練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

2007-10-22 | 読書
『太陽の塔』では振られた彼女への想いが断ち切れず、いつまでも未練たらたら、こっそりと彼女の行動をつけまわす(人はそれをストーカーと呼ぶ)というまるで男らしくない振る舞いを、「彼女と言う研究対象を追求する学問」とかなんとか言っちゃって、素直に「まだ好きなんです」と言えないひねくれ者君の悲しい学生生活、と男汁(??)あふれる大学生活を面白おかしく描いていた森見登美彦。

この『夜は短し歩けよ乙女』では、またもや大学生活、そして若くてもどかしい恋愛模様をまたまた面白おかしく描いている。
今回はある女の子に恋をして、その黒髪の乙女となんとかきっかけを持とうとつけまわす(またかい!!)男子学生、そしてなんとも「不思議ちゃん」と言うべき天然ボケかましまくり、感受性が鈍いながらもおっとりと心優しく、でもお酒はめっぽう強くてぼんやり生きているようで幸せいっぱいな乙女ちゃんを中心にお話はめぐってゆく。

これはもう恋愛ファンタジーとでも言えばいいのかな?
二人の行動はほとんどシンクロしつつも(男が付回しているのだから当たり前か)微妙にずれずれ。たまに男の思惑通りばったり出会ったとしても、乙女は「センパイ、奇遇ですね!」(のだめちゃんではありません)でさらっと済ませてしまう。もどかし~~い。

サークルの飲み会、古本市、学祭、などなどさまざまなシチュエーションで彼女のことばっかり考えて、なんとか親密な関係になろうと悪戦苦闘する男の気持ちがかな~~り時間を要した結果、なんとか彼女にも伝わりつつ、最後はハッピーエンド!?

男の相変わらずのインテリ語によるしゃべりもおかしいし、乙女ちゃんの浮世離れした言動も面白いし、だんだんと現実離れしてゆくストーリーもすごいけれど、この話の肝はやっぱり、誰もが経験してきたような、学生時代のいろんなアイテム、エピソードにあるような気がする。
コンパで飲んで飲んでみんな前後不覚になって、今から考えるとありえない行動に出てた、とか、古本屋めぐりしてものすごく懐かしい本にめぐり合って涙が出そうなくらい嬉しかったとか、風邪ひいてすごく苦しんでる友達の看病した、とか、今の私からするととてつもなくノスタルジックな気持ちになるような小ネタがこの本全体にたっくさんちりばめられているのだ。

森見さんがどんな学生時代を送ってきたのか、ちょっと見てみたいような、見ないでも読めば分かるような、そんな話だ。



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