それから、
2.建設業では、人手不足等のボトルネックが起きており、
その関係で公共事業の進ちょくが遅れているが、それは結果として、
緊急経済対策の効果が来年度初め頃まで続くことになり、
公共投資は、今後も高水準で推移するものとみられる。

このようにみると、景気の回復力という観点からすれば
消費税率の引き上げは、十分可能な状況になってきている。

前回、1997年4月に消費税率を引き上げた際に、
回復中の景気が失速した、と指摘する人が多いが、それは間違いである。
そのときの景気失速は、消費税率を上げたのが理由ではなくて
アジア経済の後退と不良債権問題が大きな理由であった。
だから、
消費税率の引き上げは、予定通り来年4月に実施すべきである。

そもそも、現在の景気回復を支えている金融財政政策は
基本的には、時間稼ぎにすぎないわけであって、
逆に、1年以上先になってくると、むしろ効果は薄れてくる。
すると、そうなった段階で、さらに金融財政政策を追加しなくてはいけなくなる。

今よりも一段と金融緩和を進めて、円安を進めてしまうと、
輸入業者の打撃は決定的なものとなるし、
食料品とか、エネルギーの価格が上がって景気に大きなマイナスが考えられる。

それから、実際にデフレから脱却すると、金利が上がってくる。
金利が本格的に上昇してくる前迄に、
既に1000兆円を超えた財政債務の増加というものを抑えておく必要がある。
これにつまずくと、EUの南欧州の国のような、財政危機に陥る恐れがある。
そうなると、社会保障費を急激かつ大幅にカットしなければならない。

だから、やはり来年4月に消費税を上げるべきだと、早く結論を出すべきである。

ただ、正直なところ、
消費税の引き上げで、景気が失速する恐れが、絶対に無いとも言えない。
とりあえず来年4月には、引き上げられるにしても
その次の 2015年秋の消費税増税が、景気低迷で出来なくなる可能性がある。

その為にも、来年の4月までには、まだ半年以上も時間があるから、
それまでに、政府がやるべきことは、しっかりと実際にやることが大切である。
1.まず成長戦略をしっかり進めて、企業の将来の成長期待というものを強くして行く。
2.かつて、日本企業は業績が増えれば賃金を上げる、という労使間の合意があった。
 今はそれがないので、それを復活することに注力すべきである。
3.それでもダメなら、個人所得を増やすような大幅な補正予算を組むのが良い。

消費税率の引き上げは、予定通り来年4月に実施すべきである。

 

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日本の原発リスク~8/15 NHKラジオ 中北 徹さんのお話の要約

2013年08月15日 | ラジオ番組

『日本の原発リスク』  
       8/15 NHKラジオ 中北 徹さんのお話の要約です。

福島第一原発の汚染水が、海に流れ出しているために、
放射能の影響が広がる可能性が懸念されている。
経済産業省の見解では、1日に300トンが海に流れ出ている、ということである。 

そして、採取した地下水からは放射性物質のトリチウムが検出されている。
そこで、去る7日に、安倍総理も出席して、原子力災害対策本部で会合が開かれ、
汚染水の問題は国民の関心が高く、喫緊の課題であるとして
東電に処理を任せるのではなく、国として早急に抜本的な対策を講じていく、
との方針を打ち出した。 

これまでの汚染水の処理に関する情報の開示は、極めて不充分で、
小刻み、小出しな感じがぬぐえなかった。
参院選挙が終わるまで、真相の情報が内部に止められていたのではないか
と、TVなどで指摘する解説者もいるほどである。
また、英国の放送局、BBCなどの海外メディアは
『日本は、汚染水処理などの事態を制御できなくなったのではないか』
という趣旨で報道している。

こうした疑念に対して、
しっかりした情報開示と、実効性のある対策を迅速に講じないと、
日本の信用が低下して、経済運営に思いがけない悪影響が及わないとも限らない。
つまり、日本の原発リスクが高まるという事態が心配されるのである。 

原子力災害は、大きな範囲に及ぶ可能性があり、
汚染水は、海だけでなく、雨水や川を通じて、
東京や仙台などの大都市にも、食品、飲み水、空気といった形で
広く、生活者の健康に影響が及ぶ可能性も心配されるわけてある。 

また、汚染水の処理を東電に代わって国が行うとなると、
税金がそこに投入されることになろうが、
遅かれ早かれ、やむを得ない情勢になって来るだろう。

しかし、その前に、その前提として、汚染水の対策に止まらないで、
・燃料棒の冷却、
・水蒸気が噴き出しているのではないかという問題、
・そして、汚染水から出た高濃度の放射性物質の貯蔵場所の確保の問題、
など、国民の関心が高い問題についての疑念にしっかりと答える必要がある。 

今、求められるのは、
1.破壊された原発のコントロールが上手く進んで、事態が小康状態にあって、
 収束する見通しなのか?
2.それとも、一進一退の状況にあるのか?
3.そうではなくて、徐々に事態が悪化しているのではないか?
といった、国民の基本的な疑問に対して、正確な全体像を提示する事である。 

それらは同時に、世界から注視される日本が、
信頼をつなぎ止める上で欠かせない条件である。

振り返ると、1980年代の後半、
日本が、リスク管理が不十分なまま、銀行などから、
野放図に土地ころがし・地上げなどの不動産貸し付けに資金が流れていたのを
社会が見過ごしていたところ、バブルが崩壊したとたんに
それが、膨大な不良債権の山に変わったわけである。 

国民が漠然と不安を感じる中で、
当事者が情報開示を怠り、不良債権の処理を先送りしていた。
その為、不良債権は最も速いスピードで増え続けて、
国民の前に全貌をさらした時、すでに膨大な不良債権の山が積み上がっていた。 

日本経済は、その後 20年を超えて、
今だに、ほとんどゼロ成長を余儀なくされている、という経過がある。 

つまり、事態が客観的に理解されないまま、甘い対応のままで
その後小出しの処理はしたものの、結局それが急場しのぎの対策にすぎなかった。 

その結果、90年代の末期に、拓銀、長銀、日債銀などの巨大銀行が次々に破たんして
日本経済を大きく揺さぶる事態にまで、発展したわけである。
これで、日本は、最後には、公的資金の大規模注入を、余儀なくされる事態にまで陥った。
こうした教訓から、日本は、もう一度賢明に学ぶことが重要である。 

こうした経験を踏まえて言っても、
今回の原発問題では、まず何よりも、情報開示の徹底が重要である。
その次には、
上述した通り、去る7日にも総理主導で開催された、原子力災害災害対策本部の基本方針、
つまり、実効性のある対策を、迅速に推し進めることが重要である。 

原発1基を廃炉するには、30年単位の年月が必要と言われている。
つまり、子々孫々に大きな負担を及ぼす問題であるから、
国民の目線に照らした説明努力を尽くすべきである。 

もし、これを怠れば、金融のメカニズムを通して、
日本の信用度が大きく引き下げられる可能性を、排除することはできない。 

先の参院選挙で圧勝した安倍政権が、最優先に取り組むべき課題は、
原発問題、とりわけ、福島第一原発のへの取り組み対策を強化することである。
世界経済や金融の専門家の間では、
日本が原発リスクにどう取り組もうとしているか、大変注目されている。

 

 
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『昭和20年 国民の暮らしは』  8/13 NHKラジオ 内橋克人さんのお話

2013年08月13日 | ラジオ番組

昭和20年 国民の暮らしは  
   8/13 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。     

あっという間に戦後 68年が過ぎた。
私(内橋さん)は旧制中学 1年生の夏、疎開先でその日を迎えた。
その年の3月17日 と 6月5日に、神戸大空襲があった。
B29が来襲して、降ってくる焼夷弾の下を私は逃げまどった。
周囲は焼け野原となり、そのあと播州に疎開をした。

同じ時間を、戦場で迎えた人、
内地(当時は銃後と呼ばれていた)の焼け野原の只中で迎え、ラジオを聞いた人、
体験者の思いはそれぞれだと思うが
私と同世代の人、もっと先の世代の人々、
今、尚、皆それぞれに戦争の傷跡は消えていないだろう。

今朝は、敗戦直後、人々はどのようにして命をつないだのか、
当時の国民経済を振り返りながら、その一端を共に考えていきたいと思う。 

私にとって、今だ生々しい記憶は三つある。
第1に、何といっても、すさまじい食糧不足、食糧危機である。
当時、学校では、しばしば弁当泥棒が流行った。
昼食の時間になって気がつくと、持って来たはずの弁当が消えているのである。
ひもじさに耐えかねて、誰かが....ということである。
これは、しょっちゅうの出来事であった。

2番目に、ハイパーインフレ、つまり物の値段がすさまじい勢いで上がっていた。
あっという間に2倍、3倍となった。
物の供給の絶対量が足りないので、
公定価格ではなく、闇の価格がうなぎ上りであった。

3番目に、円の封鎖があった
今通用しているお金、円が、もう使えなくなり(旧円となり)、
新しい円(新円)に切り替えてしまうと、いうことがあった。
旧円と預金は封鎖され、決められた額だけしか、
自分のお金を引き出すことはできなくなった。

もっともっと、たくさんのことがあるが、
今朝は、今も鮮烈なこの三つを挙げておくにとどめ、
それらについてもう少し詳しく述べてみよう。

まず食糧不足について。

昭和20年というのは、戦争に負けただけではなくて、異常な凶作の年でもあって、
不幸が二重三重にも重なった年であった。
夏は冷害で、秋になると風水害が列島各地を襲った。
食糧生産は、平年作の2/3と言われた。
それで、全国で百万トンもの米(コメ)不足、と現在も記録されている。
この不足は、ちょうど1千万人分にあたるということから、
1千万人が餓死するのではないか、と恐れられた。

当時の主食配給量は、一人1日わずか2合1勺(297g)に過ぎなかった。
その配給の主食の中身も、米だけではなくて、
サツマイモや大豆、豆カス等、代用食も含まれていた。
敗戦翌年の昭和21年には、
このぎりぎりの配給基準さえ維持することが出来なくなり
遅配、欠配がしょっちゅうのことになった。

配給だけでは栄養失調になるので、
都市から農村へと、人々は主食を求めて買い出しに繰り出した
そこで行われたのが『物々交換』と呼ばれた現物交換の経済である。
都市に暮らす人々は、
焼け残った箪笥から衣服、特に婦人用の着物などを持ち出してリュックに詰め、
そして農村に出かけ、それを米やサツマイモなどに交換してもらった、のである。 

また都市では、焼け跡、空き地、使われなくなった道、などを耕して畑にして
サツマイモ、カボチャ、大豆、麦類まで作った。
私も父と一緒に必死の思いで耕して、家庭の屎尿も肥料として撒いて、食糧を作った。 

不思議だったのは、戦後すぐに闇市が現れたことである。
そこへ行くと、ないはずの物資が、日用品・衣類・握り飯・揚げ饅頭まで、
ありとあらゆるものが積み上げられていた。
旧軍隊の隠匿物資の横流しも含めて、鍋・釜・電熱器まであった。

闇値は、公定価格の 30倍から40倍もしていて、
金額ベースで言って、『平均家計所得の7割が闇物資の購入に消えていった』、
というふうに記録されている。 

こうして起こったのが、米よこせデモで、
昭和21年5月、あの食糧メーデー(飯米獲得人民大会)には、25万人が集まったとされている。
ひもじい毎日、そのような記憶が消えることは決してない。

三つ目の『円の切り替え』など、実感を伴って知る世代は、ほんとに少なくなってきている。
当時は『金融緊急措置令』と呼ばれ、昭和21年2月17日に突然交付され、即日施行された。 

はじめは、世帯主には300円、その他の世帯員には100円に限って、
新円との引き換えが認められ、残りは預金封鎖となった。
この通貨の切り替えは、極めてラジカルな緊急措置であった。

当時の破局的な悪性インフレに、何とか歯止めをかけようということで
とにかく『流通している通貨量を減らす』、というものであった。
現在安倍政権が進めるリフレ、つまり人工的にインフレを起こす政策と
ちょうど逆の政策だったわけである。 

敗戦とともに起こった爆発的なインフレは
当時の日銀券の発行残高に明らかに表れている。
終戦の8月15日は、303億円であったが、8月末日には、435億円になっていて、
預金封鎖の直前の 翌21年2月15日には、605億円になっている。 

つまり、戦争が終った日から、わずか4カ月で、通貨量は2倍に膨張している。
この間に、小売物価水準は公定でも 3倍というすさまじい差であった。 

また働く人々への給与も、新円で払われるのは500円限りで、
それで、『500円の耐乏生活』と呼ばれたものであった。 

こうして回収された日銀券は、全国で503億円にのぼり、
つまり、最高発行高618億円の8割近くが市中から引き上げられたのである。 

しかしこうしたやり方は決して成功したとはいえなかった。
日銀券の発行高は、その年、昭和21年9月末には、たちまち644億円と急膨張し、
引き締め前の水準を簡単に突破してしまった。
結局、緊急措置は、半年間の時間稼ぎに終わったと言われている。 

発行された新円の2/3が、
闇市などの流通部門と、そして農村部に偏って集まってしまったのが現実であった。
これで、国民生活の歪みは一層激しいものになってしまった、といえる。 

さて、
昨日発表されたGDPの速報値は、年率換算で2.6%の成長との事である。
これで、消費税引き上げの条件がクリアされたかのように見えるが、
増税への環境づくりに、実に10兆円の補正予算が使われているわけであって
政策頼みの成長であることは、明らかである。 

人工のインフレ退治策も、人工の脱デフレ策(リフレ策)も
ともに危うさを抱えていることを、改めて強調するほどのことでもないだろうが。
 

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『社会保障改革あるべき方向は』 8/9 NHKラジオ 森永卓郎さんのお話

2013年08月09日 | ラジオ番組

『社会保障改革あるべき方向は』 
       8/9 NHKラジオ 森永卓郎さんのお話の要約です

今週、安倍総理大臣に対して、社会保障制度改革国民会議が報告書を提出した。
政府はこれを受けて、
「プログラム法案」要綱を作成し、今月21日に閣議決定することを決めた。

そもそも、この国民会議というのは、自民・公明・民主の3党の間で、
『税と社会保障の一体改革』の合意がなされ、
消費税を増税するについては、同時に将来に向けて安定した社会保障制度を作る、
という事で始められた議論の場であった。

民主党政権の時代には、『最低保障年金を導入する』という
思い切った年金制度の改革なども打ち出していたのであるが、
今回、自民党に政権が替わったということで、
どういう『絵(プラン)』になって行くのかが注目されていた。

しかしながら、現実に出てきた姿は、
1.国民健康保険の保険料上限額の引き上げ
2.平均年収の高い健康保険組合の、高齢者医療の負担分の引き上げ、
3.介護保険では、高所得の高齢者の自己負担比率の引き上げ、等々、
主として高齢者とお金持ちの負担を増やすことによって、
今の制度を何とかして維持していく、ということに終始してしまった。

これからの日本は高齢化が進み、医療費は当然増えてくる。
だから、医療制度を効率化して、
医療の質を落とさずに、負担増を抑えられるように
仕組みを思い切って変更することは、
絶対避けられないはずである。

しかし、そういった点が、全く盛り込まれていない。
結局、何とかして当面の破たんを防ごうということを最も重視している、
としか理解できない。

それは、年金についても同じことが見られる。
今の年金制度は、2004年に『100年安心プラン』として誕生したものである。
それが、10年も経たない内に行き詰ってしまったわけであるが、
何故そうなってしまったのか、という分析が行われていない。
ただ、何が何でも、完全に行き詰って破綻しないように、
細かい負担増を打ち出し、将来の支給開始年齢の引き上げを匂わせる等、
場当たり的な対策を積み上げたに過ぎない。

また、高所得者への負担増がしきりに書かれているが、
その中身をみると、何れも場当たり的なものにすぎない。
例えば、現状、健康保険や厚生年金には、保険料等に負担の上限があり、
健康保険の場合では、標準報酬(月額)が121万円を超える部分は、保険料を課していない。
これらの上限を撤廃するだけで、年間1兆7千億円も、収入保険料が増加する。
つまり、これをすれば、高所得者の負担増という分については、抜本的なものとなるが
そこまでは踏み込まずに、細かいところに終始し、
少しずつお金を増やしたり、少しずつ給付を削ったりする事だけが盛られている。

せっかく 、日本の英知を結集して国民会議を開いたのに、
『だれもが安心できるような強い社会保障作り』には失敗したのではないかと思われる。

この先待っているものは、消費税の増税だけではなく、色々な負担増を実感させられ、、
社会保障の給付の方は、全く安心感を得られない、国民の姿になってしまった。

こうなると、『なぜこの国民会議を開いたのか、わからなくなってしまった』、
というのが感想である。
どうも、官庁、特に財政当局が、
財政にとって大きな負担になるということを徹底的に避け、
むしろ国民の負担増を積極的に打ち出して来た結果としか思えない。
国民会議のメンバーが優秀であっただけに、誠に残念である。

  
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『原発は火力より高い』~8/7 NHKラジオ 金子 勝さんのお話

2013年08月07日 | ラジオ番組

『原発は火力より高い』  
          8/7 NHKラジオ 金子 勝さんのお話の要約です。

福島第一原発で、汚染水が海に流出しているという、新たな問題が表面化した。 

東京電力は、事故直後の2011年4月に、
福島原発1~4号機の周囲を、山側と海側から壁で囲って、
放射能汚染水の流出元の建物建屋の下とトレンチのつなぎめを遮断する、
という防止策を公表していた。
しかしながら、これをやらずに2年以上放置してきた結果が、これである。 

東京電力は、
赤字で、抜本的対策を怠たった結果、
より事態を悪化させ、すでに、当事者能力を失っている。
そして、東京電力には、支払い能力がない。

東京電力の経理状況を見ると、
1兆円の公的資金と原子力損害賠償支援機構からの3.9兆円、
合計5兆円もの公的資金が注入されているにも拘わらず、
支払われた賠償額は、まだ2兆円を超えたばかりである。
除染費用に至っては、ほとんどを支払われていない。 

本来なら、公的資金の1兆円を取り崩してでも、賠償・除染費用を捻出すべきである。
しかしながら、東京電力には、もう支払い能力がないので。
したがって、賠償・除染費用を出そうとすると、再び公的資金の注入が必要となる。
これで、東京電力の経営改善計画が破たんしている、という事が、
白日の下にさらされることになる。

実際、東京電力の自己資本は、2013年3月末で1兆1千億円であり、
そのうち1兆円は公的資金が占めているわけであるから、
この虎の子の1兆円を守るために、
事故処理も、賠償も、除染も進まなくなっている、というのが実態である。 

さて、標題の発電コストについてであるが、
最近出版したブックレットの中で、個別原発毎の発電コストの試算結果を載せている。 

まず、政府のシュミュレーション方式を用いて、計算してみた。
具体的には、
40年廃炉を前提にして、この先稼動できる残存期間をとって、
原発施設と核燃料の残存簿価、それから廃炉引当金、安全投資を加えて、
発電単価を算出した。
その結果、
老朽化している美浜原発1号機は、33.9円/kw 2号機は25.1円/kwなどとなり、
これら老朽化している原発を除いても、約8円~12円/kwで、火力発電と同程度であった。 

次に別の計算を試みた。
『原発ゼロの会』が提出した「直ぐに廃炉にすべき28の原発の廃炉コスト」を、
残りの原発に乗せると、たちまち、発電単価は火力発電を大きく上まわってしまう。 

一番ひどいのは、日本原電の東海第2原発で、13.1円/kwから21円/kwになり、
東電は、賠償・除染費用が必要であるので、柏崎刈羽の原発コストが20円/kwとなる。
(東電が、福島原発の廃炉を決定できずに、賠償や除染を遅らせている理由は、ここに有る)
平均から言っても
老朽原発は27~28円/kw、老朽原発を除いた平均は11~13円/kwとなる。
また、福島原発の賠償・除染費用を残る22機の原発に負担させると、
13~15円/kwになってしまう。 

総じて、
原発の発電コストが安いというのは、全く嘘である。
そして、廃炉費用を電気料金に上乗せしようとしているが、
これは日本経済の重石になりかねない。
公的資金を注入してでも、原発という不良債権処理を急がないと、
失われた20年と同じ轍を踏む事になってしまう。
  
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中国経済は今~8/5 NHKラジオ 浜 矩子さんのお話

2013年08月05日 | ラジオ番組

『中国経済は今(いま)』
        8/5 NHKラジオ 浜 矩子さんのお話の要約です。 

中国はこれまでずっと、
言わば『成長の一輪車経済』という感じで高度成長を続けて来た。
この高度経済成長で、
この国の各種構造的な問題とか経済的に弱い、脆いところ等、総てを隠して突っ走ってきた。
しかし、それがいよいよ限界に来て、
かつての10%台の成長から、何とか辛うじて7%台をキープしたいという、
つまり、普通の経済の仕方に、ソフトランディングできるかという正念場に来ている。 

これまで中国経済の成長の軸になっていたのは、
第一に輸出、もう一つが設備投資て、この二つで高度成長を引っ張ってきた。
それと、あと、上海万博であるとか北京オリンピックであるとかの
特大プロジェクトによるイベント経済も、大いにに寄与していた。
この三つが『成長の一輪車』を支えてきたが、それらがいずれも限界にきて、
別の成長を引っ張る要因を見つけなければいけない、というところに差し掛かって来た。

そこで、中国当局は、まず個人消費を中心とした経済に切り替えようと考えた。
しかし、それが、なかなか上手くいかないので、
それに代わるものとして、地域経済の活性化に狙いを定めた。
不動産を含め、いろいろな地方の開発計画に膨大な金を注ぐことによって、
いわば、バブル型の内需を政策的に引き起こそうとしたのである。 

その『つけ』が金融の混乱や、開発ラッシュによる不動産の供給過剰とか、
政策目的とつじつまの合わない姿になってきてしまっている。  

この開発にあたり、資金の出所となった『シャドー・バンキング』の問題が指摘されている。
中国の金融や銀行制度というのは、
金利にしても、融資の仕組みににしても、本来は非常に厳しく規制されている。

ところが、今回の地域開発のための資金の融資については、
その規制された金利、規制された金融の範囲の中では出来ない事が多く、
いわば、規制の網の目をくぐって、銀行を経由しない『闇の金』が、
大量に投入されるようになってしまった。
それで、いわば健全な金融が崩壊しつつある、そんな姿にもなっている。 

さて開発ラッシュによる不動産の供給過剰等で、
地方の債務が不良債権化する恐れが多分に出てきた。 

それがもし実際に発生してしまうと、シャドーバンキングが大問題となる。
何しろ、影のお金であるから、
不良債権化問題に対して、誰が責任を持つのか、
リスクを誰が負うことになるのか、
責任の擦り付け合いの中で、金融は大混迷に陥ることになる。 

不良債権が大量に発生するというような事になれば、
中国人民銀行あるいは中国政府が肩代わりするような格好で、
公的資金を投入するとかいうような事になるかもしれない。
これは、中国人民銀行あるいは中国政府そのものの屋台骨を揺るがすということになりかねない。
つまり、国としての屋台骨が、どこまでこの問題で壊れてしまうかまで、心配になってしまう。 

これまで世界経済をけん引してきた中国が、
このシャドー・バンキング問題をうまく解決し、
普通の経済成長の仕方にソフトランディングできるかどうか、
中国経済は今、まさに、正念場である。
 


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中国におけるシャドーバンキングの現状と課題  8/1 NHKラジオ 関 志雄さんのお話

2013年08月01日 | ラジオ番組

中国におけるシャドーバンキングの現状と課題 
       8/1 NHKラジオ 関 志雄さんのお話の要約です。


中国におけるシャドーバンキングの実態

シャドーバンキングとは『影の銀行』とも言うが、
従来の銀行の預貸業務とは別のルートを通じた信用仲介業務の事を指す。
中国の場合、
銀行が販売する「理財商品」と信託会社が販売する「信託商品」が其の中心になる。

「理財商品」は、商業銀行が販売する資産運用商品である。
一般的に、最低投資額は5万人民元(約80万円)で、期間は1ヶ月から1年である。
現在、一年満期の預金金利が大手銀行の場合、年率3.25%であるのに対して、
「理財商品」の予想収益率は年率4%~6.5%である。

銀行の「理財商品」の大半は、契約書に元本・利子保証が盛り込まれておらず、
原則として銀行が自らリスクを負っていないため、バランスシートの項目として掲載されない。

「理財商品」の運用の対象は、コール、国債、金融債、企業債、
そして、中央銀行の手形などに投資する金利(フィクスト・インカム)型が中心である。 

一方、「信託商品」は、信託会社が販売する資産運用商品である。
最低投資額は、通常100万人民元(約1600万円)である。
期間は1年以上で、予想収益率は年率9%前後である。

その運用先は、主に、政府主導の基礎産業、工商企業及び不動産業である。
その中で、特に不動産関連貸出を対象とする規制を回避するために、
信託会社を経由した迂回融資が最近問題視されている。

銀行の「理財商品」と信托会社の「信託商品」の残高は、近年急速に増えており、
2013年3月末には、16.9兆人民元(GDPの36%)に達している。 

シャドーバンキングは、資金の仲介側である金融機関にとって、
金融イノベーションを通じて、監督管理の規制を回避する手段である。

当局は、金利規制と高めの預金準備率を設けており、
また、預貸比率と窓口規制などを通じて、銀行の貸出を制限している。
市場競争が激しさを増す中で、銀行は規制を回避するために、
従来の貸出に代わる融資の手法として、シャドーバンキングを活用している。 

また、資金の運用側にとっても、
規定された銀行の預金基準金利の上限を上回る、
高い収益率を提供してくれるシャドーバンキングの商品は、非常に魅力的である。 

シャドーバンキングを通じた融資の急拡大は、
金融リスクを高める要因として、警戒されている。

特にこれらの資金の一部は、
直接的に、または、地方政府が作った融資プラットフォーム会社を経由して
不動産市場に流れており、住宅価格の高騰に拍車をかけている。 

住宅バブルの膨張を容認すれば、それが崩壊する時に、
金融システム全体は不良債権が拡大するなど、大きな打撃を受けるだろう。 

こようなリスクを防ぐ為に、
当局はシャドーバンキングに対する監督管理を強化しなければならない。

シャドーバンキングは中国に金融危機を招くか

中国におけるシャドーバンキングの規模の拡大は、
金融危機を招くのではないかという懸念の声が上がっているが、
次の理由から、その可能性は必ずしも大きくないと見られる。

まず、シャドーバンキングの規模は拡大しているとは言え、
従来の銀行の貸出と比べてまだ小さい。 

次に、各種のシャドーバンキングのスキームは、一部の例外があるが、
総じて破綻する確率がそれほど大きくないと見られる。
仮に破綻しても、
原則として、銀行は顧客に対して損失を補填する義務を負っていない。 

さらに、.銀行の財務状況は良好であり、
シャドーバンキング関連業務から損失が発生しても、
自己資本や、貸倒引当金で対応できる。
2012年の中国の商業銀行の税引後利益は1.24兆人民元で、
株主資本利益率(ROE)は19.8%、自己資本比率は13.25%に達している。
また、不良債権比率は0.95%にとどまっている一方で、
貸倒引当金カバー率は295.5%に達している。  

そして、大半の銀行は国有となっており、
いざという時に、政府に支援してもらえる可能性が高い。 

最後に、シャドーバンキングの膨脹を抑えるべく、
当局は、すでに規制強化など、対策を打ち出している。
これらの政策は、短期的には景気に水を差すことになるが、
金融危機の回避に寄与することが期待される。 

 
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