葉っぱなどのクロロフィル(葉緑素)は太陽光を浴びてエネルギーを受け取る。具体的には光エネルギーがクロロフィルに当たるとマグネシウム原子に吸収され、最も外側の軌道上にいる電子がエネルギーを受け取り軌道から飛び出す。
あなたも急に大金が手に入ると、飛び出して海外旅行に行ったり?ちょっと違うか。光のエネルギーは最低限度の量が決まっており、それを受け取ると、電子としてはエネルギーが大きすぎ(振動数が高すぎ)、禁止帯(電子は飛び越えてもいいが立ち入り禁止)と呼ばれる壁を乗り越えて外に出ざるを得ないのです。
ここでマグネシウムの軌道では電子の空席が出来る。空席の出来た原子の状態を教科書ではホール(電子が抜けて穴=ホールが出来た)と呼ぶ。飛び出した電子とホールはペアで蓄電池の役割を果たす。何故なら電子とホールを再結合させるとエネルギーを放出(利用)できる貯金のようなもの。
電子はご存知の様にマイナス電荷を持ち、電子が抜けたホールはマイナスが抜けたのでプラス電荷をもつ。電子とホールは互いに引き合うので、静電気で引き合い結合しやすい。このペアが再結合しないよう目的地(光合成の反応中心)に移動させなければならない。
クロロフィルでは最初に飛び出した電子が隣の分子に移動し、そこの電子にエネルギーを与え、隣の原子の電子をはじき出す。元のマグネシウム原子の電子はエネルギーを失うので、元の軌道に戻らざるを得ずペアが消滅する。そして隣の分子に新たな電子とホールのペアが出来る。
この状態はリレー式バトンタッチで次々移り、ペアが移動する。電子とホールのペアは専門用語で励起子と呼ぶ。ペア(励起子)の行きつく先が光合成を行う場所(反応中心)だ。従来は、このペアの移動が、ランダムウォーク(酔っ払いがうろうろしながら移動する)と考えられていた。
そして偶然、ペアが光合成場所(反応中心)に到達するとされていた。しかし、酔っ払いの動きでは時間がかかり過ぎ、周囲からの電気的な障害を受けて電子がエネルギーを失いペアが消滅してしまう。酔っぱらいは間違えて同じところに戻ったりするので、目的地に到達する時間がかかるのである。
ランダムウォークの到達距離は時間の2分の1乗、すなわちルートで計算される。1m進むのに1分かかったとすると、4分で2m、9分で3mしか進まず、距離がちょっと増えると莫大な到達時間を要するようになる。
ところが、今世紀に入って発表された成果によると、量子コンピューターでシミュレーションしたように、短時間で目的の光合成を行う場所に到達しているという。しかも、到達率は100%近い(到達率はエネルギー利用効率でもある:太陽光発電でトータルのモジュール効率が20%ぐらいですか)。これは驚異的。
実は電子が量子であるため、一つの電子が複数のルートを同時に進む事が出来る。例えば、電子が同時に10ルートを進めば、単純に到達時間は10分の1になる。その証拠として、電子のルートでうなり(量子うなりと呼ばれる:耳では聞こえない)が計測されたのだ。
この際、電子が10個に分かれて進む訳ではない。10ルートだと1つのルートに電子が存在する確率は10%となる。しかし、あたかも10個に分かれたようにして進むので(忍者の影武者のよう)、隣同士のルートの電子振動が環境により少し異なるとうなりが発生する。
皆さんも小学校で、音叉などを使って、僅かに周波数が異なる音同士でうなりが聞こえるのを実験したかもしれない。例えば、同じ音叉を二つ用意し、片方に輪ゴムを巻くだけで、両者に振動数の差が出来るはずだ。
量子的な動きでは到達時間が異常に早い上に、到達確率が前述したように100%近くと高すぎる。光合成場所では、電子(エネルギー)を受け取り、そのエネルギーを利用して光合成を実現する。
量子コンピュータは循環セールスマン問題(*)の計算に適すると言われているが、まさしく、電子とホールのペアが目的地に達する最適なルート選択は循環セールスマンの計算に似ている。そこで、植物は量子コンピューターと言う科学者(グレアム・フレミング)が出てきた。
* 全国の30都市を最も移動距離を小さくして訪れる方法について、高速コンピューターで計算すると250,000億年掛かるという。量子コンピューターではこの問題を瞬時に解いてしまうのだ。
あなたも急に大金が手に入ると、飛び出して海外旅行に行ったり?ちょっと違うか。光のエネルギーは最低限度の量が決まっており、それを受け取ると、電子としてはエネルギーが大きすぎ(振動数が高すぎ)、禁止帯(電子は飛び越えてもいいが立ち入り禁止)と呼ばれる壁を乗り越えて外に出ざるを得ないのです。
ここでマグネシウムの軌道では電子の空席が出来る。空席の出来た原子の状態を教科書ではホール(電子が抜けて穴=ホールが出来た)と呼ぶ。飛び出した電子とホールはペアで蓄電池の役割を果たす。何故なら電子とホールを再結合させるとエネルギーを放出(利用)できる貯金のようなもの。
電子はご存知の様にマイナス電荷を持ち、電子が抜けたホールはマイナスが抜けたのでプラス電荷をもつ。電子とホールは互いに引き合うので、静電気で引き合い結合しやすい。このペアが再結合しないよう目的地(光合成の反応中心)に移動させなければならない。
クロロフィルでは最初に飛び出した電子が隣の分子に移動し、そこの電子にエネルギーを与え、隣の原子の電子をはじき出す。元のマグネシウム原子の電子はエネルギーを失うので、元の軌道に戻らざるを得ずペアが消滅する。そして隣の分子に新たな電子とホールのペアが出来る。
この状態はリレー式バトンタッチで次々移り、ペアが移動する。電子とホールのペアは専門用語で励起子と呼ぶ。ペア(励起子)の行きつく先が光合成を行う場所(反応中心)だ。従来は、このペアの移動が、ランダムウォーク(酔っ払いがうろうろしながら移動する)と考えられていた。
そして偶然、ペアが光合成場所(反応中心)に到達するとされていた。しかし、酔っ払いの動きでは時間がかかり過ぎ、周囲からの電気的な障害を受けて電子がエネルギーを失いペアが消滅してしまう。酔っぱらいは間違えて同じところに戻ったりするので、目的地に到達する時間がかかるのである。
ランダムウォークの到達距離は時間の2分の1乗、すなわちルートで計算される。1m進むのに1分かかったとすると、4分で2m、9分で3mしか進まず、距離がちょっと増えると莫大な到達時間を要するようになる。
ところが、今世紀に入って発表された成果によると、量子コンピューターでシミュレーションしたように、短時間で目的の光合成を行う場所に到達しているという。しかも、到達率は100%近い(到達率はエネルギー利用効率でもある:太陽光発電でトータルのモジュール効率が20%ぐらいですか)。これは驚異的。
実は電子が量子であるため、一つの電子が複数のルートを同時に進む事が出来る。例えば、電子が同時に10ルートを進めば、単純に到達時間は10分の1になる。その証拠として、電子のルートでうなり(量子うなりと呼ばれる:耳では聞こえない)が計測されたのだ。
この際、電子が10個に分かれて進む訳ではない。10ルートだと1つのルートに電子が存在する確率は10%となる。しかし、あたかも10個に分かれたようにして進むので(忍者の影武者のよう)、隣同士のルートの電子振動が環境により少し異なるとうなりが発生する。
皆さんも小学校で、音叉などを使って、僅かに周波数が異なる音同士でうなりが聞こえるのを実験したかもしれない。例えば、同じ音叉を二つ用意し、片方に輪ゴムを巻くだけで、両者に振動数の差が出来るはずだ。
量子的な動きでは到達時間が異常に早い上に、到達確率が前述したように100%近くと高すぎる。光合成場所では、電子(エネルギー)を受け取り、そのエネルギーを利用して光合成を実現する。
量子コンピュータは循環セールスマン問題(*)の計算に適すると言われているが、まさしく、電子とホールのペアが目的地に達する最適なルート選択は循環セールスマンの計算に似ている。そこで、植物は量子コンピューターと言う科学者(グレアム・フレミング)が出てきた。
* 全国の30都市を最も移動距離を小さくして訪れる方法について、高速コンピューターで計算すると250,000億年掛かるという。量子コンピューターではこの問題を瞬時に解いてしまうのだ。