最初に武村著書を知ったのは、ブルーバックスの「生物はウイルスが進化させた」だった。僕らのゲノムの中にはウイルス由来のものも多い。ゲノムの水平伝播が進化になったする柱になる説だ。最近の著書では、〈細胞とはなんだろう 「生命が宿る最小単位」のからくり〉とか。
まさか、NHKの教育番組に有名な武村教授が出てくるとは思わなかった。おかげさまで、彼のイメージは記憶された。ちょっと見ると体育会系の先生みたいだが、エネルギーを発しており、かなり精力がある人なんだ。街を歩いていたら出会いそうな親しみをおぼえる。現在は巨大ウイルスを研究されているようだ。
一方、NHKの画像技術には毎回 感心させられ驚かされる。DNAポリメラーゼの3D-CG動画は参考になった。様々な動きがリアルに映し出され、特に酵素による反応や展開のスピードは驚き。複数のポリメラーゼの存在は僕の新たな思考回路を形成した。
進化は生物系や化学系の研究者がその専門的なロジックで考えるのが主流というか、その他は見当たらない。だが、進化を生物・化学ロジックだけで考えるのは間違い。進化は、自然法則に逆らっている。例えば、進化は熱力学第二法則とは反対になっている。
であれば、何故、熱力学第二法則=エントロピーの増大とは反対の動きになるメカニズムと、その物理的理由を示さなければならない。一方で、ゲノムは記憶装置であり、記憶装置の扱いは情報工学の分野だ。生物・化学ロジックでは限界がある。
ニック・レーンが「毎年、莫大な予算で進化シミュレーションを実施しているが、生物が何故今の様になったかが分からない。生物研究の中心にブラックホールがある」と記載しているのは従来アプローチの敗北宣言と僕は考えている。
今年の、電気学会でタイトルの中に「進化は開発」を埋め込んだんだが、多分専門家の100人中100人が否定したと思う。しかし、僕の考えが正しい事を来年以降の電気学会(毎年3月の全国大会)で発表し続ける。