山口2区の補選で、民主党の平岡 秀夫当氏が116,348票を獲得し 、自民党山本繁太郎氏に約2万票の差をつけて圧勝した。共産党が候補を出さずに協力した点もあるが、投票締め切りと同時に当確がでるという、補選に強い自民党としては惨敗と知っても良い内容である。何しろ、安倍元首相の地元であり、局地戦では圧倒的に強い公明党の支援を得ている。公明党の強さには定評が有り、先頃までは、公明党が自民党支持に回った場合には無敵とも思われていた。
明らかに、住民が後期高齢者医療制度やガソリン値上げにNOの意思を示したのだ。しかるに、自民党は補選は補選として、衆議院3分の2の数にものを言わせ、暫定税率復活と後期高齢者医療制度の継続を図ろうとする。何故、これほど左様に自民党は道路に固執し、老人医療を抑制しようとするのか。自民党議員にとって道路建設は最大の選挙武器であり、収入の糧であり、命綱なのだ。
自民党議員は自らの意思で道路計画を作成し、自分の土地に道路を通すか、道路が通る一帯の土地を買い占める。官僚を動かし、道路予算を獲得すると、協力関係にある土木建設業者に情報を流し、有利に入札できるよう取り計らう。道路公団などとも結託し入札価格は、本来の価格の2~3倍になる。これで、自民党議員は土木建設業者から選挙資金を得るだけではない。土木建設業者が選挙マシーンとして強力な選挙運動をしてくれる。至れり尽くせりの結構な仕組みなのだ。 だから、自民党議員はなりふり構わず道路予算を取りに行く。
山口補選の選挙結果は、決して一地方の局所的な意見のブレではない。全国共通の民意とみるべきだろう。福田首相とその政策はNOを突き付けられたと見るのが最も妥当である。加えて、国民は福田首相を信任したことなど一度も無いのである。熱しやすく、冷めやすいとされる国民だが、決して今回のことを忘れるべきではない。
私はこの30年程度、手弁当で二大政党実現のために選挙応援をしてきた。はじめは河野洋平の新自由クラブで世話人となり、車を走らせマイクを握った。次に、小沢一郎の新生党で、会社を休みできることは何でも手伝った。この時は細川内閣を誕生で政権を奪取したものの羽田内閣にバトンタッチし短命で下野した。この例外的な瞬間を除いて、自民党は長期政権を維持している。
自民党がしたたかな点もあるが、何しろ、金持から貧乏人までが自民党を支持していることが、自民党を盤石な政党として君臨させる要因となっている。金持ちが自民党を支持するのは分かるが、何故貧乏人までが自民党に投票しなければならないのか。自民党は大企業(とりわけ土木建設業)、官僚、医師会、農家の強力な支持を得ながら、鉄壁の既得権構造を築いている。結果として、貧乏人を叩く政策を推進し、格差が拡大している。
政権が適切なタイミングで交代することは、自由主義国家では当たり前であり、まるで日本はヒットラー率いるかつてのファッショ国家や北朝鮮のような共産主義独裁国家のようである。現状では、官僚・自民党・巨大企業の既得権はゆるぎなく、維持されてしまう。日本を正常化し、発展させるため、政権交代の実現を望むものである。