ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

晴れた日は農業とウォーキングとライカ、雨なら読書と料理。
そして毎日ラジオがお伴です。

ビジネス展望、出演者交代に思う

2014年03月31日 | ラジオ番組

1月に中北徹さんのことがあってから予想はされていたが、
大幅に出演者が替わるようである。

新たに加わる方の発表が、土曜日の放送であった。
池上彰さんの名前もなかったが、とっちゃん坊やの教授の名がなくて良かった。
出演者の総員は21名ということだから、4~5人が退かれることになる。

この『ビジネス展望』の長年のファンとしては、
誰が退かれるのか、気になるところである。

私の予想では、
浜さん、金子さん、藤原さん、関(かん)さん、田中さん、といったところか。
淋しい気持ちである。

ただ、どなたも本を書かれたり、新聞に投稿されたり、講演をされているので、
お考えを伺う機会が全く失われるわけではない。

浜さんの場合、
TBSの番組出演と違って、
ア〇ノミクスとか、べらんめえ調の話はなかったが、
かなり際どい話は、ちょくちょくあった。
それは、なによりも、浜さんの著書を読んでいたことで理解できた。







NHKは私達の払う聴取料で番組を作っている。
NHKは番組制作を、視聴者から委託されているようなものだ。

NHKには、どんどん投書をしよう。要望を言おう。
投書をしない、要望もしない、
それは選挙の投票に行かないのと同じだ、と私は思う。

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おじいさんの暮らし

2014年03月31日 | 家での寛ぎ


今日で2年間の役所勤めを終えた。

定年後5年間やっていた会社は後輩に譲っている。
この日を”リタイアする日”と、2年前に決めていた。
今日から、『毎日おじいさんの暮らし』となる。

『おじいさんの暮らし』について、、私は小さい頃イメージがあった。
それは、日本でもアメリカでも共通で、
おじいさんというのは、世界中こういうものだ、というものであった。

私の育った田舎では、おじいさんは
死ぬまで、田畑で働き、若い者を助け、子供も孫も一緒の生活であった。

アメリカのおじいさんはというと、
あのTVドラマ『名犬ラッシー』に出ていた”ジョージおじいさん”だ。
家に始めてテレビが来た時、もう中学生くらいになっていたが、
このドラマはよく見た。

主人公の少年、ジェフは祖父と母と三人暮らし。そしてラッシー。
父親はいなかった。
祖父のジョージは、牧場のこと、畑仕事、雨漏り修理、家事なんでもこなした。
孫の良き話相手であった。

それで、私の感じでは、おじいさんの暮らしというのは、
日本もアメリカも同じと思って、少年時代を過ごした。

今日から、私もおじいさん。
願っていたわけではないが、ジョージおじいさんに近い暮らしになりそうである。
今日からは、ジョージ・いまさきもりと名乗りたい。

だが、その前にちょっと、旅をしたい。ちょっとだけリフレッシュしたい。





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『中小企業への税徴収の動きに思う』~3/31 NHKラジオ 山口義行さんのお話の要約

2014年03月31日 | ラジオ番組

『中小企業への税徴収の動きに思う』
             3/31 NHKラジオ 山口義行さんのお話の要約です。 

最近の中小企業を取り巻く状況

政府の意図的な円安誘導政策で、
輸出型の大企業は史上最高の利益を稼いでいるが、
内需型の中小企業は、
輸入原材料の高騰によりコストが上がり、利益を圧迫されている。

四月からの消費税増税も、
中小企業の多くは増税分全額を製品価格に転嫁するのは難しい状況にある。 

このような状況下で、
税制を改定して、さらに中小企業を困らせようとする動きがあるのは由々しいことである。

法人税減税と中小企業 

それは”法人税の減税”である。

法人税を減税すると、儲かっている企業にすれば、こんなにありがたいことはない。
利益の出ている企業にとっては、税金が減って、非常に有利である。 

しかし、元々利益を減らしている、あるいは、これから減りそうだという企業にとっては
法人税を払いようがないから、法人税率を下げてもらっても、得なことはない。 

ここで中小企業にとってを問題となるのは、
儲かっている大企業をさらに優遇しようとする法人税減税のために、
その減税分の穴埋めの原資として
『中小企業からの税の徴収を、より厳しくしよう』と、
政府の税制調査会が動いていることである。 

税制調査会で検討していること 

それは、法人税の減税の原資を作るために、
中小企業をいじめようとしていることである。

まず第一に、家族従業員への給与の支払いを厳しくする、こと。

これは、経営者の家族が働いている場合、
意図的に高給を支給して、
実質的に利益分配をしているのではないか?、
それで税金逃れをしているのではないか?
などとして、チェックを厳しくするということである。

今でもちょっと家族給与が多いと、税務署のチェックが厳しいのに、
この上、何をもっと厳しくしようと言うのか。

第二に、経営者の給与への見方を厳しくする、こと。

税調では、経営者の給与(報酬)は利益の分配にすぎない、と見ているらしい。
ところが今は経営者の給与は、経費(損金)として処理され、
さらに、給与所得控除が認められていて、いわば 二重に控除が行われている。
そこで、経営者のための給与所得控除を大幅に減らそう、ということである。 

ちなみに大企業の経営者も、毎月の巨額の報酬は経費で落ち、給与所得控除もあるのに、
今回の調査会では何ら問題にしていない。
中小企業の経営者の、それほど多くはない給与に対してだけである。

第三に、欠損金の繰り越し控除制度を縮小する、こと。

中小企業の場合、業績が不安定で、赤字の年と黒字の年が交錯する。
今は、繰り越し控除制度で、黒字になっても前からの赤字分と相殺して納税額が減らせる。
つまり、中小企業の経営のぶれを均すことを可能にして、
経営の安定化に重要な役目をはたしている。

これを縮小されると中小企業には痛い。

法人税減税で中小企業増税

大企業は、今、大きく儲かっている。法人税減税をすればさらに儲かる。
その減税を埋める原資のために、
政府の税制調査会は、中小企業の経営の安定性を制限しようとしている。

法人税は、今、圧倒的に大企業が払っている。
中小企業は 7割が赤字だといわれている。
法人税の減税のために中小企業の節税策や制度を見直すということは
実質的には、中小企業に増税するということにほかならない。

中小企業は、企業数では99.7%を占め、雇用も6割を占めていて、
地域の経済に重要な役割を担っている。
本来なら、この中小企業をさらに元気にすることが本当は必要なのであり、
中小企業いじめの安倍政権の発想には、疑問を持たざるを得ない。


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『法人税改革の論点』 3/4 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話の要約

2014年03月28日 | ラジオ番組

『法人税改革の論点』   
           3/4 NHKラジオ 諸富 徹さんのお話の要約です。 

この2月20日に、経済財政諮問会議の民間議員が、
国と地方合わせた法人の実効税率を、
現行約35%から25%に引き下げるように、と求めるペーパーを 提出した。
もしこれを実現するとすれば、約5兆円もの減収となり、総税収の 1割以上が消えることになる。

主要先進国の中で、日本は最悪の水準の債務残高を抱えている。
この現状を考えると、単純な法人税率の引き下げというのは、
日本財政を破たんに追い込むことになりかねない。

 国際的に見る日本の法人税率

日本の法人税率は
2012年度に5%引き下げられており、
さらに復興特別法人税も廃止されたので
来年度から国・地方合わせた法人実効税率は35.64%となる。

海外諸国と比べると、米国の40.75%よりは低く、
フランスの33.33%、ドイツの29.59%と比べても、遜色のない水準まで下がってきている。
ただ、中国、韓国は25%前後であるし、シンガーポールは17%であるので、
これらアジア諸国と比較すると確かに高いといえる。

1980年代以降、経済がグローバル化してきた影響で、
各国とも、法人税率の引き下げ競争に走っている。
企業立地に有利な環境を作り出そうとしているわけである。
日本としても、こうした動きに対抗して、税率を引き下げて欲しい、いうことである。

法人税率の引き下げと財政再建を両立させるには

仮に、法人税率を引き下げざるを得ないのであれば、、
『法人税の課税ベースを広げる』ということで税収を確保して、
いわば、税制中立的な法人税改革を目指さないといけない。

法人税の課税ベースについては、
欠損金(これまでの赤字の累積)を最高9年まで繰り越し控除できる制度があり
これにより2.3兆円分、
研究開発とか設備投資を優遇する租税特別措置法によって0.9兆円分、
その他の制度も併せて合計4.5兆円分、
課税ベースが縮小し、税収の減少が発生している。

これらの制度を仮に全廃すると、
法人税率5%引き下げの減収分5兆円に見合って、ほぼ補うことができることとなる。

法人課税ベースを4.5兆円も縮小させているこれらの制度について、
その妥当性については、真剣に問われることなく長く存続してきたものもある。
こういった租税特別措置法など一部の業種に恩恵が偏っている制度を
存続させることがいいのかどうか、ということについて徹底的に議論し、
法人税改革論議につなげていくべきである。

税収中立的な法人税改革のメリット

第一に、
今や法人税収の1/4を占めるにすぎない製造業に恩恵が偏っていた租税特別措置法を撤廃して
その代わりに法人税率を引き下げるということができれば、そのメリットは全産業に及ぶことになり、
産業構造の転換と日本経済の成長を後押しすることができるということになる。

第二に、
現在、欠損法人(赤字、あるいは累積赤字を抱える法人)は、法人全体の3/4に及んでいる。
これらの企業は法人税を納めていない。
逆に言うと、全体の1/4にすぎない黒字法人に法人税の負担が集中していて、
それら企業の活力を奪っているということにもなる。 

今期は利潤を上げているにもかかわらず、過去に出した赤字(欠損)で納税を帳消しにできてしまう。
この欠損金の繰り越し控除の制度により、法人税を負担しない法人が全体の30%もある。

この制度の適用を縮小・厳格化し、
赤字法人にも応分の法人税負担をしてもらって、
仮に黒字企業の法人税負担を軽減するということができれば、
競争力強化への近道となるにちがいない。

非現実的な法人税のパラドックス

単純に法人税率を引き下げただけでは、税収は減ってしまう。
ところが、今回、経済諮財政問会議の民間議員のペーパーで、
いわゆる”法人税のパラドックス”というものを取り上げている。

このパラドックスとは、
1990年代以降、米国や欧州諸国の主要先進国が法人税率を引き下げたが、
『法人税収は横ばいか、むしろ右肩上がりに増加した』ことを指している。

特に英国と韓国では、法人税率を引き下げたことが経済成長を促して、
これが、こんどは税収増をもたらして行ったことを示そうとしている。

これは、つまり、
『わざわざ課税ベースの拡大などしなくても、
税率を引き下げれば経済成長が起きて、それによる税収入の増加が問題を解決してくれる』と、
主張しているようなものである。

OECDが調査した文献においても、
現実には、課税ベースの拡大こそが税収増をもたらす、と指摘している。
また、法人税率の引き下げが法人形態でのビジネスを有利にするので、
個人企業形態から法人法人形態へ転換が進んで
これが、法人税収の増加をもたらした、ということも明らかにしている。

実際日本も 1995年以降、法人税率を49.98%から39.54%に10ポイントも引き下げた。
しかし法人税収入は、約21兆円から約16兆円に減少してしまった。
これは法人税のパラドックスに対する反証にほかならない。
そもそも、法人税率の引き下げと経済成長の因果関係については
民間議員ペーパーは因果関係を全く分析していない。

総じて、
”法人税のパラドックス”に依拠して法人税率を引き下げることは、
日本財政にとって極めて危ういことである。

まずは税制中立で法人税改革を設計する。
そして、もし、予定を上回る税収が入ってくれば、それは財政再建に充てればよい。      

    
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官製春闘、得たもの・失ったもの~3/14 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約

2014年03月25日 | ラジオ番組

『官製春闘、得たもの・失ったもの』   
           3/26 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。  

国主導の近年類を見ない春闘

毎年春近くになると、
働く者の労働条件の改善を要求する労使間の団体交渉が行われて、
これが春闘とよばれてきた。

その春闘が、今年は、政府主導の賃上げとよばれるように、
労使の間だけでなく、政府の強い介入を伴って行われた。

まさに異例のことであるか、昨年秋に、
労働界と経済界の代表それに政府も加えた『政労使会議』が開催された。
その会議で、政府が『経済の好循環を実現するには、賃上げが必要である』と、
賃上げを使用者側に要請した。
まさに政府主導で、あるメディアはこれを”官製春闘”とよんだ。
これで、例年にない展開となったのである。

政府の介入というのは、
単に賃上げを使用者側に求めるだけではなく、
例えば次のような措置を伴ったものであった。

まず第一に、
東日本大震災の復興資金を企業も負担するということで設けられた復興特別法人税を、
前倒しして今月末に廃止をする、ことが決められた。
『これで、企業にとっては、利益の2%程度税負担の軽減となるので、
その分が賃上げの原資に充てられるはずである』と、こういう言い分である。

次に、
実際に賃上げが行われたかどうか、
東証上場一部企業(およそ1800社)の賃上げ実施状況について、経済産業省が調査を行い、
その結果を、企業名を挙げてこの5月に公表する、とした。
これもまた初めてのことで、使用者側にとっては強いプレッシャーになったようである。

このようなことで、結果として、
賃金体系そのものの底上げ、つまりベースアップ回答が相次ぐことになったわけである。

さらに、集中回答日の前日には、
『何も対応しない企業には”政府に非協力的”だということで、何らかの対応措置がある』と、
担当大臣がダメ押しの発言をするというほどの熱の入れ方であった。

こうして、
これまで『今はベースアップなどと言う時代ではない』と、
強い姿勢で賃上げを抑えてきた経済界であったが、
6年ぶりのベースアップ要求に応じる結果になったわけである。
一見、『政府が働く者の側に立って賃上げを実現させた』という印象が演出された、
異例の展開となったのである。

組合側の得たもの、失ったもの

6年ぶりの本格的な賃上げが、大企業中心に実現したわけであるが、
なぜそこまで政府が力を入れたのか、介入の背景というものも、考えておく必要がある。

例えば、第一に、
4月からの消費税増税で、
アベノミクス効果とされるものの腰折れが懸念されていることである。

これを何とか防ぎたい。
そして、所得増加が消費増加につながって、それがさらに経済全体の底上げになり、
脱デフレを成し遂げる、という目的があるわけである。

そういう経済の好循環を成し遂げて、
何よりも『高い内閣支持率を維持したい』という狙いが背景にあるということである。

あるメディアが行った調査では
実に8割以上の経営者が、『こうした政府の発言などに影響を受けた』と答えている。

しかし、資本や経営、また時の政治権力に対して、
きちんとした対抗勢力でなければならない労働組合の存在理由からして
逆に失うものも小さくなかったという点も軽視するわけにはいかない。

まず、労働組合の存在理由とは何か?
たださえ薄れつつある存在感が一層衰弱して、
今後ますます組織率の低下が進んでいくのではないか、という心配がある。

次に、春闘を通して磨いてきた”賃上げを勝ち取る力や戦略”が衰弱してくると、
消費税増税を始め家計負担がますます重くなる時代の中で
今後、はたして労働組合は働くう者の期待に応えていけるのか?という心配がある。

一度強いものの力に依存すると、
例えば、労働条件の改善への戦いを通して育った連帯意識とか
あるべき所得分配への問題意識が、薄らいでしまうのではないか? 大丈夫なのか?
『官製春闘で失うものもある』ということを、長期の視点で決して忘れてはならない。

官製春闘、政府の本当のねらいは?

このように、今春闘で賃上げ実現に力を発揮した政府であるが、
しかし政府が最も力を入れているのは、
”企業にとって世界一ビジネスをしやすい環境づくり”を進める、ことである。

今はトーンダウンして後方に退いたかのように見えるが、
”雇用特区構想”一つ見ても、
従業員の解雇自由、労働時間の上限規制の緩和・撤廃、残業代ゼロ制度の導入等々、
経済界の”かねての宿願”に沿うことを成長戦略の本命に据えている。

『ベースアップは今回限りだ!』と、早くも断言する経営者も少なくない。
働く者にとって春闘とは何か、原点思想に立ち返って、
官製春闘の真意・狙いは何か、そして、その限界を見抜く。
そういう洞察力もまた求められている、と強調しておきたい。 

      
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『賃金格差に思うこと』 3/17 NHKラジオ 浜 矩子さんのお話の要約

2014年03月17日 | ラジオ番組

『賃金格差に思うこと』  
       3/17 NHKラジオ 浜 矩子さんのお話の要約です。    

(MC)久々に”ベア”の声が聞こえた今年の春闘であるが、どう見ているか?

簡潔に言えば、『パフォーマンス春闘』とか『春闘劇場』とかと呼べるものになった。
”賃上げをして欲しい”という政治的な要請がとても強いという中で、
”アリバイ作り”というと言い過ぎかもしれないが、
『上げやすい賃金を、賃金を上げやすい企業が、目いっぱい目立つ形で
賃上げをしたという実績づくりをした』、というようなイメージが強く感じられる。

(MC)実績が作られた中で、”目立つ実績”と”目立たない実績”の差が大きいが? 

今や、目立たない部分というのが、非常に大きくなっていて、
伝統的な春闘という形態でカバーされる賃金、
あるいは、その結果によって恩恵をこうむる労働者の比率というのは、
全体の中で非常に低くなっているという状況である。

この春は、ちょっと”突出した部分”でパフォーマンスがされたということであり、
全体状況への影響というのは、実に限定されたものだった、ということを、
まずは認識しておく必要がある。

(MC)つまり、非正規労働者への配慮が見られていない、ということか?

今や、非正規労働者が総労働者の4割を占めることになっている。
その4割の人たちで、労働組合に所属てきているのはほんの一握りである。
だから、今回の春闘の成果と、多くの部分を占める非正規労働者との間には、
直接的なつながりはない。
つまり、この春闘の賃上げの実績も、、多くの労働者にとっては無関係である。

(MC)非正規労働は何故増えて、労働者間の格差が拡大してしまったのか?

企業は、グローバルな大競争に対応する中で、賃金コストを極限的に抑えて来た。
その結果として、ヒトをモノ扱いにするに近いような形の
厳しい過酷な労働条件で働くことを強いられる人々が出てきてしまった。 

従来の日本であれば、格差のない”人”の扱い方であった。
ところが、このような”人いじめ”によって、
はっきりした格差が出てくる、という、様変わりな状況になってしまった、という事である。 

(MC)正規労働者への”目立つ実績”が、
時差があっても、非正規労働者にも波及していくだろうか?

しばしば『トリクルダウン』と呼ばれ、
上の方が良くなれば、その効果が下の方に向かってたらたらと滴のように落ちて行き、
結果的には全体が良くなる、
などと、よく言われる。
しかし、そういう波及の力学というのは、そんなに働くものではない。

『トリクルダウン』については、
米国のレーガン政権時代、英国のサッチャー政権時代に、よく言われた。
しかし、結果としては、そういうようにはならず、
確実に格差が拡大するという格好になってきた。
つまり、実質的に検証済みのことである。 

(MC)格差拡大を防ぐ戦略があるか? 

この四月からは消費税の増税もあり、
これまでも厳しい状況に置かれている人々が、一段と厳しい生活環境にさらされる事になる。
このような人たちの生活を改善・支援するところに、政策的な手当てが必要であろう。

『強いものをより強くすることが、結果的には弱いものを引っ張り上げることになる』
というような、迂遠な、ご都合主義的な言い方をしていてはいけない。 

むしろ、この春に、正規雇用の”目立つところの賃金”を上げてしまった結果、
企業が、それでも人件費を抑え込もうとしようとすれば、
『非正規雇用に対しては、もっと労働条件を厳しくする』ということに、なってしまうかも知れない。

企業がそのような動きにならないように、よく監視しなければいけない。
また、そういう状況になって行けば行くほど
国の政策には、
弱いところ・小さいところに対して十分な配慮をするという構えが求められる所である。
 


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『加速する中国における農地の流動化』 3/13 NHKラジオ 関 志雄さんのお話の要約

2014年03月13日 | ラジオ番組

加速する中国における農地の流動化』  
     3/15 NHKラジオ 関 志雄さんのお話の要約です。

中国における土地制度 

社会主義を標榜している中国では、土地はすべて公有であり、
私有財産として認められていない。 

土地の公有制は都市部では国有だが、農村部では集団所有という形をとっている。
ここでいう集団とは、農業生産合作社などの農民の集団経済組織のことで、
農民を代表して土地を所有している。

1980年代以降、改革開放が進むにつれて、農村部の基本的生産方式は、
それまでの人民公社から『家庭請負制』に変わった。
『家庭請負制』の下では、農民は請け負った土地の所有権を持っておらず、
あくまでもその使用権しか与えられていない。

土地の使用権の期限は、
都市部の宅地が70年間、工業用地が50年間、商業用地が40年間であるのに対して、
農地は30年間と短くなっている。

こうした土地の集団所有制の下では、
農民が都市部への移住などにより農業戸籍を失えば、
彼らの農地に対する権利は消滅し、極端な場合、何ら補償も受けられない。

その一方で、現在、多くの農村の若年労働者は、都市部に出稼ぎに行っているが、
彼らが請け負った農地は処分できないまま荒廃してしまっている。

また、農業の生産性を高めるためには、農地の集約化による大規模経営が必要だが、
農地の流動化が大きな制約となって(実現できないで)いる。

農地の集約対策としての土地の流動化

これらの問題を解決するためには、
最終的には、農地の私有化、つまり、所有権を含めて、
農地に対する諸権利を農民に帰属させることを認めるしかない。

しかし、イデオロギーや、土地収入を維持したい地方政府の反対、
食糧自給率維持のための農地の他用途への転換に関する厳しい制限、
などが妨げとなっており、
現段階では、農地の私有化が実施される可能性はほとんどない。

これを背景に、集団所有という原則を尊重しながら、農地の効率的利用を目指して、
各地域では、農地の流動化を通じた土地の集約化を図る試みが続いている。

改革開放当初、農地の流動化の手法は、
農地の交換、賃貸、譲渡といった農家の間の取引にとどまっていた。
市場化改革が進むにつれて、
より多くの農家が同時に参加でき、流動化の対象となる農地の面積も大きい
土地株式合作社や土地流動化信託などに進化してきている。

『土地流動化信託』とは、
委託者である農家が土地の有効利用を図るため、土地を信託業者に信託し、
信託業者が受託者として建物の建設や資金の調達、建物の賃貸などを行い、
賃貸収益から経費や手数料を差し引いた利益を、
委託者である農家にに交付する制度である。

これは、日本をはじめとする諸外国で広く実施されている
『土地信託』の仕組みと類似している。

土地流動化信託の利点

耕作者がいなくなり荒廃した農地を含めて、分散している土地を集約し、
企業経営を導入することで、農家(農業)の大規模化、機械化、そして市場化が可能になる。

また、信託を導入することを通じて、
土地(農地)の請負権と経営権を明確に分離することができる。

土地の経営・管理を専門の会社に任せることによって、
生産効率が高まり、農民の収入も増える。

その上、仮に経営権を取得した企業などが事業に失敗したとしても、
農民が持つ請負権には影響しない。

さらに、農民は、自ら土地の経営に直接関わらなくても、
資産としての土地から生まれる収入を得られることで、
農業から離れ、工業やサービス業などへ移動する自由度が高くなる。

このことは、所得格差の是正を通じて、都市部と農村部の二重構造の解消につながる。

最後に、信託会社は、強い資金調達能力を備えており
農業の近代化を金融面からサポートすることもできる。

これからの課題

中国政府の発表によると、
2013年6月末現在、農地全体に占める流動化された農地の面積は23.9%に上る。
このように中国における農地の流動化はある程度進んではいるが、まだ未解決の問題も多い。

第一に、
農地の流動化は、現在の法律・法規と矛盾する点がある。
また、関連法律による保障も不十分である。
第二に、
農地の流動化の過程において、農民の利益は十分に保障されていない。
第三に、
農地を流動化させるための市場インフラが未熟である。
最後に、
農業への金融面でのサポートも不足している。

これらの問題を解決していくことは、農地の本格的流動化の前提となる。
それに向けて、関連法律の整備に加え、信託制度の一層の活用が求められる。

 
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『被災者を苦しめる三つの不条理』  3/14 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約

2014年03月11日 | ラジオ番組

『被災者を苦しめる三つの不条理』   
           3/14 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。  

東日本大震災から3年が経った今、
被災地では、被災者の方々の避難生活が長引く中、
体調を崩す、あるいは自ら命を絶つ、
そういった悲しい”震災関連死”が今も増え続けている。

あの過酷な大災害を生き延びた尊い命が、何故失われていくのか?
せっかく助かった命を何故守ることが出来なかったのか?
私たちは、この悲しい現実を、厳しく見詰めて究明していかなければならない。

 まず、第一の不条理について。 

地震・津波に加えて、原発事故に撃たれた福島県。
長い避難生活を迫られている、その福島の人々の震災関連死が
他の二つの県に比べて突出して多く、
福島県のまとめではすでに1664人にも上っている。 

3県の合計の実に56%が、福島一県に集中しているのが現実である。
後でもう少し詳しく話すけれども,
この震災関連死、中でも原発事故関連死、は、何故なのか?
これこそまさに、三つの不条理の中の第一の不条理である。 

不条理というのは、納得できない、正義に反する、
つまりは、
『正しい人間社会の在り方からかけ離れた、非道の現実』、
と解釈できるだろう。 

次に、第二の不条理について。 

それは、
原発事故が人々に浴びせた放射線被爆から逃れるために、
他の地域に避難した方々を見舞って(襲って)いる苛酷な現実である。 

国から避難を指示された地域ではないけれども、
幼い子供たちを放射線被爆から守るために、避難の道を選んだ人達もいる。
そういう人たちを、『自ら避難した』したとして、
賠償や補償の対象にしない、あるいは格差をつける、などしている。
こういうやり方が、許されるのか!と、いうことである。 

この人々を『自主避難(自ら避難)』と呼ぶこと自体に、私は違和感を覚える。
事故さえ無ければ、誰が好き好んで故郷を離れるであろうか! 

今だ、放射線被爆の人体への影響が、解明されたとは言えない中、
この方々を『自主避難者』などと呼んでいいのだろうか? 

本質はあくまでも強制避難であり、
その方々を差別的に扱う政府や東京電力のやり方こそが、第二の不条理である。 

また、避難指示が続く地域とほんの1km離れているだけで、
東京電力による損害賠償(精神的苦痛への賠償)、
あるいは、また、休業補償(仕事を再開できないことへの補償)の、
どちらも打ち切られてしまった被災者がたくさんいる。
国策として原発を推進してきたのは、
国と東京電力であるにもかかわらずである。 

第三の不条理は、最後に話すことにしよう。 

冒頭でお話した、震災関連死というのは、
地震・津波・巨大災害から命が助かりながら、
災害が過ぎ去った後、
避難生活での体調悪化、あるいは自ら死を選ぶなど
震災とは異なった原因で大切な命が消えていくことである。 

阪神淡路大震災て初めて認められたものである。
阪神淡路大震災では、震災関連死は921人(死者全体の 14%)であった。 

ところが福島では、今の段階で既に1700人近く、異常と言うべき数字である。
被災地3県で見ると、
震災関連死の悲劇に見舞われた人は、実に3000人近くに達している。 

警視庁によれば、
東日本大震災の死者は、今年2月10日現在で15884人、
今だ行方不明の方は、2636人である。
つまり、震災関連死とされた方々は、
震災によって行方不明となった方々を既に300人以上も上回る勢いで増え続け、
今後、さらに増えていくのではないか、と危惧されている。 

問題は、
原発事故に見舞われ、その事故の性格から、
やむなく、長い長い時間の避難生活を迫られた震災関連死の方々なのに、
関連死認定の基準として、新潟県中越地震の際に長岡市が作った基準に倣い、
”震災から1カ月以上経過すると、関連死の可能性は低い”
などとされてしまうことである。 

地元では、原発事故に合わせた新しい基準が必要だ、と切実な声が上がっている。
当然のことであろう。 

関連死された方の9割以上が 66歳以上といわれる。
南相馬市や浪江町、富岡町など、
避難区域に指定された地域での関連死が突出して多いのであるが、
全く先の見えない生活、大きなストレス、不安、持病の悪化など
避難生活による肉体的・精神的疲労や、
移動中の疲労、病院の機能停止による既往症の悪化、
そういった、死へ引きがねとなった要因は多岐にわたっている。

 被災された方々にとって、日常の取り戻しがいかに大切か、
言うまでもないところであろう。 

そして三つ目の不条理について。 

巨大災害の直後、あれほど声高に叫ばれた『社会転換』という言葉が、
今や、泡沫(うたかた)のように消えてしまったように思われる。 

大量生産・大量消費・大量廃棄・エネルギー過剰消費社会を、
そして、成長至上主義の価値観や社会の在り方を、根底から転換しなければ、
21世紀には日本の未来はない、と声高に叫ばれたものであった。 

それが今は、原発再稼働を進めようとする政権の下、
『景気さえ良くなれば...』と思い込まされた国民が、多数派となってしまったように見える。

以上が今朝申し上げたい三つの不条理である。 

しかし、こうした中で、阪神淡路大震災に撃たれた神戸を中心として、
いかに被災地を支えるか、被災者とつながるか、真剣な運動が大きく展開された。

在るべき社会を求める志とか理念を、
非現実的などと言って捨て去る社会に、未来はない。
これこそ歴史の示すところである。 

上述した、三つの不条理を克服することこそ、日本の針路。
日本が進むべき道であると警鐘を鳴らておきたい。
      
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