ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

晴れた日は農業とウォーキングとライカ、雨なら読書と料理。
そして毎日ラジオがお伴です。

大学新卒者を犠牲にしてよいのか

2012年08月31日 | ラジオ番組

大学新卒者を犠牲にしてよいのか
    8/31 NHKラジオ 森永卓郎さんの『ビジネス展望』の要約です

今春大学を卒業した人は56万人いるが、
その内、非正規雇用で就職した人が2万人を超え、
就職も進学もしていない人を加えると、
大卒者全体の1/4近くが、正社員で就職できていない。

大学で教授をされている森永さんも、この現実を前にして、
自分のゼミの学生さんに対しては、
『学問を教えることがもちろん第一』とはしているが、
とりあえずは、『就職試験を突破できるようなプレゼンテーションの仕方』を
訓練する事を優先している、そうである。

しっかり学問を積んだ学生でも、卒業時にきちんとした就職ができないと、
その人の人生が上手く行かなくなってしまう時代になってしまったからである。

学問を身につけさせる大学での教育としては、本末転倒であるが、
自分の教えている学生を守るには、そうしてあげるしかない。

当の学生達も、将来の夢に向かって学問に励むことよりも、
とりあえずは、『正社員で就職する』ことが、主な関心事になってきてしまった。

どう考えても、こういう世の中は正しくない。
どうしたら良いのだろうか?

政府はこのほど、『日本再生戦略』を策定し、
新産業を起こして、医療・環境・農業で100兆円の生産を創出し、
100万人単位の雇用を生み出すと、言っている。
しかしながら、この政策は疑問符だらけで、実現可能性は極めて低い。

雇用の創出については、経済学の基礎に立ち戻って考える方が良い。
経済学のいろはとして、フィリップス曲線が知られている。
これは、物価上昇率と失業率の間には、トレード・オフの関係があり、
物価が上がれば失業率が下がり、逆に物価が下がると失業率が上がっていく、
ということを示すものである。

今のようなデフレを続けて、物価が下がり続ける状況であると、
雇用が悪化する、ということは経験則でよく知られている事である。

今、政府の政策に求められているのは、
『真剣にデフレを止める』ことである。
デフレの悪影響の”しわ寄せ”が、全部若者に行ってしまうのは良くない。

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高齢化に備える中国の年金改革

2012年08月30日 | ラジオ番組

高齢化に備える中国の年金改革
    8/30 NHKラジオ 関 志雄さんの『ビジネス展望』の要約です 

中国でも人口の高齢化が急速に進んでいる。
2040年代には、今の日本と同じように、
60歳以上の人口比率が30%前後に達する見込みである。

これに対して、中国の公的年金制度はどうなっているか、というと、
1.都市従業者基本年金
   加入者数、2億8千万人(2011年末)
   保険料の負担、企業と従業者の双方が拠出。
   年金支給額、現役時収入の40~50%
2.公務員年金   
   保険料の負担、全額国が負担
   年金支給額、現役時収入の80~90%      
3.農村年金
   全国統一の年金制度は未だない。
   各地域ごとに、任意加入による積み立て方式のものがある。
   年金支給額は概ね低く、1の1/20程度
などと、3種類に分けられる。

つまり中国には、日本のような国民皆年金制度がない。
中国政府は、2009年頃から、年金制度の整備を進めているが、
加入率が低い事や財源不足など、未解決の問題も多く残っている。

具体的に課題を挙げると、
加入率について見ると、都市部は80%に達しているが、
農村部は35%程度に止まっているので、高める必要がある。

また給付水準の差が大きすぎることも、是正すべき課題である。

また、年金制度が各地域で独立運営されていることで、
労働力の移動が盛んになるにつれて、
出稼ぎ労働者などが加入する際の阻害要因になっている。

また、年金給付額の増加に対して、財源不足も課題になってくる。
政府からより多くの財政の投入を図る一方、
停年延長や、支給年齢の引き上げを通じて、
給付額の増加を抑えなければならないだろう。


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沖縄の経済特区とモノ作り産業の未来

2012年08月29日 | ラジオ番組

沖縄の経済特区とモノ作り産業の未来
    8/29 NHKラジオ 関 満博さんの『ビジネス展望』の要約です 

沖縄本島の中城湾に、日本では唯一の本格的な経済特区がある。
今年4月から名称変更して『国際物流拠点産業集積地域』と呼ばれているが、
1992年3月に、湾内の約400haの埋立地のうち、122haの用地について、
『沖縄特別自由貿易地域』に指定された所である。

この特区の特色は、
法人税課税所得の40%控除等の税制上の優遇や、保税制度が活用できるという、
日本で唯一の本格的な経済特区である、ことである。

例えば、法人税の実行税率で比較してみると、、
この特区では、設立後5年間は、19.5%、その後10年までは、23%と、
一般地域の40%に比べて、ほぼ半分に優遇されている。

この特区には、分譲用地の他に、賃貸用の工場も設置されている。
現在は、この賃貸工場は20社が入居使用していて満室である。

入居している企業の大半は本土からの進出企業で、
業種としては、モノ作りの象徴である金型工場が多く占めている。
また、東日本大震災後に、進出した企業が多く見受けられる。

これは、今後予想される、大地震・大津波・サプライチェーンの寸断、
また電力不足に備えることを考えると、沖縄県が俄然有利になったことである。
また、沖縄県には若い労働力が豊富な点も、考慮されているようである。

ただ、それら製造業の周辺産業が近くにない、等のサプライチェーンの問題があるが、
運賃があまり高くないようなので、この点もクリアーできそうである。

これまで、沖縄県の産業と言うと、建設業が主体であったが、
上述のことを背景として、この特区を中心にして、
機械や電気の産業など、モノ作り産業の隆盛に、大いに期待がもてそうである。


(沖縄県の経済特区のサイト)
http://www.pref.okinawa.jp/tokku/index.html

 

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コーンベルトは警告する

2012年08月28日 | ラジオ番組

コーンベルトは警告する
    8/28 NHKラジオ 内橋克人さんの『ビジネス展望』の要約です 

米国中西部には、広大な穀倉地帯(コーンベルト)が広がっているが、
ここが、今年の6月中旬から記録的な暑さと旱魃(かんばつ)に見舞われている。

旱魃は米国本土の6割以上を襲うほど広範囲にわたっている上、
8月以降は、事態はさらに急速に悪化しているようである。
これで、とうもろこしの生産量は前年比 17%、
大豆も 12%もの減少が予測されている。 

これを反映して、穀物相場が急騰し、
シカゴの商品取引所の先物価格は、
とうもろこしは5割、大豆は3割も上昇している。 

この旱魃は1958年以来56年ぶりの大旱魃だと言われ、
今なお、雨らしい雨が降らず、食料危機の再来を前にして、
日を追って世界に緊張が高まっている。 

この所、食糧危機には、周期的に見舞われて来た。
最も記憶に新しいのは、2007~8年の時のものであるが、
その僅か2~3年前にも、食料価格が高騰して
FAO(国連食料農業機関)が、緊急に世界食料サミットを開いている。
その危機感が薄れ始めた2007年に、
再び穀物相場が高騰してしまったのである。 

米国のコーンベルトで生産されている、とうもろこしや大豆は
いずれも世界生産高の4割を占めている。
これは、言わば穀物生産を独り占めしている状況であるので、
ここでの作付け状況が直ちに世界の食料事情に直結しているわけである。 

また、米国以外に、
インドでも深刻な旱魃に見舞われており、米の作付けが減少している。 

ただ、幸いな事には、一方で、ブラジルなど大豆が大豊作な所もあるので、
2007~8年の食料危機の時とは、やや様相が異なっている、とは言える。 

さて、日本はこの事態を『コーンベルトからの警告』として、
深刻に受け止めなければいけない。 

日本は先進国の中でも、食料自給率が異様に低い。
  飼料用穀物……全量輸入(その99%が米国からの輸入)、
  大豆……自給率 6%、輸入94%(その72%が米国からの輸入)
  小麦……自給率 14%、輸入86%(その61%が米国からの輸入)

先進国と比較すると、
      人口      国土面積   穀物生産高(年)  
 日本 1億3千万人            900万トン
 英国 日本の1/2  日本の1/2  3,000万トン
 独国 8千万人   日本の90%   5,500万トン 
という状況で、
食料の過剰な他国依存を、平然とやり過ごして来たことに、愕然としてしまう。 

辛うじて、これまで、米(コメ)だけは守ってこれたが、
TPPで崩されてしまう恐れが出て来ている。 

日本の食料の安全保障に、
米国のコーンベルトから、厳しい警鐘が鳴らされている事に心すべきである。

 
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和のビジネス、再生への試み

2012年08月27日 | ラジオ番組

和のビジネス、再生への試み
    8/27 NHKラジオ 山口義行さんの『ビジネス展望』の要約です

畳と言えば、日本の伝統工芸、伝統産業であるが、
その畳表の材料である『い草』は、80%以上に中国産のものが使われている。

理由はやはり、中国製品の価格の安さで、
一時は、6000軒の農家で栽培されていたが、現在は600軒まで減少してしまった。

「これでは、日本の『い草』が危ない」という事で、畳屋さん達が立ち上がって、
日本の『い草』の良さを、全国の畳屋さんや消費者に啓蒙し、
日本産『い草』を使った畳表のビジネス再生に向かっている例を紹介する。

具体的には、
『い草』の主産地である、熊本県八代市に『畳屋道場』なるものを始めた。
ここで、全国の畳屋さんが、先生役の『い草農家』から研修を受け、
日本の『い草』の良さを、体験、勉強してもらう、という訳である。

この道場で学んだ畳屋さんは、
日本の『い草』で作られた畳表の良さを存分に理解して、
「こんなに素晴らしい『い草』を無くしてはいけない」と、意識するようになった。

同時に、『い草』の目利きが出来るようになり、
これで、消費者に、日本産の『い草』を使った畳表の良さを説明できるようになり、
少々値段が高くても、消費者にも、受け容れてもらえるようになってきている。

総じて、今の時代、昔と違って、モノ作りが分業で行われているので、
農家(モノを作っている人)が、消費者の顔が見えなくなって行く、とか、
消費者が、農家(モノを作っている人)の価値や良さを理解できていない、とか
いうことが、起きて来てしまう。

これでは、伝統産業も廃れてしまう。
出発点の農家と最終の消費者までの流れを、
一気通貫で見通せる人が必要になって来ている。
この役割を畳屋道場が果たしているわけである。

他の日本の伝統産業の再生にも同じ事が言えよう。

(畳屋道場のサイト)
http://www.tatamiyadojo.com/

 
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持続可能な経済社会とは

2012年08月24日 | ラジオ番組

持続可能な経済社会とは
       8/24 NHKラジオ 藤原直哉さんの『ビジネス展望』の要約です

世界の経済成長を支えて来た新興国の経済が,
バブル崩壊で急ブレーキがかかり、
それが、先進国と資源国に不景気をもたらしているのが現状である

この20年間のグローバル経済は、
持続するのが不可能で、破局を回避できない経済体制であることが、
明確となったと言える。

資本主義というのは元々そういう性質を持っている。
今は、経済学で言うところの、景気循環における『恐慌』の段階にある。

20世紀前半の経験を振り返れば、
『恐慌』の次には、革命、社会主義国の誕生、大戦争、原爆投下等々、
人類全体の破局寸前の所まで行ったわけである。

今回の世界的大不況でも、対応の仕方によっては、
再び同じ間違いを犯す可能性がある事を認識しておく必要がある。
それには、
今の資本主義体制は『
破局を回避できる経済の運営をしていない』
という事も認識しておくことも必要である。

それでは、『持続可能で破局を回避できる体制』を作るには、
どうしたら良いか。

それには、まず第一として、
新自由主義(市場原理主義や行き過ぎた自由貿易)、
グローバリゼーション、また第一次産業を丸ごと外国頼みにする、
といった経済運営を止め、
国内の地域ごとの産業基盤の確立の方に戻して行くことである。

その中心になるのは、
新自由主義やグローバリゼーションに翻弄されている大企業ではなく、
国内の各地域で頑張っている地場産業や中小企業である。
そういう人たちの力を再結集して、
新しい経済や政治のリーダーに押し立てて行かなければならない。

第二に、財政について言えば、
この不況下、来年はもっと不況になるだろうから、増税などすべきでない。
むしろ、日本の行政を隅々まで調べ直して、
財政再建にあたり機能していないような行政府を、徹底的に調べる方が急務である。

日本の潜在的な力は、まだまだ充分ある。
上述した新しいリーダーの下に力を結集すれば、
日本は、持続可能な経済社会を作ることは、充分可能である。

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日本再生戦略と中小企業

2012年08月23日 | ラジオ番組

日本再生戦略と中小企業
    8/23 NHKラジオ、黒瀬直宏さんの「ビジネス展望」の要約です

7月に閣議決定された『日本再生戦略』において、
グリーン(エネルギー・環境)、ライフ(健康)、農林漁業の3つと並べて
中小企業を日本再生の4大プロジェクトの一つとしている。

そして、具体的な中小企業施策として次の3つをあげている。
1.2020年までに、中小企業の開業率が廃業率を上回るようにする。
2.中小企業の海外売上比率を4.5%以上にする。
3.新たな中小企業金融の手法を広げる。
  これは、中小企業金融円滑化法が来年の3月末で終了するので、
  新たな金融手法を採ろうとするものである。

これら3つは、中小企業施策の総論としては申し分ないが、
これを達成するための手段(各論)には、大いに疑問が残る。

例えば、
1の開業率を高めるために、起業や創業や育成支援を行うとし、
その為に『知識サポート体制』を構築すると言っている。
詳しく言うと、
「町工場や飲食店などを念頭に、税理士や経営者など1~2万人を活用し、
資金調達や販路開拓に悩む経営者が相談できる知識サポート拠点を、
この夏にでも全国に整備する。
同時に、1口数百万円程度の小口の補助金を創設して、
若者や女性が小規模な店などを起業しやすい仕組みにして、開業率を高める」
というものである。

開業をこのようにして増やす施策も悪くはないが、
それよりも、なぜ廃業が多いのか、ということにこそ着目しないといけない。

中小企業の廃業の多い理由は、
製造業においても、小売業などの販売業においても、
大企業の横暴が中小企業を痛みつける、という経済構造にあることは、
はっきりしている。

また、中小企業が銀行の横暴に苦慮している事も、理由のひとつである。
かつて野党時代に民主党は『地域金融円滑化法案』を提言していた。
これは一言で言えば、
「銀行を社会的に規制し、銀行と中小企業の関係を対等にして、
中小企業の金融問題の解決につなげる」
というものであった。

今、中小企業を支援するのに必要なものは、
中小企業が大企業や銀行と対等な取引きができるような仕組み、
言うなれば『経済民主主義』を実現するための抜本策を講ずることである。

これをしない事には、中小企業の減少には歯止めがかからないから、
『日本再生戦略』がめざす”中小企業を中心とする経済の実現”はむつかしい。

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世界に見る原発の動向

2012年08月22日 | ラジオ番組

世界に見る原発の動向
    8/22 NHKラジオ、金子勝さんの「ビジネス展望」の要約です

このほど、英国の大手石油会社「BP」から、
世界のエネルギー需給に関する統計が発表された。

それによると、2011年の原発の発電量は、前年比で 4.3%の減少となった。
2006年からずっと減少を続けているが、過去最大の減少幅となった。
特に先進国の減少が 6.4%と大幅であったので
新興国のインドや中国がそれぞれ、39.6%、16.9%も増加したが
世界全体では、これだけの大幅減少となった。

次に、再生可能エネルギーの発電量は、
前年比17.7%の増加で、8年連続で2桁の伸び率となった。
再エネについては、先進国・中国共に増加が急速であった。
残念ながら日本だけが、3.8%と伸び悩んでいる。

また、これもつい先日だが、
共同通信社が、主要な大手企業109社を対象にしたアンケート結果を公表した。

その内、政府が示した2030年度の原発依存度の三つの選択肢について、

原発0%案を支持しているのは、わずか1社であった。
これは、国民の世論とは、全くずれているとしか言いようがない。

一方、原発に代わる代替エネルギーを何にするかについての質問では、
『原発に代わるエネルギーはない』と答えたのは、わずか3社だけだったので、
原発のあり方に対して、どうしたら良いか、まだ揺れている面も窺えて見える。

いずれにしても、大企業の意識の遅れが、ここによく表れている。
また、つけの先送り体質が表れているとも解釈できる。

それは、福島原発事故後も、
新たな安全基準や安全投資なしに、従来通り原発を再稼働させて
まだ『原発のコストは安い』と言っている企業があることは、
企業の『リスク感覚』が麻痺していることを、自ら表現しているにほかならない。

また、使用済み核燃料の処理問題が解決していないにもかかわらず、
原発20~25%案を支持するとか、
それ以上の原発の新増設を主張している企業がある、ということは、
全く驚きである。

このように、臭いものを先送りする体質が、大企業に染み付いてしまったようである。

日本では、使用済み核燃料は、再処理を行い
”ウラン 235”や”プルトニウム”を抽出し、再び核燃料にするという
『核燃料サイクル』の方式をとっている。

しかしこのための施設である『高速増殖炉もんじゅ』は失敗続きで 15年間稼働できないし、
六ケ所村の再処理施設も、20年も研究を続けてきたが、事実上稼働していない。

また、再処理をせずに、地層深くに埋めてしまう直接処理の研究も始まったが、
その埋める場所をどこにするかが決っていないし、見込みもない。
これも、また、つけの先送りである。

政府は、使用済み核燃料の処理を充分に考慮にいれて、選択肢を示し、
つけを先送りしないように、議論しなければいけない。

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エネルギー政策と脱原発の行方

2012年08月21日 | ラジオ番組

エネルギー政策と脱原発の行方
       8/21日 NHKラジオ、諸富徹さんの『ビジネス展望』の要約です

政府がエネルギー政策の見直しにあたって、
3つの選択肢を示した上で、
全国で意見聴取会を開き、パブリック・コメントの募集もした。

これに対する国民の反応は、というと、
パブリック・コメントには、8万件超もの意見が寄せられた。
非常に多くの国民が、
止むに止まれぬ気持ちで、書き送ったのではないかと思われる。

意見聴取会では、7割超の人たちが原発0%のシナリオを選択した。

このように、非常にクリアな結果として、国民の気持ちが出ているから、
政府は、
最終的に原発0%に向けてステップを踏んでいく事を表明して、
その為の障害の克服に向けて、真剣に検討を始めるべきである。

多分、政府としては、このような結果になるとは、
つまり、こんなに多くの意見が寄せられたり、
原発0%支持が圧倒的に多い、とは予想していなかった。

当初は『とりあえず、国民のガス抜きをする』程度のつもりであったので、
あわてて、有識者委員会を設置して、この結果の取扱いの方法を諮問した。
政府は、国民の脱原発意識の高い事に、頭を悩ます事になった。

政府としては、元々、原発15%のシナリオが意中であった。
国民的議論を通じて、原発0%案と20~25%案が両極端として退けられ、
真ん中の15%案が選ばれる構図を描いていたのである。

つまり、
原発を新設しないまま、稼動40年を経過した原子炉を廃炉にして行けば、
2030年に到達できるのが、原発15%案であるからである。

一方、経済界は政府の3つの案のいずれにも強硬に反対している。
具体的には、
政府案の『1%の経済成長率と大幅な省エネ』という非現実的な前提では、
電力需要は賄えないし、電力料金も高くなってしまい、
国民と産業に大打撃を与えてしまう、と主張している。

この経済界の主張に対しては、
1.原発ゼロの場合に電力が足りるのかどうか(量の問題)、
2.原発ゼロの場合、経済に与える影響はどうか(コストの問題)
に分けて考える必要がある。

まず1の電力供給量から言えば、この夏の実績を見れば明らかなように、
原発稼動なしでも、充分賄える事が解って来ている。

次に2の発電コストについては、
新型の天然ガス『シェールガス』が注目されている。
価格が安く、二酸化炭素の排出量も少ないということで、
これを有効に使っていけば、
電力料金上昇を抑制しながら、原発依存度を下げる、ことが可能になる。

さらに、安価なシェールガスによる発電を武器にして
ガス会社などが、発電事業者として台頭して来る可能性もある。

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日本再生戦略の評価

2012年08月20日 | ラジオ番組

日本再生戦略の評価
        8/20 NHKラジオ 山田久さんの「ビジネス展望」要約です

政府は、7月末に
”エネルギーや医療、福祉などの分野に予算を重点的に配分して、
2020年度までの平均で、実質2%程度の経済成長を目指す”
という、『日本再生戦略』を閣議決定した。

かつて、2010年6月には、『新成長戦略』なるものが作られている。
ところが、今年5月になって、政府は自ら
この『新成長戦略は』、1割しか成果があがっていないという自己評価をした。

今回の『日本再生戦略』もこの『新成長戦略』を踏襲したものであるので、
果たして、筋書き通りに日本の再生が進むのか、疑問がちょっと残るものではある。

心配な点は3つある。
1.経済成長のメカニズムを踏まえたストーリーが、充分には構築されていない事。
  経済成長というのは、そもそも、
  需要の増加⇒産業活動の活発化⇒家計の所得の増加⇒消費(需要)の増加
  というプロセスが持続的に作動することで、可能になるものである。
  ところが、『日本再生戦略』では、産業部門の活性化策は列挙されているが、
  それが、家計所得や消費の増加につなげていく政策が、全く曖昧である。
  これでは、仮に産業活性化策が奏功しても、内需の持続性が期待できない。
  つまり、これまでのように、
  企業業績は良好だが、消費需要が増えず、デフレが続くことになってしまう。

2.具体的に述べられている施策が総花的で、
  資金や資源を何処に投下して行くかという、優先順位がはっきりしない。
  環境・健康・農林漁業の3つの分野が重点分野らしいという程度しか、わからない。

3.大筋である11の政策ごとに工程表が示されているが、
  具体的に挙げられている個別の施策との関係性がよくわからない。
  例えば、『アジア太平洋経済戦略』という政策の中に、
  「2020年までに、日本の貿易量の80%以上を
  経済協定を結んだ相手国とできるようにする」
  とあるが、
  この実現には、農業分野の関税の引き下げ・撤廃をしないと、絶対できない。
  それには当然、農業の思い切った構造改革が必要になって来る。
  しかし、この点には、何も触れられていない。

総じて、何よりも、『あるべき成長戦略の姿』は、
上述の経済成長のメカニズムをしっかり踏まえて、
産業、家計所得、消費という3つのステップを明示する事が出発点になる。

産業の活性化というステップでは、
海外需要をいかに上手く取り込むかが最優先課題であるので、
農業改革などを実施して、自由貿易協定を急いで締結する必要がある。

そのようにして産業が活性化し、企業利益が上がって来たら、
次のステップとして、企業が賃金上げ、家計所得の増加につなげる策が必要である。

その次のステップで、消費を増やすには、
現役世代をサポートする社会保障を拡充して、雇用不安を解消させることで、
結果として消費を増やす方向付けが必要である。

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本日の『ラジオ深夜便、午前1時台』を是非お聴き下さい

2012年08月17日 | 良心に恥じない意見

本日のNHKラジオ『ラジオ深夜便』を是非お聴き下さい。
      (8月17日(金)深夜、正しくは8月18日(土)午前1時) 

〔インタビューシリーズ・平和を考える〕
『アフガンで育てる 平和の心』
伊藤和也アフガン菜の花基金 代表 伊藤正之・順子 ご夫妻

まだ皆様の記憶にも鮮明に残っている事と思います。
2008年8月26日に、
アフガニスタンで復興支援を続けていた「ペシャワール会」の伊藤和也さんは
4人組の武装グループに拉致監禁された上、命を奪われました。

下の写真は、伊藤さんの出身地の掛川市役所で
同年11月14日に開催された追悼写真展の様子です。

当日は、御家族、アフガンの領事官、ペシャワール会の中村さん、
掛川市長さん、など多数が出席され、献花鉢をされました。






伊藤和也さんの事については、
別のSNSでもたくさん書いてきましたし、
今後このブログでも、いつか書きたいと思っています。

私は、サラリーマンを定年退職し、再び今の役所勤めに就くまでの約6年間、
超零細の農業生産法人(苺栽培)の経営をしていました。

私は、生まれは農家ですが、田植えや稲刈りを少し手伝っただけで、
野菜の栽培はズブの素人でしたので、
退職直前の僅かな期間でしたが、農業大学校の聴講生になり勉強しました。

その聴講生時代の夏に、この学校の卒業生である伊藤和也さんが、
アフガニスタンから一時帰国して、
この学校で、さつまいもの品種や栽培の勉強をしておられました。

これは、私の先生から、
「伊藤君という卒業生が任地のアフガンから帰って来ていて、
『水が乏しい場所だが、なんとかして、さつまいもを当地で栽培したい』
と言っているので、皆で協力している。」
という事を聞いて知ったことです。

その時は、”日本の農業技術で世界平和に貢献されているんだ”
と思ったくらいで、
まさか、平和貢献の使徒たる青年が、このような非業に会われるとは、
思いもよりませんでした。

伊藤和也さんの無念さは、計り知れませんが、
私にとっても、大きなショックでした。
それから、伊藤さんのご両親のお話も、何回もお聴きしましたが、
悲しみを乗り越えて、
『息子さんの思いをなんとかつなげてあげたい』という活動には
心底、敬意を払わずにはおられません。

伊藤和也さんについては、こちらのサイトが詳しいです。
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/peace5.html#ito-pfoto


アメリカ大統領選挙とアメリカ経済情勢

2012年08月17日 | ラジオ番組

アメリカ大統領選挙とアメリカ経済情勢
          8/17 田中直毅 さんの『ビジネス展望』の要約です。

昨年、一昨年と、この夏の時季、米国経済は、あまり芳しくなかった。
大統領選挙の年である、今年の夏の景況はどうだろうか。

どうやら、そんなに悪くは無いようである。
その理由は
1.家計部門の債務調整(借金の返済や支出の抑制)が
 ほど良く進行して、一段落したこと。
2.ずっと値を下げてきた住宅市況だが、やっと下げ止まりとなった。
 住宅着工は今後増加が見込まれる。
3.シェールガスの開発により、製造業のエネルギー費用が低下している。
からである。

このエネルギー費用の低下を受けて、
比較的安い賃金で雇用できる労働力が豊富な米国南部の製造業は、
再び上向きになり、
中長期的に見て、製造業の拠点として米国が選ばれるという面が出て来た。

これには、中南米諸国、とりわけメキシコなどが、この流れに加わってきており、、
米国の地力が、あらためてパワーアップする、のはほぼ間違いない。
 
さて、このような米国の景況は、
オバマ大統領の再選を押し上げる要因になっている。

一方、共和党のロムにー陣営は、
副大統領候補にライアンという若い下院議員を選んだが、
右派から左派まで幅広い共和党の支持者をまとめきってはいない。

とすると、オバマ側の方に少し有利な状況か、と思われる。


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日本の製造業の生き残る道を考える

2012年08月16日 | ラジオ番組

8/16  中北 徹さんの「ビジネス展望」の要約です。

最初に結論を言っておけば、
今後日本の製造業が目指すべき道としては、自動化(ロボット化)の推進が重要である。
特に、社会の高齢化・少子化が進んで
一方で中国や韓国の追い上げが厳しいという状況の中では、
日本の主要製造業は、積極的な投資、
特に再生エネルギー利用へ向けた研究開発を含めた国内投資を積極化することが
モノづくり産業の生き残る道へつながる、ということを強調しておきたい。
ということである。

中北さんのお話は難しいです。
この結論を最初に提示されて、あと、本論をお話されていますが、
この本論が難しい。
申し訳ありませんが、わかりやすい要約作成はできませんでした。





ドイツの脱原子力政策と日本への教訓

2012年08月15日 | ラジオ番組

ドイツの脱原子力政策と日本への教訓
    8/15 十市 勉さんのお話の要約です
 


ドイツは原発の段階的廃止を決めたが、
電力の安定供給をどう図ろうとしているのだろうか?

ドイツは、エネルギーの大転換を行おうとしている。
具体的には、原発事故や地球温暖化のリスクを避けるために、
原発と化石燃料への依存を断ち切ろうという方向を向いている。
その為の政策としては、
再生可能エネルギーの利用拡大と省エネ・省電力対策を
徹底的に進めるという事を掲げている。 

そして、
2020年までに、電力需要を現在に比べて10%減らし、
再エネによる発電比率を現在の17%から2倍の35%にする、という
非常に野心的な目標を掲げている。 

これらの目標を、達成するためには、課題もたくさんある。
1.再エネの”固定価格買取”にあたり、
  上乗せ価格(サーチャージ)の家庭への負担(現在は約千円)が大きくなる。
  同じ理由で、産業界でも電力多量使用産業の競争力劣化が危惧されている。
2.再エネの発電所の設置場所が偏在するようになるため、
  国全体への安定供給に、長い高圧送電線の建設が必要になる。
3.風が吹かない時とか、太陽光が照らない時があるので、
  再エネは天候により発電量が変動する。
  その再エネが大規模になってくると、予備電源や蓄電装置が大量に必要になる。
等々である。 

このように課題の多いドイツの脱原発政策であるが、日本が学ぶべき事は多い。

まず第1に、
ドイツの脱原発に到る”合意形成”のやり方を学ぶべきである。
ドイツの場合、30年以上という長い年月をかけて、
国民的な議論を重ねた上で決めている、という点である。 

そして、ドイツ国民が脱原発に伴う色々な問題点を理解し、覚悟をしている事である。
つまり、原発を廃止すれば、電気料金が上昇するという事、
また、生活のスタイルも、できるだけ”省エネ型”にする必要がある事、などを、
国民がかなりの覚悟を持って進めて来たわけである。 

この点、日本でも、もっともっと、国を挙げて冷静な議論を重ねることが必要と思われる。 

第2に、
ドイツと日本のエネルギーを巡る安全保障に、
大きな違いがあることを理解しておく事も必要である。

ドイツの場合、電力が不足する事態になっても、
隣接するフランス等他国から電力を購入できる、という地理的に恵まれている事がある。
さらに、石油や天然ガス等のエネルギーをロシアから安定的に購入できている事もある。 

日本はと言えば、島国で外国から電気を買って補う事は難しいし、
石化エネルギーも政治的に不安定の中東からの輸入に頼っている。
こういう違いを、よく理解をしておかなければならない。 

第3に、
中国やインドは電力不足を解消するために、原発を強力に推進している。
特に中国は現在15基稼動しているが、さらに26基を建設中である。
そうであるので、アジアにおける原発の安全性の確保のためにも、
日本が開発・蓄積してきた原発の技術や経験を生かすことも重要である。 

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今、マニフェスト政治を問う

2012年08月14日 | ラジオ番組

今、マニフェスト政治を問う
    8/14 内橋克人さんの「ビジネス展望」の要約です
 

消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革に関連する法律が成立した。 

この法律の成立については、すでに多くの見解が報じられているが、
日本のこれからを考える時、もっとも重要な影響として、
国民の政治への信頼が崩れて、

政治への失望感や政治に対して白けた気持ちに導いてしまうのではないか、
ということを恐れている。 

野田首相は、
『2009年衆院選挙の民主党マニフェストに記載がなかった。
深くお詫びしたい』
と、国民に陳謝したが、
しかし、これで納得できる国民がどれだけいるであろうか。

2009年の民主党のマニュフェストには、
消費税増税が記載されていなかっただけではなく、

『消費税増税はしない』と明記されていた。
増税はしないとして政権を取った政党が、それから3年もしないうちに
党を割ってまで、正反対の政策実現に全力を集中した。
まさに『背信の政治』を示す歴史的事件として、記録される事は間違いないであろう。 

野田首相は、解散総選挙について、
『近いうちに』と自民・公明両党との間で約束したようである。
これを受けて、早くも各党はマニフェスト作りに精を出している。
しかし今後、
政党・政治家がどんなに力を入れて、もっともらしいマニュフェストを作っても、
もはや国民は、政権公約など信用することはないであろう。
日本の政治の歴史に刻まれた、傷は決して小さなものではない。

 国民の中には、必ずしもマニフェストにこだわる必要はないという意見もある。
もちろん、選挙の際の公約は、何が何でも墨守(ぼくしゅ)されるべきだとは思わない。 

重大な出来事、例えば原発事故の発生とか新たな危機が発生して、それに遭遇すれば
たとえマニフェストにいかなる約束がうたわれていようが、それにこだわる必要はない。
しかし今回はそれらとは全く違うのである。

消費税というのは、大衆課税である。
時の政権から増税を迫られた国民は、賛否いずれを問わず、
正当な納得性の論理を求めるはずである。
「何故、今、このような形での増税が必要なのか?」
国民は、自ら納得したいと望むわけである。
そうした国民の望みに応えてこその政治でなければならない。

この間、野田首相は、
消費増税の実施前に民意を問うと、しきりに繰り返してきた。

では、いつ民意を問うのか。
増税の実施前と言うけれども、
現実には『増税を決める法律が成立した後に民意を問う』

という意味だったことを、国民は、ここで思い知ることとなった。 

民意を問うのが、解散であれ、衆院の任期満了であれ、
国民が、イエス・ノーの意思表示ができるのは、消費増税の是非に対してではなく、
増税を決めた政党・政治家へのイエス・ノーに限られるわけである。
世に言う『後のまつり』とはこの事である。

公約違反の法律を成立させておいて、
その後で、国民に信を問う、とは、とても、民主政治とは言えるものではない。

ちなみに、欧米先進国で、
議席の2/3以上占めるような結果になる、
与党第一党と野党第一党
の両党間で連立が組まれた例などは、一度も無い。
それは、民主政治の否定につながると考えられているからである。

今回の、民主・自民・公明の3党一体化は、まさに民主政治の否定につながるものである。
この事をこそ、ジャーナリズムは厳しく問い質すべきである。 

今朝のテーマは、『マニュフェスト政治が今問われている』という事である。
3年前に、長く続いた自民党による政権から、民主党へ事実上初めて政権交代が実現した。
それを実現させたのが”マニュフェスト選挙”であったという事が大切である。

マニュフェストに対しては、一般の議論とは違う、という認識がある。
長い間続いてきた、地盤(ジバン)・看板(カンバン)・鞄(カバン)と言う
利益誘導型政治から、どう脱却して、
国民が自ら政策を選択し、そして、成熟した民主政治へと進んでいけるのか、
例えマニュフェストに法的拘束力はなくても、投票に先立って示された約束事を
判断基準にして、国民は投票を行い、世間を託す政党を選択する事が、
民主政治を実あるものとする理念であったはずである。

つまりは、政治倫理の問題でもあるということである。
2003年の衆院総選挙以降定着しつつあったものである。 

『近いうちに』、衆院選挙が近づいて来た。
各政党は、新しいマニュフェスト作りに精を出しているが、
果たして、国民は、それを信用するであろうか?
危機は深く、且つ緊迫していると、今こそ知るべきではないだろうか。 
 

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