練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『短歌の友人』 穂村弘

2008-09-19 | 読書
歌人である穂村弘氏が短歌について評論する。

「短歌」と「和歌」とはその形式は同じであるが、
全く別のもの、もしくは、
「和歌」が変化して行き着いた先が「短歌」であるというべきか。

いまだに短歌と聞いて、「あるらむ」とか、「けり」とか言いながら貴族的な言葉の応酬、またはのんびり自然を愛でる創作活動、と思っている人は本評論を一度読んでみると、考えが一新されるかもしれない。

私は短歌と呼ばれるようになった時点で、「うた」は、
人間の感情の激しい吐露に変化した、と思っている。
あまりに激しすぎて真剣に立ち向かうのにかなりの体力がいるくらい。

フィクションであれ、ノンフィクションであれ、作者が思ってもいないことが文章に載ることはありえないことだが、
(それが作者の創作したキャラクターが作者の本意とは全く別の言葉を発していても)
短歌で歌われている事象、感情はそのままストレートに歌い手の気持ちである場合が多い。しかもかなり濃度の高い。
そんな喜怒哀楽の煮詰まったエキスをいっぺんに何首も読んでしまうと、
こちらとしては許容量オーバーとなってしまい、気持ちがひどくかき乱されたりするものだが、
この評論でかなり突き放した視点で冷静に分析してもらえると、こちらもずいぶん冷静になれる。

すべて感動するものの背景には確固としたロジックがある、
と私は思うが、それを証明している一冊でもある。


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